はじめに:リンドウの育て方ポイントを紹介
リンドウの育て方のコツは夏越しや冬のお手入れにあり
リンドウは主に野の花として登山やハイキングなどで目にすることが多い青紫色のどちらかというと素朴な見た目の花です。ききょうと咲き方は似ており、色も同じ感じなのでききょうの小さい版という印象を受け記憶されている方も多いのではないでしょうか。しかし鉢植えで売られているような園芸種は色も咲き方も豊富。実際に栽培してみるとその美しさに癒やされます。その地植え鉢植えの共通の育て方を苗や鉢から1シーズンで絶やさず大きくする育て方として植え替えよう用土や室内管理・肥料のやり方や時期と順に解説していきます。
リンドウの基本情報や特徴・人気品種は?
植物は育て方だけを見てもピンとこない事も多いですが、同じ種類の植物(分類が同じ)を知ったり花の開花時期やその性質を知ることで育て方レクチャーの理解力もグンとあがります。ここでは一般的な育て方や見た目のリンドウだけでなく園芸種として人気の高い美しい品種などとともにご紹介しましょう。育て方の前に是非一度目を通しておいてくださいね。
リンドウの基本情報
科・属:リンドウ科リンドウ属
原産地:日本や中国
英語名/学名:Gentian/Gentiana scabra
育て方難易度:中級者程度だが初心者でも可能
リンドウの特徴と性質
野生のリンドウは高山植物というほどではありませんが、里山や日当たりのよい斜面になっているようなところに咲く姿を目にすることができるでしょう。このような場所に咲く山野草は涼しい場所を好むことが多く、リンドウも例外ではありません。そのため育て方ポイントとしては冬の寒さには強いですが夏の高温はあまり得意としないこと、人が与える肥料をあまり必要としないという性質を持っています。
リンドウの開花時期と翌年も咲かせるためのポイント
リンドウといえば秋の花。気温が20度を下回るようになると開花しはじめます。開花鉢を購入した場合は、そのまま冬まで花を楽しみ春に植え替えをして夏越しが上手にできれば翌年の秋にまた美しい花を見ることができるでしょう。
しかし、葉色が悪くなると見た目も大きく損なわれますので開花時期にはふだん肥料をあげない育て方をされている方でも水溶性肥料を水代わりにあげるという育て方をおすすめします。
背の高いものや矮性などの人気品種
リンドウといえばその釣鐘型のきれいな青紫の花にばかり目が行きがちですが、株全体をよく観察すると野山に生えているものも地域性が高く姿もそれぞれに違いが多くあります。ここでは山野で見られるポピュラーな品種と園芸用に品種改良された美しい鉢植えとして人気の種類も織り交ぜてご紹介しましょう。
メルヘンアシロウ
メルヘンアシロウはリンドウの生産地として知られている岩手県で品種改良された赤みが強く濃いピンク色の花を咲かせるリンドウの品種のひとつです。見た目は矮性で草丈が短く、花は大きめで目立つのが特徴的。園芸用品種改良ずみなので育て方は簡単です。
一般的には苗ではなく鉢植えで流通していますが、人気が高いため少し手に入りにくいのが難点。背が低いため切り花にはあまり向いていませんので室内で楽しむ場合は鉢花のまま栽培するのが良いでしょう。
アサマリンドウ
リンドウは鉢植えや庭植えで栽培されるものだけでなく、野生で高地に咲く花として有名ですね。アサマリンドウはそんなリンドウの中で草丈が低く地面に這うように咲くのが特徴。
花色はポピュラーな種類とはまた違う明るい空色で美しさも人気があります。この花のような矮性種は鉢植え用のリンドウとして用いられることがほとんど。草丈を生かした山野草だけの寄せ植えなどにも活用されることもあるでしょう。
エゾリンドウ
アサマリンドウが背の低い品種なのと比べてこちらは背が高くなる種類です。色はリンドウを代表とするような紫がかった青色と珍しいシロバナ種も存在します。花の付き方も1本の茎に何段か咲くのが他と大きく違う点でしょう。
リンドウは生息地域によって種類が変わることが多くこのエゾリンドウは名前のとおり蝦夷(北海道)から東北地域に自生する品種で、寒いところに適した花です。背が高い品種は鉢植えよりも地植えや切り花として楽しむのに向いていますので生け花用の花の育て方をしたい方はこちらのような種類の物を選んでください。
オヤマリンドウ
リンドウとしてイメージされる姿に非常に近い形をしているのがこの種類です。関東を中心として本州や四国あたりまで分布しています。花はつぼみの先が少し開く程度で控えめ。しかしその慎ましやかなところが日本人の心を打ち古くから愛されている理由のひとつといえるでしょう。
オヤマリンドウのほかミヤマリンドウも日本全国多くの場所で観察できる種類でこれを元に鉢植えなどの園芸品種が多く作られているので、見慣れた姿のリンドウの花が欲しいという方はこれらの中から探してみるのがおすすめ。
ササリンドウは品種ではなく家紋の呼び方
ここでササリンドウという名前についても少し触れておきましょう。この呼び方はリンドウの葉が笹に似ていることから付けられた別名ですが、どちらかというと家紋としてのササリンドウの方がよく使われる単語でしょう。
ですのでササリンドウと言われたらまずは花のことではなく、葉をモチーフとした家紋を指していると思ったほうが話がスムーズに進むことも多いです。葵紋にも少し似た下方向へ向けて放射状に葉が広がるモチーフとなっているのが特徴。
季節や日常のリンドウの育て方と増やし方5選
リンドウ栽培をする場合、種まきではなく株分けなどで増やしてそれを大きくするという育て方になりますので、知っておきたい栽培方法は少し少なめです。ここでは大きな5つのポイントに分けて、苗や購入した鉢植えを何年も長持ちさせできるなら自分の家で数を増やしたい方へ向けて育て方を解説していきましょう。
リンドウの育て方ポイント1.日当たり
暑いところは苦手ですが、薄暗い場所が好きなわけではありません。育て方で気をつけるのは日当たりは良いが高温にならない場所選びです。そんな理想的な環境は無いという方は地植えにしてしまうと夏越しできないことも。
寒冷紗は冬の寒さや霜対策だけでなく涼づくりにも活躍してくれるので用意しておくと良いですね。植え付け場所選びが難しいのならば、最初は鉢植えにして後から地植えにすることもできますのでまずは鉢花の栽培からはじめてみるのがおすすめ。
日当たりが悪いと花が開かない
リンドウの開花時期には必ず日当たりのよい日なたに置くようにしてください。それというのもこの花は雨・夜・日かげでは花が閉じてしまう性質を持っているからです。リンドウのつぼみがあるが開いてくれないという方は、鉢植えであれば日なたに移動してあげると良いでしょう。
リンドウの育て方ポイント2.用土
山野草用の用土は初めての方には少し混ぜるものが変わってくるので、育て方の最初から難しく感じることもある方も少なくないようです。そんな方は無理せず山野草の土と書かれた培養土を使ってしまいましょう。育て方のハードルが下がるだけでなく、用土としても安心して使うことができますよ。
自分で作るリンドウ用土例
山野草用土の特徴として保水性がありつつも水はけが良いということがあげられます。両極端な性質なので難しいのですが鉢植え用土であれば通常の赤玉土と腐葉土の配合に鹿沼土を4割程度混ぜることでかなり育てやすい土を作ることができるでしょう。地植え鉢植え共通で植え付け時の肥料として緩効性の化成肥料を混ぜておくことで葉が黄色く変色することが防げます。酸性土を好みますので地植えの場合の苦土石灰は不要。
リンドウの育て方ポイント3.植え付けや植え替え
リンドウの育て方で葉色が悪くなってしまったというときは土の中の養分不足が考えられます。この植物は非常に養分吸収が活発でしかもそれが一般的な肥料では補うことができない土に存在する微量養分であるためこまめに植え替えをするのが一番適した対応方法です。そのためにも植え替え方法はよくチェックしておいてくださいね。
植え付け・植え替えに適した季節や時期
植え付けや植え替えは植物の成長期前におこなうのがセオリーです。植え付け後の根の張り方に大きな差がでます。リンドウであれば季節は春・3-4月頃がこの適した時期に当たるでしょう。
切り花用の花を地植えにする場合の注意点
庭に植え付ける場合は鉢植えのような頻繁な植え替えは不要ですが、その代わりに植え付け時の株間に注意してください。基本的な青紫色の他に白・ピンクと複数の花色を一緒に切り花にし生け花として活用すると美しいのですが、たくさんの株を近くに植えすぎるのは風通しも悪くなるので厳禁。
リンドウの育て方ポイント4.夏越しや冬の季節のお世話
この植物の育て方で特に注意するべき季節による育て方は夏越しであるといえるでしょう。涼しい場所に自生する花ですので里でのじめじめとした高温で株が弱ってしまいます。夏越し時だけは日当たりよりも涼しさ重視で庭の中でも建物の影など日中も気温が上がらない場所に鉢を移動させて上げる必要がでてきます。
また冬の季節は夏越しのそれとは大きく違いあまり注意する点はありません。寒冷地などで冬場の育て方が心配な方は後述の室内管理の項目も是非参考にしてください。
リンドウの育て方ポイント5.増やし方
最後に育て方で特に知りたい人が多いリンドウを自分で増やす方法についても触れていきます。リンドウは一般的には株分けで増やすことができる植物。植え替えの育て方時期を参考に同時期に株分けしてしまうのが失敗しづらく簡単な方法。
地植え・鉢植え共通の株分け方法
掘り起こした株の中の傷んで茶色くなっている根にハサミを入れて整理したら、株は小さくしすぎず2つ程度に手で割れる場所でわけそれぞれ用土に植え付けていきましょう。株分けすぐは日かげに置いて乾燥に注意。しばらく様子を見て根づいてきた(大きくなってきた)と感じたらだんだんと日向に移動させてください。
リンドウの鉢植え・室内での育て方は必要か?
リンドウのように何年も株が長生きする植物の中では日本の冬の霜で枯れてしまうものもあります。リンドウは?というとそれほど冬の育て方は難しくありませんが室内管理は必要となるのでしょうか。
冬のリンドウの室内管理
日本でも北の方の地域で冬の寒さが厳しい・霜害が著しい場合は室内管理も考慮してください。本州中部以南で時折霜が降りる程度であれば、霜被害を受けない屋根付きの場所に置かれた台や棚に鉢を置いておき室内には取り込まないという育て方をされている方が一般的です。
もし室内に入れる場合はできるだけ日当たりがよい場所に置くことと、日中は屋外に持ち出して外の空気に当ててあげてください。暖房器具の前などあたたかすぎる場所は不向きです。
クラリンドウという花と間違えないこと
リンドウの室内での育て方を調べるとクラリンドウという植物の名前が出てきますが、これはリンドウと付けられているだけでまったく別の種類の花。こちらは冬場は室内管理が必要となる植物ですので、室内での育て方の参考にはしないでください。
まとめ:リンドウの育て方は季節によって変える
初心者でも失敗しない育て方は夏越しにあり
今回は山野草だけでなくピンクや白など特殊な花色のものは切り花や鉢花として園芸種としても人気があるリンドウの花の育て方をご紹介してきましたがいかがでしたか?育て方注意点としては2つで日当たりが良くないと花が開かないことと夏の暑さを嫌うこと。その他は土は特別中和させる必要もなく、市販の培養土を用いることで植え替えも簡単にでき株分けで鉢数を増やすことも容易です。山野草というと育て方が難しいと感じる方でも、リンドウほど品種改良が進んで育てやすくなっている植物であれば育て方も初心者向けで最初に育てる花としてもおすすめすることができます。
育て方が気になる方はこちらもチェック
今回のリンドウの育て方の他にも、暮らし~のではたくさんの花・野菜・花木の育て方解説記事をご用意しています。植物の育て方についてもっと知りたいという方は是非こちらの育て方記事もご覧くださいね。
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