タイミングチェーンとはどういったもの?
タイミングベルトとの違いとは
タイミングチェーンとどういった機構なのか知っていますか。おそらく多くの人はタイミングベルトの間違いではと思うかもしれません。実は、タイミングベルトとタイミングチェーンとの役割は全く一緒で、どちらもエンジンのカムシャフトに動力を伝えるパーツです。
しかし、タイミングチェーンとタイミングベルトとでは、素材が違います。ゴム製を採用しているベルトと金属素材を採用しているタイミングチェーンとでは、全く素材が違うと言ってもいいでしょう。そのため、チェーンかベルトかで耐久性や騒音についても大きく変わってくるのです。
タイミングチェーンの役割と交換時期
クランクシャフトの回転制御
では、タイミングチェーンは具体的にどういった役割を担っているのでしょうか。多くの人はタイミングチェーンの役割を知らないままそこ車に乗っているでしょう。タイミングチェーンは、エンジンのクランクシャフトの回転を利用して、吸排気関係のパーツであるカムシャフトバルブに動力を伝える役割を担っています。
エンジンは吸気をしなければ動かすことができません。つまり、このタイミングチェーンが壊れてしまうと、エンジンは完全停止してしまいます。タイミングベルトも全く同じ役割です。素材が違うだけで、チェーンもベルトもエンジンの吸排気関係のパーツであることは一緒だと言えるでしょう。
交換時期はいつか
タイミングチェーンの役割は理解できたでしょうが、この役割ならタイミングベルトでも同じではと思ったはずです。実はタイミングチェーンの交換時期の多くは、30万キロとされています。ここまで長い寿命を持っていますので、タイミングベルトよりもその役割は長く続くのです。
もし、いつまでも大切に乗りたい愛車なら、タイミングベルトよりもチェーンの方が安心でしょう。タイミングベルトの多くは10万キロでの交換になっていますので、チェーンの場合は実に3倍もの耐久性があるということです。
タイミングチェーンのメリット
寿命が長い
タイミングチェーンにはどのようなメリットがあるでしょうか。まず、チェーンの最大のメリットは交換時期が長い、つまり長寿命ということです。交換時期が長いということは、交換費用も抑えることができると言えます。
タイミングチェーンの交換時期は、実は定められていません。メンテナンスを行っていれば、チェーン交換時期を必要としないメンテナンスフリーなのです。寿命が長いということは、車を長く乗り続けたい、費用を抑えたいという人にはタイミングチェーンは最適なパーツだと言えるでしょう。
トータル費用が安く抑えられる
タイミングチェーンは交換時期が長い、さらにはメンテナンスをしっかりと行っていれば長寿命ということで、タイミングベルトに比べれば間違いなく費用は抑えられるということになります。ただし、エンジンオイルの管理をしっかりと行う必要があるでしょう。
エンジンオイルの交換をしっかりと行っていけば、チェーンの交換はほぼ必要ありませんので、間違いなく費用は安くなります。タイミングベルトの交換費用は3万円から5万円ほどかかるでしょう。この費用が抑えられますので、タイミングチェーンの方が優秀だと感じることができるはずです。
突然のトラブルを回避できる
先ほども説明しましたが、タイミングベルトが切れてしまうと車は完全停止してしまいます。もし、旅先などでこうしたトラブルが起こった場合は、大変なことになってしまうでしょう。しかし、タイミングチェーンは、交換時期長い長寿命なパーツのためこうした心配をしなくてもいいのです。
また、タイミングベルトが切れてしまうとエンジンに悪影響が及ぶこともあります。そのため切れる前に交換する必要がありますが、タイミングチェーンは切れることがまずないため、エンジンへのダメージのリスクも回避することができるのです。タイミングチェーンの方が優秀だと言えるでしょう。
タイミングチェーンのデメリット
メンテナンス状況により交換必要
タイミングチェーンは、メンテナンスフリーだと考えている人も少なくありせん。しかしチェーンは、メンテナンス状況によっては、寿命が極端に短くなり交換時期が早まります。エンジンオイルの交換を怠ったりすれば、確実に寿命は短くなるでしょう。
そうなると車への影響も大きくなります。チェーンは寿命が長いと勘違いしてメンテナンスを怠る人も少なくないため、タイミングチェーンが切れて車を廃車にすることになったという人も少なくありません。ただ、こうしたデメリットは回避できます。メンテナンスをしっかりと行うことで、タイミングチェーンのメリットは増えるのです。
騒音が増えやすい
また、タイミングチェーンは車種によっては騒音が大きく感じる傾向もあります。タイミングチェーンは金属のため、ベルトに比べると駆動音は確実に大きく感じるでしょう。しかし、車種によってはそうした騒音を抑えていることもあります。
とくに高級車においてはタイミングチェーンの騒音をできるだけ抑えている傾向にありますので、車種によっては気にならないでしょう。ただし、軽自動車などの車種はどうしてもタイミングチェーンの金属が擦れるような音が車内に入ってきやすくなります。
工賃が高くなる
これは仕方がないことですが、もしタイミングチェーンを交換しなければならなくなったときは、ベルトよりもチェーンは工賃は確実に高くなります。車種によりますが、大抵の場合はベルトよりもタイミングチェーンの交換の方が手間がかかると言えます。
さらに、タイミングチェーンのパーツ自体もベルトより高価です。車の中でも重要な役割を担っているパーツのため、かなり高い強度レベルで作られています。ただし、交換時期はかなり長いため、トータル的に考えればタイミングチェーンの方が経済的なのは間違いありません。
タイミングチェーンを採用している車種
トヨタ車
車種別に見ると、トヨタはさまざまな車種にタイミングチェーンを採用しています。例えばヴォクシーやヴァンガード、さらにはハリアーやエスティマ、さらにはゼロクラウンにチェーンが採用していることは有名です。タイミングチェーンはSUVなどの車種に採用しているイメージが強いでしょう。
僻地の長距離の運転でも安心して走行できるSUVなどの車種にタイミングチェーンが使われている傾向は多いですが、トヨタはそうした車種以外にも積極的にタイミングチェーンを採用しています。
日産
日産の場合は、軽自動車にも長寿命で交換時期が長いタイミングチェーンを採用しています。エンジンの小さなモコにもタイミングチェーンを使っているのはかなり意外ではないでしょうか。軽自動車の車種の場合、どうしてもタイミングチェーンの騒音が気になります。
しかし、モコはそうした騒音を上手に抑えているといえるでしょう。また、日産のエスクトレイルもタイミングチェーンを使っていることで有名です。エクストレイルは世界で人気のある車種のため、僻地の長距離でも耐えうるスペックを確保したのでしょう。
ホンダ
ホンダも積極的に多くの車種でタイミングチェーンを採用しています。例えばフリードやステップワゴン、エアフェイブなどの、メジャーな車種からマイナーな車種まで幅広くタイミングチェーンを使っているのがわかるでしょう。
タイミングチェーンはイメージ的に高価な車種が多いかもしれません。しかし、ホンダは大衆車にも多く使っていますので、たまたま選んだ車種がタイミングチェーン採用車だったということもあります。その見分け方は後から解説しますが、長寿命で長い時期乗りたいという人にはおすすめです。
マツダ
マツダはプレマシーにタイミングチェーンを採用しています。プレマシーは比較的安い費用で購入できるミニバンとして人気があるのです。タイミングチェーンにより、交換時期がかなり長くなっていますので、長く乗りたいという人にはおすすめと言えます。
また、プレマシーはエンジンとタイミングチェーンとの相性がいいため、それほど異音や振動が気になりません。マツダらしい気持ちいい運転フィールにも影響はほとんどありませんので、タイミングチェーンのプレマシーはおすすめです。
スバル
スバルのインプレッサもタイミングチェーンを一部、採用しています。スバルはタイミングチェーンを使っている印象は薄いかもしれませんが、レガシィアウトバックなどにも採用しているのです。北米仕様などはロングライフを期待している面がありますので、スバルも積極的にタイミングチェーンを採用しています。
もちろんチェーンでも運転フィールは見分け方が難しいほどスムーズです。タイミングベルトと同じくらいの振動や騒音に抑えていますので、運転の邪魔になるようなことはほとんどありません。スバルのタイミングチェーンはおすすめです。
三菱
三菱はアウトランダーがタイミングチェーンを使っています。アウトランダーはSUVのため、エンジンを含めて耐久性を考慮したのかもしれません。アウトランダーは既に古い車ですが、海外では現役として多くのこの車が走っています。
やはり長距離を乗っていても、エンジンオイルのメンテナンスをしっかりと行っておけばタイミングチェーンの方が有利ということです。他のパーツにダメージがあっても、エンジン自体はチェーンのためしっかりと守って長期間乗り続けることができます。
スズキ
意外に思うかもしれませんが、実はスズキにもタイミングチェーンの車種があります。ジムニー、ワゴンR、スイフトがタイミングチェーンです。見分け方がわからないほどですが、この車種はタイミングチェーンのため、寿命も長く交換に用する費用も安く抑えられます。
長く乗りたいという人は、やはり10万キロでタイミングベルトの交換費用がネックになりますが、ジムニー、ワゴンR、スイフトを選べばチェーンのため費用は安くなりますのでおすすめです。軽自動車はタイミングチェーン車は少ないですが、スズキはしっかりと用意しています。
ダイハツ
ダイハツのハイゼットという軽自動車を知っていますか。この車は軽箱バンタイプになっており、建設現場用などの商用車として使われることが多いです。そのため、そのハイゼットにはタフな能力が求められます。つまり、長期間乗り続けても走り続けるスペックが必要になるというわけです。
タイミングチェーンを採用していますので、そうした面では強い安心感があるでしょう。もし、タイミングベルトタイプであれば、交換時期がくればメンテナンスを行う必要がありますが、タイミングチェーンのため、安心して走行し続けることができます。
タイミングチェーン車の見分け方
ステッカーでの見分け方
タイミングチェーンなのか、タイミングベルトなのかの見分け方の一つに、エンジンカバーに貼ってあるステッカーでの見分け方があります。ステッカーにはタイミングベルト交換時期などが記載されていることが多く、それによりタイミングチェーンなのか、ベルトなのかが判断できるのです。
もし、タイミングチェーンという記載がなくても、タイミングベルトという記載があれば、その車はタイミングチェーンではないと判断できます。大抵の車にはこのステッカーがありますので、見分け方として一度、チェックしてみてください。
エンジン形式での見分け方
また、ステッカーの他以外の見分け方として、インターネットで検索するという方法もあります。車検証をチェックすれば、その車のエンジン形式が必ず掲載されているでしょう。そのエンジン形式をインターネットで探せば、タイミングチェーンなのか、ベルトなのかがわかります。
簡単な見分け方なので、すぐに答えは見つかるでしょう。この見分け方で、タイミングチェーンだということがわかれば、エンジンが10万キロに迫っていても無理にタイミングチェーンを交換する必要はありません。ぜひこの見分け方を参考にしてください。
わからなければプロに確認
ステッカーも貼っていない、そしてインターネットで検索してもタイミングチェーンなのかベルトなのか不明な場合は、必ずプロの整備士に確認するようにしましょう。一番怖いのは思い込みで交換を怠ってしまうことです。
チェーンだとはっきりとした情報がないまま、タイミングチェーンだと思い込んでいれば、重大なトラブルが起こることもあります。エンジンが完全に壊れてからでは遅いので、不明な場合は必ずはっきりとするプロにチェーンだということを確認してもらいましょう。
タイミングチェーン車を選んでみよう
タイミングチェーンにはメリットが多い
タイミングチェーンは、とても重要な役割を担っていることがわかったでしょう。また、タイミングチェーンならベルトよりも交換費用を抑えることができることも理解できたはずです。タイミングチェーンの役割はとても大きく、そしてメリットも多いと言えます。
もし、タイミングチェーンの車種を選びたいという人は、ご紹介した確認方法で選んでみてください。少しでも長く愛車を大切に乗りたい場合は、タイミングベルトよりもタイミングチェーンの方がメリットが大きいかもしれませんので、ぜひタイミングチェーン車を選んでみましょう。
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出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88-%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3-%E8%BB%8A-995254/