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【幻の花】敦盛草(あつもりそう)の特徴や花言葉をご紹介!開花時期や見頃の季節も!

敦盛草(あつもりそう)は山野草愛好家たちから「一生に一度は見たい」ともいわれる幻の花です。この記事ではあつもりそうに付けられた名前の由来や意味、花言葉について解説します。幻の花あつもりそうを実際に観察できるおすすめ栽培地もチェックしましょう。
2021年3月31日
みもざ
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目次

「あつもりそう」とは

敦盛草(あつもりそう)は、山野草愛好家たちが「一度は見たい」と憧れる花で、別名「幻の花」「幻中の幻」とも呼ばれる植物です。自生地は限定的なうえ、育成はよほどの上級者でなければかなり困難で、日常の暮らしで目にすることはほどんどないといえるでしょう。多くの人を虜にし続けるその魅力に迫ります。

特徴①特徴的な花を初夏に咲かせる

Photo byStillWorksImagery

あつもりそうはラン科アツモリソウ属に分類される蘭の仲間です。開花時期は初夏で、花の大きさは種類にもよりますが、直径3~4cm。形は袋状をしています。色は、赤紫色、薄黄色などです。

特徴的な花の構造で虫に花粉を媒介させる

あつもりそうの花の構造が特徴的な袋状をしているのは意味があります。袋状の花で虫を誘引し、効率的に花粉を媒介させるためという説が有力です。袋状の構造をしているため、食虫植物のウツボカズラのような形にも見えますが、あつもりそうは食虫植物ではありません。

特徴②少ない自生地

Photo byYuri_B

あつもりそうは、世界規模で見ると東ヨーロッパ・ベラルーシから、モンゴル、中国、朝鮮半島、そして日本などの東アジアに分布しています。20℃を超えない冷涼な環境でしか成育できないため、日本における自生地は非常に限定的で、標高や緯度が高い山地でひっそりと自生しています。

特徴③絶滅危惧種

Photo by dmott9

あつもりそうは、環境省が指定する絶滅危惧種です。その背景には、多くの人の心を夢中にさせ進んでしまった乱獲・盗掘があります。あつもりそうはもともと自生地が限定的であったため、個体数も少なく、人の乱獲が個体数の減少に拍車をかけたといえます。

トレッキングなどの最中にあつもりそうを運よく見つけたとしても、採取することは法律で禁じられています。

近年は苗の生産が可能に

あつもりそうの乱獲が進んだ原因の1つに、苗の生産技術が確立していなかったことがあげられます。そのため、自然に自生しているものを採るしか方法がありませんでした。

しかし、近年の高度な栽培技術により、大量のあつもりそうの苗の生産が可能になりつつあり、園芸植物としての販売が期待されています。

あつもりそうの名前の由来と花言葉


あつもりそうが、日本人の心をつかんだ理由の1つに、「敦盛草」という武将の名前にちなんだものであることがあげられます。特徴的な花の外見と、悲しい歴史を持つ「敦盛」が見事にリンクし、儚いものを愛する日本人に愛される由来を持つ「唯一無二のラン科植物」にまでなりました。

名前の由来は「平敦盛」

あつもりそうの袋状の花が、平敦盛(たいらのあつもり)が鎧の上からまとっていた「母衣(ほろ)」に似ていたことが、名前の由来です。由来となった平敦盛は平家物語にも登場する人物で、一ノ谷の戦いで熊谷直実(くまがいなおざね)の手によって首をはねられ、命を落としました。享年わずか16~17歳であったといわれています。

平敦盛と熊谷直実の最期のやり取り

若干17歳の敦盛が、敵である熊谷直実に追われ、首を狙われます。敵に背中をさらして馬で逃げる際、まとっていた「母衣」はあつもりそうの花のように大きく風で膨らんだことでしょう。

直実は敦盛を捕らえますが、敦盛が直実の息子と同じ年であることを知り、首をはねることをためらいました。しかし、平家物語「敦盛最期」の章によると、敦盛はその申し出をよしとせず、首をはねさせたといわれています。

花言葉は「気まぐれ」

Photo by_anaposa_

歴史に翻弄された平敦盛と熊谷直実の逸話から名づけられたあつもりそうの花言葉は「気まぐれ」です。

あつもりそうがまるで神様が気まぐれに咲かせるような「幻の花」であることや、敦盛と直実の2人の間に小さな気まぐれがあれば歴史は変わっていたかもしれないといった意味から「気まぐれ」と名付けられたのかもしれませんね。

あつもりそうの種類

日本で知られるあつもりそうの種類は10種類ほどあります。そのうち、とくに有名な4種の特徴についてご紹介しましょう。

①クマガイソウ

Photo by ai3310X

クマガイソウは、あつもりそうの名前の由来となった平敦盛の首をはねた「熊谷直実」からつけられました。あつもりそうと対をなす種として有名です。

一ノ谷の戦いでは、当然、直実も「母衣」をまとっていたと考えられ、混戦となった風が吹きすさぶ合戦の場で2人が母衣をなびかせながら、涙ながらに刃を交え、命のやり取りをしたのでしょう。

あつもりそうとクマガイソウの違い

あつもりそうは濃い紫色、クマガイソウは白を中心に紫色の線が放射線状に入ります。また、花の色以外の大きな違いとして葉の構造があげられます。あつもりそうは細長い葉がつきますが、クマガイソウの葉は茎をくるりと囲むような扇形の形です。


②コアツモリソウ

コアツモリソウは「小敦盛草」といわれるだけあって、非常に小さい花が特徴です。その大きさは、わずか人差し指の第一関節に乗るほどで、葉の下に隠れるようにして垂れ下がって開花します。

小さな花ですが、虫を誘引するための放射線状の紫の線や、袋状の構造などはあつもりそうと同じようにしっかり確認できます。

③ホテイアツモリソウ

Photo by sunoochi

ホテイアツモリソウは、あつもりそうよりも見ごたえのある大きな花をつけることから、もっとも乱獲、盗掘の被害にあいやすく、こちらも絶滅危惧種です。本州でホテイアツモリソウの自生が確認できている場所は、長野県、山梨県、福井県のわずか3件のみしかありません。

ホテイアツモリソウの名前につく「ホテイ」は布袋様の意味で、布袋様の太鼓腹のように見事に膨らんだ花の形をそうたとえたのでしょう。

④レブンアツモリソウ

Photo by hogeasdf

レブンアツモリソウは、北海道礼文島にのみ自生する種であることから名づけられました。本州で見られる一般的なあつもりそうなどのような紫色の線を持たず、薄い黄色の花が大きな特徴です。

栽培が困難とされるあつもりそうの中でもとくに栽培は難しく、北海道のなかでも北部に位置する礼文島のような冷涼な土地でしか根付きません。

あつもりそうの栽培地と見頃の季節

あつもりそうは一部、栽培化に成功しているものの、依然として「幻の花」であることは変わりません。冷涼な山間地にひっそりと自生しているため、偶然の出会いを期待して探すしかないでしょう。

しかし、近年では栽培化に成功したものや、人知れず群生していた場所を保護しながら観光地化したことで、一般人でも見られる場所があります。そんなあつもりそうの有名栽培地を2か所ご紹介しましょう。

①長野県「富士見パノラマリゾート」

長野県「富士見パノラマリゾート」では、ホテイアツモリソウのなかでもさらに珍しい「釜無ホテイアツモリソウ」が観察できます。国内で自生する釜無ホテイアツモリソウはわずか100個体ほどといわれており、保護に成功した20株ほどをその目で見られる貴重な場所といえるでしょう。

見頃の季節

富士見パノラマリゾートでの釜無ホテイアツモリソウの開花時期は5月中旬~6月下旬です。施設内山頂にある「入笠すずらん山野草公園」の「釜無ホテイアツモリソウ実験園」で観賞できます。入場料はかかりますが、お金を払ってでも見る価値のある貴重な場所といえるでしょう。


富士見パノラマリゾート 長野県富士見町
長野県富士見町 東京から90分、富士山と八ヶ岳を望む高原リゾート。入笠山トレッキング、登山、マウンテンバイク、山野草公園。

②北海道レブンアツモリソウ群生地

レブンアツモリソウ群生地は、北海道礼文島を訪れた際にはぜひ立ち寄りたい場所の1つです。礼文島でしか見られないレブンアツモリソウを自然に近い環境で観察できます。

見頃の季節

レブンアツモリソウの開花時期は5月下旬~6月下旬。整備された遊歩道から間近に幻の花を見られます。遊歩道に立ち入れるのは、レブンアツモリソウの開花時期のみなので、訪れる際は事前に確認してからいきましょう。

レブンアツモリソウ群生地 | 建設部まちづくり局都市環境課

一度は見たい!幻の花「あつもりそう」

「幻」と冠するものは数多くありますが、あつもりそうはその最たるものでしょう。悲しい名前の由来と相まって、多くの人を魅了し続けています。「幻」を自分の目で見てみたい人はぜひ、栽培地を訪れてみてくださいね。

あつもりそうが気になる方はこちらもチェック

あつもりそう以外にも「幻の花」と呼ばれるものがあります。沖縄地方の夏の風物詩「サガリバナ」もその1つ。サガリバナの魅力や栽培方法について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。