釣れたのは「ヤマトベ」え?ヤマトベ?
私の「釣って食べるシリーズ」にもちょこちょこ名前のあがった「ヤマトベ」という魚がいます。私の知る限りヤマトベは「ヨスジフエダイ」のことを指すものだと思っていました。時には「ニセクロホシフエダイ」のことも地元のおじさんたちはヤマトベと呼ぶことがあり、「ああ、まあ、似てるっちゃ似てるか」と納得していました。今回釣って食べるシリーズに登場するのは「オキフエダイ」なのですが、たまたま通りかかった釣りの師匠に「この魚、何?」と聞いたら「お、ヤマトベじゃが」と教えていただきました。黄色いフエダイは全部「ヤマトベ」らしいです。
オキフエダイ以外のヤマトベ
ヨスジフエダイ
離島暮らしがしたくて島に渡った25年前。一番最初に(大量に)釣った魚がこいつでした。黄色い魚が珍しく、また毒を持っているのではと心配になった私はご近所さんにこの魚のことを聞いて回りました。返ってくる返事は「ヤマトベ」という地方名と「魚は何でもおいしいよ」という訳のわからない味のアドバイスだけ。結局生で食べるのが怖くて煮付けていただきましたが、優しく深い味わいの美味しい魚でした。沿岸部に群れで生息するので釣れ始めると大量に釣れる魚です。
ニセクロホシフエダイ
庭から釣りができる家に住みたいと頑張った結果、何とか念願の好立地条件の土地を手に入れて家を建てることができたのが20年前。庭から初めて釣ったのがこの魚。釣り方は一番簡単な「ぶっこみ」で、深夜に鈴が鳴ったのを覚えています。そのときのニセクロホシフエダイは40㎝オーバーの大物で、翌日近所の民宿のおじさんに「この魚は何?」と聞くとやはり「ヤマトベ」としか返事をいただけませんでした。このヤマトベはお刺身で美味しかったのですが、今回のヤマトベもお刺身にしてどのヤマトベが一番美味いのかの検証までしたいと思います。
今回の獲物「オキフエダイ」と「メアジ」
かわいいお顔のオキフエダイ
今回の主役がこちら。オキフエダイと申します。ぷっくりと太って、つぶらな瞳がとても印象的なフエダイです。尻尾が赤黒く、多くのフエダイに見られる縞模様が入っていないのが特徴です。画像のものはウロコを剥がしてしまった後に撮影したものですから体色がはっきりしませんが、釣りたては黄色が鮮やかで黄金色に輝いています。いかにもうまそうな魚ですね。あ、ご存じだとは思いますが、ちなみに魚の場合「頭方面から尻尾方面に流れる縞が縦縞」「背びれから腹側にかけての縞が横縞」になります。
定番のガティン(メアジ)
今回釣れたメアジがこちら。あまりにも小さくてリリースしようとしましたが、残念なことにアジングフックがエラに掛かり血が出てしまいました。捨てるわけにもいかずキープしたものです。画像は三枚おろしにしている途中です。オキフエダイのお刺身に合わせて生食しますが、量的に不足ですので、薬味たっぷりの「なめろう」にしていきます。これ位のメアジでも数が釣れれば唐揚げや南蛮漬けにできるのですが、さすがに一匹では手は掛けられませんね。
今回の釣行
最悪の潮回り
今回の釣行は旧暦の十五夜(10月1日)後の中潮。まだ燦々と月光降り注ぐ深夜1時。潮はとんでもなく引いている。ロッドの振りやすいフェリー桟橋からの釣行なので嫁に「今日はあまり大物は釣らないように」「タモが届かないのでぶっこ抜ける大きさの魚しか認めません」と注意してからの竿出しとなりました。もっとも月明かりのきつい干潮の潮止まりの桟橋で何か釣れるとも思えませんでしたが。
夜間アジング
釣り方は「アジング」と「ジギング」。エギング用のスーパーライトタックルなのでジグは18gまで。私はエギングロッドなので当然イカを攻めましたが、月夜にアオリイカは厳しいのでコブシメ狙い。食い気が無いのでエギングは秒速でヤメ。約2時間アジングワームを投げ続けました。とにかく夜の11時までは船の出入りが多く、どうしても深夜の釣りになってしまうのが悔しいです。
オキフエダイはお刺身にします
オキフエダイをさばく
頭を落としたらよく水洗いします。内臓についているオレンジの塊りは、卵巣や精巣ではなく単に「脂の塊」です。煮付けると旨いのですが、今回は使いません。お刺身を切るまでにさまざまな行程を経ますが、その際に「まな板」と「手」「包丁」などの汚れには細心の注意を払います。特にサンゴなどが生えている海域の魚は内臓や皮にその臭いが付着します。せっかく身に臭みが無いのに自分の手や包丁から臭いが移らないようにします。
血抜きも完璧!
きれいな身ですね。私は釣ってすぐに血抜きをしますが、最近よく動画などで「締めてから血を抜く」というのを皆さんやっておられるようですね。私は大きめの魚ならこめかみに刃を入れて血抜きと締めを同時にしますが、小さめの魚は基本簡単にエラ切りで血抜きだけします。寝かせないのであればこのほうが身がしっとりとして(硬くならない)、作り方に左右されずモチモチ感が味わえますよ。
メアジは簡単な「なめろう」にします
メアジをさばく
この料理の作り方はかなり執拗にアジを包丁で叩きますので、小骨があってもあまり気にならない程度にまで骨は粉砕されます。小さめのアジならば腹骨を漉(す)き、皮を剥ぐだけで充分です。大きめのアジならば骨抜きで血合い骨を抜くか、血合いごと落としてしまいましょう。細かいさばき方は魚さばき記事を最後にリンクさせておきますね。ここではコツだけ紹介しておきます。
メアジのなめろう作り方(1人前)
用意するものは新鮮なアジ1尾。調味料は味噌を親指第一関節分の大きさ・醤油小さじ1・うま味調味料一振り。薬味に大葉2枚・長ネギ3㎝・生姜一欠け、できればミョウガ半欠け。まずはアジを粘りが出るまで包丁で叩いていきます。粘りが出たら味噌と醤油を加えてさらに叩きます。うま味調味料を振り、すべてみじん切りにした薬味とともに最後に混ぜ込んでいきます。簡単でしょ?ただしこれですとアジの大きさによっては薄味になりますので味を見て醤油の量を調整します。
なめろうという名称について
実はなめろうという言い方は千葉方面の方言らしく、まったく同じ作り方なのですが、私の育った漁師町(千葉のお向かいの県)ではこれを「アジのタタキ」と呼んでいました。結婚してアジのタタキとして嫁(東京出身)に食わせたところ「これはタタキではない」と言われ、あえなく私の中でタタキはなめろうに名称変更されました。アジを小口切りにしたものがタタキなんですと。
いや、あっぱれな美味しさ!
いつも海の恵みには感謝をしているのですが、今回の恵み(オキフエダイ)には本当に感謝です。あの程度の大きさなのに脂乗りが良く、またその味も甘くコクのあるものでした。臭みは全くなく、天然真鯛のような味と食感で食卓を楽しいものにしてくれました。一緒に作ったなめろうも美味しかったのですが、ちょっと味が薄く、醤油を付けながらいただきました。実はお魚料理は、生食が一番簡単でおいしいことを再確認しました。
お魚のさばき方が気になる方はこちらもチェック!
今回の記事には細かいお魚のさばき方は載せていませんが、「暮らし~の」のサイト中にはさまざまなお魚のさばき方などの記事が存在します。私の「釣って食べるシリーズ」も含め詳しく簡単なお魚さばき記事を併載しておきますので、ご興味がおありでしたらぜひ、ご併読お願い申し上げます。
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