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色鮮やかな花は壮観!【高山植物のおすすめ15選】その特徴や代表的な花もご紹介!

高山植物は冷涼な気候と森林限界を好みますが、緯度が高い地域では標高の低い場所でも観られます。気象条件が悪い場所のなかでは、草原以外にも礫地や岩地も含めて、ほかの高山植物と住み分けるという特徴もあるのです。有名な高山植物の特徴や人気な15の高山植物を紹介します。
更新: 2021年5月13日
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目次

高山植物の性質や特徴は?

出典:ライター撮影

主に高山植物が多い場所は、中部地域の標高3,000メートル級の山から北海道の2,000メートル級の山です。北海道の礼文島(標高490メートル)などのような低標高の場所でも、200種類ほどの高山植物が生育しています。

そのため高山植物の定義は、必ずしも標高の高い場所で生育する植物とはいえないのです。高山植物を観察するときは名前だけではなく、高山植物の性質や生育場所などの特徴もチェックしましょう。

日本の代表的な高山植物15選!

①コマクサ

出典:ライター撮影

高山植物で最も有名なのは、厳しい環境の砂礫地で生育することや気品ある姿から「高山植物の女王」といわれているコマクサです。中部から北海道にかけての高山で、7月から8月にかけて開花します。高さは5~20センチメートルで、独特な花の形が多くの登山者に大人気です。

全株が有毒ですが、唯一、ウスバキチョウが全草を食用しています。あまりにも有名なため盗掘で激減し、レッドリストに指定されている高山植物です。

おすすめの代表的な場所

中部/白馬岳(花の百名山)・蓮華岳、草津白根山・御嶽山(花の百名山)、東北/岩手山・秋田駒ケ岳・蔵王連峰、北海道/大雪山系(※写真は高根ヶ原)・雌阿寒岳など。

②チングルマ

出典:ライター撮影

場所によりますが一斉開花すると見事な大群落になるのは、高さ10センチメートルほどのバラ科の落葉小低木チングルマです。中部から北海道にかけて7月から8月ころに、礫地や湿地で生育します。枝が地面を這うように広がる性質のため、平地では見事なお花畑となるのです。

日本語名の「稚児車」の由来は、花後の花柱が風車のように見えたことからといわれています。紅葉もすばらしく、秋も人気の高山植物です。

おすすめの代表的な場所

中部/白馬岳(白馬大池周辺)・黒部五郎岳(花の百名山)・乗鞍岳、東北/秋田駒ケ岳・森吉山、北海道/大雪山系(※写真は旭岳裾合平)・トムラウシ山など。

③コザクラ

出典:ライター撮影

サクラソウ科のコザクラは、中部以北の本州ではハクサンコザクラ(別名ナンキンコザクラ・タニガワコザクラ)、北海道ではエゾコザクラが有名です。北海道のコザクラは、テシオコザクラやヒダカイワザクラ・サマニユキワリなどの変種も見もの。

高さは10センチメートルほどあり、7月~8月中旬に平地の雪田や雪渓周辺の湿った場所で生育する性質。日本語の名前どおり桜のような姿で、多くの登山者から愛されている高山植物です。

おすすめの代表的な場所

中部/白山(弥陀ヶ原)・後立山連峰の白馬岳(白馬大池周辺)・針ノ木岳(花の百名山)・長野県と山梨県の国師岳(花の百名山)、東北/宮城県不忘山(ユキワリコザクラ)・新潟県火打山(花の百名山)、北海道/大雪山系(※写真は十勝岳)など。

④ツガザクラ

出典:ライター撮影

ツツジ科の常緑小低木ツガザクラは、礫地や雪田などで生育する性質で、7月~8月に四国から北海道までの高標高の山で生育。高さ15センチメートルほどで、線形の葉と小さな鐘型の花をつける高山植物です。

花の形は地域で特徴があり、本州は花が開き気味で北海道は閉じています。日本名の由来は、葉が針葉樹の栂(ツガ)に、花が桜色をしていることにあります。チングルマと同じ性質の生育場所で咲き、一帯は華やかな雰囲気に。

おすすめの代表的な場所

中部/北アルプス立山や長野県塩見岳、東北/福島県飯豊山。鳥海山・栗駒山などでは変種のナガバツガザクラ、北海道/大雪山系(※写真は黒岳のエゾノツガザクラ)など。

⑤ハクサンイチゲ


出典:ライター撮影

高さ20センチメートルほどの、キンポウゲ科イチリンソウ属のハクサンイチゲ(白山一華)は、チングルマよりもやや大ぶり。7月ころに中部から北海道の高山にある湿った斜面の草原などで生育する性質を持った高山植物です。

白い花びらの部分は花弁ではなく「ガク」で、枚数も5~7枚とさまざま。同属のイチリンソウや二リンソウよりも茎が太くて花も大きいため、高山植物らしくない豪華さが人気です。

おすすめの代表的な場所

中部/白山・別山、岐阜県の乗鞍岳、東北/鳥海山・焼石岳・南蔵王・飯豊山、北海道/大雪山系(※写真は花の百名山の富良野岳)など。

⑥ヒオウギアヤメ

出典:ライター撮影

草丈が70センチメートルほどのヒオウギアヤメは、7月ころに中部から北海道の山地で生育します。標高の高い湿った場所を好む性質がある、アヤメ科の高山植物です。ほかの高山植物のカンゾウとともに、初夏の湿原を華やかにします。

日本語の名前の由来はアヤメに似ている花の部分と、ヒノキの薄板を幾重にもしたように葉が見えるから。気品を感じさせる紫色のうつくしいたたずまいから、紀子さまのお印として用いられています。

おすすめの代表的な場所

中部/霧ヶ峰湿原、関東/栃木県那須高原・尾瀬沼、北海道/雨竜沼湿原(※写真は花の百名山の雨竜沼湿原)・浜中町霧多布湿原など。

⑦ミヤマウスユキソウ

7月ころに開花するキク科のミヤマウスユキソウは、山頂付近の風衝地を好む性質を持ちますが、保温のために細かい毛で覆われているのが特徴です。ミヤマウスユキソウは、東北地方の日本海側の標高の高い場所だけで7月ころに生育します。近縁種のレブンウスユキソウ(別名エゾウスユキソウ)は主に北海道で生育。

日本語名でのウスユキソウは近縁種の有名なエーデルワイスにも似ており、ともに可憐な姿が人気です。

おすすめの代表的な場所

東北/秋田駒ケ岳・鳥海山・月山・飯豊山・朝日連峰、北海道/礼文島・二ペソツ山・藻琴山など。

⑧キバナシャクナゲ

出典:ライター撮影

常緑小低木のツツジ科キバナシャクナゲは日本語の名前のとおり、つぼみは黄色いのですが、7月に咲く3センチメートルほどの花は白色系。中部から北海道までの、高標高の山の岩礫地やハイマツ林で生育する高山植物です。

特に、稜線の岩場や雪田の横などの厳しい環境を好む性質で、幹が地面を這うように伸びますが、高さは3~40センチメートルほどにしかなりません。さわやかな色の花が、登山の疲れを吹き飛ばしてくれそうです。

おすすめの代表的な場所

中部/富山県薬師岳(花の百名山)、白山、北海道/大雪山系(※写真は黒岳雲ノ平)ほか。

⑨イワウメ

出典:ライター撮影

常緑小低木イワウメ科のイワウメは、中部から北海道の高山で7月ころに生育する高山植物です。枝が岩礫地や岩場の地面に這うように伸びる性質で、ミネズオウなどと同じ時期・場所で観られます。

特徴は、密な葉と黄味がかった白色の小花ですが、たまに花色が淡い紅色になる種類も。登山の合間に岩場に腰掛けて足元に目をやると、太陽をまっすぐに見上げる姿に疲れが癒される高山植物のひとつです。

おすすめの代表的な場所

中部/岐阜県御嶽山、北海道/大雪山系(花の百名山※写真は赤岳)ほか

⑩エゾツツジ

出典:ライター撮影


落葉小低木のツツジ科エゾツツジは、日本では東北と北海道の7月ころの高山でしか観られない高山植物です。希少なため、憧れの高山植物の一つにも数えられます。

高さ10~20センチメートルほどの幹に4センチメートルほどの赤紫色の花をつける様子は、風衝地の岩場でひときわ存在感を発揮します。園芸品種の栽培はそれほど難しくなく、鉢植えにして育てることもできる大変人気の高山植物です。

おすすめの代表的な場所

東北/岩手県早池峰山・秋田駒ケ岳、北海道/大雪山系(※写真は赤岳)など。

⑪シナノキンバイ

出典:ライター撮影

草丈が20~70センチメートルほどのキンポウゲ科のシナノキンバイは、中部から北海道の高山の湿った場所で7月から8月ころ生育する高山植物です。花のように見える部分はガクで、あざやかなオレンジ色が平地や斜面の草原で輝き、登山の疲れを忘れさせてくれます。

名前に「キンバイ」と付くため、小低木バラ科のメアカンキンバイの同属と混同しやすい高山植物です。

おすすめの代表的な場所

中部/飛騨山脈笠ヶ岳(花の百名山)、北海道/大雪山系(※写真は白雲岳付近)など。

⑫イソツツジ

出典:ライター撮影

常緑小低木ツツジ科のイソツツジは、6月から7月ころの、東北から北海道の高山の岩礫地や湿った場所でしか生育しない、希少な高山植物の一つ。1センチメートルほどの花が球のようにつき、花からそれぞれ10本ずつ雄しべが飛び出す様は、花火のような風情です。

名前の由来は、「エゾ」が「イソ」と訛って伝えられたから。数年前までは「エゾイソツツジ」と呼ばれていましたが、「エゾ」が取られて現在の名前になりました。

おすすめの代表的な場所

東北/岩手県と秋田県八幡平、北海道/大雪山系(※写真は十勝岳)など。

⑬ミヤマリンドウ

出典:ライター撮影

リンドウ科のミヤマリンドウは、中部から北海道における高山の湿った場所で、8月ころに生育する高山植物。草丈は5~10センチメートルほどで、可憐な様子に胸がキュンとなるはず。特筆すべき特徴として、雨が降る前に花びらを閉じて花粉の流出を防ぐ能力があげられます。

同じリンドウ科の高山植物で、白い花のタテヤマリンドウや、草丈が60センチメートルほどで花が筒状のエゾオヤマノリンドウ(北海道)なども見ものです。

おすすめの代表的な場所

東北/福島県飯豊山・西吾妻山・会津駒ケ岳、北海道/大雪山系(※写真は裾合平付近)など。

⑭ミヤマアキノキリンソウ

出典:ライター撮影

キク科のアキノキリンソウ(日本語の別名アワダチソウ)は、キリンソウの高山型の高山植物です。名前のように、キリンの首のように長い80センチメートルもの草丈とオレンジ色の花が、さみしくなりがちな8月半ばの山の秋を盛り上げてくれます。日本全国の日当たりのよい山地で育成します。

混同しやすいのが、別名種と似ているセイタカアワダチソウ。同じキク科のアキノキリンソウ属ですが、こちらは北アメリカ原産の外来種です。

おすすめの代表的な場所

中部は、蓼科白駒池、関東は富士山(五合目付近の砂礫地)、北海道は大雪山系(※写真は黒岳5合目)ほか。

⑮ミセバヤ

出典:ライター撮影

近縁種のベンケイソウ科イワベンケイは、中部から北海道までの海岸や高山の岩場で生育する高山植物です。同科のミセバヤは山地の岩場に自生し、さまざまな地域で固有種が確認されています。

エッチュウミセバヤ・ツガルミセバヤ・ヒダカミセバヤ・アポイミセバヤ・ユウバリミセバヤなど、地域の環境に合わせて変化する性質がユニークです。園芸品種も人気で、植物栽培・育て方が情報公開されています。


おすすめの代表的な場所

北海道/アポイ岳(※写真はアポイミセバヤ)・夕張岳・礼文島など

高山植物は好む場所が決まっている

出典:ライター撮影

高山植物の性質は大きく気象条件に左右されますが、「地質」と「地形」などの生育地の環境でも大きく変わるのです。「地質の違い」は「風化や浸食の違い」を生み出し、地形も変化させます。

崩れやすい地質を持つ場所では岩の多い急斜面となり、別の地質の場所ではゆるやかな斜面となって高山植物に大きな影響を与えます。高山植物の名前だけではなく、高山植物の生育地の環境を知ることで登山の楽しみも増すことでしょう。

地質

出典:ライター撮影

高山植物の定義として重要な点は、最も地質から大きな影響を受けるということです。地形を変化させるほかに、高山植物の色などの外見的な特徴も変化させるのです。

地質学では「土壌の性質」を主に4区分しています。日本で多い岩は「火山岩」で、次に「花こう岩」です。続いて、特定の地域固有の「蛇紋岩・かんらん岩」で、最後はカルスト台地の「石灰岩」です。高山植物を観察するときは、生育地の地質もチェックしてみましょう。

地形などの「生育地の環境」

出典:ライター撮影

山頂などから周囲を眺めると、ハイマツの濃い緑・尾根筋や西側斜面の茶色っぽい緑・くぼ地や東側斜面の淡い緑などの高山植物の色が確認できます。高山植物が好む条件は寒冷地というだけではなく、さらに細かい条件があります

植物学では高山植物の「生育地の環境」を主に3区分しています。「風衝地(ふうしょうち)」・「なだれ地」・「雪田(せつでん)」などはいずれも厳しい環境ですが、細かい違いをチェックしてみましょう。

高山植物の名前を調べる方法

花の名前を知りたいときは、一覧になっている植物図鑑で調べるのが一番です。花の色別の一覧図鑑もコンパクトなのでおすすめします。田中澄子さんの『花の百名山』『新・花の百名山』は、カラー口絵が収録されているため便利です。

写真に撮っておき、あとから図鑑で調べるのもよいでしょう。花の写真を撮ったらすぐに名前が判るアプリもあります。花の形や生育場所などの特徴もチェックし、少しずつ名前を覚えていきましょうね。

高山植物を観に山に行こう!

出典:ライター撮影

高山植物で人気があるのは、一面のお花畑になることで有名なコマクサやチングルマですが、ほかの高山植物も愛おしい存在です。高山植物の定義は「冷涼な気候で競争相手の少ない場所で咲く植物」で、高山植物は過酷な条件を選ぶ性質から、控えめでありながらも戦略的といえます。

高山植物の名前が不明なときは写真に撮って図鑑やアプリで調べてください。高山植物の名前を覚えたら、生育場所の特徴も把握して知識を増やしましょう。

コマクサが気になる方はこちらをチェック!

高山植物の女王であるコマクサは、園芸品種も販売されています。自宅でも美しい姿を楽しみたい人は、詳しい栽培方法が紹介されているのでぜひご参考にしてください。