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グロリオサの育て方!球根の植え付けから植え替え、病気対策まで分かりやすく解説!

イヌサフラン科の植物のグロリオサは、ねじれた細い花びらを燃える炎の様に反り返らせて咲かせます。夏の花に相応しく、球根植物ですので育て方も難しくありません。トロピカル色豊かなグロリオサの植え付けから植え替え、病害虫対策までの育て方を詳しくご紹介してみましょう。
2020年8月28日
Meigen Oka
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グロリオサとはどんな植物

グロリオサは、アフリカから熱帯アジア地域原産で、学名はGloriosa、イヌサフラン科グロリオサ属(キツネユリ属)の球茎で生育する多年性の半つる性植物です。以前はユリ科に分類されていました。日本には明治時代の末頃に入ってきましたが、細い花びらがねじれる様に反り返る異様な花姿と、百合の花粉と同じに、突き出た6本の雄しべに付いた花粉が衣服などに付着したりするのを敬遠して、当初は馴染みの薄い花でした。近年は花色も種々あり、そのきれいなグラデーション風の咲き方が、多様なアレンジに向いていることから人気がある花のひとつです。

グロリオサの特徴

グロリオサの特徴は、かがり火の炎の様に、花びらを反転させる花姿です。半つる性で細い茎は自分では立ち上がることが出来ませんので、葉の先が巻きひげ状のつるになっているのが特徴で、そのつるを他の植物や物などに絡みついて生育します。

グロリオサの雄しべと雌しべ

花びらの基部からは、それぞれが広がる様に6本の雄しべがあり、特徴的で不思議なのが雌しべで、子房の下から3っに裂けた柱頭を持った茎を途中から直角に曲げて横向きになっていることです。理由は不明ですが、花が咲き終って花弁が閉じてしまっても雌しべは外に出たままですが、すでに受粉は済んでいて、雌しべの基部には蒴果(さくか:百合や朝顔の様に袋状の果皮になっている)が生成されています。

グロリオサの恐い毒性!

グロリオサは半つる性の球根植物ですが、株全体には毒性のアルカロイドを含む「グロリオシン」とイヌサフラン科の種子に含まれ、痛風の初期症状(発作)の病気特効薬にもされる「コルヒチン」が含まれていますが、どちらも有毒成分が含まれていることから注意が必要です。特にグロリオサの球根は山芋(ヤマイモ)や長芋(ナガイモ)に形体が似ていることから、見誤って誤食してしまうと、吐き気や下痢、発熱を引き起こし、重篤になると臓器不全を起こして死亡する危険も。実際に死亡例も確認されているので注意が必要です。

グロリオサの名の由来と花言葉

グロリオサとは、ラテン語で「gloriosus」といい、見事、立派といった意味です。バリエーションに富んだ鮮やかな花色と、特徴的な花姿から由来するものです。半つる性で他のものに葉の先のつるを巻き付きながら伸びることから、英名は「Climbing lily(クライミング・リリー)」や、炎をイメージして「Flame lily(フレイム リリー)」と呼ばれます。和名では、「百合車(ゆりぐるま)」や花姿が動物の狐の顔にも見えたりすることから「狐百合(きつねゆり)」とも呼ばれます。

グロリオサの花言葉

グロリオサに付随する花言葉には、その華やかな花姿の特徴的な咲き方や生育の仕方によって数々の花言葉が付けられています。ラテン語でグロリオサは栄光の意味があることから、「栄光」とそのままがあり、花姿から、「華麗」「燃える情熱」「おしゃれな心」、生育の仕方から、「堅固」「頑強」「勇敢」と当てはめられています。

グロリオサの種類

アフリカや熱帯アジア地域が原産とされているグロリオサは、原種として5種類が確認されています。その中で代表的とされる原種は、特徴的な花弁の色が基部が黄色で、先端までオレンジ色になる「スーパーバ」で、その園芸品種とされているのが、基部は緑で濃いオレンジ色に黄色い縁取りが入る大輪系の「ロスチャイルディアナ」、スーパーバの改良種で黄色の花の「G・ルテア」、紫色をした花弁で中心部分が黄色い「カルソニー」、基部が黄色で花弁の中ほどから先端にかけて朱色の「スペルバ」、スペルバの改良種で草丈が長くなり、レモンイエローの花色が爽やかな「スペルバ・ルテア」などが主な園芸品種です。

グロリオサの球根

グロリオサは球根植物として分類されていますが、一口に球根といってもそれぞれの特徴的な分類のされ方をしています。葉が変化して塊の様になった「鱗茎(りんけい)」、地下茎が養分を蓄えて塊状になっている「塊茎(かいけい)、根の部分が養分を蓄えて塊状になった「塊根(かいこん)、地中を這う様に広がる地下茎の節が肥大化して根を出す「根茎(こんけい)、地下茎の一部が養分を取り込んで肥大化し、芋の形の様に球形になった「球茎(きゅうけい)」とありますが、グロリオサはこの球茎になります。

グロリオサの育て方・その①


植え付け、植え替えの準備・球根の選び方

市販されているグロリオサの球根を購入する際には質の良いものを選びましょう。グロリオサの球根は品種によって大きさがそれぞれです。育ち方も良く、花も立派に咲かせるのは大きいほど良いのです。さて、いよいよ植え付けの準備として、球根を購入する時にはまず手に取ってみて、ブヨブヨと柔らかくなく、固く締まっているものが良く、細長い球根の先に芽が出ているものを選びましょう。球根が黒ずんでいたり傷んでいなければ、多少変形していても問題はありません。

グロリオサの育て方・その②

植え付け、植え替えの準備・生育環境

グロリオサは球根植物ですので、湿気に弱いのが特徴です。植え付け後に用土が多湿状態になると球根が腐ってしまいます。春に植えこんだ後は日光に良く当たる場所で管理します。梅雨時は雨などに当たらない様に屋根のある場所に移動させておきます。梅雨後から9月中旬頃までは、真夏の直射日光に当たると葉焼けを起こしますので、半日陰の場所に置きます。9月中旬以降は日光に当てる様にして、葉が黄ばんできたら、鉢土から球根を掘り上げます。

グロリオサの育て方・その③

植え付け、植え替えの準備・球根の管理

秋の終わり頃に鉢土から掘り上げた球根は、ネット状の袋に入れて風通しの良い軒下の様な所に吊り下げて乾燥させます。この時、大きな球根以外は分割させない様にします。小さな球根は十分に養分が蓄えられていない場合がありますから、分割すると翌年に開花しないで終わってしまうことがあるからです。十分に乾燥したものは植え付けまで、あまり温度差のない場所で保管しておきます。

保管する時の注意!

ビニール袋におがくずやバーミキュライトを入れ、その中に入れて保管すると良いといいますが、これは、適切な場所と温度管理が必要ですので、気温の変化によって湿気がこもり、保管する場所によっては、病気の発生にも繋がり、却って球根が腐ってしまう恐れがあるので、保管の方法としては、あまりおすすめできません。

グロリオサの育て方・その④

増やし方や手入れの方法・植え付け、植え替え

植え付けや植え替えの時期は、地温の高まる4月下旬~5月中旬が適期です。植え付けから芽出しまで約1ヶ月ほど要します。発芽させるには温度が高くなるのが条件ですので、芽を出していない球根をそのまま植え付けると発芽しないことがあります。植え付ける前に球根から芽出しをさせておくには、育苗箱などに湿らせたパーライトを入れて球根を埋め込み、上をビニールで覆い、陽射しが当たる場所において保温します。水やりは不要ですので、発芽して1cmほどに芽が伸びたら植え付けの準備をします。

鉢植えにする場合

グロリオサの球根は土中では下方に向かって根を張りますので、68号の深鉢か懸崖鉢を準備します。鉢底に水捌けを良くするために大粒の軽石を敷き、球根は芽を上にして直立させて植えます。芽より5cmほど隠れる様に用土を入れ、手入れとしては、土が乾かない様に水やりをします。球根の大きさに応じて鉢の大きさも変えると良いでしょう。

地植えにする場合

地植えにする場合は、準備段階として、植え付けや植え替えの前に植える場所の土を30cm程度掘り起こして、培養土かあらかじめ作っておいた用土を入れておきます。球根は深さ約35cmの深さに横向きにして植えます。複数植える場合は15cm程度の間隔を空けます。植え込んだら水やりをたっぷり行っておきましょう。地植えの場合植え替えは2~3年ごとで良いでしょう。

グロリオサの育て方・その⑤

増やし方や手入れの方法・用土


植え付けや植え替えに使用する用土は、水捌けや通気性の良い土壌を好みます。また、栄養分が多い土が適します。地植えの場合は、植え付ける場所に堆肥や腐葉土を漉き込んでおき、水捌けを良くするためにひゅうが土を底部に厚めに敷いておくと良いでしょう。鉢植えで植え付ける場合は、鉢底に必ず大粒の軽石かひゅうが土を入れて水捌けが良くなる様にします。市販の培養土でも良いのですが、赤玉土(小)5:腐葉土3:ピートモス(ph6程度の弱酸性に酸度調整されているもの)2を準備します。

グロリオサの育て方・その⑥

増やし方や手入れの方法・水やり

地植えにした場合は、植え込みや植え替え直後はたっぷりと水やりをし、その後は土に湿り気がある状態であれば、特に水やりの必要はありません。梅雨時など雨が多い時期は、湿気が多すぎて球根が病気によって腐ってしまう恐れがありますから、水が溜まらない様にする工夫をするか、雨除けをすると良いでしょう。真夏は土の表面が乾いていたら、朝夕の涼しい時間帯に水を与える様にします。

鉢植えの水やり

鉢植えの場合は土の表面が乾いていたら水やりをします。真夏は朝夕2回、やはり気温が上がらない時間に水を与えます。秋になり、葉が黄ばんできたら、徐々に水やりの回数を減らしていきます。冬季は休眠期となり、植えたままでも大丈夫ですが、暖かい場所で乾燥気味に管理します。

グロリオサの育て方・その⑦

増やし方や手入れの方法・肥料

グロリオサは多肥を好みます。地植えの際は、球根の植え付け2週間ほど前までに堆肥と一緒に緩効性有機質の配合肥料(101010)を土と共に混ぜ込んでおきます。後は花が終わるまで、1ヶ月に1度、同様の肥料を株元よりすこし離した箇所34か所に施しておきます。鉢植えにした場合は、芽出しをしたら緩効性有機質肥料を施肥します。7月まで1ヶ月に1度ずつ適量を置肥をしたら、8~9月末まで、2週間に一度ずつ液体肥料を与えます。

グロリオサの育て方・その⑧

増やし方や手入れの方法・発芽後の手入れ

グロリオサは、特徴の項で記述した通り、半つる性植物で葉の先端の巻きひげを他の植物や物に絡みつかせて生長します。地植えの場合はグリーンカーテン用のネットかフェンスなどに、つるの方向を決めて誘引します。つるが硬くなってしまってからでは誘引は難しいですから、新しい芽のうちに行います。鉢植えは、市販の朝顔用支柱の様な行灯仕立てにすると良いでしょう。ある程度つるが伸びてきたら、支柱の周りに元からぐるりと回す様に誘引してあげます。手入れのコツとして、つるを無理に引っ張らずに巻き付け、途中ビニールタイなどで結んでおくと良いでしょう。

グロリオサの育て方・その⑨

増やし方や手入れの方法・花が終わったら

グロリオサは花後の手入れも必要です。初夏から花を咲かせ始めますが、花が咲いたら雄しべはピンセットなどで取っておきましょう。百合の花粉の様に衣服に付くとなかなか落とせません。また、花の咲いている期間も長くなります。花が終わったら、早めに花がらを切り取っておきます。咲き終わってしまった花柄をそのままにしておくと、種子を形成してしまい、球根の養分が失われてしまいますので、光合成を行う葉や茎はそのままに、養分を球根に蓄えるために必要な準備作業です。

球根の掘り上げ

秋になって葉が黄色く変色し始め、夜間気温が56℃程度になると休眠期となりますので、球根を掘り上げる準備をします。風通しの良い日陰で、10℃を下回らない様な場所で新聞紙などを敷き、その上で1週間ほど水気を取るために乾燥させます。その後新聞紙などに包み、ネットなどに入れて保てる温度が10℃以上の場所で、春に植え込むまでの準備期間として保管します。

グロリオサの育て方・その⑩

増やし方や手入れの方法・増やし方


植物の増やし方としては、種蒔き、取り木や接ぎ木、挿し木、分球といった増やし方の方法がとられます。グロリオサの場合は、球根植物ですので、球根を切り分ける「分球」を行います。若い球根では分球は出来ません。3年間ほど育てることが出来ると子球が出来ます。掘り上げた球根を見てV字形に育っていたら分球が可能です。

分球の手順

葉が黄色くなって球根を掘り上げたら、前述した保管方法で春まで保管します。45月になって気温が上がってきたら、V字の二股部分で切り分け、切り口部分を45日ほど乾燥させてから用土に植え付けます。切り取ってすぐに植えると切り口から雑菌が入り込み、病気を誘発して球根が腐ってしまう恐れがあるからです。

グロリオサの育て方・その⑪

増やし方や手入れの方法・病気と害虫

グロリオサに発生する病気や害虫を見つけるのは、毎日の観察が大切です。特に春の梅雨時や秋の長雨時の湿度が高い時期に発生しやすいので注意が必要です。病気や害虫を発生させない方法は、日当たりが良く、風通しも良い場所で育てることが一番の防ぐ方法です。

グロリオサの病気

グロリオサに発生する病気では、「ウィルス病」が見られます。現象としては、花や、特に葉にモザイク状の模様に色の濃淡が現れたりします。主にアブラムシなどの害虫によって媒介されたり、他の植物にも使用したハサミやピンセットなどによっても伝染してしまうことがありますので、器具類は熱湯や塩素系消毒薬で良く消毒してから使用する様にしましょう。一度発生すると治すことは難しいですから、病気が発生した株は廃棄します。

グロリオサに発生する害虫

グロリオサに付く害虫は通年気をつけなければいけませんが、5月頃になると、新しく伸びた芽にアブラムシの発生があります。梅雨空けから気温が高くなり乾燥状態が続くとハダニの発生があります。ハダニは水やりの際に葉の裏表に満遍なく水をかけると洗い流すことができます。アブラムシはウィルス病やスス病の発生原因ともなりますので、見つけたら早めに薬剤を噴霧して駆除します。梅雨時にはナメクジが新芽を食べてしまいますから、誘引剤を置いて防除しましょう。

グロリオサの育て方・まとめ

特徴的な花を咲かせる、グロリオサの球根の植え付けや植え替えの準備、病気対策などの管理方法をご紹介してみました。トロピカルな花色の豊富さと、細目の茎を伸ばし流動的で炎が燃え上がる様なユニークな花姿から、花材としても多く利用されていて人気の植物です。付いた蕾が咲かないことはないほど花付きの良さもあって、ガーデニングにも寄せ鉢や吊り鉢などにも利用されます。

魅力あるグロリオサをもっと知りたい方はこちらもどうぞ!

グロリオサの増やし方などの情報は「暮らし~の」のWEBマガジンでもご紹介してしています。参考のためにぜひ読み比べてみてはいかがでしょうか。