瞬間接着剤
三徳包丁ってなんだろう?
牛刀(一徳・肉)、菜っ切り(二徳・野菜)、柳刃(三徳・魚)という、基本の料理がすべてこなせるのが三徳包丁です。日本では「文化包丁」とも呼ばれますが、英語圏では逆に「サントクナイフ」で呼び名は固定されています。日本で生まれ進化した包丁ですが、洋食から和食まで幅広く使える「両刃」の刃物です。ご家庭で料理をするのならこれ一本で大概の料理は出来てしまうので、料理初心者にも優しい優れものです。
歴戦の勇者「当家の三徳包丁」
柄の中(中子)が錆びて折れました
丁寧に使っていたつもりでしたが、柄の中の「中子」が錆びて折れてしまいました。この包丁はとにかく使用頻度が高く、ほぼ毎日何らかの食材を切ってきました。薄刃の両刃で切れ味が鋭く、手入れが簡単なのでついつい使いすぎました。結果柄の中の水分が充分に切れないうちに使い続けてしまい、中子を錆びさせてしまいました。ある日突然ぐにゃんと刃が上を向き、折れたところから抜けてしまいました。
こんな感じに削っていきます
中子を溶接してまったく元通りにすることも不可能ではありませんが、どうせなら三徳以上の機能の付いた包丁にしようと少し短くします。油性ペンで削っていく場所に印を付けます。これでいわゆるペティナイフ的な使い方とうなぎ裂き的な使い方のできる大きさになると思います。この時点で一番怖いのは「全部が中途半端」になることですが、そんなことは気にせずにどんどん先に進みます。
三徳包丁の直し方1「グラインダーで削る」
銘は残す!
この包丁、実はそんなに安い物ではありません。料理を趣味にした約40年前になけなしの生活費の中から無理をして購入したもので、そういった意味でも愛着のある一本なんです。ですから「銘」の部分はどうしても残したいと思います。銘の部分は削らないようにグラインダーを使いたいと思います。金額はまったくのうろ覚えですが、当時で2万円くらいだったように記憶しています。
グラインダーで慎重に
大きめのペンチでがっちりと刃を掴んで固定します。金属用のグラインダー刃でゆっくりとマーカーの内側を削っていきます。この時は別にギリギリを削らなくて結構です。というよりはギリギリは狙わないようにしましょう。あとではみ出したところはいくらでも削れますので、逆にやりすぎは厳禁です。ここは鋼を飛ばさないことに集中してペンチを持つ手に力を入れましょう。
刃留め位置を決める
この後取り付ける柄の紹介をしますが、柄の刃留め位置に合わせて慎重に穴をあけていきます。そのために油性ペンを使って印を付けます。あとは金属用ビットをインパクトに取り付けて穴をあけるだけです。ここで気を付けるのは穴の大きさです。ビスの太さとちょうど同じか、わずかに太いビットを使いましょう。
急遽予定変更!
参りました。家にある金属用ビットではまったく歯が立ちませんでした。インパクトを電動ドリルに替えても結果は同じ。つまり穴が開きませんでした。ですのでグラインダーでビス穴まで削る方法に変更しました。テコの原理で刃に力が掛かった時(つまり食材を切っている時)刃は上を向こうとします。ですから刃の上に刃留めの溝を付けます。刃の前の穴で抜けと跳ね上がりを、刃の後ろの穴で刃が下がるのと下を向くのを止めます。
三徳包丁の直し方2「柄を作る」
柄は後々のことを考えて「流用」
当初はフトモモ科の木材や柿の木など、柄に使えそうな材料を削って作成しようと思いましたが、取り付けた後に同じようなトラブルが起こる可能性が否定できないためにすぐにバラせる簡易材料を探しました。見付けたのが100均の「ダンボールノコ」。こいつの刃を外し、とりあえずは簡易的に三徳刃を取り付けていこうと思います。同じようなトラブルを抱えた方にもマネし易いでしょうし、一番簡単な直し方なのではないでしょうか。
使い勝手の良い柄を作る
使っている間に「中が錆びているのではないか」などの不安が起きないよう、すぐにバラせるプラスチック製の柄はとても合理的だと感じます。また手入れをした後にバラして水分を取っておくのにも便利です。今回は100均のものを使用するので少し安っぽくなるのは否めませんが、とりあえず使えるようにしていきます。ノコと包丁の柄の違いは角度にありますが、少し角度が付くと細かい作業がやり易くなる気がします。
刃の取り付け
柄と刃を合体させる
刃を柄に取り付けたら、ビスをしっかりと締めます。これで色々な方向から力を加えて抜けたりゆがんだりしなければ完成です。少しまな板の角を削ってみましたがやっぱり切れ味は最高でした。金属用の消しゴムを使ってはみ出たマーカー(油性ペンで付けた印)を消して、一旦バラします。いよいよ最終段階です。
必要なら補強していく
瞬間接着剤
今回の柄の場合、もともと取っ手の尻の部分が接着剤で取り付けられていました。ですので同じように瞬間接着剤で尻手を固定して行きますが、最近の瞬間接着剤は本当に強力ですので、全体を止めるようなことはせず、柄の最後尾に一滴だけ付けて固定しました。これで柄の取り替えやメンテナンスのときもちょっと力を入れれば外れますので安心です。これで柄の付け替え完了です。
砥いでいく
三徳包丁やペティナイフなどは普通の和包丁とは違い「両刃」ですので、少し砥ぎは簡単です。まず先端(切っ先)の表を砥ぎます。それからだんだんと刃全体を砥いでいき、裏面も同じように砥いでいきます。両面砥ぎ終わったら刃全体を指の腹で触り、「かえり(バリ)」の確認をします。バサバサと指にかえりがあたりますから、最後にかえりを優しく砥石で削ります。
包丁研ぎのコツ①
包丁を砥ぐにはコツがいります。まずは角度。切っ先から徐々に根本に向かって砥いでいきますが、最初は包丁全体と砥石の角度を45°くらいにします。根元に近付くにしたがってだんだんと角度を直角に近づけていき、根本を砥ぐ時には包丁と砥石の角度を90°にします。
包丁研ぎのコツ②
また力の入れ加減も重要です。表を砥ぐにしても裏を砥ぐにしても、「刃の方向に砥ぐ時に」力をかけ、背側に向けて砥ぐ時には優しく力を抜いて砥ぎます。そして包丁全体が砥石に当たっていたとしても、実際に砥げるのは指先で押さえた下だけですので、包丁を指二本分づつ砥いでいきましょう。
包丁の砥ぎのコツ③
最初はどれくらい砥げばいいのか難しいところですが、目安は「一か所20回程度」でオーケーです。毎日手入れをする方ならば15回ほどで充分です。最後にバリ取りのコツですが、軽く砥石にバリを当て優しく4~5回引いたら丸めた新聞紙などを切ってフィニッシュしましょう。きれいにバリが取れますよ。
包丁はまめな手入れが必要です
包丁は生きています。ちょっと手入れを怠るとすぐに切れなくなり、最悪折れたり欠けたりします。まるで、あ、いえ、何でもないです。ステンレス製の洋包丁など手入れの簡単なものもありますが、やはり常に自分で切れ味を変えられる鉄包丁が一番だと考えます。常日頃から手入れをしておけば「包丁の直し方」などという記事を書かなくても良いのですが、生来怠け者の筆者はなかなか実行が伴いません。皆様に置かれましてはまめな手入れを心掛けて下さい。
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今回折れた包丁の復活を試みましたが、なかなか満足の行く出来ではありません。「暮らし~の」のサイト記事にはさまざまなDIYなどの情報もたくさん載っています。私自身これらを利用してもう一度包丁の完全復活に挑みたいと思います。まずは包丁の砥ぎ方の記事を見つけましたので、興味のある方はぜひ御一読くださいませ。