セルリアは酸性土壌のやせ地が大好き!
ダイアナ妃のウェディングブーケでも使われた「セルリア・フロリダ」という種類は、40種類ほどのセルリアがある中で最も人気の種類です。花弁のように見える部分は、中心部分の花を守るための総苞になります。セルリアは、この総苞がガラス細工のようであり砂糖細工のようでもあり、何とも言えない独特の美しさなのです。
花後はドライフラワーにもなるセルリアは、鉢植えで育てられるので挑戦してみましょう!植え付けや増やし方などの育て方についてまとめました。(この記事は2021年5月13日時点の情報です)
セルリアの基本情報
原産地 | 南アフリカ |
学名 | Serruria florida |
科名 | ヤマモガシ |
属名 | セルリア属 |
英名 | ブラッシング・ブライド (Blushing Bride/はにかんだ花嫁) |
種類 | 約40種類 |
樹高 | 1~2m |
耐候性 | 耐乾性 |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 弱い |
土壌 | 酸性 |
種苗入手形態 | 苗 |
増やし方 | 種・挿し木 |
開花時期 | 12月~4月 |
南アフリカのケープ地方で自生するセルリアは、耐寒性がとても強いとはいえません。しかし霜が降りない地域であれば、庭での冬越しも可能です。日当たり・水はけ・風通しがよい、"やせ地"で丈夫に育つ特徴を持っています。乾燥に強いという特徴もありますが、浅根性のため水切れに注意しなければいけません。
肥料の与えすぎに気を付けることも大事なポイントです。病害虫の被害が少なくて意外に育てやすいセルリアを、ぜひ鉢植えでガーデニングの仲間に加えてみましょう!
ゴンドワナ大陸で発展したヤマモガシ科
セルリアのヤマモガシ科の仲間には、スナックでおなじみのマカダミアナッツ、ギリシャ神話に登場するプロテウスが由来の豪華なプロテアなど、1,500種類ほどがあります。
ヤマモガシ科の分布は、ゴンドワナ大陸の一部といわれている南アフリカや南米、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ニューカレドニアなどの南半球です。ゴンドワナ大陸はかつて存在した超大陸ですが、セルリアを愛でながら太古の時代を偲ぶのも、ロマンチックではないでしょうか。
セルリアの花期と種類
花期と流通時期
セルリアの花期は12月から4月の冬期間です。原産地の南アフリカは南半球のため、北半球では冬の季節が花期となります。日本は北半球なので、セルリアは通常の植物が咲かない冬の季節に開花するのです。
セルリアを植えた直後は地味な印象ですが、開花すると寒くなるにつれて美しく色づきます。また、花が無事に咲くのかも心配になりますが、一度咲くと長く楽しめます。小ぶりの花ですが、花付きと花持ちがよいのもうれしいですね。
流通時期
セルリアは、秋頃から開花した株が流通します。購入するときは、株元からしっかり立ち上がっているものを選んでください。しかし日本に紹介されて間もないため、切り花で販売されていることが多いようです。株はもちろんん切り花も見かけたら即買いですね!
冬の日本は花が少なくなりがちな季節ですが、セルリアがお部屋や庭を華やかに演出してくれることでしょう。
花の種類
セルリアの種類は、ダイアナ妃のブーケとしても知られている「フロリダ」の他に、オーストラリアで品種改良された最新品種の「カルメン」、「プリティ・ピンク」や「ブラッシングブライド・ホワイト」「ブラッシングブライド・ピンク」などがあります。
いずれの種類も、セルリアは日本に紹介されてそれほど経っていないこともあり、あまり流通しているのを見かけません。株だけではなく切り花も含めて目にしたときは、種類の違いなどもチェックしておきましょう。
花言葉
セルリアの花言葉には「優れた知識」「可憐な心」「ほのかな思慕」の3つがあります。「優れた知識」は、いくつかのコツが必要なセルリアの育て方が由来のようです。「可憐な心」「ほのかな思慕」は、花の部分がほんのりピンク色に染まる様子が由来と考えられます。
セルリアには悪い意味がないのも、プレゼントするときに安心です。はるか遠く南アフリカからやってきたセルリアを上手に育てられたら、切り花を花言葉と共に大切な人に贈ってみてはいかがでしょうか。
セルリアの育て方
①好きな場所
暖かくて乾燥気味の南アフリカが原産のセルリアは、日当たりと風通しのよい場所が大好きです。育て方としては、庭などでの地植えよりも、季節によって臨機応変に管理できる「鉢植え」がおすすめされています。
無事に夏越しさせるコツは、日当たり、風通し、水はけのよい環境で管理することです。夏場は屋内よりも屋外のほうが生き生きと育つので、風の通り具合も見て適切な場所を探しましょう。0℃以下になる冬場は室内に移し、日当たりのよい窓辺で栽培してください。
②用土
南アフリカのやせ地で育つセルリアは、酸性質で水はけのよい土壌を好み、反対に肥料過多を嫌います。ワイルドフラワーといわれるように、過保護にするよりも野生の状態に近づけることがセルリアの上手な育て方のコツです。
市販品ならば、酸性土質のブルーベリー用の土でも問題ありません。自分で作る場合は、鹿沼土・川砂・ピートモス・赤玉土を、5:2:2:1でブレンドすることで酸性の土壌となります。
④水やり
乾燥気味の地域で自生するセルリアの水やりのコツは、表土が乾いてからにしましょう。鉢底から水が流れ出るくらいにたっぷり与えてください。表土が乾ききらないうちに与えると根腐れを起こしてしまいます。
ただし水はけのよい用土で育てることもあり、夏場は特に水切れしやすい状態になります。夏場は小まめに水やりをすることで、無事に夏越しをしてくれることでしょう。水やりをするときは、花の部分に掛けずに株元にしてください。
⑤肥料
セルリアの育て方で大事なポイントは、肥料を与えすぎないことです。やせ土で自生するセルリアは、栄養分が含まれた肥料が無くてもたくましく育つのです。肥料を与えなければいけない状態は、元気がないように見えるとき、花が咲かないときで大丈夫です。
施肥の季節は3月から9月頃までで、液体肥料を2週間に1回程度にします。液体肥料の性質はリン酸の少ないものにします。リン酸は、通常の植物であれば開花や発芽を促すものですがセルリアには逆効果なのです。
⑥剪定
剪定は、セルリアが無事に夏越しできるかどうかの重要ポイントです。セルリアの葉が茂り過ぎると蒸れやすくなるため、枝を間引いて剪定し、風通しをよくしてあげましょう。
湿気が嫌いなセルリアにとって多湿の日本は、ちょっと厳しい環境です。多湿な日本で無事に夏越しができるように、切り戻しが必要となります。
コンパクトに栽培する剪定方法
翌年のための剪定の時期は、花が終わった梅雨入り前の6月頃、夏越しの前です。咲き終わった花から首元を剪定していきます。
すべての花後は、夏越しを無事にさせるために、枝に葉を多少残して株元から10センチメートルほどの高さで切り戻します。コンパクトに育てたい場合は、なお切り戻しをしたほうがよいです。大きく育てたい場合は切り戻しをしなくても問題ないという人もいます。
⑦植え付け・植え替え
セルリアの植え付けと植え替えの時期は、開花時期が終わった暖かい季節、6月の梅雨入り前に行ってください。セルリアは真夏の高温多湿が嫌いなので、元気があるうちに植え付けや植え替えを済ませておきましょう。
植え替えは、鉢から株を抜いて根を傷めないように土を落とします。ひと回り大きめの鉢に移し替えて、用土も新しくて水はけのよい酸性用土を用意します。植え替えたあとに枯らしてしまうこともあるので、根鉢の取り扱いには充分にご注意ください。
⑧増やし方
セルリアの増やし方は、「種まき」と「挿し木」の2つの方法があります。しかし種まきは難易度が高く、成功事例は少ないようです。種自体の流通が少ないこともあり、種まきよりも挿し木での増やし方がおすすめされています。
その年に新しく伸びた10センチメートルほどの枝を新しい用土に挿しこみます。根が張るまでは水切れしないように、毎日注意しながら育ててください。種まき同様に挿し木での増やし方も成功事例は少ないようですが、ぜひ挑戦してみましょう!
⑨病気と害虫対策
セルリアには、病気と害虫の心配はないとされています。日本で楽しまれるようになってからそれほど年数が経っていないため、セルリアの栽培は未知数の部分があります。
しかしご紹介してきたコツをしっかりすることで、見た目とは違ってたくましく育てられる植物のようです。何より病気と害虫の対策を打たなくてもよい点は大助かりですね。
セルリアの花後の楽しみ方
生け花にする!
セルリアは、花後は切り花にして楽しみましょう。他のワイルドフラワーと合わせたり、グリーンを大目に使ってセルリアを引き立たせたりと、いろいろアレンジしてみてはいかがでしょうか。
もちろん一輪挿しにして、セルリアのワイルドなニュアンスを楽しむのも素敵ですよ。花首だけにして、睡蓮風にガラスの鉢などに浮かべるのも趣があります。
ドライフラワーにする!
セルリアの花後はドライフラワーにするのも人気です。時間が経つと総苞が色あせて反り、中の花の部分がたんぽぽの綿毛のようになってきます。蒸発してくると自然に、カサカサとしたドライフラワー状態になるのです。
やはり、春に咲くワイルドフラワーと合わせたり一輪だけで楽しんだりと、アイデアを出していろいろ楽しみましょう。
セルリアを夏越しして長く観賞しよう!
南アフリカ原産のセルリアの花期は、12月~4月頃となります。北半球の植物とは反対で冬に開花するため、寂しくなりがちな季節を彩ってくれる貴重な花です。
夏超しは、日当たりと風通しのよさ、肥料を与えすぎないことなどに気を付けることで、育て方はそれほど難しくありません。冬は屋外が0℃以下になる地域は室内で育てましょう。病害虫の心配がないのも安心です。花後はドライフラワーにすると趣があります。ぜひ美しいセルリアを育ててみましょう!
ドライフラワーが気になる人はこちらもチェック!
セルリア以外にドライフラワーにおすすめの花が気になる人はぜひご参考にしてください。簡単にドライフラワーにする方法や、ドライフラワーにできる一般的な庭にあるお花の種類などもチェックしておきましょう!
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出典:photo-ac.com