ジクサー250のスペックを比較:はじめに
2020年の4月にジクサーSF250が、6月にジクサー250がスズキより新発売されました。バイク市場が活況なアセアン諸国で先行発売され、並行輸入車が流通していましたので、国内での正規販売を望むバイク乗りは多かったはず。ここではスズキのジクサー250のスペックを徹底検証します。
新型ジクサー150も気になる!
ジクサー250の国内販売に期待していた2020年1月、新型ジクサー150が3月に販売されるという発表もありました。新型ジクサー150は従来型ジクサーの後継機種。新型ジクサー150と従来型ジクサーのスペックは似通っていますので、デザインを一新したマイナーチェンジ。ここでは新型ジクサー150とジクサー250の違いも比較します。
プラス100ccの違いと250ccネイキッドとの比較
では本題!スズキのジクサー250のスペックを徹底検証します。プラス100ccの違いに注目したいですね。他のネイキッドバイクのスペックに遜色ない出来栄えなのかも比較します。また、派生車種のSS車ジクサーSF250にも注目したいところです。なお、この記事は2020年6月6日現在の情報をもとに作成しますことをご了承ください。
ジクサー250を150と比較:車体サイズ
ジクサー250の車体サイズは新型ジクサー150とほとんど同じだといえます。ジクサー250の全長は2010mm、全幅は805mm、全高は1035mmです。新型ジクサー150より全長は10mm短く、全幅は5mm長いのですが、全高は同じ。なお、ジクサーSF250の全幅は740mmで、セパレートハンドルによるスポーティなライディングポジションに期待できます。
ジクサー250と新型ジクサー150は近い車体サイズ
ジクサー250の車体サイズが新型ジクサー150の車体サイズに近づけられたのは、スズキには車体サイズが大柄なGSX250RやVストロームのラインアップがあるからだと考えられます。250ccのバイクのバイクには通勤からツーリングまで使える汎用性の高さが大切。街乗り最強バイクとして絶賛された従来型ジクサーのコンパクトさが継承されました。
ジクサー250を150と比較:エンジン
ジクサー250には油冷4ストロークSOHC4バルブの単気筒エンジンが搭載されています。排気量は249cc、最高出力は26PS/9000rpm、最大トルクは2.2kgf・m/7300rpmです。エンジンオイルをオイルジャケット内に通し、ファン付きのオイルクーラーで冷やすSOCSという冷却システムが採用されました。空冷のジクサー150と比較すると、最高出力で15PS、最大トルクで0.8kgf・m高いですね。なお、ジクサーSF250のエンジンはジクサー250と同スペックです。
ジクサー250は楽しいショートストロークエンジン
最高出力や最大トルクは排気量なりに高められていますが、それよりも注目すべきなのはボア×ストロークです。新型ジクサー150のボア×ストロークは56.0×62.9mmとロングストロークなのですが、ジクサー250は76.0×54.9mmとショートストローク。スズキが250ccの単気筒エンジンを新開発したのは久々ですし、爽快に拭け上がるエンジンフィーリングに期待できます。
ジクサー250を150と比較:最高速度
ジクサー250の理論上の最高速度(6速)は、最高出力を発生させる9000rpmで132.3km/h、最大トルクを発生させる7300rpmで103.3km/hです。また、レッドゾーン入口となる10000rpmまでエンジンを回すと理論上の最高速度(6速)は147km/hに達します。理論上の最高速度を比較すると、ジクサー250は新型ジクサー150より最高出力を発生させるエンジン回転数で24km/h、最大トルクを発生させるエンジン回転数で26.1km/h高いですね。なお、ジクサーSF250の最高速度はジクサー250と同スペックです。
プラス100ccの違いは大きい!
ジクサー250の理論上の最高速度を新型ジクサー150と比較すると、ジクサー250に高速域での余裕を感じられます。新型ジクサー150は低中回転域のトルク感を重視した粘り強い特性なのですが、ジクサー250はプラス100ccの余裕を活かし、エンジン回転数でトルクを稼ぐ味付けです。しかし、高回転型エンジンとはいえませんので、ジクサー250はどの領域でも過不足なく楽しめるフラットなエンジン特性だといえます。
ジクサー250を150と比較:エンジン回転数
ジクサー250の高速道路走行を想定した理論上のエンジン回転数(6速)は、時速100キロで6803rpm、時速80キロで5442rpmです。最大トルクを発生させるエンジン回転数との比は時速100キロで93.2%、時速80キロで74.5%。最大トルクを発生させるエンジン回転数との比を比較すると、ジクサー250は新型ジクサー150より時速100キロで30%、時速80キロで24%の余裕があります。なお、ジクサーSF250はジクサー250と同スペックです。
ジクサー250の余裕ある追い越し加速!
ジクサー250は高速道路を走行してもある程度の余裕があり、5速で追い越し加速をし、6速で巡行できます。それに対し、新型ジクサー150での高速道路走行では常に最高出力を発生させるエンジン回転数付近まで回さなければなりません。新型ジクサー150は5速MTですので、合流加速は4速なのですが、追い越し加速は5速のまま引っ張ることになるのです。しかし、これは優劣ではなくキャラクターの違い。ジクサー250は高速道路を利用するツーリングが、新型ジクサー150は一般道メインのツーリングが快適なネイキッドバイクだといえます。
ジクサー250を150と比較:足回り
ジクサー250の足回りは新型ジクサー150をベースにアップグレードされています。どちらもインナーチューブ径Φ41mmのフロント正立フォーク、7段プリロード調整機構付きのリンクレスリヤサスペンションなので、サスペンションに違いはありません。しかし、ジクサー250のフレームやスイングアームはプラス100ccのパワーアップに合わせて剛性が高められています。なお、ジクサーSF250の足回りはジクサー250と同スペックです。
ジクサー250は前後ABS標準装備!
ジクサー250と新型ジクサー150の足回りを比較するうえで注目すべきポイントはブレーキです。ジクサー250が前後ABSであるのに対し、新型ジクサー150はフロント1チャンネルABS。フロント1チャンネルABSの新型ジクサー150よりも前後ABSのジクサー250のほうが安心感は高いですね。しかし、新型ジクサー150の足回りはオーバースペック。高速道路走行では新型ジクサー150が不利と先述しましたが、非力なエンジンを足回りがカバーしてくれます。
ジクサー250を150と比較:街乗り
ジクサー250の街乗りに関するスペックは、シート高は800mm、車両重量は154kg、最小回転半径は2.6m。新型ジクサー150と比較すると、シート高は5mm高く、車両重量も15kg重いのですが、最小回転半径は同じ。体感できるほどの違いは少ないといっていいですね。なお、ジクサーSF250の街乗りに関するスペックはジクサー250と同じなのですが、街乗りではバーハンドル仕様のネイキッドバイクであるジクサー250のほうがコントロールしやすいといえます。
街乗りには新型ジクサー150が有利!
街乗りに関するスペックを比較すると、街乗りには新型ジクサー150のほうが有利だといえます。シート高や車両重量といったスペックよりも、街乗りでは新型ジクサー150の低中回転域を重視したトルク感が威力を発揮するからです。実際、250ccクラスのネイキッドバイクでは一般道をメインにしたツーリングが楽しいので、ジクサー250の登場で影が薄くなった新型ジクサー150のメリットも見直すべきです。
ジクサー250を150と比較:中間総括
ジクサー250と新型ジクサー150を比較すると、エンジンのキャラクターや速度域に大きな違いがあります。車体サイズや街乗り性に関する違いは体感できるほどありません。スポーティなエンジンフィーリングと速度域の高さを重視してジクサー250を選ぶか?それとも低中回転域の豊かなトルク感と大らかさを重視して新型ジクサーを選ぶか?使い方を明確にすれば選び方はさほど難しくありません。
ジクサーSF250のデザインは秀逸!
ジクサーをSSマシン風にアレンジしたジクサーSF250も見逃せません。ジクサーSF250のスズキ車らしいスパルタンなデザインは特筆もの!ジクサー250は渋めのカラーリングですが、ジクサーSF250ならレーシーなトリトンブルーメタリックも選べます。GSR250時代にデザインで苦汁をなめざるを得なかったスズキ、ここ近年のスズキ車はデザインがかっこよくまとまっています。欲を言えば、ヨシムライメージの赤黒が欲しいところです。
ここまではジクサー250と新型ジクサー150を比較してきましたが、ここからは、ジクサー250を他の250ccネイキッドバイクとの違いを明らかにしていきます。ジクサー250はCB250R、MT-25、Z250といった人気車種と比べてスペックはどうでしょうか。
ジクサー250を他社ネイキッドと比較①
250ccネイキッドと車体サイズや街乗り性を比較
ジクサー250を他社のネイキッドバイクと比較すると、車体サイズや街乗り性は標準的だといえます。250ccネイキッドバイクの車体サイズの平均値は、全長が2027.5、全幅は791.3、全高は152.5mmです。街乗り性の平均値は、シート高が792.5、車両重量が157.8kg、最小回転半径が2.6m。狙ったかのように平均値に近いですね。車体サイズや街乗り性がもっともジクサー250に近いネイキッドバイクはホンダのCB250Rだといえます。
ジクサー250の車体サイズは平均的
ジクサー250はスズキの250ccクラスのラインアップを充実させるために開発されたと考えられます。スズキにはGSX250RやVストローム250といったツーリング指向が強いバイクはラインアップされていますが、平均的な車種はありませんでした。しかし、ジクサー250の平均的なスペックは初心者にも手強さを感じさせません。しかもデザインが秀逸!ジクサー250がグラマラスなシルエットがセクシーですし、ジクサーSF250はシャープな顔立ちがかっこいいですね。
ジクサー250を他社ネイキッドと比較②
250ccネイキッドとエンジンや最高速度を比較
ジクサー250の最高速度を他社の250ccネイキッドバイクと比較すると、2気筒モデルほどの余裕はありません。しかし、単気筒モデルとしては十分な最高速度です。250ccネイキッドバイクの最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の最高速度は、平均値で152.89km/h、最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の最高速度は平均値で128.89km/h。最高速度がもっとも近い250ccネイキッドバイクは、やはりホンダのCB250Rでした。
ジクサー250のライバルはCB250R
単気筒エンジンを搭載するジクサー250とCB250Rのスペックを比較すると、その違いは少ないですね。エンジンの冷却方式は違いますが、ポテンシャルは互角だといえます。ボア×ストロークもほぼ同じです。気になるのは油冷エンジンの冷却性ですが、ジクサー250は日本より平均気温が高いスズキモーターサイクルインディア社で生産されていますので、夏の暑さ対策には期待していいでしょう。ちなみに、ジクサー250のエンジンオイルの全量は思いのほか少なく、CB250Rと同じ1.8Lです。
ジクサー250を他社ネイキッドと比較③
250ccネイキッドと足回りを比較
ジクサー250のスペックを他社のネイキッドバイクと比較するうえで気になるのは正立のフロントフォーク。ホンダのCB250RやヤマハのMT-25は倒立フォークが採用されていますが、スズキのジクサー250やカワサキのZ250は正立フォークが採用されています。剛性感の高い倒立フォークか?それともオーソドックスな正立フォークか?どちらにもメリットとデメリットがあり、優劣をつけられないのが実情です。
倒立フォークと正立フォークの違い
倒立フォークはアウターチューブが長いので、剛性感を高められるのが特徴です。一方、正立フォークはメンテナンス性に優れています。重視したいのはフロントフォークの仕様よりもフレームとのバランスです。しかも、フロントフォークとフレームの相性はスペックで推し量れず、乗ってみないとわかりません。敢えていうなら、250ccネイキッドバイクのエンジンパワーで違いをかんじられるシーンは少ないですね。ちなみに、従来型ジクサーの正立フロントフォークは剛性感が高く評価されていますので、ジクサー250でも期待していいでしょう。
ジクサー250のカスタム:足つき性
ジクサー250は2020年の春に新発売されたばかりですので、カスタムパーツは少ないですね。ここではカスタムしたいポイントのみを記載し、カスタムパーツの発売に期待するしかありません。
街乗りではローダウンしたいジクサー250
NITRON ナイトロン リアサスペンションモノショック NTR R1 シリーズ ジクサー
ジクサー250で気になるカスタムポイントはシート高の高さです。ジクサー250は車両重量が軽量ですので、街乗りで不安を感じない範囲ですが、バイクを停止させる道路の左端は少しだけ下がっていますので、場合によっては足つき性が悪くなります。従来型ジクサーのローダウンサスペンションでカスタムできるかと思いきや、これもまた少ないですね。ナイトロンに従来型ジクサー用の車高調整機構付きカスタムサスペンションがありますが、ジクサー250に適合するかは不明です。
シートのあんこ抜きカスタムもおすすめ
ジクサー250に適合するローダウン用カスタムサスペンションが発売されることを願わずにはいられませんが、ワンオフでカスタムシートを作成するのも一考の価値があります。シートの厚みを減らす「あんこ抜き」はサスペンションのバランスを崩すことなく足つき性を改善できるのでおすすめです。ローダウン用のカスタムパーツに換装すると前後サスペンションのバランスが変わってしまい、調整するのに手間がかかります。ちなみに、極端なあんこ抜きはシルエットバランスを崩しますので注意が必要です。
ジクサー250のカスタム:ステップ
ジクサー250は平均的なスペックをまとった250ccネイキッドバイクで、装備は必要最小限のレベルです。これはライダーが使い方に合わせてカスタムの方向性を決めやすいということ。カスタムパーツの発売点数は人気車種のように多くないと考えられますので、汎用パーツを活用してカスタムするのもありです
フェンダーレスカスタムをしたい!
フェンダーレス加工はバイクのリヤビューに迫力を与えますが、ツーリングでは後続車へ泥をはねてしまうのが難点です。しかし、ジクサー250の泥除けはスイングアームにマウントされていますので、積極的にフェンダーレス加工しても問題ないといえます。スイングアームマウントフェンダーにステッカーカスタムするのもありです。ちなみに、250ccまでのバイクはカスタムで車体サイズが変わっても改造申請する必要がありません。
ステップ位置を微調整できるカスタムパーツ
汎用 アジャスタブルステップバーセット(全5色)
ジクサーSF250はセパレートハンドル仕様のSSバイクですが、ステップの位置はバーハンドル仕様のジクサー250と同じです。上半身のライディングポジションに合わせ、ステップ位置も最適化したいですね。しかし、ジクサー250とジクサーSF250とでは、ハンドルと垂れ角に違いがあるだけで、高さはさほど変わりません。バックステップも検討の価値がありますが、カスタムパーツの発売があるかどうかは微妙なところ。紹介する汎用アジャスタブルステップバーはステップ位置を微調整したいカスタムにおすすめ!シューズサイズの小さいライダーも検討してみましょう。
新型ジクサー250の価格は?
ジクサー250やジクサーSF250を比較するうえで重要なのは価格で、メーカー希望小売価格はCB250Rより10万円以上違います。新車の実勢価格帯をGOOBIKEで調べると、CB250Rは約42~57万円、ジクサー250は約38~39万円。CB250Rの中古車を買う予算でジクサー250の新車を購入できます。
並行輸入車はさらに安い!
ジクサー250は国内正規販売される前に国内に入ってきた並行輸入車も選べます。スズキの保証、リコール、サービスキャンペーンなどは受けられませんが、価格帯はさらに安いですね。並行輸入車を購入する際は、アフターサービスが充実したショップで購入しましょう。ショップ独自の販売保証を受けられるショップが安心です。
ジクサー250のスペックを総括!
ジクサー250はスズキ車ならではの個性的なネイキッドバイクかと思いきや、スペックは思いのほか平均的でした。エンジンの仕様はCB250Rと似ていますし、最高速度も近いですね。注目すべきは新開発の油冷エンジン!タイヤの選択肢は新型ジクサー150より豊富です。また、近未来的でありながら雑味のないデザインも魅力的です。ジクサーSF250のシャープなシルエットは250ccSS車トップレベルの出来栄えだといえます。
愛されやすいジクサー250
ジクサー250はこれからツーリングのスタイルを確立していく初心者におすすめです。ジクサー250の平均的なスペックは懐が深く、どんなツーリングスタイルも受け止めてくれます。いろんなツーリングにチャレンジできるネイキッドバイクだといっても過言ではありません。また、ジクサー250のスポーティなエンジンフィーリングはツーリングの酸いも甘いも経験してきたベテランライダーにもおすすめ!ラジアルタイヤがベテランライダーのファンライドをサポートしてくれます。
ジクサー250のスペックを比較:まとめ
スズキは中小企業意識が強く、ニッチなニーズに応えようとする印象を受けます。個性的なバイクメーカーといわれがちですが、実はそうでもありません。バイクを使う目的を絞り、必要なスペックはてんこ盛り、不必要なスペックは大胆に削ぎ落す、それがスズキ車の特徴。スズキはジクサー250に平均的なスペックとかっこいいデザインを与えました。「より多くの人にバイク本来の楽しさを知ってほしい」スズキはジクサー250にそんな思いを込めたと考えられます。
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スズキ ジクサー250