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ソーラーパネルの寿命とは?経年劣化を予防して寿命を伸ばす方法をご紹介!

ソーラーパネルを家の屋根に設置して発電する太陽光発電は一般家庭で出来る安心確実な投資です。太陽光発電について採算を意識しながら多面的に解説します。後半では投資の採算上重要なソーラーパネルの寿命と経年劣化について説明し、劣化を予防して寿命を延ばす方法を考えます。
2020年8月28日
aakm.yamada
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太陽光発電について

Photo by272447

太陽光発電とは太陽光のエネルギーを利用して発電することです。太陽光発電は1958年に米国が打ち上げた人工衛星の電源としてわれ使われたのが世界初ですが、現在では世界中で実用化されています。火力、水力、原子力による発電に比べて高コストですが、化石燃料を使わずCO2も発生せず放射能汚染の心配がないことから、世界各国で太陽光発電の普及政策がとられ着実にその割合が増えてきています。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)

太陽光発電普及に貢献したのが固定価格買取制度(FIT/Feed-in Tariff)です。この制度はイギリスやドイツなどで先行して始まった制度ですが、日本においても2009年にスタートしています。再生可能エネルギーで発電したコストの高い電気を電力会社が一定の売電価格で一定期間(売電期間)買い取ることを国が約束する制度です。日本でも再生可能エネルギーに属する太陽光を利用した太陽光発電の成長に大きく寄与してきました。

FITは住宅用と産業用で区分

FITの売電価格や売電期間は家庭用と産業用で区分されています。住宅用と産業用の区分は設備の発電量のみで決められます。すなわち、10KW以上が産業用、10KW未満が住宅用とされています。大きな住宅に取り付ける場合などは10KW以上にならないように注意する必要があります。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、いくら利用しても尽きることがなく自然に再生されるエネルギーという意味で、具体的には太陽光、太陽熱、水力、風力、地熱、波力、バイオマスなどのことです。

住宅用太陽光発電を取り巻く環境

日本の住宅用太陽光発電の売電価格は、2009年のFITスタート時には48円/kWhでした。その後徐々に下がってきて2020年度には21円/kWhになっていますが、売電期間の10年間はこの21円/kWhが維持されます。売電価格はFIT開始から落ちる傾向が続いてスタート時の半分以下になっていますが、この売電価格はその都度計算されて投資費用が回収できるように決められています。従って、売電価格が半分に落ちるということは太陽光発電の投資額も半分程度に落ちている筈なのです。

住宅用太陽光発電の導入費用

住宅用太陽光発電の導入費用(設備費と取付工事費用の合計)は2011年1KWあたり約47万円、2019年には約25万円です。住宅太陽光発電の平均的な設備は当初は4.5KWでしたので、投資総額は2011年には211万円(4.5×47)必要でした。同じ規模で2019年に設備すると112万円(4.5×25)と安くなってきています。今は太陽光発電を始めやすくなっている、とも言えるのです。

10年間の売電期間が終了する卒FIT後

今、太陽光発電を導入する場合に考えておくべきは「10年間のFIT売電期間が終った」時です。その時の売電価格は今よりかなり落ちるでしょうし、買い取ってくれないかもしれません。もっとも常識的な対策は、自家で発電した電気をすべて自家消費に回すことです。そのためには蓄電器を導入することが必須です。今後は、売電価格の動向、蓄電器の価格動向、エコキュート、オール電化などに関心を持つと良いでしょう。

太陽光発電のシステムについて

太陽光発電の仕組みと構造

太陽光発電は、半導体に光を当てると電気が発生する「光電効果」で行われます。発電の基になるソーラーパネルはモジュールと呼ばれる四角の板状のものを何枚も繋げたものです。モジュールはセルと呼ばれる最小単位の太陽電池を板状につなげたもので、セルはn型、p型の2種類のシリコン半導体を重ね合わせた構造をしています。

太陽光発電の構成

住宅用太陽光発電の場合に必要な設備部材について説明します。ソーラーパネル、パワコン(パワーコンディショナー)、専用の分電盤、電力メーターの4種類になります。家の屋根に設置されたソーラーパネルで発電された電気は直流ですので家庭で使用できる交流にパワコンで変換します。交流化された電気は専用の分電盤に接続すれば自家で利用できます。分電盤には電力メーター/スマートメーターをつなぎ電力会社へ売る売電量と電力会社から買う買電量を計測します。

住宅用太陽光発電のメリット

電気代の削減

住宅に太陽光発電を採用することで得られるメリットはいろいろありますが、主なもの3点についてご紹介します。1番目は毎月支払っている電気代を安することができることです。昼間の電気が高くて夜が安い電気料金プランを使えば、節約効果がさらに大きくなります。但し、太陽光発電を利用できるのは昼間だけで、それ以外の時間帯は電力会社からの電気を使いますので電気代をゼロにすることは出来ません。


売電収入が得られる

発電された電気のうち自家消費できなかった分は電力会社に売って収入が得られます。太陽光発電開始から10年間の売電期間はFIT売電価格が維持されますので安定した収入が得られます。家庭用太陽光発電では、自家消費分と売電分の割合は平均的には3:7程度ですので、太陽光発電で得られる経済的メリットの主要部分は売電収入ということになります(FIT売電期間中について)。

停電時でも電気が使える

太陽光発電ではパワーコンの自立運転機能という機能を使うことで、停電時でも電気を使うことができます。自立運転時はパワーコンの側面についているコンセントに延長コードを差し込んで電気を取り出し、電気器具と接続して使うことになります。使える電力の上限は1500KWです。なお、太陽光が利用できて発電可能な時に使える訳で夜間や雨の日などには使えません。

住宅用太陽光発電の投資効果は?

FIT売電価格が下がってきている今(2020年度)家庭用太陽光発電を導入した場合に利益が見込めるのか検討してみます。設備規模は2019年の平均を採って6.24KWとします。設備の設置費用は全てを含めて1KWあたり25万円とします。売電価格は21円/KWhで売電期間の10年間は変わりません。電力会社から買う電気の価格は27円とし、今後10年間は変わらないと仮定します。以上の条件で、10年間の合計収支を計算してみます。

10年間でのトータル収支

ここでは、太陽光発電の設備6.24KWで平均の年間発電量は、雨や雪が特別に多くない地方で、10年の間の発電効率の経年劣化も見込んで6,800kWh/年とします(1日あたり18.63KWh、18.63/6.24=2.98時間/日)となります)。発電した電気の使われ方は、住宅用太陽光発電での平均的な姿から、自家消費に30%を使用し残り70%をFIT価格で売電するものとします。電力単価は上にあげた買単価は27円/KWh、売単価は21円/KWhを使います。

FIT売電期間の10年間での収益と初期投資額の計算

電気代節減額:6,800×0.3×27×10=550,800円
売電額:6,800×0.7×21×10=999,600円
(合計):1550,400円
初期投資額:250,000×6.24=1560,000

投資の回収までの期間

この計算では10年間のFIT売電期間でほぼ初期投資額が回収できることになります。夜間の電気が安くて昼間が高いプランが選べる場合はこのプランに切り替えると、この計算よりも有利になります。

他の採算計算は

太陽光発電の投資を扱ったサイトをいろいろ調べてみると、発電開始後の売電期間の8年~10年の間で回収できる、としているところが多かったです。

太陽光発電設備の耐用年数(寿命)

設備の耐用年数(寿命)は10年以上あることが前提

上の投資効果の検討ではFIT売電期間の10年間で初期投資が回収できる、となりましたが設置した設備の耐用年数(寿命)が10年以上なければこの検討は意味がありません。そこで設備の耐用年数(寿命)についてみていきます。まず太陽光発電設備について法定耐用年数17年という数字がありますが、これは減価償却費計算などのために国税庁が法律で定めたものです。実績がない時点に専門家が推定して決められた目安程度の数字です。これからメインの装置のソーラーパネルとパワコンの実際の耐用年数(寿命)を検討していきます。

ソーラーパネルの耐用年数(寿命)

現時点で総合的に判断したソーラーパネルの耐用年数(寿命)は20年~30年とされています。FIT初年度が2009年ですのでソーラーパネルの耐用年数(寿命)に関する実績データはまだありません。一方で多くのメーカーがソーラーパネルの出力保証期間を25年としています。また、1984年設置の京セラ製、1983年設置のシャープ製のソーラーパネルが現在まで30年以上も安定稼働している事実から、現在の進んだ技術で製造されたソーラーパネルなら、35年以上の耐用年数(寿命)があると思われます。この記事では安全サイドをとって25年としておきます。

パワコンの耐用年数(寿命)

パワコンの耐用年数(寿命)は一般的に10年~15年といわれています。10年目で点検や手入れをはじめ15年で交換を考える、というのが標準とされていました。しかし最近ではパワコンの保証期間を15年に設定しているメーカーが増えていますので実際の寿命は15年ー20年と考えられます。ここではパワコンの耐用年数(寿命)は15年としておきます。なお、住宅用の標準的なパワコンの交換費用は20万円程度です。

ソーラーパネルの発電効率

太陽光発電の投資効果を考えるうえで、設備の寿命とともに重要なのがソーラーパネルの発電効率です。設備した時の発電効率と同時に長年使用している間に発電効率が落ちる経年劣化についても考慮しなければなりません。まずはソーラーパネルの発電効率について説明します。経年劣化については次項以降で解説します。


ソーラーパネルの発電効率(変換効率)

ソーラーパネルの発電効率とはソーラーパネルがどれくらいの太陽光エネルギーを受けて、どれくらいの電気エネルギーを生み出すか/変換できるかということですから変換効率とも言います。太陽光と電気を同じエネルギー単位に置き換えると変換効率が%で表示ができますが、15%~20%といった程度です。ほかの発電装置での変換効率に比べると%自体は低いのですが、無限に存在するクリーンで無償の太陽光エネルギーを利用することに大きな意味があります。

ソーラーパネルの発電効率(変換効率)に2種類

「変換効率」には、1枚のソーラーパネル単位で測定した「モジュール変換効率」とソーラーパネルを構成する最小単位のセル1枚単位で測定した「セル変換効率」とがあります。「セル変換効率」には何のロスも入ってきませんので、数字は高くなります。性能向上などの研究の分野でよく使われます。ソーラーパネルのユーザーの立場では効率が低い方の「モジュール変換効率」を重視すべきです。

ソーラーパネルの寿命と経年劣化

経年劣化とは設備なり装置が長年使用されていく経過の中で次第にその能力や性能などが落ちることを言います。ソーラーパネルにも経年劣化はあります。ソーラーパネルの寿命は20年~30年と長いですから、長年使用している間に物理的な破損や損傷がなくても発電量は落ちるのが通常です。産業技術総合研究所の実証実験の結果などから、1年目の発電量実績を100として、10年目には95~85、20年目には90~80程度まで落ちるといわれています。

ソーラーパネル素材の種類

ソーラーパネルの素材は何種類かありますが、素材による経年劣化の差があります。したがって、太陽光発電のソーラーパネルを選定する場合には、ソーラーパネルの価格や寿命、発電効率のほかに経年劣化も考慮する必要があります。ソーラーパネルの素材を大きく分類すると、シリコン系、化合物系、有機系になります。住宅用のソーラーパネルで最も多く使用されているのがシリコン系で約8割を占めます。化合物系が残り2割を占めます。有機系は開発中の段階で住宅用にはまだ採用されていません。

ソーラーパネル素材の種類をさらに細分化すると

シリコン系は単結晶、多結晶、アモルファスに分けられますが、別に単結晶とアモルファスを組み合わせたハイブリッド型のHITと呼ばれるタイプもあります。化合物系にはCIS、CIGS、CdTeなどがあり、CISは「Cu(銅)、In(インジウム)、Se(セレン)」の3元素から構成される化合物です。CIGSこれにGa(ガリウム)をくわえたもの、CdTeはCd(カドミウム)とTe(テルル)を主原料とします。

ソーラーパネル種類別の特徴

上で紹介したソーラーパネルの種類別に発電効率や経年劣化などの特徴についてご紹介していきます。

単結晶シリコン(変換効率、経年劣化/寿命など)

単結晶ソーラーパネルでは結晶が規則正しく並んでいて光エネルギーを均等に吸収できるためソーラーパネルの変換効率は高く20%あります。1年目に比べた5年目の経年劣化率は3.6%です。シリコンの使用量が多く、設備費は高めになり、KW当たり24.5万円です。住宅用ソーラーパネルで最も多く使用されています。

多結晶シリコン(変換効率、経年劣化/寿命など)

多結晶ソーラ-パネルは単結晶ソーラーパネル用のシリコンを削り出した際の端材を使用しており、結晶は規則的な配列にならずランダムで変換効率は15%程度と落ちる。5年目劣化率は2.6%と良く、多結晶ソーラーパネルでは単結晶型よりも格安なシリコン材料を使用しているためその分コストも安く、産業用太陽光発電での需要が一番多いソーラーパネルです。

アモルファスシリコン(変換効率、経年劣化/寿命など)

アモルファスシリコンとは規則正しい結晶構造を持たない(アモルファス=非晶質=)シリコンのことでガラスなどの基板にガス状にシリコンを吹き付けて薄い膜を作って作られます。シリコンの使用量が少ないため価格が安く、薄膜化も可能です。アモルファスパネルの変換効率は10%程度とひくく、5年目劣化率は5.7%と高いが、シリコンの使用量が少ないため価格は安いです。

HIT(変換効率、経年劣化/寿命など)

単結晶シリコンとアモルファスの良い点を組み合わせたハイブリッド型のソーラーパネルです。変換効率19.5%で、5年目劣化率は2.0%です。日本でのメーカーはパナソニック1社のみです。設備費はKWあたり22.4万円。

CIS(変換効率、経年劣化/寿命など)

CISは銅、インジウム、セレンを原料に使用した化合物半導体を発電層に使ったソーラーパネルです。変換効率は15%程度ですが、5年目劣化率は1.5%と低い。変換効率委は使用開始時から上昇し、2年目にピークを迎え以降は経年劣化で落ちるという特異な経過を示し、表面上の効率よりも高い実発電量がえられます。シリコンを使わず、量産にも向いているため、低コスト化が期待されます。

有機系(変換効率など)

有機化合物を使用したソーラーパネルで「低コスト」「軽くて薄い」「柔らかく曲げられる」などの特徴がありますが、変換効率は10%程度と低い。有機系ソーラーパネルはまだ普及段階には来ていませんが、その優れた特徴を生かすべく研究、開発が進められています。


ソーラーパネルの経年劣化を防ぎ寿命を延ばそう

住宅にソーラーパネルを設置すると通常は10年程度で投資分が回収できます。そのあとに得られるメリットは全て利益です。その利益を最大にするにはソーラーパネルの経年劣化を予防して寿命を延ばすことが最重要です。ソーラーパネルの経年劣化は台風などによる大きな破損から、ソーラーパネル内部配線の腐食や断線、あるいはソーラーパネル表面の汚れや変色などによって生じます。経年劣化を予防し、ソーラーパネル寿命を延ばすための具体策を次項から考えていきます。

ソーラーパネルの経年劣化予防と長寿命化.1

劣化しにくい素材の選定

ソーラーパネルの経年劣化を予防して寿命を延ばすことに重点を置く場合は、ソーラーパネルを設置する際に最も経年劣化に強い種類のソーラーパネルを選定するという考え方があります。前項のソーラーパネル素材別説明で設置後5年目の経年劣化率が判りますので参考にしましょう。一方で住宅が日本列島のどの地域にあるか、住宅の近隣の状況がどうかで、適するソーラーパネル種類が限定されたり、また近隣の利用できる施工会社によっても限定されるかもしれません。選択できる範囲の中で、長期的な採算性も考えながら劣化しにくい種類のソーラーパネルを選定しましょう。

ソーラーパネルの経年劣化予防と長寿命化.2

ソーラーパネルのメンテナンス

ソーラーパネル自体の経年劣化によって発電効率が落ちるのはどうにもなりませんが、外的な原因による破損や経年劣化は定期的に点検し、メンテナンスを行うことによって予防することができます。メーカーか設置業者にお願いして定期的に予防点検、予防メンテナンスを行いましょう。2017年4月に施行された改正FIT法では、太陽光発電システムの4年ごとの定期予防メンテナンスを義務付けていますので、この周期で計画しましょう。

寿命を延すためのメンテナンス費用と自己点検は?

定期的な予防点検費用は1回につき1~2万円程度とされていますが、メーカーや設置業者が無償で定期的に実施してくれる場合もあります。契約の際には良く確認しましょう。点検周期、点検費用と点検で不良部分が見つかった場合のメンテ費用などがどうなっているかなど。なお、費用節減で自分で点検のために屋根に上ることはやめましょう。屋根から落ちる危険もありますし、ソーラーパネルを破損させてしまう恐れもあります。自己点検は台風、豪雨などの際に下から目視で異常が起きていないか点検したり、モニターで毎日の発電量を見て「晴天なのに発電量が落ちる」などの現象が起きていないか確認する程度にしましょう。

ソーラーパネルの経年劣化予防と長寿命化.3

施工業者選び

太陽光発電は長期間使い続けるものですから、施工会社を選ぶときは価格だけでなく、設置後のことも考えて、信頼性の高い施工会社を選ぶようにしましょう。工事費が極端に安い業者では資格のない技術者や素人同然のアルバイトが工事を施工し、雨漏りを生じたり、最悪の場合はねじゆるみから発火したり、といったトラブルも実際に起きています。適正な価格で適正な施工をしてくれる業者を選ぶという考え方で、施工業者のHPを調べたり、口コミサイトを調べたりして情報を集めるようにしましょう。

おわりに

ここまでお読みいただき有り難うございました。いかがでしたか?
一般住宅へ太陽光発電の設備を設置する場合を想定して、太陽光発電とソーラーパネルについていろいろ解説してきました。今なら6.24KWの太陽光発電設備を200万円以下の投資で導入できます。10年後には蓄電池を導入し、オール電化を目指しているかもしれませんね。

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