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高山植物の女王コマクサ!凛と咲く花の見頃と魅力を余すことなくご紹介!

高山植物のコマクサは、高山という普通の植物には適さないような環境でたくましく自生しています。分布地が少なく貴重な種で、人気も高いです。それにかわいらしい花をつけることから「高山植物の女王」と呼ばれているんですよ。コマクサの花の魅力や育て方をご紹介していきます。
2020年8月27日
gauyorim
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高山植物コマクサとは

高山という植物が育ちづらい場所で、かわいらしくも凛(りん)とした花を咲かせるコマクサは「高山植物の女王」と呼ばれ、多くのファンがいます。コマクサ以外にも高山植物は存在していますが、その人気は群を抜くほど。 花と葉っぱの全体のつりあいがとれていて美しく、女王といわれるのにも納得できます。

基本情報

ケマンソウ亜科コマクサ属(ケシ科の分類になることもあります)。 学名は「Dicentra peregrina」。 草丈は10cm〜15cmほどで、落葉性の多年草です。 原産地は、日本、東北アジアなど。

分布

日本での分布は、中部地方を含めた以北の高山に自生しています。日当たりの良い場所の砂や小石などの地面に、群落(ぐんらく)と呼ばれる状態で複数のコマクサが集団で群生(ぐんせい)しています。開花して花の見頃になると美しい景色を楽しめますよ。 大規模な群落を見られるのは、北海道の大雪山(たいせつざん)系、北アルプスの白馬岳(しろうまだけ)と蓮華岳(れんげだけ)、燕岳(つばくろだけ)です。他では八ヶ岳に(やつがたけ)なります。

コマクサにまつわる話

コマクサに関連するストーリーをご紹介します。花言葉や名前の由来など、コマクサのことがより理解できるようになりますよ。 ちなみに日本最古となるコマクサの標本は、1880年に信州の駒ヶ岳で採取されたものです。1886年の帝大標本目録にあり、東大で保管されているそうです。

花言葉

『高嶺の花(たかねのはな)』『誇り(ほこり)』『気高い心』『貴重品』という高品位な花言葉を持ちます。 中でも『高嶺の花』はコマクサそのもので、ぴったりな花言葉ですね! 厳しい環境でも負けずに美しく成長することから『誇り』や『気高い心』というのもうなずけます。 『貴重品』というのはコマクサが、きしょう価値の高い植物だからでしょうね。

名前の由来

コマクサを漢字で書くと「駒草」です。駒とは馬のことで、コマクサの花が馬のように見えることが名前の由来のひとつです。 「樺太駒草(カラフトコマクサ)」という別名もあります。 他にも一部では「一銭草」と呼ばれています。これは御嶽山(おんたけさん)で「オコマグサ」として登山者に1銭で売っていたことが理由です。これは下の昔話からつながります。

御嶽山での昔話

御嶽山はコマクサの分布地のひとつで、ここに伝わる話があります。 信州のとある村に「おこま」という者がいて、この娘が病気にかかってしまいます。おこまが回復を祈りに木曽の御嶽神社へ行くと「御嶽山で咲く桃色の花が薬になる」とのお告げを得ます。その花を手に入れ、娘に薬として与えると無事に回復したという内容です。 このことから、この桃色の花が「オコマグサ」と呼ばれ、コマクサに変化したとされています。


絶滅の危機

今は高山に咲く貴重な美しい花として人気ですが、腰痛によく効く薬として薬草にされていた時代もあります。 薬草目的で採取されすぎたために、絶滅してしまった地域もあります。中央アルプスなどは、かつての分布地です。 北海道や東北のいくつかの県では、絶滅に関するレッドリストの指定を受けています。 また、指定植物とされている場所で、コマクサの採取は禁止されています。

毒性がある

上項でコマクサは薬草として使われていたと説明しました。ですが、花、葉っぱ、茎、根っこと株の全てに毒性を持つ毒草でもあります。体温が下がったり、嘔吐(おうと)、呼吸や心臓のマヒといった症状があらわれるそうです。

高山植物コマクサの特徴

コマクサは、砂や小石でできた砂礫地(されきち)という場所に生えます。普通の植物だと成長できない特殊な土質でも育つコマクサは、やはり特徴のある植物です。 なぜこのような場所に育つのかというと、ライバルがいないからです。草丈の低いコマクサは、他の植物がいるとその影になってしまい日光をよく浴びることができなかったりします。そこで過酷でも単独でいられる環境を選んだのでしょうね。

花について

開花の時期と見頃は、平地だと5月〜6月頃、高山だと7月〜8月頃です。 ベースの色がピンクや赤で、先の方が白くなっている花を開花します。花びらは外側2枚、内側2枚のこうぞうをしています。 見頃には、ほのかな甘い匂いで虫を寄せ付け、マルハナバチという蜂などが蜜を吸う際に受粉される仕組みです。 夏の終わり頃に果実が熟して茎(くき)が枯れ、風によって茎ごと飛んで、種がまかれていきます。

葉っぱについて

コマクサの葉っぱは一見パセリのようにも見えます。白い粉をまとっているので、白っぽい緑色をしています。細かい葉っぱがモコモコと地面に生えている感じがかわいいんですよ。

根っこについて

コマクサの草丈は10cm〜15cmで小さく可愛らしい姿をしていますが、地下にかくれた根っこは1m〜3mほどもあるんです。その根っこは、白くてやわらかくヒゲ状になっています。 コマクサの生える場所は地面が安定していません。そのためコマクサの周辺を歩くと、土の中の根っこが痛んだり切れたりして、枯れることがあります。あまり近づかないように気をつけてくださいね。

高山植物コマクサが適した環境

自生地が高山という特殊な場所であることをふまえましょう。せんさいなイメージを抱きやすいですが、過酷な環境で育つ丈夫な植物です。でも高温と多湿に弱いという部分もあります。 日当たりの良い場所がいいですね。夏の時期は、4割ほどの遮光(しやこう)を行い直射日光と高温から守るか、午前は日なた、午後は日陰のような半日陰に置く育て方にします。

冬越し


開花し花の見頃の時期にあわせて、これまでのヒゲ状の根っこが枯れ、新しい根っこが生えてきます。冬に近づくと地上に出ている部分は枯れて、新しい根っこが地下で冬越ししますよ。 なので冬の季節は日に当たらなくても大丈夫です。霜や凍結、北風に当たらない場所に置く育て方にしましょう。

高山植物コマクサの種まき

果実は6月〜7月の時期、初夏の季節に熟していきます。そうすると先が開きますので、ピンセットで種子を採取してください。素手で種子を触ると芽が出づらくなってしまいますので気をつけましょう。 種子を取ったら、すぐにまいていきます。種子によって芽が出るタイミングは異なりますよ。早ければすぐに芽が出ますが、翌年の春に出たりもします。

高山植物コマクサの植え付け

自生しているコマクサは取らないでくださいね。苗や種子は売られているので、それを植え付ける育て方にしましょう。 購入した苗と種まきによって芽が出た苗は、育てるのに適した土へ植え付けていきます。

用土

水はけの良い土を用意します。山野草用の培養土での育て方で大丈夫です。または、軽石2割、硬質鹿沼土(こうしつかぬまつち)4割、桐生砂(きりゅうずな)4割を合わせたものにします。いずれも小粒のものを使い、よく洗って細かいものは取り除いてください。 植え付けたあとは、花崗岩質(かこうがんしつ)の砂利を株元あたりにかぶせます。

高山植物コマクサの管理

育て方の基本の管理として水やりがあります。他にも植え替えをしたり肥料が必要になりますので、適した時期におこないます。 上手な育て方でキレイに開花させ、花の見頃を楽しみましょう。

水やり

春〜秋の季節は土の表面がしっかりと乾いてから、ふんだんに水やりします。水の与えすぎは根っこがくさってしまう原因になりますので気をつけてくださいね。夏の季節は乾きがちですが、こまめに水やりすることはNGです。 冬の季節は、気温が低いことに加えてコマクサが休眠期なので乾きづらいですが、乾燥してしまわないように水やりをする必要があります。

植え替え

1年に1回は植え替えするようにしてください。適した時期は、2月〜3月頃か7月〜8月頃の冬と夏の季節になります。 根っこについている元の土は取り除き、枯れたヒゲ状の根っこはカットしてしまいます。しっかりとした大もとの根っこである主根を痛めないように注意しましょう。 これまでのものと比べて一回り大きな鉢へ新しい土を入れ、植え替えます。

肥料

植え替えとあわせて、ゆっくりと効き目があらわれる緩効性化成肥料(かんこうせいかせいひりょう)をほどこします。この肥料は、リン酸とカリウムを多く含んだものにしてください。 3月〜9月の時期には、うすめた液体肥料を週に1回か、月に3回ほど与えます。ただし、夏の季節は株が弱りやすいので、肥料はひかえておきましょう。


高山植物コマクサの増やし方

すでに説明した種まきと、株分け、根伏せ(ねぶせ)という方法でコマクサを増やすことができます。でも暖かい地域では成功率が高くありません。 株分けは、植え替えの時におこなってください。根茎(こんけい)という根っこのような茎に分かれ目があれば、そこで分けて植え付けます。 根伏せは、植え替え時に取り除いた古い根っこを土に植えるだけです。

高山植物コマクサの病害虫

コマクサは、細菌による軟腐病(なんぷびょう)という病気にかかることがあります。治療は難しく枯れてしまいます。水はけが悪いと発症しやすいため、使う土を見直してください。 害虫の心配はあまりいりませんが、乾燥した環境だとハダニがやってくるかもしれません。

高山植物コマクサの品種

日本に自生している品種は、コマクサとシロバナコマクサだけです。シロバナコマクサはとても貴重な品種で、花びらが白く、通常のコマクサと比べて葉っぱも白いです。北海道においては絶滅危急種とされています。ごくまれに販売されていることもありますよ。

様々な品種

タイツリソウとも呼ばれるケマンソウは、中国や朝鮮半島生まれで多く出回っています。 緋炎(ひえん)は花色が紅です。丹頂(たんちょう)は内側にある花びらの先だけが赤色で、それ以外は白色という特徴があります。 ディケントラ・エキシミア/フォルモーサはアメリカ原産の品種です。これらとコマクサを掛け合わせたのが四季咲きコマクサと呼ばれています。

高山植物コマクサのまとめ

高原の砂や小石ばかりの砂礫地で、夏の季節にりりしく美しい花を開花させるコマクサは「高山植物の女王」の名にふさわしい植物です。開花し見頃となった時期にあわせて登山してみるものいいですね。 種や苗は売られているので、育て方に問題がなければ自宅でも開花させられますよ。一般的に珍しいため、見頃には人を集めて栽培したコマクサを鑑賞してみてはいかがでしょうか。