蔵王山(ざおうざん)とはどんな山
蔵王山は、宮城県と山形県にまたがっている蔵王連峰を一般的に指しています。蔵王山はいくつもの山が連なって構成されている山で、広大な蔵王山は、奥羽山脈に属しています。一番高い地点の標高は1.841mで、日本百名山に選定されている名山です。火山でもあるので玄武岩・安山岩で主に構成されている山で、火山ならではの絶景が随所で見られる人気の山になっています。宮城県側の蔵王山は宮城蔵王と呼ばれ、山形県側の蔵王山は山形蔵王と呼ばれ、多くの登山者・観光客に親しまれている山です。(この記事は2020年11月1日現在の情報にもとずいて構成しています。)
蔵王山の周辺状況
蔵王山には蔵王権現が祀られているように、修験者によって古くから開かれた山でした。蔵王国定公園に指定されているほど、風光明媚な山岳地帯となっています。そして、スキー場や温泉も多く設置されており、そのため多くの観光客がシーズンを問わず訪れる観光地です。ハイキング登山に適したコースも多く設置されおり、初心者に利用可能な日帰りコースも多くあります。宮城県側・山形県側からもアクセス用道路が整備されており、訪れる難易度は高くはありません。
蔵王山の登山口
苅田リフト登山口
苅田リフト登山口は、蔵王山の中では観光客や初心者に人気のある登山口です。無料駐車場が設置されているほかバス停もあり、すぐそばがリフトの乗り場になっています。魅惑的な火口湖の御釜の見物には、このリフトを使用する人が多い登山口です。リフト使用で御釜近くの尾根まで行けるのですが、熊野岳や苅田山にアクセスするには非常に便利で、初心者にはおすすめです。連休が続く観光シーズンには、賑わう登山口となっています。
蔵王山麓駅登山口
蔵王ロープウェイの一番麓にある駅で、各シーズンとも樹氷高原駅や地蔵山頂駅に行く観光客・スキー客・登山客で賑わっています。周囲には蔵王温泉や多くのホテル・レストランがあり、アクセスの良い立地です。近くには平日(無料)祝祭日(有料)の大駐車場があり、車でアクセスする人達に利用されています。
樹氷高原駅登山口
蔵王ロープウェイ山頂線の駅で蔵王山麓駅の次のロープウェイ駅です。トイレや売店、冬季営業のレストランなどの施設があります。積雪期のスキー・スノーボード客や雪中トレッキング・樹氷見学に使用されますが、それ以外のシーズンは観松平・いろは沼の登山トレッキングに使用する駅です。すぐそばに、夏期のみ可動のリフト乗り場があり、使用すれば観松平・いろは沼への近道になります。
蔵王山登山口のアクセス
苅田リフト登山口のアクセス
公共交通機関を利用しての苅田リフト登山口へのアクセスは、奥羽本線・山形駅を利用してかみのやま温泉駅を下車してください。かみのやま温泉駅前より蔵王ライザワールド行きのシャトルバス・グリーンエコー号に乗車して、終点で下車してください。車でのアクセスの場合、東北中央自動車道・かみのやま温泉ICを下車して国道13号線を経由して県道12号線に入り、進んで行くと苅田リフトに到着し、そばには苅田駐車場(無料)があります。
蔵王山麓駅登山口のアクセス
蔵王山麓駅登山口へ公共交通機関を利用してのアクセスは、奥羽本線山形駅を利用します。山形駅前より蔵王温泉行のバスに乗ってください。蔵王温泉の中に蔵王山麓駅はあります。車を利用してのアクセスは、東北自動車道の山形上山ICまたは山形蔵王ICが便利で、両ICとも降りたら国道13号線を使って蔵王温泉に進んでください。山形上山ICからは20分で、山形蔵王ICからは40分で到着できます。蔵王山麓駅近くにある駐車場に駐車すると日帰りに便利です。
蔵王登山初心者おすすめコース①中難易度の人気コース
御釜・熊野岳(蔵王山)周遊コース
蔵王の観光名所である御釜をめぐるコースです。一般観光客でも訪れ、御釜を見学しています。蔵王山の火口に水が溜まって出来上がった火口湖が蔵王の御釜ですが、リフトを使用すれば簡単に到着でき、御釜を眺めながら標高1.841mの蔵王山の最高峰・熊野岳を目指すコースで、オールシーズン楽しめるコースです。御釜の見物場所まではスニーカーでも行けますが、御釜よりも先に進むので、きちんとした登山用のトレッキングシューズ・服装・装備が必要になります。リフトを使用したり、登山道もしっかりしており、難易度も低く初心者におすすめです。コースタイムも余裕を持って日帰りハイキング登山ができます。
御釜見学コースのコースタイム
苅田駐車場そばの苅田リフト乗り場を登山口としてスタートします。苅田駐車場やバス停の近くの乗り場より8分ほどでリフト降り場に到着し、そこより5分ほどで御釜観賞地に到着です。御釜観賞地より馬の背コース選ぶと、45分ほどで熊野岳山頂に到着できます。帰りは来た道とは別に熊野神社を回り、苅田リフト降り場に向かってください。きちんとした標識があり、それに従って歩き30分ほどでリフト降り場に到着です。リフトに乗り8分ほどでスタート地点に到着です。所要時間は1時間36分になりますが、絶景を見る時間や休憩時間も必要になります。
蔵王登山初心者おすすめコース②中難易度の快適縦走コース
地蔵岳・熊野岳(蔵王山)縦走コース
蔵王山麓駅を登山口として、蔵王地蔵尊のある地蔵岳から熊野神社のある蔵王最高峰・熊野岳や御釜を縦走して苅田峰神社のある苅田岳に至るコースになります。日帰りにちょうど良いコースで、初心者でも走破は可能な難易度です。御釜からはリフトで下山でき、苅田神社には道路が開通しているなど、エスケープルートも十分にありますので、その点を考慮すると難易度はあっても安心感はあります。紅葉シーズンや観光シーズンは賑わうコースです。積雪シーズンは見事な樹氷を見ることができるので、冬の装備をしっかりして行ってください。
地蔵岳縦走コースのコースタイム
蔵王ロープウェイの蔵王山麓駅よりロープウェイに乗り、樹氷高原駅を経由して17分で地蔵山頂駅に到着です。ここより案内標に従って熊野岳(蔵王山)を目指してください。1時間10分ほどで熊野岳(蔵王山)に到着します。ここより馬の背方面に進んでください。御釜観賞地を通りリフト降り場に45分ほどで到着します。そこから案内標に従って、15分ほで苅田岳に到着です。帰路は苅田岳よりリフト降り場を目指すのは同じですが、そこから先は馬の背に向かわず直接熊野岳(蔵王山)に向かうコースを選べば30分で到着できます。歩くだけの所要時間は、4時間5分ほどです。日帰りコースと言えます。
蔵王登山初心者おすすめコース③低難易度の周遊コース
地蔵岳周遊コース
このコースも初心者におすすめで、日帰りにちょうど良い時間で登山ができるコースです。蔵王ロープウェイの蔵王山麓駅を登山口として、樹氷高原駅を経由して地蔵山頂駅を利用します。駅名にあるように地蔵山はすぐ近くにあり、整備された登山道を周遊するコースです。蔵王地蔵尊や姥神像など見所もたくさんあり、ほんの少し足をのばせば蔵王自然植物園も見て回れ、三宝荒神山も自然と登頂できてしまいます。難易度は高くなく、冬季積雪時でもカンジキやスノーシューを使用すれば、雪中歩行を楽しめるコースです。
地蔵山周遊コースのコースタイム
蔵王ロープウェイの蔵王山麓駅をスタートし、樹氷高原駅を経由して地蔵山頂駅まで17分ほどです。まずは駅を出て蔵王地蔵尊を経由して姥神像のあるワサ小屋跡分岐へ。途中は木歩道で歩きやすく30分ほどで到着できます。分岐からは案内標に従い地蔵山に。所要時間は15分ほどです。地蔵山から地蔵山頂駅まで10分もかかりません。日帰りの時間に余裕があれば、蔵王地蔵尊分岐を左折して蔵王自然植物園を訪れるのもおすすめです。植物園まで10分もかかりません。
蔵王登山初心者おすすめコース④低難易度夏季限定コース
観松平周遊コース
ユートピア夏リフトを登山口とするコースです。高層湿原いろは沼と観松平を周遊します。いろは沼・観松平は非常に風光明媚な地域で、日本の有名歌人の斎藤茂吉も愛した地域であり記念の歌碑も設置され、それぞれ名前の付けられた松の巨木がコース上に分散し、のんびり楽しめるコースです。路面も良く整備され経験の浅い初心者の日帰りトレッキングにおすすめとなります。冬シーズンは雪に覆われスキー場の一部となりますので、アクセス方法が難しくなるので、閉鎖状態となり訪れる人は非常に少ない地域・コースです。夏リフトは6月中旬から10月中旬まで運行されます。
観松平周遊コースのコースタイム
観松平周遊コースは積雪が無ければ難易度はかなり低く、初心者におすすめのコースです。蔵王ロープウェイの樹氷高原駅を下車すると、100mほど先にユートピア夏山リフト乗り場があり上の乗降場まで5分ほどで到着します。目の前が観松平です。そこより斎藤茂吉歌碑を経由して追分の松分岐まで3分ほど到着するので、右折して黒姫山展望台に15分ほどで到着します。道中には北五葉松の巨木が多く見られ、帰路では睦の松分岐を左折しリフト乗り場に戻ります。20分ほどで到着しますが、時間があるのなら、追分の松分岐より左折して、いろは沼に進んでください。1時間ほどで周回できます。日帰りの時間に合わせ、時間も調整できるコースです。
蔵王登山の服装・装備と年間天気
蔵王山は年間を通して観光客・登山者が訪れる山です。四季の素晴らしい変化が見られるので各シーズンとも観光客・登山者が訪れるのです。スキー場が開設される冬シーズン以外は、足元の装備はトレッキングシューズで問題ありませんが、温度差などが大きいのでそれに合わせた服装・装備が必要となります。合わせて各シーズンの天気状況を紹介しますが、気温などは過去の平均値です。
春シーズンの服装・装備と天気状況
蔵王山の春3月は、まだ積雪であり気温も-7.0℃と完全に冬装備で臨む必要があります。雪も深い所もあるので、登山道以外に足を踏み入れない方が無難でしょう。かんじきやスノーシューを装備に加えると便利です。4月・5月になると雪は少なくなりますが、5月の平均気温でも5.0℃に届きませんので、冬を頭に入れた服装・レイヤーにしてください。雪が残っている場合は、サングラスを装備に加えましょう。
夏シーズンの服装・装備と天気状況
6月になると緑が多くなり、高山植物なども多く見られるようになりますが、梅雨時期にも入りますので、晴れていても雨具は持って行くようにしましょう。気温は6月でも平均10℃に届かず、一番暑い8月でも平均15℃に届いていません。都市部との気温差がかなりありますので、服装は気温に対応できる物を選んで行きましょう。水分は多めに持参してください。
秋シーズンの服装・装備と天気状況
蔵王山の秋9月・10月は、素晴らしい紅葉のシーズンです。観光客も多く訪れる時期でもあります。気温は9月平均で10℃に届かず、10月平均は5℃に届きません。服装などは春と同じようなもので良いでしょう。しかし、11月になると後半は雪がチラつき場合によっては積雪にもなります。冬を意識した服装・装備を用意して行くと良いでしょう。カイロなどを装備に加えておくと、いざと言う時に役立ちます。
冬シーズンの服装・装備と天気状況
蔵王山の冬シーズンは、雪に覆われます。スキー場なども開設され、他の雪山と違いスキー客を含め多くの人が訪れる山です。登山についても、他のシーズンでは短時間で回れるコースが、絶好の雪山ハイクのコースに様変わりします。日帰りも余裕を持って出来るコースを選び、終わったら温泉に入浴できる時間も取れればベストです。一月の気温平均-9.6℃が気温平均で一番低く、装備はカンジキやスノーシューが必要になり、晴れた日はサングラスも必要になります。汗冷え対策を考えたウェアを重ね着し、樹氷見物をしましょう。
蔵王山登山の魅力
多彩な高山植物
蔵王山は花の山でもあります。5月初旬のオオヤマザクラなどが低地部より咲き始め、次第に山頂部にかけて咲く種類を増やして行くのです。9月初旬の観松平周辺の蝦夷オヤマリンドウが咲くまで、様々な高山植物たちが登山者の目を楽しませてくれます。いずれの高山植物も難易度の高い場所に行かなければ見られない訳ではありませんので、登山初心者でも楽しく高山植物観賞ができるでしょう。御釜付近に7月中旬頃咲く、コマクサが人気があります。
絶景の紅葉
蔵王山周辺は、紅葉の名所として有名。9月初旬・中旬より標高の高い山頂部より始まります。例年であれば10月中旬頃が、蔵王山の紅葉の見ごろです。蔵王山の紅葉見物の利点は、何本開通しているロープウェイ上から見事な紅葉を鑑賞できる事で、登山者に限らず観光客もロープウェイの紅葉観賞を楽しみます。赤・黄・橙などに色付いた木々の葉が、見事なグラデーションカラーを見せ、これを上空から観賞できるので、見事という他ありません。
神秘的な樹氷
蔵王山の積雪期の名物に樹氷があります。スキー・スノーボードを楽しむ人の他に、樹氷見物に訪れる人も多いのです。蔵王山には青森トド松が多くあり、その葉に着いた小さな水滴が氷着し、徐々に大きくなって立派な樹氷になります。例年、11月・12月より始まり、2月には立派な樹氷になっているのです。最盛期には神秘的な絶景を登山者・観光客に見せてくれ、樹氷トレールコースの開設や夜のライトアップも行われます。
初心者の蔵王山登山のまとめ
蔵王山や蔵王温泉は登山ばかりでなく、温泉やスキーなどでもとても有名ですが、高山植物もたくさんあることが知られています。高山植物の咲くシーズンは、花を目当てにハイキングがてらに訪れる人も多い山です。初心者でも十分に日帰り登山ができるコースが多く、周囲には多くの温泉がありますので登山帰りに入浴してから帰路につくこともできるので、初心者におすすめの山といえます。気になった方は、一度蔵王山を訪れてみませんか。
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蔵王山は山形県と宮城県の2県にまたがる山で火山でもあります。火山には温泉が付き物のです。この両県には、多くの温泉があります。宮城・山形の山に登山したら、それらの温泉に入って、登山の疲れを癒しましょう。