モッコウバラとは
はじめに
モッコウバラという花をご存知でしょうか。開花時期は春。枝いっぱいに、こぼれんばかりの花をつけて咲く、華やかなつるバラです。とげがなく、病気や害虫に強いので、初心者でも比較的育てやすいバラと言われます。
植え方や育て方を詳しく見ていく前に、まずはモッコウバラの特徴や花言葉についてご紹介しましょう。
モッコウバラの花の特徴
花が咲く時期は?
モッコウバラは1年に1回開花する、一季咲きのバラです。4月~5月の春が開花シーズンで、他のバラに先駆けて咲き始めます。
どんな花?
モッコウバラの花色のバリエーションは、白色と黄色です。咲き方は二種類で、一重咲きと八重咲きになります。花径は2~3㎝ほどとやや小ぶりですが、清楚で可愛らしく、美しい花です。近年では、皇族の秋篠宮眞子様のお印の花として選ばれ、注目を集めました。
ひとつひとつは小輪ですが、開花期にはどっさりと花がつき、見ごたえが出ます。アーチやフェンスに誘引された枝が、花の重みでたわむかのような咲き姿は実に優雅です。
モッコウバラの枝と葉の特徴は?
とげがない枝
モッコウバラの枝はつる性です。枝は細くてしなやか。ぐんぐん生長して伸びるので、アーチやフェンスなどに誘引して育てます。注目すべきは、この枝にとげがないという点。日常的な手入れがしやすく、バラ初心者にとっては嬉しい特徴です。モッコウバラは人がよく通る場所にも安心して植えることができます。
常緑性の美しい葉
花にばかり注目が行きがちですが、モッコウバラの葉の美しさも見逃せません。モッコウバラの葉は細かく、よく茂ります。寒い時期に少し落葉することもありますが、常緑性で、花が終わった後も寂しい姿になりません。住宅の周りに植えれば、ほぼ通年優しい表情を添えてくれることでしょう。
モッコウバラの花の香りは?
花の香りで季節を感じるのは嬉しいものです。モッコウバラも開花時期になると甘い香りを漂わせます。モッコウバラの種類のうち、一番香りが豊かなのは、花の色が白で一重咲きのものです。花色が白・黄色で八重咲きのモッコウバラはあまり香りが期待できません。香りを楽しみたい人は苗を選ぶ時に注意しましょう。
モッコウバラの花言葉は?
モッコウバラには素敵な花言葉があります。「純潔」「あなたにふさわしい人」「初恋」「幼いころの幸せな時間」「素朴な美」などです。どれも可愛らしいモッコウバラにぴったりの花言葉で、ポジティブな印象です。贈り物にしたり、住宅を彩るのに適した花と言えるでしょう。
モッコウバラの育て方①栽培に適した環境を知ろう
ここまでモッコウバラの特徴をまとめてきましたが、次に育て方を詳しく見ていきましょう。まずは、栽培環境についてです。温暖な地域で地植えにするような、のびのびした育て方が理想ですが、鉢植えやプランターといった育て方も十分可能です。鉢やプランターならベランダで育てることができますし、初心者でも気軽に挑戦できますね。
日当たり・置き場所は?~育て方のコツ
多くの植物に当てはまることですが、モッコウバラは日当たりと水はけ、風通しの良い場所を好みます。半日陰でも育ちますが、花の付き方が悪くなります。育て方において日当たりはとても大事な要素です。できるだけ日の当たる場所を選びましょう。
ベランダ栽培の場合は、エアコンの室外機の風が当たらない場所を選びます。地植えは、大きくなるのを見越して広い場所に植えた方が良いでしょう。アーチやフェンスなど、支柱を設置するスペースも必要です。
寒さには注意しよう!~寒冷地での冬越し
モッコウバラは若干寒さに弱い性質があります。寒冷地では冬の寒さに耐えられない場合があり、冬越し対策が必要です。寒さが厳しい地域では、鉢植えにして、冬の間は室内に取り込む、といった育て方をしましょう。関東以南の暖かい地域では特に冬越し対策は必要なく、比較的育て方が簡単です。なお、常緑性とされていますが、寒い地域ではしばしば冬に落葉が見られます。
モッコウバラの育て方②水やりの仕方を知ろう
水やりの仕方~育て方のコツ
育て方において重要な水やり。地植えと鉢植え・プランターで育てる場合では水やりの頻度が違うので気を付けましょう。
鉢植え・プランター栽培の水やり
土の表面が乾いたらたっぷりと水やりします。ただし、水をやり過ぎて、常に土が濡れている状態だと根腐れを起こすことがあります。鉢植え・プランター栽培の水やりは土の様子をよく観察して行いましょう。
地植えの水やり
地植えの場合、根付いてしまえば、基本的に水やりの必要はありません。ただし、ひどく乾燥が続くような場合は、様子を見て水やりしましょう。
モッコウバラの育て方③土と肥料について知ろう
どんな土が向いている?~育て方のコツ
水はけと水もちの良い土が適しています。地植えの場合、鉢植え・プランター栽培の場合、いずれもモッコウバラに適した良い土を用意するのが、上手な育て方の基本です。
鉢植え・プランター栽培の用土は
鉢植えやプランター栽培の場合、初心者は園芸店で手に入るバラ専用の培養土を利用すると便利です。多くのものがあらかじめ肥料を入れてあるので、元肥を混ぜ込まなくて大丈夫です。
自分で配合する場合は、赤玉土小粒と腐葉土などを混ぜ合わせて用意します。これに、別途元肥として緩効性肥料を施しましょう。
地植えの用土は
地植えの場合は、植え付け場所をよく耕し、掘り出した土に堆肥を肥料として混ぜておきましょう。
モッコウバラの肥料は?~育て方のコツ
モッコウバラを育てるのに、多すぎる肥料は不要です。肥料を与えすぎたことで花が咲かないケースもあるので注意します。「バラは肥料食い」とよく言われますが、モッコウバラの育て方には当てはまりませんので、適量を守って与えましょう。
肥料(1)元肥
植え付けの際に、土に施す肥料が元肥です。鉢植え・プランター栽培の場合は、あらかじめ肥料が混ぜてあるバラ専用の培養土を利用すれば、別途用意する手間が省けます。元肥入りかどうかよく確かめましょう。自分で土を配合して用意した場合は、緩効性肥料を施します。
地植えの場合は、発酵鶏糞や発酵油粕などの堆肥を元肥とします。
肥料(2)追肥
追肥は、早春、新しい芽が育ち始める時期と、6月~8月頃、花が咲き終わった後の時期に適量与えます。バラ専用の肥料を利用すると良いでしょう。肥料を必要最低限にすることが上手な育て方のポイントです。
モッコウバラの育て方④植え付けの方法を知ろう
良い苗を選ぼう~育て方のコツ
秋になると、いよいよモッコウバラの植え付け時期です。園芸店などに苗が出回りますので、良い苗を選んで購入しましょう。苗を選ぶ際、しっかり確認するべき点は、葉や茎の色つやが良いか、病害虫の跡がないかどうかです。株全体から葉の裏まで、よくチェックしましょう。
香りをメインに楽しみたい人は、白色の一重咲きが一番香り高いので、これを選びましょう。
植え付けの方法~育て方のコツ
10月~11月が植え付けに適した時期です。育て方のスタート地点、植え付けのポイントは、根を傷つけないように、根鉢をくずさず、そのまま植え付けることです。
鉢植え・プランター栽培の植え付け
苗がゆとりをもって入るような大きめの鉢、あるいはプランターを用意します。鉢底に鉢底ネットと鉢底石を敷き、土を3分の1ほど入れます。苗をポットから丁寧に引き抜き、そっと土の上に置いたら、向きや高さを決めましょう。残りの土を隙間なく入れ込みます。枝を誘引するための支柱を立て、最後にたっぷりと水やりすれば植え付け完了です。
地植えの植え付け
地植えの場合、植え付けの約2週間前にまず植え穴を掘ります。掘り出した土に堆肥を混ぜ込んでおきましょう。植え穴に堆肥を混ぜた土を3分の1程度戻し、その上にポットから引き抜いた苗をそっと置きます。向きと高さを決めたら、隙間を埋めるように土を入れ込みましょう。枝を誘引するフェンスやアーチを苗の後ろに設置し、最後にたっぷりと水やりすれば完了です。
モッコウバラの育て方⑤植え替えの方法を知ろう
植え替えは必要?~育て方のコツ
鉢植えやプランターで育てていると、根が回って窮屈になってきます。数年に1回のペースで植え替えを行うのが良い株の育て方です。植え替えに適した時期は10月~11月。植え付けと同様、植え替えの際も、根を傷つけないように気を付けます。
地植えでの育て方を選んだ場合、特に理由がない限り植え替える必要はありません。
モッコウバラの育て方⑥仕立て方について知ろう
秋になったら、枝を誘引する作業をして、好みの姿に仕立てましょう。麻ひもや園芸用のワイヤーを使って、フェンスやアーチなど支柱に枝をところどころ固定します。翌年の開花した姿を想像しながら、花を咲かせる位置を決めましょう。
誘引のポイント~育て方のコツ
株元付近からその年に新しく伸びた枝をシュートと呼びます。このシュートを誘引する際は、シュートを地面に対して平行に、横向きあるいは斜めに誘引していくのがポイントです。こうすれば、花の数を増やすことができます。
フェンスやアーチなどの支柱
鉢植え・プランター栽培などの育て方では、最初のうち枝を誘引する支柱はリング支柱でもかまいません。しかし、年々大きくなるので、ゆくゆくはラティスやフェンス、アーチなどへと変えていきましょう。
地植えの場合、モッコウバラは7~10mほどの大きさにまで育つことがあります。大きく育てるには、ある程度頑丈なフェンスやアーチが必要です。フェンスやアーチは倒れないようしっかり固定しましょう。
仕立て方~育て方のコツ
モッコウバラの仕立て方は自由自在です。住宅を囲うフェンスの柵に絡ませたり、高低差のあるベランダの柵を利用して枝を枝垂れさせたり。アーチを使って憧れのバラのトンネルを作っても素敵です。モッコウバラは長く伸びる枝が細く、しなやかなのが特徴で、大きな壁面を覆うような育て方にも適しています。
モッコウバラの育て方⑦剪定の仕方を知ろう
剪定時期に注意!~育て方のコツ
モッコウバラは、他のバラと剪定時期が違うので気を付けましょう。モッコウバラの剪定に適した時期は、5月~6月になります。花が咲き終わったら、7月上旬までには行いましょう。モッコウバラの次の年の花芽が9月頃には付くので、花芽を落とさないように、夏までの剪定が必要なのです。
モッコウバラは生長スピードが早いので、コンパクトな育て方をしたい場合は適切な時期を逃さず、しっかり剪定しましょう。
剪定の方法は?~育て方のコツ
花が咲き終わった枝を思い切って半分ほどの長さに切ってしまいます。こうすることで、新しい枝が伸び、新芽が付きます。さらに、混み合っている所の枝、枯れた枝など不要な枝を間引き、全体的に整えましょう。
その年新しく伸びたシュートは、必要ない場合、根元から切り取ってしまいます。大きな育て方をする場合は残しましょう。初心者にとって剪定作業は勇気がいりますが、風通しを良くして病気を予防し、美しい姿を保ちましょう。
モッコウバラの育て方⑧増やし方を知ろう
種まき、株分け、分球、接ぎ木など、植物の種類によってそれぞれ適した増やし方がありますが、モッコウバラの場合は挿し木が確実な増やし方として知られます。初心者には少しハードルの高い作業ですが、成功すれば新たに苗を購入してこなくても株を増やすことができるという利点があります。モッコウバラの栽培に慣れたら、次は挿し木という増やし方に挑戦してみましょう。
増やし方:挿し木の方法~育て方のコツ
6月、開花後がモッコウバラの挿し木に適した時期です。剪定で出た枝を利用すると無駄がありません。
花が咲き終わった枝を選び、10~15cmほどにカットして挿し穂にします。挿し穂は切り口を斜めに切り、1~2時間水につけて吸水させましょう。その後、挿し木用の土に挿します。乾燥させないようにして明るい日陰で育てると、約1カ月で発根します。ある程度根が育ってから定植しましょう。
増やし方:挿し木のポイント(1)挿し穂
初心者でも挿し木を成功させるためには、気を付けるポイントがあります。第一に、挿し穂の作り方です。その年に花が咲き終わった枝を選びます。枝の先端部分と、付け根の部分は使わず、中間部分のみを切って使います。枝についた葉は、大きいものを半分にカットし、葉からの蒸散を防ぎます。数枚残し、下葉は取り除きましょう。発根する面積を増やす為、枝の切り口は斜めに切り戻します。雑菌がわかないよう、清潔なナイフを使用します。
増やし方:挿し木のポイント(2)挿し床と水やり
挿し木を行う挿し床には肥料分や雑菌が少ない新しい土を使うことが大事です。挿し木用の土か、鹿沼土、赤玉土小粒などを用意しましょう。さらに成功率を高めるには、挿し穂を土に挿す直前に発根促進剤を切り口に塗って育てます。挿し床は挿した後も乾燥させないよう注意が必要です。容器の下に受け皿を置き、水を張って底面吸水させれば、乾燥を防ぐことができます。
以上の挿し木による増やし方のコツを押さえれば、初心者でも十分発根が望めるでしょう。
モッコウバラの育て方⑨病気・害虫について知ろう
病気と害虫の心配は?~育て方のコツ
モッコウバラには目立った病気がありません。他のバラは育て方において病気の対策に苦労することが多いので、これは初心者にはとても嬉しい特徴です。
害虫は、まれにアブラムシやハダニが発生します。暖かい時期に、葉の裏側などにアブラムシがいないかよく観察しましょう。見つけたら、市販の殺虫剤などで駆除します。ハダニは湿度と気温が高くなる夏に発生しやすい害虫です。剪定を行って風通しを良くし、発生したら葉水を行ったり、スプレー剤を散布するなどして駆除します。
おわりに
育て方や挿し木による増やし方などモッコウバラの栽培方法を詳しくご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。とげがなく、丈夫で、病気が少ないなど、初心者でも挑戦しやすい育て方のバラであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。育て方のコツを押さえ、アーチに絡まるバラが咲き誇る、憧れの情景作りにぜひ挑戦してみましょう。
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