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ナスの簡単育て方ガイド!苗の植え付けから収穫のタイミングまで総まとめ!

ナスは味噌汁や漬物、煮たり焼いたりと料理のバリエーションも豊富で日本人には馴染みの深い万能野菜ですね。家庭菜園でもプランターでも作りやすく、育て方はそれほど難しくありません。そんなナス苗の植え付けの時期から収穫まで、育て方や注意点を分かりやすくご紹介します。
2020年8月28日
Meigen Oka
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夏野菜の定番「ナス」

ナスは、ナス科ナス属の植物分類で、インド原産の夏時期野菜の定番です。耐暑性があり比較的栽培しやすい野菜のひとつと言って良いでしょう。茄子の煮浸しなどの和風料理や炒め物や漬物など幅広い用途の食材として夏の食卓に供されます。栄養面においては、ミネラルやビタミン類などが多く含有されている訳ではありませんが、ナスのあの独特の紫紺の色をした表皮の色には「ナスニン」と呼ぶポリフェノールの一種で、抗酸化作用の働きをするアントシアン系の色素なのです。藍染の更に濃い色に染め上げられた色として「茄子紺(なすこん)」という名が当て嵌められています。

ナスの特徴

ナスは高温に強いので、夏の時期でも日当たりの良い場所で良く育ち簡単に栽培できます。ナスの実は約94%が水分で構成されています。ナスの表皮の色にはナスニンというポリフェノールの一種が含まれていると前述しました。このナスニンには抗酸化力(体内で増えた老化や生活習慣病を引き起こす原因となる活性酸素を除去する)があることが実証されています。

ナスの栄養成分

ナスを食べることによって、ナスニンを摂取し動脈硬化の予防やアンチエイジング、癌(がん)の抑制にも効果が期待できるとされています。また、豊富なカリウムが含まれています。カリウムは摂り過ぎたナトリウムの排出を促す働きがありますから、高血圧の予防にも繋がります。また、むくみの改善に役立ち、体熱の放出する働きによって夏バテ解消にも一役買っているのです。

ナスの歴史

ナスは、原産地であるインドの東部地域で紀元前から食料として作られていたとされています。その後、西方には5世紀頃にはアラビア半島に伝わり、東方には東南アジア、中国へと広がりました。日本に伝来したのは8世紀頃の奈良時代に朝鮮半島や中国からのルートで伝えられ栽培が始まったとされています。平安時代の書物「延喜式(えんぎしき)」には栽培方法の記述が残されています。江戸時代には初ナスの値段が1個で1両という法外な値がついた為に、幕府によって禁止令が出された経緯もあった様です。

ナスの種類

ナスの品種は世界中に約1,000種があるとされています。日本では約200種以上があります。ナスの形だけ見ても、一般的なものに千両ナスと呼ばれてお馴染みの“中長”、中長より長く約20~25cmになる“長ナス”、更に長く大きくなり40cm内外になる“大長ナス”、京野菜として知られる「加茂ナス」は“丸ナス”の部類です。果肉が締まっている「巾着ナス」、水分を多く含んだ「水ナス」、卵形や漬物などにする「小ナス」もあります。近年では、欧米などで品種改良された「米(べい)ナス」や、果皮の色が白、青、赤色のものも流通しています。

ナス料理

ナス料理は簡単ですのでレシピは多く、味噌汁の具から漬物に至るまで、揚げ物や焼いたり、煮たりとあらゆる調理法があるのです。ナス本体の味は淡泊であることから、他の食材とも良く合わせ易いのが特徴です。中の実は切ると、含まれている“ポリフェノールオキシターゼ”の作用によって褐色に色変わりする褐変(かっぺん)しやすいので、水で晒すことで防げます。代表的な料理には、しぎ焼き、麻婆ナス、煮びたし、味噌炒め、浅漬けなどがありますが、欧風料理にも食材として利用されています。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その①

ナス栽培のコツ・種蒔きか苗植えか!?

家庭菜園でナスを作るには、種からでは発芽から定植するまで間引きなどを経て日数と手間がかかります。また、ナスは“一人1本”と言われるほど、たくさんの収穫がありますので、種蒔きは広い畑での栽培向きで、家庭菜園などで狭い場所やプランターで栽培するのには、家族の人数にあわせた苗を植え付けた方が効率的です。ナス苗は種類が多いので料理などの目的によっての選び方をすると良いでしょう。

苗の種類

ナス苗は中長ナスの「千両ナス」という品種のものが一般的です。着果性も良いので収穫も多く簡単で作り易い家庭菜園向きでしょう。また果皮も薄く果肉も程よく締まっていますので、どの様な料理にも向きます。煮物を主にするには丸ナスの品種が良く、小ナスは漬物に向いています。購入する際にはそれぞれに付いているタグを確認しましょう。ナスは連作が出来ませんので、カボチャを親木(台木)とし、病気などにも強い「接木苗」がベストです。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その②

ナス栽培のコツ・苗の選び方


ナス苗は良く見て選びます。まず、葉や茎が萎れていないか、色つやも良いかが目安です。1番花が付いていると尚良いでしょう(活着後に摘み取ります)。葉の裏などを良く観察しアブラムシなどの害虫が付いていないか、病葉になっていないかも確認します。また、最近は4月頃の時期から店頭に並ぶ様になっていますが、ナスは気温が高くならないと良く活着しませんから、日当たりの良い場所で地温が高まる5月中旬頃が植え付け時期ですから、時期的に早めの購入は控えましょう。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その③

ナス栽培のコツ・土壌

ナスの苗を植え付ける時期までの準備段階として土壌の整備をしておきます。前述した通り、ナスを連作すると連作障害を起こし病害が発生しやすくなります。接木苗では必要ありませんが、畑では4~5年は同じ場所での栽培は出来ませんので場所を変えます。プランターの場合は用土をそっくり入れ替えます。

用土作り

菜園の畑では、苗を植え付ける2週間ほど前までに1平方メートルにつき約150gの苦土石灰、堆肥を約3~4kg、元肥として有機質配合肥料(N:P:K=8:8:8)を約100~150gほどを入れて土と混ぜ込んでおき、定植2~3日前に再度耕して畝を立てます。プランターの場合は、ホームセンターなどで野菜用培養土が販売されていますので利用しても良いでしょう。その際には水捌けを良くするために、底に大粒の軽石かひゅうが土を入れることをお忘れない様にしましょう。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その④

ナス栽培のコツ・植え付け

ナスは気温が高い方が生育は良くなります。日当たりの良い場所で地温も高まる5月中旬以降が植え付けに最適な時期です。畑であれば幅約70cm程度の畝立てをして、雨や水やりの際の泥跳ね予防や保温、保湿に有効な黒ビニールのマルチ材で覆い、穴あけ器で株間50~60cm間隔で穴を開けておきます。プランターやコンテナでは、一株植えでは8~10号の深鉢、コンテナでは幅25cm×長さ60cm、深さが30cmのものを用意すると2株植えることができます。そして、日当たりの良い場所に置いて育てましょう。

植え付けの仕方

植え付ける前までにビニールポットに水やりをしておきます。黒マルチの穴あけ部分に苗を植え込み、仮支柱を立てておき茎と支柱をビニタイか紐で軽く結んでおき、たっぷりと水やりをします。コンテナ植えも同様に植え付けて日当たりの良い場所に置き、株元の子葉が土に付かない様に刻みワラなどでマルチングをしておき、たっぷりと水やりをします。

行灯仕立て

強い風などに当たるとせっかくの苗が傷んでしまうことがありますので、風除けのために、苗の四隅に支柱を立てて、肥料などの空袋を筒状にして被せておく“行灯仕立て”をしておくと良いでしょう。保温にも役立ちます。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その⑤

ナス栽培のコツ・定植後の整枝作業

定植後一番花が開花したら、一番花の直ぐ下の側枝を2本残して、その下の葉の基部から出ている脇芽はすべて取り去ります。主枝と側枝2本にすることを3本仕立てといいます。畑で50~60cm程度の間隔ですと、3本仕立てにすると密植する可能性がありますので、その様な場合は主枝と側枝1本の2本仕立てにすると良いでしょう。但し、苗によっては1番花程度では勢いの良い側枝が見極められないことがありますから、2~3番花が咲く時期まで待ってみても良いでしょう。

支柱立て

整枝が棲んだら、支柱を立てて枝に添わせます。主枝と脇枝2本それぞれに添わせる様に支柱を立て、足元は交差させて麻紐で結んでおきます。枝の伸長度によって枝を支柱に誘引し軽く結びます。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その⑥

ナス栽培のコツ・水やり


“ナスは水で作るもの”と格言がある様に、ナスは極端に乾燥には弱いので、水切れには気をつけなければいけません。日当たりの良い場所に定植した直後はたっぷりと水やりをし、その後は根張りを強くするために3日間ほど水やりはしないでおきます。株元にマルチングをしてあれば、土中の水分の蒸発を防ぐことができます。表土が乾いていたらたっぷりと水やりをしますが、夏の高温の時期は朝夕2回、涼しい時間にタイミングを合わせて水やりをしましょう。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その⑦

ナス栽培のコツ・肥料

ナスの施肥は、定植の2週間ほど前までに堆肥とともに有機質配合肥料を平米あたり約100~150gほど土壌に混ぜ込んでおきます。定植後の施肥は最初の収穫後に行い、その後は10~15日に1回成長に合わせて追肥をします。量としては1株当たり約30~50gほどを株元から少し離してばら撒きします。7月、8月頃の高温時になってきたら、畝作りであれば畝の縁、コンテナであれば縁にばら撒きしておいても効果があります。

肥料切れの見極め

肥料が十分に効いているかどうかをチェックする方法として、花が開花した時に柱頭と呼ぶ黄緑色をした雌しべが、それを囲む様に付いている雄しべより短いと肥料の効果がないことが分かります。そんな折には株から離して追肥をし株元に土と一緒に寄せる様にします。また、生育の途中で葉に生気がなくなったと感じたら、マグネシウムとカルシウム不足が原因の場合がありますので、葉面散布用の液体肥料を使用すると改善できます。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その⑧

ナス栽培のコツ・収穫と剪定

主枝と勢いの良い側枝で2本から3本仕立てにしましたね。そのまま育成して7月中旬頃に主枝の先を切り取る摘心をします。ナスは脇芽を生長させて結実させますので、実を収穫してそのままにしておくと8月頃には枝同士が混みあってしまいます。収穫する時に実のついている脇枝を元から切り取ります。すると、また脇芽が出て葉茎を成長させて実を付けますので、同様の作業を繰り返します。この様な方法で収穫、剪定すると、わざわざ株全体を切り詰める作業はしなくて良く、長い期間常に収穫することができるのです。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その⑨

ナス栽培のコツ・病害虫

家庭菜園で野菜などを育てる際に最も悩まされるのが病害虫の発生です。病気や害虫の発生を防ぐには、こまめに良く観察して発生を見つけたら早めに処理をすることで被害を少なくすることが出来ます。最近ではコンパニオンプランツを一緒に植える事によって、病害虫の発生を予防する方法もあります。

注意したい病害

ナスの病害としては、葉などに白い粉をまぶした様になる「うどん粉病」、白いカビの様から灰褐色になる「すすカビ病」、元気だった株が急に萎れてしまう「青枯病」などがあります。多くの場合土壌中に潜んでいる糸状菌などの細菌によるものや、風によって他の植物から運ばれて発生します。防除するには早めの発見が有効です。殺菌剤の散布や、病害が発生した枝や株は取り除いて処分します。

害虫防除

ナスに発生する害虫は、アブラムシ、コナジラミ、カメムシ、アザミウマ、テントウムシダマシなどが主なものです。梅雨から夏の乾燥する時期が多く発生します。短冊形の粘着テープや防虫ネットなどで防除する方法もあります。野菜用の浸透性殺虫剤を植え付け後の時期に株元にばら撒いておくと効果が期待できます。病害も同様ですが、株中の風通しを良くし、株中まで日当たりを良くすることが発生の予防になります。発生は早めに発見が大切です。殺虫剤の散布で駆除しましょう。

家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その⑩

ナス栽培のコツ・コンパニオンプランツの利用

コンパニオンプランツという名前の意味は、作物などの栽培する際に種類の異なる植物を混植することによって、異種の植物の植生と、必要とする養分や微生物の違いの特性によって、互いに良い影響力を共有する組み合わせを言い、共栄作物、共存作物とも呼ばれます。

ナスと相性の良いコンパニオンプランツは

特に家庭菜園でおすすめしたいのは、ナスと共存して良い影響を与える植物は、青枯病など土壌中の病原菌を防ぐ根に共生する拮抗菌を有する「ネギ類」や「マメ科の植物」。害虫防除にはセリ科の「パセリ」や花の「マリーゴールド」などを一緒に植え込むと効果が期待できることと、株元に植えることでマルチングの役目を果たし、保水効果もあるので有効です。


家庭菜園でのナスの簡単な育て方・その⑪

ナス栽培のコツ・生育不良には!

家庭菜園でナスを栽培すると、販売されている様な色つやの良い実にならないといった生育不良になってしまい収穫に影響が出ることがあります。原因を突き止めて回復させる方法をとります。

石ナス

例えば、石ナスという現象は、実が付いても大きくならず、光沢もなく皮も固めになってしまう原因は、雌しべが雄しべに囲まれてうまく受粉が出来なくなるからです。花そのものが落ちてしまうことがあります。肥料不足が原因の場合がありますので、追肥をして、土壌を乾かさない様に株元に藁(ワラ)などでマルチングをして保水効果を高め、たっぷりと水やりをしてみましょう。

ボケナス

ナスの実に輝く様な艶がなく、果皮の色もくすんでいる様に見える。これは日当たりが悪かったり水やりの不足で起こりやすい現象です。株の内側の枝葉を整理して、付いている実にも日当たりが良くなる様に工夫します。他にも、多肥や低温障害による栄養分過多によって”双子ナス”や“へん平果”、別の場所から細い実が出る“舌出し果”といった奇形が生まれたりします。適正な施肥、日当たりや水やりにも十分気を付けましょう。

ナスの元気な育て方のポイント

ナスを育てる際の注意点として、同じ場所での連作はできないことは述べました。少なくとも3~4年は間隔を空ける必要がありますが、カボチャなどを台木とした耐病性のある「接木苗」は可能です。ナスは夏の野菜らしく高温に強いのが特徴です。日当たりの良い場所を選び、保湿性のある肥沃な土壌が適しています。病害虫防除にも適度な農薬などの使用を心掛け、日当たり不足や風通しが悪くなるのを防ぐために葉茎を適宜整理してあげることも必要な作業です。

まとめ

植物は手間を惜しまず、こまめに世話をしてあげると、期待に応えて元気に育ちます。ナスは実物野菜のなかでは比較的育て方は簡単な作物といって良いでしょう。植え付け後から7~8月の高温時に勢い良く枝葉を茂らせて花を咲かせ、実もたくさん収穫できます。ナスの育て方のコツなどをまとめてみましたので、ぜひ参考にしていただければ嬉しい限りです。

ナスなど野菜の作り方を知りたい方はこちらもご覧ください!

ナスを始め野菜類の育て方のコツなど「暮らし~の」のWEBマガジンでは色々と詳しい情報記事が紹介されています。ぜひチェックされることをおすすめします。