釣行自体が厳しかった今冬
2月に入ってから日本全国で北風が吹き荒れました。日本海側の大雪のニュースも連日テレビで見ていました。こちら南の島でも雪こそ降りませんが、連日連夜の大シケで生活物資すら危うい状態になりました。当然思うように釣りにも行けず、2月の釣果はイカばかり(如何ばかりのシャレです)。くわえて風裏にあたる集落ではGT(ジャイアントトレバリー)系のアジがぽつぽつ揚がっていると聞いて、イライラを募らせておりました。そして風がピタリとやんだ2月20日。満を持してアジングに行ってまいりました。
夜間のアジング釣行
桟橋釣行・長潮・上げ5分
大潮の潮回りの時は大抵無理をしてでも一旦は釣りに出かけるのですが、大風の影響で釣りにならないことが多く、釣果的にはマグレ当たりのアオリオカとコブシメしか手にしていなかったので、長潮でも5分から満潮まで(この日は満潮が午前4時)3時間粘るつもりでいつもの常夜灯浮桟橋へ。当然釣り座には誰もおらずふふふと小さく笑う。足元をヘッドライトで照らすとベイトはゼロ。耳を澄ましても海面を叩く音は聞こえず、ふふふなどとほくそ笑んだ自分を反省する。
改造エギングロッドに28gのジグ
深夜2時を過ぎた頃、足元にちらほらとベイトの姿が見え隠れ。目の光具合からマツカサやキントキの仲間だろうと推測する。まだ上層を活発に動くベイトは見えない。桟橋到着後エギを投げていたもののまったく叩いてこない時間が続き、3gのジグヘッドでアジングに切り替えたとたん、遠くの海面で「ガボン」と待ち望んでいた音が。ジギングロッドを車に取りに行っているヒマはないと判断し、改造エギングロッドに28gのメタルジグを取り付けて放り投げる。見事に一投で仕留めました。
今回の獲物(オニヒラアジ)
釣行後即締め&血抜き
揚がってきた魚体は45㎝オーバーのオニヒラアジ。引きの強さから「カスミアジかも」と願っていたけれど残念。まあオニヒラでも処理さえきちんとすれば美味しくいただけるさと、エラの中に通っている血管をナイフで傷付け血抜きをする。海水の入ったバケツに頭から突っ込むとすぐに海水が真っ赤になる。うん、うまく抜けそうだ。これをすぐにやるのとやらないのでは味がまったく変わる。血抜きをきちんとしないと臭みが出てしまう。
寝かせること2日間
家に帰ってからハタと思い出した。そういえば締めている時に脂を感じなかった。これはこのまま食べても大した旨味は無いのではないか。そこで寝かせることにした。魚は寝かせることで「イノシン酸」という旨味成分が増します。それに伴って身質も変化。コリコリからもちもちへ。脂の乗っている魚のコリコリは旨いが、脂乗りの悪い魚のコリコリはいただけない。ウロコと内臓を処理してお腹の中と魚体全体をキッチンペーパーで包み、さらにラップで巻いて冷蔵庫のパーシャル機能へ突っ込む。おいしくなあれと約2日間。
オニヒラアジを捌く!
ゼイゴを取り三枚におろす
GT(ジャイアント・トレバリー)系のアジをさばく時に最初にコツがいるのがゼイゴ取りです。この系統のアジのゼイゴはカッチカチで、まともに刃を入れても弾かれてしまいます。ゼイゴの一番最後の突起の下に刃をあて、包丁を思いっきり寝かせて軽く圧を掛けながら引くとスッと外れます。くれぐれも力任せにやらないようにしましょう。ケガの元ですよ。
頭を袈裟懸けに落として、背側と腹側に包丁で刃を入れたら骨に添って中骨まで包丁を入れ、三枚におろします。アジ系のお魚は総じておろし易いので、あまり失敗はありません。骨に残った身はスプーンでこそげてハイボールのアテにしました。これがうまい。
反省は腹身と血合い回りのピンク色の部分。少し血抜きが不完全でしたね。
腹骨を曳き柵に取る
腹骨は基本丁寧になるべく身を残さずに削ぎますが、おつゆや味噌汁の出汁取りに使うのならば少し厚めに削ぎます。
皮を曳いて血合い骨を外し柵に取ります。皮は尻尾側からでも頭側からでも曳けますが、頭側からの方が(普通のアジも頭から)きれいに剥ける印象です。また血合い骨はこの大きさの魚体ですと、抜くより血合いごと切り取った方が良いでしょう。寝かせが多少効いているようで、しっとりとした身になっていますね。
オニヒラアジを料る(有川浩風)!
まずはお寿司を4貫
「料る」という言葉があるかないかは置いておきまして、まずはオニヒラの柵を厚めの削ぎ切りにします。今回は一人2貫で4枚だけ刺身に切り付けました。あ、ちなみに一般的ではありませんが「料る」という言葉はあります。
温かいご飯お茶碗一杯分にお酢大さじ1と砂糖を小さじ半分混ぜて酢飯を作ってお寿司を握ります。左手の親指と人差し指でネタをつまみ、右手の人差し指でワサビを塗りつけ、右手で飯玉を作ったらそれをネタに押し付けます。あとは指の腹を使って成型したら出来あがり。生姜のすりおろしを乗せていただきます。簡単でしょ?
シャブシャブ用は薄切りに
しゃぶしゃぶ用のお刺身は薄めの削ぎ切りにしますが、あまり薄すぎても食感が無くなるのでやり過ぎないように気を付けながら切り付けます。この時気を付けるのは「柵の繊維にどの角度で刃を入れるか」です。できれば「繊維をカットするように」切り付けましょう。口ほどけが良く、タレ乗りが良くなりますよ。
残った切れ端はそのままお刺身で、この日の夕飯はしゃぶしゃぶ・握り寿司・お刺身の三品になりました。寝かせると通常は硬い身質が柔らかくなるのですが、今回のお刺身は1日半という短い寝かせだったためかもちもち感は少なく、サクサク感の方が強かったように思います。厚切りでお寿司にした方がもちもち感があり、味わい深く感じました。逆にしゃぶしゃぶは弾力が強くなり、噛むと中からじゅわっと旨味が飛び出してきて絶品でした。
アジは捨てるところ(ちょっとしか)無し!
落とした頭も捨てない
今回のヒラアジは生食用に切り付けましたので、頭部とカマは料理に使いませんでした。この部位はこの部位で食べ方が有るので次回のためにとっておくことにします。カマ焼き、煮付け、魚汁、夢は広がります。中骨は漉き身をきれいにこそげてしまったので捨ててしまいましたが、腹骨を漉いた部分は捨てずに一緒に保存しておきます。
処理をして冷凍庫へ
残ったカマはまず二つ割りにします。縦に割ることから「兜割り」と呼ばれる割り方です。二つに割れたら丁寧にしっかりと水洗いをします。できれば細かい血の塊なども爪楊枝などで掃除すれば完璧です。水気を切って全体に塩をふります。これはどんな料理にするにしても必ずしましょう。冷凍庫に入っている間に旨味が増します。あとは冷凍できるバッグに入れ、なるべく空気を抜いた状態で冷凍保存します。1品足りない時に調理します。
さあ、釣りシーズン到来です!
まだまだ冷え込みや風の影響がおさまらない3月初頭ですが、季節は間違いなく釣りのシーズンへと移行しています。春のエギング、ジギング、アジング、カヌー釣りなど考えただけでワクワクしますね。これから旬を迎え美味しくなる魚もたくさんいます。今から釣りを始めたいと思っておられる方も、ぜひ釣って食べるを実践してみてください。人生が豊かになりますよ!
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時々記事が遅れたり、飛ばしたりと本当にご迷惑ばかりお掛けしているkuma10ですが、何とか今年も【火曜連載】を続けて参る所存です。「暮らし~の」のサイトの中で釣りと料理に特化した記事を書いておりますので、興味を持たれた方はぜひ他の記事も合わせてお読みくださいませ。
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