はじめに:種まきからの蕎麦栽培
家庭菜園で蕎麦を栽培するには?気候など栽培条件も紹介
プランター栽培も可能なのでベランダでも気候条件が合えば収穫できる作物が蕎麦です。種まきから作るならお住まいの地域の環境に合わせた品種選びが失敗を少なくするコツです。今回は蕎麦栽培のやり方を植え場所・鉢の置き場所や好みの日当たり・土作りや水やり・肥料といった定番の管理方法はもちろん、北海道から四国九州まで環境にあった品種の紹介も交えて解説していきます!おまけとして麺以外の蕎麦の美味しい食べ方もご紹介しますので、手作りならではの蕎麦の味を満喫できるでしょう。
蕎麦について
育て方のその前に、蕎麦とはどのような植物なのか。分類や原産地・植物としての性質や見た目・環境条件に対する注意点から御覧ください。
蕎麦の基本情報
科・属:タデ科ソバ属
原産地:中国
英語名/学名:Buckwheat/Fagopyrum esculentum
蕎麦が生育する気候条件などの環境
蕎麦は気温こそ品種によって得意不得意がありますが、土が酸性であろうとも雨があまり降らないという過酷な状況でも育つため作物があまり育たないような場所で好んで栽培されてきた作物です。そのため実は家庭菜園で育てる作物としても蕎麦は栽培が簡単で育てやすいものといえるでしょう。
蕎麦の見た目の特徴や性質
蕎麦という麺やそばの実くらいまでは見たことがあっても、植物として成長していく蕎麦を知っているという方はごくごく少数といわれています。葉は朝顔や昼顔に似た形をしており、花はかわいらしい白色をしており茎の先端にたくさん集まって咲くのが特徴です。
蕎麦栽培の天敵はハスモンヨトウ
蕎麦栽培をする上での最大の天敵は虫害です。その中でも大きな畑で栽培をされている方には周辺地域の環境にも大きな影響を与えてしまう可能性が高いのがハスモンヨトイという害虫。
プランターや庭での小中規模な栽培であれば捕殺してしまうのが対処方法。ヨトウムシは夜活動する害虫なので暗くなってからプランターや畑をチェックして見つけ次第捕殺してください。
蕎麦の栽培難易度は?
蕎麦の栽培難易度は土や環境をあまり選ばないという点では低いといえますが、作物として多く受粉させるには自然受粉をせず虫がいなければ人の手を加えて上げる必要があるため例えば畑1枚分をひとりで育てるとなると手間はかかるでしょう。それ以外はとても簡単な植物です。
プランターや畑での蕎麦の育て方!重要な栽培ポイント6つ
それでは早速蕎麦の育て方を見ていきましょう。ここでは蕎麦栽培に適した土の作り方・選び方や水やり肥料といった日常管理、ベランダでのプランター栽培の注意点など蕎麦栽培のノウハウを解説しています。
蕎麦の育て方1.蕎麦の種まき時期
蕎麦の育て方でまずポイントとなるのは種まきの時期です。これは品種によって変わってくるので、もらった種の場合は芽は出たけれどあまり育たなかったというケースを避けるためにもしっかりとお住まいの地域での種の品種適正と種まき時期を確認してください。
種まき時期は大きく分けて春・夏・秋の3種類
蕎麦は春4月ころから秋は10月くらいまででその間いつでもまくことが可能なのでずらして何度か種まきをすることができます。種をまいてから収穫までが2-3ヶ月と早いのでこのような種まきが可能となるわけです。
蕎麦の育て方2.好みの土づくり
蕎麦栽培は酸性の土でも育つと前述でお話しましたが、わざわざ古い養分のない土で育てることはありません。プランター栽培の場合は野菜用の培養土を購入して育てるのが病害虫対策にも、肥料の手間が省けるという点でもおすすめ!畑や庭に植える場合にも2週間前に苦土石灰をまき1週間前に堆肥などで肥料分を与えるという一般的な方法が蕎麦栽培にも適しています。
古い土の再生方法は
庭や畑など地植えにする場合は野菜用培養土に全部取り替えるのは難しいですね。その場合は硬くしまった土を掘り起こしまずは土を柔らかくしてそこに苦土石灰を入れて雨水で酸性化した土を中和してください。その後1-2週間後に堆肥と元肥となる化成肥料を広さに応じて(肥料のパッケージを参考に)混ぜ込むのが蕎麦用の土の再生方法です。
蕎麦の育て方3.種まき
蕎麦はたくさんまいて後から間引きをしていく方法が適しています。ばらまきまたは筋まきとなりますが、プランター栽培なら丸いポールや支柱で軽く土をへこませそこにパラパラと種まきをする筋まきが簡単でその後の管理もしやすい方法となるでしょう。
種まき後の間引きできる状態の目安
ばらまきや筋まきは必要数よりもたくさんの種をまきその中から良いものを選ぶ栽培方法。すべて育てようとすると混雑しすぎて日当たりが悪くなったり肥料不足・水不足などがおきるため良いものを選んで間引きする必要があるでしょう。
間引きの目安は葉同士が重ならない距離を保ち、葉が重なってきたと感じたタイミングで行ってください。間引き菜はおひたしなどで食べるレシピがありますので無駄になりません。(詳しくは後述の食べ方紹介を参照のこと。)
蕎麦の育て方4.水やりと肥料を与える時期
庭や畑といった土がたっぷりあり屋外で蕎麦栽培をするならよほど雨が降らない日が続かない限り水やりの心配はありません。しかしプランター栽培ではそうもいかず土が少ないため雨を待っていたのでは水切れの心配が出てきます。土が乾燥していると感じたら底から水が流れ出てくるまで十分に水やりをしてください。
基本的に肥料は必要ないが
肥料については地植えも鉢植えも同様で肥料は元肥を施しておけば収穫まで期間が短い植物なのであとはほとんど必要ありません。どうしても成長が遅く元肥を忘れたという場合は追肥として液体肥料などを水やりと一緒に月3回を目安に与えてください。
蕎麦の育て方5.種まきから収穫時期までの時期と世話
蕎麦は品種によっては背丈が高くなり自分の頭の重みで倒れてしまうことがあります。栽培しながら土寄せ(根元に土を寄せて茎を安定させること)を時々おこないながら2-3ヶ月後には結実しそばの実を取ることができます。ただし花が咲いたら自分で受粉できないので虫がいない場合は人が手でそっとなでて花粉を落としめしべに受粉させるように手を加えてください。これで実が収穫できるでしょう。
蕎麦の育て方6.プランター栽培の方法
庭がないご家庭ならベランダで蕎麦栽培をすることが可能です。その場合はプランターに種まきすることになりますが、蕎麦は品種や肥料によって大きく成長して倒れてきてしまうこともあります。そのために大きさは60型以上で支柱つきの野菜用プランターを使うのがおすすめ!
ベランダ内のプランターの置き場所は
できるだけ日当たりが良く風がそよそよと吹くところが好ましいです。ベランダにエアコン室外機がある場合はその付近は人工的ななまあたたかい風が吹くため蕎麦だけでなくどんな野菜栽培でも家庭菜園には不向きといわれていますので置かないようにしましょう。
栽培地で味も見た目も変わる!人気の蕎麦品種3選
蕎麦は栽培環境によって適した品種があります。ここでは北海道を含む日本の北、本州中部・九州四国地方と3つに分けてそれぞれの人気蕎麦品種をご紹介しましょう。自宅で育てる蕎麦の品種選びのヒントともなるでしょう。
栽培地別人気蕎麦品種1.キタワセソバ
キタワセソバは名前のとおり早生種の蕎麦。北海道でも栽培することが可能です。栽培時期は春に種まきをして夏収穫。スーパーなどで売られている一般的な蕎麦の多くはこのキタワセソバが使われていて、食べ慣れた味といえるでしょう。
栽培地別人気蕎麦品種2.常陸秋そば
こちらは茨城県のブランド蕎麦として知られる品種。甘みがあり大粒で香りも高いと3拍子揃ったものに品種改良されており、北関東だけでなく東北の南部ででも気候条件など栽培環境があえば育てることが可能です。
栽培地別人気蕎麦品種3.祖谷在来(いやざいらい)
祖谷在来(いやざいらい)は四国徳島県の祖谷という地方に昔からあった在来種の蕎麦種を利用して作られた品種で、小粒で皮が薄いためこれを用いた祖谷そばはそば粉の割合が高く香りが良く味わい深く麺が短いのが特徴です。
麺以外にも!自家栽培した蕎麦の活用法3選
蕎麦は麺にするだけでなくいろいろな部位がそれぞれ違った食べ方で味わえます。ここでは自分で栽培した蕎麦の実の面白い活用方法をご紹介しましょう。
自家採種実のそばの実を使って作る蕎麦麦茶
蕎麦の実大さじ4
熱湯300cc~
蕎麦茶の作り方も数種類ありますが、こちらは一番簡単な方法といえるでしょう。フライパンで軽く炒って香りがたってきたらやかんで煮出すなら大さじ1-2杯程度で1リットル。急須で簡単に飲むのであれば大さじ1杯で湯のみ茶碗3-4杯分が美味しく飲む目安となります。
軽くすり鉢で皮と実を分離させフライパンでポップコーン状になるまで炒ることで玄米茶のような風味も楽しめるのでこちらもお試しください。すりすぎると粉になってしまうので適度なところでやめるのが作り方ポイント。
蕎麦栽培の間引き菜でおひたし
蕎麦の間引き菜 適量
辛子醤油
栽培中間引いた蕎麦の若い株は湯がいておひたしにしていただくことができます。葉の部分は蕎麦特有の香りはありませんが、癖もなくさっぱりとしたおひたしとして召し上がることができるでしょう。自分で栽培していないと食べられない珍しい味ですので間引きをした際には無駄にせず、ぜひ試してみてくださいね。
蕎麦屋が教えてくれた絶品蕎麦がきの簡単な作り方
蕎麦粉と水を1:1の割合で
そばつゆとお好みの具材
そばの実と間引き菜の食べ方・飲み方を見てきましたが最後は粉に挽いた蕎麦が余った時のレシピです。そば粉は日本酒のおつまみにもなる美味しいそばがきを作ることができます。
作り方のポイントは最初に同量の水と蕎麦粉を練ってから強火にかけるところ。そのまま火は強火でひとつにまとまってお団子状になるまで混ぜ続けてください。あとはそばつゆを掛けお好みの具材をトッピングしていただくだけのとても簡単な料理レシピです。
まとめ:蕎麦は短期間で簡単に栽培できる
自宅のベランダやプランターで蕎麦栽培を楽しもう
今回は自宅で育てる蕎麦の特徴や品種・栽培方法をレクチャーしてきましたがいかがでしたか?ベランダでのプランター栽培も可能で種まきから3ヶ月ほどと短い期間で収穫できる植物なので、初心者の方でも早く結果が現れて家庭菜園の楽しさを感じやすい作物といえるでしょう。
栽培難易度はお住まいの地域に合わせた品種を選べば決して高くありません。蕎麦栽培害虫や雨の続く気候など栽培の天敵に注意しながら楽しく蕎麦を栽培して是非自家栽培の美味しいそばを召し上がってくださいね。
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出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4040672?title=%E8%95%8E%E9%BA%A6%E3%81%AE%E8%8A%B1