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雪山登山でのピッケルの正しい使い方を徹底解説!最新のおすすめ商品もご紹介!

雪山登山を始める前にはアイゼンとピッケルの使い方をマスターすることは必須です。この記事ではピッケルを取りあげてピッケルの種類や各部位の名称から始めて、実際の雪山での正しい使い方まで詳しく解説します。またおすすめの最新モデルのピッケルについてもご紹介します。
2021年6月2日
aakm.yamada
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目次

この記事で紹介しているアイテム

ブラックダイヤモンド レイブンプロ

ペツル グレイシャー ライトライド

グリベル Gゼロ

モンベル グレイシャー

エキスパート オブ ジャパン バイオレット飛鳥 P2

ピッケルについて

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ピッケルとは雪山登山での行動をサポートしてくれる「つるはし」のような形をした道具です。ピッケルはドイツ語で、英語ではアックスといいます。

日本で広く使われているのはピッケルという言葉ですが、氷壁の登攀(アイスクライミング)に使われる場合はアックスという言葉が使われることが多いです。

ピッケルの各部名称

ピッケルは各部位に名前がついています。それぞれに形状や使い道が違います。まず、ピッケルの棒の部分はシャフトといいます。長さや形はピッケルによってさまざまです。シャフトの下部には、スピッツェ(石突き、スパイクとも言います)があります。

シャフトの上の部分はヘッドといいますが、その形は前後で異なっています。片方は幅広の刃になっていてブレードといい、細く尖ったほうはピックといいます。

ピッケルの種類

ピッケルの種類は大きく分けると、一般的な雪山登山や縦走の場合に使用されるシャフトが真っすぐなものと、氷壁の登攀に使用されるシャフトが短くて曲がっていて氷壁にピックを打ち込み易いタイプのものがあります。

なお、シャフトの長さもシャフトの曲がりも両者の中間的なタイプもあり、氷雪に覆われた岩場が多い場所や、雪面の急斜面が多いような山行に使用されます。

以降はシャフトが真っすぐな一般的なピッケルを対象に解説していきます。

ピッケルの役割

シャフトが真っすぐなピッケルを雪山縦走などに使用する場合について考えると、雪山の雪渓などを歩行する場合にヘッドを握ってストックのように使って体のバランスをとるのがピッケルの最も一般的な役割です。そのほかにもいろいろな役割がありますが、次の項で説明します。

また、なだらかな斜面だけの雪山に登る場合は、歩行バランスの保持が出来ればよいのでピッケルではなくトレッキングポールを使うこともおすすめ。滑落防止は出来ませんが、軽量で取り扱いが楽です。

その他のスピッツェ、ピック、ブレードの役割

バランスの悪い雪の斜面を進む時などは山側にスピッツェを突きながら進みます。また、強風時などには雪面にスピッツェとシャフトを深く突き刺して身体確保の支点にしたりします。

万一雪面を滑落したような場合にはピックを雪面に突き刺して滑落を止めるという命綱的な重要な役割もあります。ブレードは氷雪を削って斜面に足場や休憩用のスペースを作る場合などに役立ちます。

ピッケルの具体的な使い方については次項で解説します。

雪山でのピッケルの正しい使い方

ピッケルの持ち方

出典: amazon.co.jp 
 

雪山でのピッケルの使い方で一番多用されるのは、スピッツェを地面に突いて杖として使う方法です。その際のピッケルの持ち方を覚えましょう。平面を歩く時や登りの時は、ピックを前、ブレードを後ろにして手のひらでピッケルのヘッドを上から包むように握り、中指か人差し指をシャフトに添えるようにします。

この持ち方をしていれば、登りの時につまずいたり転んだりして前方へ倒れた時には、ピックが斜面に突き刺って滑落が防がれます。

下りの時の持ち方

出典:amazon.co.jp

雪の斜面の下りではブレードを前、ピックを後ろにして握ります。下りの時はスリップして転びやすく、尻もちの姿勢になることが多いので、その時はピッケルのヘッドを握った状態で、そのまま斜面に押しつければピックが雪に刺さり、制動がかけられます。

ピッケルの使い方


ピッケルの使い方(1):雪面歩行時の補助

ピッケルの使い方では、雪面歩行時にストック(杖)のようにバランス保持のために使う使い方が大部分を占めます。斜面をトラバースする場合は、山側の手にピッケルを握り山側の自分の体に近いところにスピッツェを突きながら歩きます。ピッケルの持ち方はピックを前にして握ります。

雪面を直登する場合は、一歩分ぐらい前方を突くと登りやすいです。持ち方はピックが前です。逆に下りの場合は体の横を突いて下ります。持ち方はピックが後ろです。

ピッケルの使い方(2):滑落防止

雪面を滑落した時に滑落を止めるための使い方は、命を守るうえで一番重要です。ピックが後ろに握っている状態でシャフトの下の方をもう一方の手で握り、両脇を締めて両手でピッケルを胸に抱え込むような姿勢を取りましょう。この基本姿勢から雪面にピックを突き刺し、ピッケルに体重をかけて滑落を止めるのです。

この技術は講習会などの実地訓練を経てマスターする必要があります。滑落時にはアイゼンを雪に引掛けないようにしながら素早く基本の姿勢をとりましょう(上の画像)。

ピッケルの使い方(3)身体確保とバケツ堀り

雪の斜面を行動中に強風で待機する場合には、スピッツェを雪に深く差し込んで身体確保に使用します。またピッケルのカラビナホールにカラビナをかけてザイルを結べば、ザイルを使った身体確保や懸垂下降をすることができます。

斜面に休憩用の穴を掘る事を「バケツを掘る」と言いますが、腰を降ろしたりザックを置いたりする位の穴を斜面に掘るときに、ピックと反対側のブレードで斜面を削って作ることができます。

ピッケルの使い方(4):グリセードやシリセード

雪の急斜面の下りの時に用いる技術の一つにグリセードがあります。アイゼンは外して登山靴のかかとを使い、ピッケルを身体の横後方の雪面につけて立ったままでバランスをとりながら斜面を滑り降ります。靴のかかとの立てる角度とピッケルを雪面に押し付ける強さでスピードをコントロールするのです。

座っておしりを付けて滑ることをシリセードと呼んでいますが、この時も、ピッケルで雪面に抵抗を与えてスピードをコントロールします。なお、アイゼンをつけたままでのシリセードは雪面にアイゼンがひっかかり、足を怪我する可能性が高いのでおすすめしません。

ピッケル取り扱い上の注意点

リーシュ(繋ぎとめておく紐)


雪山でピッケルが手から放れて滑落してしまったら一大事です。身動きができなくなります。どんな状況にあってもピッケルを手から離してはなりません。そのためにリーシュ(ピッケルが身体から離れないよう繋ぎとめておく紐)をピッケルのヘッド部分にあるカラビナホールに通して結び付けて使うのです。

リーシュは紐を肩にかけて使うタイプと、紐をループにして手首に引掛けて使うタイプの2種類があります。それぞれの使い方に一長一短がありますので、好みに応じて選択しましょう。

ピッケルカバー

ピッケルは、ピック、ブレード、スピッツェと他人に当たると危険な部分があります。登山を始めるまでの移動中や、登山中もピッケル実際に使用する時までは、専用のカバーやケースを取り付けておくようにしましょう。

登山を始める前に他人や山仲間にけがをさせてしまっては楽しい登山が台無しになってしまいます。ピッケルと同時に忘れずに購入し、きちんと使用しましょう。

最新モデルのピッケル紹介5選

ここでは最新モデルのピッケルをご紹介しますが、まず、登山用のピッケルを作っている主要なブランドのメーカについて紹介し、次いでおすすめの最新モデルを紹介します。

ピッケルには3種類がありますが、シャフトが短く曲がっている氷壁登攀に対応できるピッケルは除外し、雪山初心者向きのシャフトが真っすぐで取り扱いやすい縦走用のピッケルのみを選んでご紹介します。

ピッケルの有名ブランドの紹介


ピッケルのブランドでよく名前が出てくるのは「ブラックダイヤモンド」、「ペルツ」、「グリベル」の3ツです。そのほかに、日本のメーカーから、登山用品全般では最も有名な「モンベル」と新規に登山用品に参入した「エキスパート オブ ジャパン」を加えて、5ツのブランドのメーカーについて紹介します。

これらのブランドのメーカーはどこの国で、創業者はどんな人だったのかなどしらべてみました。その結果を簡単に説明してから次の中見出しでこれらのブランドのおすすめモデルを具体的にご紹介します。

ブラックダイヤモンド

1960年代に活躍した米国人クライマーのイヴォン・シュイナードは自分の手でピトンなどのクライミング用具を制作して販売していましたが、この時の会社が始まりで1989年にブラックダイヤモンド社が設立されました。

現在はクライミングだけでなく、登山、スキー、トレッキングなどの用具を幅広く開発し、世界中に展開しています。本社は米国のユタ州のソルトレイクにあります。

ペルツ

出典:rakuten.co.jp

1930年代に洞窟探検のパイオニアと呼ばれたフェルナンド・ペツルは岸壁をロープで昇降する器具や洞窟探検に不可欠なヘッドランプを自ら開発しました。1975年にフランスのイゼール県でペルツ社を設立して、これらの洞窟探検のための用品を販売したのです。

その後高所作業やクライミングに関係した器具、装置を各種開発しました。現在のペルツ社はクライミングとヘッドランプを中心にしながらも登山、スキー関連の幅広い商品群も扱う世界規模の会社に発展しています。

グリベル

1818年にイタリアで設立されたグリベルの創業者はドミニク・グリベルといいます。ドミニク氏は始めイタリアのモンブランの麓の村で農耕器具を作る小さな鍛冶屋をしていました。

やがて登山家達から依頼を受けてクランポン(アイゼンのこと)やピッケルを制作するようになったのが、グリベル誕生のきっかけになったのです。グリベルは世界トップクラスの登山用品メーカーに発展し、クランポンやピッケルは世界のトップクライマーに愛用されています。

モンベル

モンベルの創業者は登山家の辰野勇です。彼は山一筋の青春を過ごし、1969年にアイガー北壁日本人第二登を果たすなど、名実ともに日本のトップクライマーとなりました。

1975年、辰野勇は2人の山仲間と共に「株式会社モンベル」を設立しました。現在はアウトドアスポーツ用品の企画、製造、販売を行う会社です。本社は大阪市西区にあり、米国やスイスなど海外にも活動を広げています。

エキスパート オブ ジャパン

出典:rakuten.co.jp

エキスパート オブ ジャパンの起源は登山とは無関係の、航空機部品を製造する有限会社「石井製作所」です。1927年(昭和2年)に石井寅吉が東京の豊島区に創業しました。

1975年に登山用品の開発を始め、3代目社長の石井貞男が1991年に「エキスパート オブ ジャパン」を設立しました。以来登山用品、ハイキング用品、キャンプ用品のメーカーとして現在に至っています。

最新モデルのピッケル紹介5選

各モデルともに用途別にいくつかの製品が発表されていますが、雪山初心者に最適と思われる製品1点に絞って紹介します。縦走やスキー登山での使いやすさから軽量に重点が置かれます。

各モデルともにシャフトの材質はアルミが選ばれ、ヘッドの小型化や軽量化を図っています。ピッケル長さの設定範囲はモデルにより違いがみられます。主な対象者の体格などが考慮されているのかもしれません。

これから、各モデルのおすすめ製品を1点づつ紹介していきます。

1.ブラックダイヤモンド  レイブンプロ

ブラックダイヤモンドのピッケルの中で縦走用のスタンダードとされているのが「レイブン」と「レイブンプロ」です。レイブンはピックが大きく、滑落時に強い制動力が得られ、ブレードも大型で作業性が良い特徴を持っています。

レイブンプロはレイブンのヘッドを一回りコンパクトにして軽量化を図ったものです。本格的な縦走にはレイブンがおすすめですが、雪山初心者が雪渓を歩いたり、簡単な雪山登山する場合は軽量化されたレイブンプロをおすすめします。

ブラックダイヤモンド レイブンプロ

出典:楽天


 

サイズ(cm)50/55/60/65/70/75
重量362g(50cm)

2.ペルツ グレイシャー ライトライド U01B


ペルツ グレイシャー ライトライド U01Bは、重量320グラム(長さ50cmのもので)と軽量で持ち運びが容易です。スキー登山や縦走用に適したピッケルです。シャフトのハンドル部分は溝加工されていてグリップ性能が優れています。

ペツル グレイシャー ライトライド

出典:楽天
サイズ(cm)50/60/68/75
重量(g)320/350/370/390

3.グリベル  Gゼロ( GV-PIG0S)

Gゼロは、グリベルの雪山デビューから縦走までに適しているモデルが4種類ある中で最新の最も軽量で取り扱いやすいモデルです。カラーが豊富で、ヘッドカバーとスピッツェカバーを兼ねたリーシュ(繋ぎとめておく紐)が付属品としてついています。

グリベル Gゼロ

出典:楽天
サイズ(cm)58/66/74
重量480g(66cm、リーシュ付き)
カラーブラック、グリーン、ブルー、ピンク

4.モンベル グレイシャー

積雪期の縦走などで活躍する、ベーシックなデザインの超軽量ピッケルです。大変軽量で高い耐久性を備えています。サイズは豊富です(5サイズ・5cm刻み)。

モンベル グレイシャー

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サイズ(cm)55/60/65/70/75
重量(g)361/386/401/416/431
カラーシアンブルー(CNBL)、ゴールデンオレンジ(GDOG)

5.エキスパート オブ ジャパン ピッケル バイオレット飛鳥 P2 パープル

飛鳥シリーズはP1からP3までありますが、P2はベーシックモデルでハイキングや低山趣向の方に最適とされています。なので本格的な縦走登山まではいかない雪山初心者におすすめ。シャフトの長さが調整できるタイプで、全長で59-84cmに設定できます。なお、ピックカバーと石突プロテクターが付属品としてついていますがリーシュは別売りです。

エキスパート オブ ジャパン バイオレット飛鳥 P2

出典:楽天
サイズ(cm)59~84(調整可能タイプ)
重量444g

雪山の初心者が使うという前提でのピッケルの選び方は、シャフトはストレートで軽い材質であり、長さは下に示す標準的な長さ、あるいは若干長目、ヘッドについては作業性の高い大型のものより小型軽量のもの、を目安にするといいでしょう。

ここで標準的な長さとは、ピッケルのヘッドを握って真っすぐに立った時にスピッツェが足のくるぶしの位置に来る長さ、とされています。これまで紹介したモデルについては、ヘッドは各種の鋼材、シャフトはアルミが使われています。

おわりに

ここまでお読みいただき有り難うございます。いかがでしたか?ピッケルの有名ブランドは米国、フイランス、イタリア、日本と分かれていますが、クライマーなどその道のプロが自ら用具を考案、制作したことがブランドの始まりとなったケースが多いことは興味深いですね。

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雪山初心者に限らず、ピッケル全般の紹介記事で多くの製品について紹介しています。