アンドンクラゲを知ってる?
毒性があることで知られる
夏の日本近海であれば何処にでも見かけられる、とても小さなアンドンクラゲ。この日本ではお馴染みの電気クラゲは、危険視されるほどの毒性を持っていることで知られています。その毒は人の皮膚に目立つ瘢痕を残す場合もあるので、海にお出かけする場合には増殖状況が気がかりです。
アンドンクラゲ対策が知りたい
そんな毒性のある怖いアンドンクラゲに遭遇した時も、事前に誰でもできる対策をしておけば安心です。果たしてアンドンクラゲの毒攻撃に対する処置方法には、どんな種類があるか知っていますか?海水浴やマリンスポーツを快適にするためにも、対処法や対策グッズなど、色々と使える情報は把握しておきたいところです。
アンドンクラゲの見た目
アンドンクラゲの色
ゼリーみたいなアンドンクラゲは完全に無色透明の存在で、海中では目視して見つけるのが困難な動物です。体の向こう側が透き通って見え、内部が良くわかるのも特徴。水族館では暗い水槽の中、青い光で照らし出されることもあります。アンドンクラゲに色が付いているように見える場合があるのは、捕食した小魚の色が透けて見えるからです。
アンドンクラゲの大きさ
傘と呼ばれている胴体の大きさは3~3.5cmと、かなり小型のアンドンクラゲ。しかしその触手は長く伸びて漂う特徴があり、合計4本の触手がゆらゆら波に揺れています。触手の大きさは20cmにまで長くなるので、成長した個体であるほど他の生物にとっては厄介なものとなります。
アンドンクラゲの名前
アンドンとは
語感の良いアンドンクラゲという名称ですが、漢字で書けば行灯水母、行灯海月になります。これはアンドンクラゲの形に由来した名称で、まるで昔の行灯のような形状をしていることが由来。昔からこの名前が正式名称でした。アンドンクラゲを実際に目にしてみれば、行灯を思い出してしまいそうです。
アンドンクラゲの別名
毒性があることが関係して、アンドンクラゲは別名で電気クラゲと呼ばれることもしばしばです。九州のほうでは、イラと呼ばれますが、イラとは九州で植物の棘(とげ)をイラと呼び、刺されてチクチクする特徴に因んだ命名と言われます。神奈川のほうでは、イセラという別名もあり、これもイラと関係するものと見られます。
アンドンクラゲの学名
アンドンクラゲ
— neko (@specimen_neko) December 1, 2019
Carybdea brevipedalia
箱虫綱に属するクラゲの一種。本種の学名はCarybdea rastoni とされていたが、2010年の分子系統解析によって日本近海に分布する個体は別種であることが分かった。
下記は日本海産。#透明標本#透明骨格標本#相互#フォロバ pic.twitter.com/LlPubzpTNu
欧米の方面ではアンドンクラゲはCarybdea brevipedaliaと呼ばれ、世界で使われる学名でもあります。しかし元々は、Carybdea rastoni と呼ばれていました。2010年の調査により、日本近海の種類は別種であることが判明、それ以降からはいまの学名が使われるようになったとのことです。
アンドンクラゲの生態①生息地
生息している領域
普段から熱帯の太平洋西部では、多くのアンドンクラゲが誕生すると言われます。北半球の水温が高まってくることで、アンドンクラゲは群れをなして活発に泳ぎ、太平洋の黒潮に乗り、日本の沿岸に近づきます。北海道南方の近海でも、毎年のようにアンドンクラゲが確認されています。
浅い海域にも多い
陸地から遠い海域だけでなく、近い場所にも増殖しやすいのがアンドンクラゲです。そのため太平洋の沿岸に分布する海水浴場は、どこも彼らを見かけやすい場所。日本海側や北海道では数も少なくなりますが、それでも特定の季節ならば、アンドンクラゲの姿も珍しくありません。
アンドンクラゲの生態②時期
アンドンクラゲの確認される時期
うだるような暑さを感じる6月から9月にかけての夏が、日本国内におけるアンドンクラゲの最盛期。特に多いのは太平洋沿岸部です。8月の頃には海水がアンドンクラゲで満たされることもあり、入りたくないビーチが続出するほどになります。
夏に活発になる理由とは
とにかく温かい海域を好む生態を持っているのが、アンドンクラゲという生物です。6月から日本近海でも活発になって増殖するのは、日本の夏の海水温が、熱帯同様に過ごしやすいものになっているため。もしアンドンクラゲに刺されるのが嫌いというなら、夏の海水浴ではそれなりの対策をする必要があります。
アンドンクラゲの生態③目
とても目が利くクラゲ
陸上生物のような形状や大きさの目は持っていないアンドンクラゲですが、実は体には幾つものレンズ型をした目を備えた特徴があります。クラゲの中でも目は良いほうで、人がアンドンクラゲを捕まえようとすると、それを察知して逃げてしまいます。人の体を刺すのは、美味しそうな人間の皮膚の色をしっかり目で把握しているからのようです。
光に集まる特徴
目がとても利くアンドンクラゲは、夜間に光に集まるという生態を持っています。光を好んでいるのは多くの生物に共通した習性ですが、透明なためによく見なければ気づきません。夜間や早朝に海を照らす漁船や、海辺の照明の近くには、光を求めてきたアンドンクラゲがウジャウジャいるかもしれませんよ。
アンドンクラゲの生態④繁殖
繁殖の方法
クラゲは卵によって繁殖するのではなく、ポリプという分裂体を作って増殖する特徴ある生物です。アンドンクラゲも同様にポリプを作るクラゲで、繁殖期になると色んな形のポリプが体にくっついています。ポリプの分裂とは無性生殖で行われ、アンドンクラゲの場合は増えたポリプがそのまま1個体になります。
人工繁殖は難しいクラゲ
繁殖を含むアンドンクラゲの人工飼育は、水族館であっても難しいと言われています。これはアンドンクラゲが活発に泳ぎまわる生態があるため、捕らえた成体を水槽に入れてもガラスに傘を打ちつづけ、やがて衰弱して死に至ることが理由だとか。幼体のアンドンクラゲから飼育するにしても、成長しにくい問題も出てくるようです。
アンドンクラゲの生態⑤食事
捕食の方法
長い触手を持っているのは、それを使って捕食をするためです。アンドンクラゲの触手には付け根から先端まで毒の出る刺胞がびっしりと付属しているのも特徴的。これを生き物に巻きつけることによって、獲物を捕まえて逃さないという効率的な仕組みなのです。
餌となる生物
主にアンドンクラゲが好んで食べるのは、小さな海洋生物です。小魚、小エビ、プランクトンなどなら何でも食べますが、自分の傘の大きさに収まるサイズを選び出すという生態があります。体全体や消化器官までも透明なので、捕獲してみれば外側から食べて消化していく様子の確認も容易です。
アンドンクラゲの生態⑥毒性
毒の種類
通称で電気クラゲとも呼ばれるアンドンクラゲですが、その毒の正体は電気とはまるで無関係です。毒性の正体とは、タンパク質毒素と呼ばれるもの。4本ある触手の刺胞という毒カプセルは、人や生物が触れることによって、皮膚の表面から毒が注入されるという仕組みになっています。
毒性の強さ
手のひらに入る大きさのクラゲだからと言っても、アンドンクラゲの毒性はなめてかかれません。刺された部分には瞬時に毒が回って、独特な強い痛みに襲われ、見た目も酷く変容してしまうほどです。人間でも大きな影響があるのだから、小魚などは痛いどころか内臓にまで毒が回り、死に至ってしまうことも日常的です。
アンドンクラゲに刺された時の症状
軽い症状
軽くアンドンクラゲに刺された場合、外見的な症状としてはミミズ腫れになるのが通常です。クラゲの触手が触れたところに沿って、毒が注入されて水ぶくれになっています。ピリピリと電気のような刺激痛があり、これが電気クラゲと言われる所以でもあります。腫れと痛みは数日も続くこともあるので、適切な処置が必要になります。
重たい症状
もし酷くアンドンクラゲに刺された時には、さらに思い症状が出る場合があります。毒は体中を巡り、頭痛や吐き気までも発生させることもしばしば。痛みや頭痛の症状は短期間で収まる傾向がありますが、皮膚の酷い腫れはひどい場合は1週間以上も継続し、消えない痕跡が残ることがあるのでとても厄介です。
深刻な症状(アナフィラキシーショック)
海で気がかりなのは、アンドンクラゲに2度以上刺された場合にアナフィラキシーショックを起こすことです。アナフィラキシーショックとは、毒が回ることで血圧低下や呼吸困難、意識障害など深刻な症状にまで発展すること。刺されたら誰にでも怒りうることですが、特に過去にこの症状を起こした経験がある人は要注意です。
アンドンクラゲに刺された時の対処法
クラゲを取り除き洗浄する処置
まず刺された人に必要な処置は、付着したままのアンドンクラゲの本体を取り除くことです。このとき大きさが大した事のないクラゲでも、素手で掴み取ることは厳禁。割り箸で摘みとったり、布などで取り去る手法が良いです。その後は海水や真水で良く洗浄して、表面のクラゲ毒をすべて洗い流す処置も必要になります。
お酢をかける処置
刺されたのが確実にアンドンクラゲであれば、食用のお酢を使う処置が効果的です。お酢をアンドンクラゲの毒に使うと、刺胞の発射を抑える効果が期待できます。したがって海水浴に行くなら、対策グッズとして、持参しておくと良さそう。ただしカツオノエボシに刺された場合、酢は逆効果なので、対処法を実践する前にアンドンクラゲかの確認が不可欠になります。
アンドンクラゲ対策
クラゲ発生状況の確認をしよう
かずみんの地元情報。
— T.番長 (@Tex71271215) September 8, 2019
海でアンドンクラゲ大量発生
膝くらいの場所だと視界がほぼクラゲ!#南房総 pic.twitter.com/JldgygiHKr
実際にアンドンクラゲが大量発生している場合、ローカルなニュースに登場していたり、個人が注意情報を発信していることがあります。ツイッターの書き込みでも、何処の海水浴場はクラゲが多いといった情報の確認は可能です。夏の海にお出かけする前には、ネットでアンドンクラゲ情報のチェックは怠らないことも有効な対処法になります。
ラッシュガード
最近はラッシュガードという防護グッズを、海水浴で身につける対処法が注目されています。ラッシュガードとは、マリンスポーツ用のアンダーウェアのことです。ゴム素材やナイロン製のものあり、体温低下の防止、日焼け止め、怪我防止の効果を持っています。毒性のあるアンドンクラゲを避けられるグッズなので、女性の間で人気上昇中です。
クラゲ避けクリーム
さらにアンドンクラゲの対処法として使えるグッズが、クラゲ避けクリームです。クラゲが嫌がる成分や、クラゲの刺胞から身を守る成分が含まれているのが特徴的。このグッズを海水浴前に体に塗ることで、アンドンクラゲや他のクラゲからも身を守れるので、買っておいたら良さそうです。
アンドンクラゲに気をつけよう
海水浴では対策も考えて
海の困ったさんな印象しかなかったアンドンクラゲが、どんな生態を持つ生き物かを把握できました。毒性の強いクラゲの生態や刺された後の処置方法を知っていてこそ、いざという時に役立ちます。来年以降の海水浴に備えて、対策のグッズも揃えておきたいものですね。
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