日焼けの仕方が違うのはなぜ?
太陽の光で日に焼けると、人によっては赤くなる人やすぐ黒くなる人など日焼けの仕方が異なります。同じように太陽の光を浴びているはずなのになぜ日焼けの仕方に違いが生まれるのでしょうか。その理由は肌が持つ防御作用の違いが鍵となっています。なぜ日焼けの仕方が変わるのか、肌の特徴や日焼けの理由を見ていきましょう。
日焼けが起こるメカニズムと順序
日焼けってどうやって起きるの?
日焼けとは、紫外線が肌に当たって皮膚にメラニンという成分が分泌されるという理由で起こります。メラニンは茶色い色素を発生させ、その色素が肌に沈着して「日に焼けた状態」が生まれるのです。しかし、実際にどのような流れで皮膚に影響を及ぼし日焼けが発生するのでしょうか。赤くなるケースと黒くなるケースの違いを学ぶ前に、太陽に当たってから肌が黒くなるまでの流れを簡単に確認しましょう。
日焼けから半日~1日後:サンバーンが発生する
紫外線が肌に当たると、その後半日から1日程度で肌が赤くなります。これはサンバーンと呼ばれ、肌の細胞が傷つけられ炎症になっている時期を指します。
日焼けから2~3日後:サンバーンが治まる
軽度のサンバーンは遅くても2~3日程度で収まります。一度炎症が治まった時は肌が元の色に戻ったように見えますが、すでに皮膚の中でメラニンの分泌が始まっています。
日焼けから3~7日後:サンタンが発生する
その後、数日してからサンタンという肌が黒くなる症状が始まります。サンタンはメラニンが分泌する際に生まれた色素が肌に沈着する症状の名称で、ある程度茶色くなるとそのまま定着し、日焼けの程度やターンオーバーの頻度によって数か月から1年程度その状態が続きます。
日焼けを起こす紫外線は種類が違う
日光に含まれる紫外線は3種類
肌にメラニンを分泌させる理由である紫外線には3種類のタイプがあり、それぞれ肌にもたらす影響が異なります。天然の日光では全種類を受けてしまいますが、日焼けサロンでは種類を変えることで「赤くならずに黒くなる」のも選べます。それでは、どの紫外線にどんな効果があるのか解説します。
皮膚の表皮に届くUVB(紫外線B波)
UVBは紫外線の約5%程度の微量な種類ですが、強い力を持っています。波長が短い分肌の表面までしか届きませんが、強い力で表皮に刺激を与えるのでUVBを大量に浴びると赤くなる「サンバーン」が起きやすく、皮膚の表面を傷める原因となります。
皮膚の真皮に届くUVA(紫外線A波)
UVAは地表に届く紫外線のおよそ9割以上を占めている種類です。力が弱い紫外線なのでUVAによって赤くなる日焼けが起きることはほとんどありませんが、浸透力が非常に高く、窓や雲を通り抜けて地表に届きやすい特徴があります。また、UVAは皮膚の真皮層まで届く紫外線です。真皮層にコラーゲンやヒアルロン酸を生み出す繊維芽細胞が存在し、UVAはその細胞を傷つけてしまうのです。
地上には届かないUVC(紫外線C波)
UVCは日光に含まれる紫外線ですが、オゾン層で全て遮断され地表に届かない紫外線です。殺菌灯などで使用されていて日焼けには直接関係ありませんが、豆知識として覚えておくと話のネタになるでしょう。
日本人の中にも日焼けの違いがある
日本人の日焼けタイプは3つ
日本皮膚学会では紫外線の反応によって1~6というフォトスキンタイプを設定しています。その中で日本人のほとんどを占めているのが1~3タイプです。日本人に多いレベルについての特徴と日本人の中での割合を解説するので自身がどのレベルに当てはまるのかチェックしましょう。
赤くなるがあまり黒くならないタイプ
フォトスキンタイプ1はもっとも紫外線に対する反応が強いタイプを指します。紫外線が肌に当たると常に赤くなり、その後サンタンが起こることはほぼありません。日本人ではおよそ15%~20%程度がこのタイプに該当し、割合的に日本人全体でもあまり多くはないことが分かります。
赤くなるし少し黒くなるタイプ
フォトスキンタイプ2は1よりもやや紫外線に対する反応が弱いタイプで、日本人の60%~70%がこのタイプに該当しています。紫外線によってサンバーンが発生し、その後サンタンによって茶色からやや濃いめの茶色程度まで色が黒くなります。割合でも分かる通り、日本人の中では最も多いタイプに該当します。
赤くならないがとても黒くなるタイプ
フォトスキンタイプ3はサンバーンがほとんど起こらず、肌が赤くなる前にすぐに黒くなるタイプです。日本人の約15%がこのタイプに該当し、タイプ2の人よりも肌の色が強く焼けることが特徴です。日本人には比較的少ないタイプですが、南の地域出身の人に比較的多く見られます。
日焼けで黒くなる人はメラミンが多い
メラミンは紫外線の侵入を防ぐ物質
肌のメラニンが多い人は日焼けで肌が黒くなる率が高くなります。メラニンは紫外線が皮膚の奥まで届かないように防御する細胞です。メラニンが紫外線を吸収することでその奥の真皮に届かず、シミやたるみ、皮膚の病気の予防に繋がるのです。このメラニンは紫外線を吸収すると色素を生成します。それが、肌が茶色く染まり、「日焼け」という現象が起こる理由です。そのため、メラニンが多い人の方が肌が黒くなりやすい傾向にあります。
色黒な人の方がメラミン生成が多い
では、どのようなタイプの人がメラニンを多く持っているかですがずばり、「生まれつき肌の色が濃い人」はメラニンの量も多い傾向にあります。メラニンが多い肌の色が濃い人は、日に焼けると赤くならずにすぐに黒くなってしまいます。色白になりたい人にとっては嫌な特徴だと思いますが、真皮にダメージが届かない分シミができにくいというメリットもあります。
日焼けで赤くなる人はメラミンが少ない
メラミンが少ないと肌を火傷する
日焼けで肌が赤くなるのはメラニン量が少なく、表皮の下まで紫外線が侵入している状態です。つまり、肌が赤くなるのは限りなく「火傷」に近い症状なのです。赤くなることで痛みや痒みがあるのは肌のダメージサインだと考えましょう。
色白の人ほど赤くなる率が高い
生まれつき色白の人は皮膚のメラニンが少なく、紫外線が皮膚の奥まで届きやすい体質をしています。そのため、皮膚細胞が傷つき赤くなりやすいのです。また、メラニンが少ないと色素の生成も少ないので「赤くなるけれど黒くならない」という現象が起こる理由でもあります。
日焼けで赤くなる人は肌の老化に注意!
赤くなる日焼けはダメージを蓄積しやすい
赤くなる日焼けでは、皮膚を生み出す真皮層が損傷を受けます。色素の沈着が少ないので、炎症が治ると肌の色も元に戻りダメージを受けていないような感覚になりますが、真皮には紫外線によるダメージが蓄積されています。そのまま放置してしまうと、やがてダメージがシミやたるみ、シワなど様々な肌のトラブルを生み出す理由になるのです。
日焼け後の対処法が美肌の秘訣
では、赤くなる日焼けのダメージを最小限に抑えるにはどうしたらいいのでしょう。ポイントは紫外線を浴びた後のアフターケアにあります。肌のトラブルを起こさず美肌をキープするために、日焼けで肌が赤くなった時に欠かせない対処法を紹介します。
日焼けで赤くなる人の対処法①冷やす
冷水や保冷剤で赤い部分を冷やそう
紫外線を浴びると肌が赤くなる人は、赤くなった所をよく冷やして下さい。皮膚に紫外線の刺激による炎症を起きているので、まずはその炎症を抑える必要があるのです。冷水で絞ったタオルや保冷剤をタオルで包んだものを優しく押し当てるようにして下さい。
水風呂・シャワーも効果的
赤くなる日焼けが広範囲に渡る場合は水風呂や水シャワーも効果的です。突然冷たい水を浴びると心臓に悪いので、水に近いぬるま湯から徐々に温度を下げていきましょう。温かいお湯は炎症を悪化させるので絶対に避けて下さい。
日焼けで赤くなる人の対処法②保湿する
赤みがひいたらスキンケア
赤くなる日焼けは皮膚を傷つけ、水分を奪っているのでくすみやシミなどの肌トラブルや肌の老化を促進します。日に焼けた後は丁寧な保湿ケアを行なって肌の修復スピードを早めましょう。ただし、保湿は十分に冷やして火照りが取れてからにして下さい。
低刺激タイプの基礎化粧品を使うこと
保湿ケアに使うのは低刺激のスキンケア用品にして下さい。特に暑い時期には清涼感があるクールタイプの化粧水や乳液も多いですが、これらの成分は傷ついた皮膚にさらに刺激を与えてしまうのです。日焼けのケアを行う時には、成分が優しく、テクスチャも滑らかなタイプを選びましょう。
日焼けで赤くなる人の対処法③水分補給
赤くなる火傷は脱水にも注意
赤くなるレベルの日焼けはその熱によって体内の水分も奪っています。水分が足りないと皮膚が痛むだけではなく、熱中症や熱射病など命に関わる症状が起こる恐れもあるので水分補給は必ず行いましょう。また、レジャーなどで屋外にいる時はこまめに水分を摂取しておいた方が安全です。
経口補水液やスポーツドリンクがおすすめ
人の体内にある水分はミネラルや糖分が適度に混ざっています。ただの水を摂取するとそのバランスが崩れて体調を崩す恐れがあるので、水分補給には経口補水液やスポーツドリンクを選びましょう。脱水症状が治ったら普通の水やお茶でも構いませんが、利尿作用があるカフェインが含まれたドリンクは避けて下さい。
日焼けで赤くなる人の対処法③睡眠を取る
肌の新陳代謝でダメージ軽減
日焼け後は早寝早起きを心がけて、体内の成長ホルモンを沢山分泌させましょう。良質な睡眠は体内の疲労を取るだけではなく、成長ホルモンによって新陳代謝を活発にし、肌のターンオーバーも促進させます。このターンオーバーこそ、肌が受けたダメージを最小限にする重要な鍵なのです。
良質な睡眠でターンオーバーを促そう
ターンオーバーとは肌の表面が生まれ変わる過程を表し、日焼けによって生まれたメラミンはターンオーバーによって少しずつ無くなっていきます。傷ついた肌はターンオーバーの時期が崩れるので放っておくとメラミンが皮膚に留まる時間を長引かせてしまいます。美しい肌を取り戻すには、ターンオーバーのサイクルを安定させることが大切なのです。
日焼けのダメージは内側からもケアできる
日焼けのケアに効果的な栄養素とは
赤くなる日焼けには、身体の内側からのケアも欠かせません。肌の修復を促し、メラミンの生成を抑制する効果がある栄養素を積極的に取ってインナーケアでお肌の美しさを取り戻しましょう。
日焼けから肌を守る栄養素①ビタミン類
日焼けのダメージを修復するにはビタミン類の摂取が重要です。身体の必要なビタミンの中でも、肌や皮膚に良い栄養素は3つあります。それぞれのビタミンについて、効果がある理由や多く含まれる食べ物を解説するので、毎日の食事に取り入れて下さい。
ビタミンA
ビタミンAは粘膜や皮膚の細胞を守る作用を持っています。さらに、抗酸化作用が強いので、紫外線による肌の老化を防ぎ瑞々しいハリを取り戻し、シミの予防にも繋がります。ビタミンAは緑黄色野菜に多く含まれているので、日焼け後はたくさんの野菜を食事に取り入れて下さい。
ビタミンC
ビタミンCには、シミの原因となるメラミンの生成を抑制する効果があります。サンタンが始まる前にビタミンCをたくさん摂取しておけばメラミンの過剰分泌が抑えられ黒くなる度合いを減らしたり、シミやくすみの予防ができたりとスキンケアにビタミンCは欠かせない栄養素です。ビタミンCは果物類に多く含まれています。
ビタミンE
ビタミンEは抗酸化作用がとても強く、日焼けによる皮膚細胞の酸化を抑制できます。ビタミンEはビタミンCと一緒に摂取することで効果を強く発揮するので食べ合わせも意識しましょう。また、ビタミンEには肌のターンオーバーに欠かせない新鮮な血液を運ぶ血流を良くする効果も期待できます。
日焼けから肌を守る栄養素②タンパク質
傷んだ肌の下で新しい皮膚が作られるためには、材料となる良質なタンパク質が必要です。タンパク質は身体の組織や筋肉を作る重要な栄養素。日焼け後には肉や野菜、大豆製品を積極的に取ってタンパク質を摂取しましょう。
赤くなる人も黒くなる人もアフターケアを!
赤くなる方がダメージが大きいけれど…
赤くなる日焼けはメラミンの生成が少ないために起こります。つまり、肌の防御能力が低いということなので黒くなるよりも赤くなる方がシミや肌の損傷などのトラブルが起こるリスクは大きいと考えられます。しかし、「肌がダメージを受ける」という点において双方に違いはありません。
黒くなる日焼けはクスミや肌荒れを招く
黒くなる場合も赤くなる時と同様に、紫外線によって肌は傷ついています。ヒリヒリとした痛みや痒みが少ないと炎症が起きている感覚がなく、ついアフターケアを疎かにしがちですが、そのまま放置していては肌細胞の修復が遅れくすみや肌荒れの原因となってしまうのです。
どちらの場合もアフターケアで肌を守ろう
どんな日の焼け方をしても、大切なのは対処法を正しく行うことです。日に焼ける理由を知ることも重要ですが、人は日光を浴びずに生きることはできません。赤くなる場合も黒くなる場合も、適切なアフターケアを行えば炎症やシミを始めとした様々なトラブルから肌を守れるでしょう。
日焼けしないための対処法も忘れずに!
日焼け止めでUVカット
日焼けやシミを防ぐには、日に焼ける前の対処法も大切です。紫外線を浴びるシーンでは必ず日焼け止めを塗って紫外線対策を徹底しましょう。日焼け止めにはSPF/PAという指標で表された効果の強さがあるので、各製品の違いをチェックしてシーズンや場面に合ったタイプを選びましょう。また、汗や衣服との擦れで落ちてしまうこともあるので、こまめな塗り直しを忘れないようにして下さい。
外出時間で紫外線を防ぐ
外出時間を調節するのもおすすめの日焼け対処法です。理由は日光に含まれる紫外線量です。時間帯によって日光の紫外線含有量には違いがあるのです。日光に最も紫外線が多く含まれるのは朝10時から昼15時前後です。お出かけの際には、この時間帯に屋外の出るスケジュールを避ければ、日に焼ける心配も減るでしょう。
日焼けのタイプに合ったケアをしよう
自身の日焼けタイプを見極めよう
日焼けには、日に当たると肌が炎症を起こし赤くなるタイプやすぐに黒くなるタイプがあり、それは人によって程度や具合も全く違います。日焼け後やシミが残りにくい正しい対処法を知るには、まず自身の日焼けタイプを見極めることが重要です。
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