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ホトケドジョウってどんな魚?その特徴や生息環境、正しい飼い方までまとめて解説!

清流でにょろりと泳ぐ、ホトケドジョウをご存知ですか。今や希少生物となったこのドジョウ、他の種類とは異なった生態を持っています。何とも独特な特徴や見分け方から、間違わない飼い方まで。ホトケドジョウの知りたいところに迫ります。
2020年10月18日
はぐれ猫
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ホトケドジョウを知ってる?

清流にひそむドジョウの一種

なかなか可愛い顔つきをしていると評判な、ホトケドジョウ。見れば誰もがほっとけないこのドジョウは、コイ目ドジョウ科に含まれている淡水魚です。一見して普通のドジョウと似たような印象ですが、ドジョウとは違って数を減らしつつあり、近い将来に絶滅が危惧されている種類でもあります。

飼育してみたいホトケドジョウ

常々絶滅が心配されてしまうホトケドジョウですが、アクアリウムの飼育では密かにマニアがいる存在です。今の所は飼育自体は禁止されていないので、自宅の水槽で飼うことも自由。ただし飼育では難しいところもあるので、飼うならば環境から毎日の餌やりまで、その方法の全てを学ぶ必要があります。

ホトケドジョウの名前

仏様に由来する名前

どうしてホトケの名が付いているのか、今でははっきりしたことは不明です。ホトケドジョウを漢字で記せば、仏泥鰌、仏鰌、佛泥鰌、佛鰌といった感じで、完全にホトケことブッダが関連していました。元々は琵琶湖のあたりで、この名が使われたのだとか。一説には仏様のような優しい顔立ちなことが、名の由来ともされています。

ホトケドジョウの別名

その一方で、全国では色んな名前で呼ばれてきたのがホトケドジョウでした。例えばその見た目が赤っぽいことから、アカツバラ、アカメ。砂の模様があることから、スナサビ、スナメドジョウ。清水にいることからシミズドジョウの別名もあります。栃木にはドンブラスッコ、バンバラッコなど、意味不明な別名もありました。

ホトケドジョウの生態①見た目

成体のサイズ

成体になっても、とても小型なサイズなのがホトケドジョウです。成体でも全長4~6cm程度でしかなく、軽く手のひらに収まってしまうサイズ。稚魚は数cmとさらに小さいので、川の上からでは肉眼で見つけ出すことができません。ドジョウにしては体型は太短い、ナマズに近いずんぐり形をしています。

体の模様と特徴

背中側の色は赤や茶系の褐色で、腹がわは白に近い体色をしています。背中側の面を中心として暗色点というコショウをまぶしたような模様があり、口ひげは全部で4対8本あるのもホトケドジョウの特徴。オスは胸びれが尖っていて、メスは丸みがあるので雌雄の見分け方もできます。

ホトケドジョウの生態②生息地

本州から四国に生息地がある

このホトケドジョウは日本の固有種であり、世界では国内にしか生息していません。北は青森を除く東北地方を北限とし、西は中国地方の西部を除く地域まで分布、四国の一部にも生息地があります。ただし近年まで同一種と言われたナガレホトケドジョウとは別種な事実が判明したので、川によっては生息分布が異なる場合があります。

清流や湿地などに生息する

とても綺麗で穏やかで、水温が低めな水だけを好んで生息地としているのがホトケドジョウです。例えば河川の源流や細い支流、山間に近い平野の用水路、田んぼや湿地の中にも見かけられます。逆に関東地方でも都市に近い河川は、汚れているためか見ることはできません。激流や大きな河川でも見かけられない魚です。

ホトケドジョウの生態③日常

川での遊泳

多くのドジョウの種類は水底の泥に潜る生態がありますが、ホトケドジョウは滅多なことでは砂泥に潜らない種類です。体内にはドジョウとしては珍しく発達した浮き袋を持っているので、他の魚と同じように活発に泳ぎ回ります。そして天敵から身をひそめるために、岩場や水草をよく利用しています。

普段の食事


川の中に潜んでいる水生昆虫から、藻類までも餌にしています。特にホトケドジョウが好んでいるのは、4~6cmの体よりもさらに小型な、アカムシや小さな昆虫の類です。また水中の小さな巻き貝が好物で、よく餌として捕食している生態も報告されています。

ホトケドジョウの生態④繁殖

繁殖する時期の行動

寒さが和らいでくる3月から6月の春が、ホトケドジョウの繁殖期です。この時期になると1匹のメスを複数のオス追いかける、繁殖行動が確認されるようになります。交尾の後のメスは、水中の枯れ草などに直径1mmの卵をいくつも産み付け、それが孵化するまでは時間をかけません。

孵化した稚魚の生態

産卵からわずか2~3日経過しただけで、ホトケドジョウの稚魚が孵化しています。稚魚は生まれたばかりの時はわずか体長3mmしかないですが、孵化の翌日には水の中で泳ぎ始めます。15日も経過すると稚魚は体長2cmほどまで成長、1年かけて成体へと成長します。

ホトケドジョウの生態⑤天敵

アオグロハシリグモ

大きな魚は全てが天敵となってしまうホトケドジョウですが、アオグロハシリグモからも狙われています。この蜘蛛は2cm前後の小さなサイズで、春から夏荷掛け活発に行動します。体に空気を溜め、水中で1時間以上も潜れる潜水能力が特徴で、ホトケドジョウを好んで餌としています。怖そうな見た目ですが、毒はないので人間に害はありません。

アメリカザリガニ

水中の天敵と言えば、アメリカザリガニも含まれると知られています。この生物は北米原産で、1927年(昭和2年)に神奈川の鎌倉の養殖場に持ち込まれました。それが逃げ出し、あっという間に全国に生息地を広げてしまいました。体長15cmもあって俊敏なため、特徴的な強力なハサミを使ってホトケドジョウを捕食してしまいます。

ホトケドジョウの絶滅危惧

近い将来の絶滅が心配

昔の本州ではどこの川にも見かけられたホトケドジョウですが、高度成長以降の日本では徐々に数を減らしました。21世紀に入ってからは、山間部でも確認も難しくなり始めたほどです。そのため環境省ではレッドリストの絶滅危惧種IB類と位置づけています。今のままではこの世から絶滅しそうな勢いです。

ホトケドジョウが激減した理由とは

絶滅に瀕した1番の理由は、人間の開発行為でした。人口減少社会でも未だに大規模な宅地開発が続き、河川上流部をコンクリートで固める護岸工事も頻繁です。工事の土が長期に渡りホトケドジョウのいる環境を汚し、水辺を埋めたり作り変えてしまいます。都市の温室効果で水温が上昇することも関係し、生息できない場所が増えているのです。

絶滅させないために

これに対して地方自治体では、ホトケドジョウのいる環境を傷つけないよう、工事業者に行政指導を行ったりもしています。また民間団体や学校が、河川の環境を保護する活動をしていたり、ホトケドジョウを人工繁殖させて川に戻す活動もあります。ただ生息地で建設工事が続く限り、改善は難しそうな情勢です。

ホトケドジョウの近縁種との見分け方

ドジョウとの見分け方

ところでこのホトケドジョウ、普通のドジョウとも似ているため素人では区別不能ですが、見分け方があります。普通のドジョウは5対10本とヒゲの数が多く、体表に斑点がないのは見分け方のポイント。さらに普通のドジョウは濁った川を好んで泥の底に潜むのが特徴で、体長は10c~15cmに達するなど、見分けられる要素が幾つかあります。

ナガレホトケドジョウとの見分け方

次に近年に別種と判明したばかりの、ナガレホトケドジョウとの見分け方です。ホトケドジョウと生息地域や環境が被り、専門家でも長い間い見分けが不能だったので、違いの認識は困難かもしれません。僅かな違いと言えば、ホトケドジョウよりも若干ヒゲが長い、体型が細い、目から口にかけて暗色をした斜め線が入っていることです。


エゾホトケドジョウとの見分け方

名前にエゾを冠した、エゾホトケドジョウも近縁種です。こちらはエゾと言う通り北海道を中心として青森までの北国に生息するので、自然環境での見分け方は単純。体に黒いラインが入っているという特徴的な違いがあるので、ペットショップの水槽でもホトケドジョウとの見分け方は簡単です。

ホトケドジョウの入手方法

ペットショップでの購入

希少なホトケドジョウではありますが、街のペットショップでは今も普通に販売されています。ペットショップのホトケドジョウは、天然ものと水槽で人工繁殖がされたものがありますが、見分け方は店長に聞くこと一択です。1匹あたりも1,000円もかけずに入手できますが、飼育は若干難しさがあると言われています。

捕獲する行為が禁止かどうかの確認

現時点で自然に生きるホトケドジョウについて、多くの自治体では捕獲を禁止していません。自宅に持ち帰っても、なんの罰則もない場合がほとんどです。しかし地域によっては条例で捕獲を禁止している河川もあり、その場合は捕獲してもリリースを心がける必要があります。

タモ網を使ってガサガサ

禁止されていない河川でホトケドジョウを捕える場合は、ガサガサと呼ばれる方法が使えます。これはタモ網と呼ばれる種類の網を使って、川底をガサガサと探すことが名の由来。清流でガサガサすれば、ホトケドジョウだけでなく色んな昆虫も取れます。晩春から初秋の頃は親子の余暇にぴったりですが、乱獲は慎みたいところです。

ホトケドジョウは食べられる?

食べている地域は無いとされる

魚類の辞典を見て回っても、現在はホトケドジョウが食べられる地域は確認されていない等と書いています。ドジョウと似た美味しい味が想像できるのに、食べられていないとは意外過ぎる話です。これもホトケドジョウが全国的に数を減らしてしまったことと、関係するのかもしれません。

地方の別名の地域では食べられている

しかしSNSを調べて行くと、今もホトケドジョウを捕獲して食べる習慣が残る地域があるとの情報を見つけました。どうやらホトケドジョウと呼ばれる地域ではどこも食べられませんが、別名のシミズドジョウと呼ばれる地域に、食べる習慣が根付いているようです。このへんは、専門家にとっては盲点だったようです。

ホトケドジョウの飼い方①水槽

飼育で使いたい水槽の種類

これから自宅でホトケドジョウを飼育するなら、飼い方に最適な環境を用意する必要があります。第一に必要となる水槽は、ホトケドジョウが窮屈にならず、水質を保ちやすい大きさの水槽がおすすめです。水槽の材質にはガラス、アクリル、プラスチックなどがあり、強度や価格帯などの特徴も異なっています。

水槽に必要な機械や道具

どんな種類の水槽を使うにしても、ホトケドジョウの飼い方に必要となる機械や道具があります。第一に夏季に水温を保つ、クーラーは必須アイテムです。空気のポンプ、水温計、ろ過装置、水中を照らす照明は基本。さらにホトケドジョウが過ごす底砂、隠れるための石やトンネル、水草も不可欠なものです。

ホトケドジョウの飼い方②環境

最適な水温

真夏の30度を超える日には水温も上昇しますが、ホトケドジョウにとっては暑さが天敵です。自然界で生きられる水温は、最低でも5度、最高でも30度が限界とされています。水槽の中での飼い方では、水温を20度台前半に保ってあげるのが一般的。真冬に氷点下の地域で飼うなら、水温を上げるためのヒーターが必要です。

最適な水質

水温と同じく飼い方でほっとけないのが、水槽の水質です。ホトケドジョウは中性から弱アルカリ性の水質を好む特徴があるので、水道水は薬剤で調節をします。また水質の濁りがあると病気になりやすいのも、飼育上の要点です。適度に水槽のコケや汚れの清掃をすることや、ろ過を効かせたり水を定期的に入れ替える必要もあります。


必要な水草

水槽内に水草を入れるのは、おしゃれに見せる意味だけではありません。ホトケドジョウが好んでいる水草が存在し、それは彼らにとっての餌となり、隠れ場所となり、産卵場所となるからです。ウィローモス、ヘアーグラス、ニューラージパールグラス、ラヌンクルスなど、特徴ある各種の水草がおすすめです。

ホトケドジョウの飼い方③餌

最適な餌をあげよう

十分に成長したホトケドジョウを飼育する場合は、どこでも売ってる熱帯魚用やキンギョ用の餌が使えます。しかし稚魚の場合には、若干餌も違ったものがおすすめ。成体とは違って稚魚用の人工飼料、あるいはブラインシュリンプといった餌をあげると良いです。水草も食べる雑食性なので、水槽で切らしてはいけません。

水生昆虫を与えても良い

そうした人工飼料だけでも問題ないですが、ホトケドジョウの飼い方では生きた餌をあげることもできます。最も入手しやすいのは、生きたイトミミズ。これはサイズが小さくて、ホトケドジョウも食べやすいと感じる種類です。他に河川や沼で入手した、水生昆虫の幼虫などもあげていい種類です。

ホトケドジョウの飼い方④繁殖

水槽での繁殖も可能

飼育の環境が良かったら、ホトケドジョウは水槽内での繁殖行動を始めることがあります。繁殖に必要なのは、オスとメスが揃っていることが第一。そして最適な水温、栄養価のある餌、産卵しやすい住環境です。条件を全て揃えても繁殖行動をしない場合もあるので、繁殖を目的にするなら根気が必要になります。

稚魚は別の水槽で飼育すること

無事に産卵が済むと、水槽の卵は2~3日で孵化してしまいます。孵化した稚魚をそのまま放置すると、大人のホトケドジョウに食べられてしまうことは必至。そのため稚魚の飼い方では、卵の時点で水草ごと、水温など環境が整った別の水槽に隔離する必要があります。稚魚は2cm以上に育ててから、成体と一緒にすると安全です。

ホトケドジョウと出会ってみよう

川でガサガサしてみる?

愛嬌のあるホトケドジョウは、もう絶滅も近づいている希少な生物でした。夏の川に行けばガサガサして捕まえられる魅力があるので、ぜひとも試してみたいもの。まだ見ぬホトケドジョウを飼育して、稚魚を誕生させるというチャレンジもしてみたいですね。

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