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はじめに
まるで水の中を漂う金魚のようなひらひらとした花がかわいらしいキンギョソウ。ガーデニングにも最適で、ご家庭で栽培してみたいと考えている方も多いでしょう。そしてせっかく植えるのならば、きちんと手入れして、きれいな花をたくさん咲かせたいものですよね。そこで今回は、キンギョソウの基本情報から種まき、植え替え、剪定、切り戻しの方法まで、キンギョソウをうまく咲かせるための育て方をご紹介します。
キンギョソウとは?①
分類
名称 | キンギョソウ(金魚草) |
学名 | Antirrhinum majus |
英名 | Snapdragon(スナップドラゴン) |
分類 | オオバコ科キンギョソウ属(ゴマノハグサ科とされる場合もある) |
原産 | 地中海沿岸地域、北アフリカ |
ふわふわと波打つような形状の花びらと、鮮やかな色合いが金魚のように見えることから名前が付けられたキンギョソウ。もともとは地中海沿岸の温かい場所を原産とする植物ですが、江戸時代に日本に伝わったとされています。キンギョソウの英語名は、Snapdragon(スナップドラゴン)。日本では金魚にたとえられる花ですが、欧米では「かみつくドラゴン」という名前が付けられています。
花の基本データ
開花時期 | 4~6月 |
植物タイプ | 多年草(日本の気候では一年草として扱われるケースが多い) |
草丈 | 20~120センチメートル |
花の色 | 白、赤、黄、薄紫、ピンク、オレンジ、複色など |
キンギョソウの一般的な開花時期は4~6月ごろです。ただし、現在は園芸用の品種改良が進められ、四季咲き性(一年を通して断続的に花をつける)の品種も出回っています。もともと多年草に分類される植物ですが、湿度の高い環境に弱く日本の夏に適応しにくいため、日本では一年草として栽培されることが多いです。
キンギョソウとは?②
ガーデニング、栽培にぴったり
カラーバリエーションが豊富で、環境の変化に強いキンギョソウは、家庭でのガーデニング、栽培用に高い人気を誇る植物です。春先から夏前までの数か月間、続々と咲く鮮やかな花を楽しめます。育て方をおさえていれば初心者でも栽培しやすいことも魅力のひとつです。
花言葉
キンギョソウの花言葉は、「おしゃべり」や「おせっかい」、「でしゃばり」など。ひらひらとした花の姿が、金魚が口をパクパクさせる様子に似ていることに由来するといわれます。あまりよい意味を持つ花言葉ではないので、とくに切り花を女性に贈る場合は誤解を生まないよう注意したいですね。
キンギョソウの育て方①栽培する時期
温暖地域での栽培時期
西日本や太平洋側の温暖な地域では、9~10月ごろに種まきをするとよいでしょう。キンギョソウの発芽適温は20度前後です。発芽して本葉が7~8枚程度ついてきたら、10~11月上旬を目安に地面または植木鉢に植え付けます。キンギョソウは、比較的耐寒性のある植物ではありますが、とくに植え替えたばかりの時期は霜に当たらないよう注意しましょう。
寒冷地域での栽培時期
冬場の最低気温が-10度程度まで下がることがあるような寒冷地域では、冬の時期が過ぎるのを待って3~4月ごろから種まきを始めます。こちらも、4~5月ごろに本葉が7~8枚ついてきたタイミングで地面または植木鉢に植え付けましょう。キンギョソウの開花時期は4~6月と冒頭でご紹介しましたが、寒冷地では6月下旬以降に咲き始める場合もあります。
苗を購入することもできる!
キンギョソウは種からも育てられますが、園芸店で苗を購入することも可能です。苗の状態で購入するメリットは、種から育てて手入れする手間と時間を省けることや、実際の花の色を見ながらどの株を買うか選べることでしょう。ただし、複数の株を購入する場合は、種から育てる場合に比べて費用がかかる点がデメリットとなります。
キンギョソウの育て方②栽培する場所
キンギョソウをご家庭で栽培する場合、必ず「水はけがよく、日光のよく当たる場所」を選びましょう。キンギョソウは、栽培の難易度が低く、失敗しにくい品種ではありますが、多湿な場所や日当たりの悪い場所に置くと枯れる原因になってしまいます。
キンギョソウの育て方③種まき
種まきに適した土
キンギョソウは、それほど土壌の質を選ばず、育ちやすい植物です。園芸店などで販売されている、草花用の培養土をそのまま使用して植えられます。土にもこだわりたいという場合は、赤玉土:腐葉土:川砂=6:3:1程度の割合で混ぜて土を作りましょう。
種まきの方法
種まきをするときは、地面や植木鉢に直接まくのではなく、はじめは育苗ポットやセルトレーに土を入れてまきます。キンギョソウの種は好光性(光に当たることで発芽する)のため、種を土で覆う必要はありません。種まきが終わったら、日当たりのよい場所に置いて発芽を待ちましょう。ひとつのポットに2~3粒の種をまいておき、芽が出たら1ポットあたり芽が1本になるように間引きます。
キンギョソウの育て方④苗の植え付け
植え付けのタイミング
種まきした芽に本葉が7~8枚程度ついてきた、または園芸店でキンギョソウの苗を購入したら、次に苗を地面または植木鉢に植え付けましょう。植え替えの時期は、先ほど「キンギョソウの育て方①」の章でも触れたとおり、温暖地域なら10~11月ごろ、寒冷地域なら4~5月ごろが最適です。
植え付けの方法
苗の準備ができたら、さっそく植え付けを始めましょう。苗は、根鉢(育苗ポットの中で、根と土が固まったもの)を崩さないようにポットから取り出します。次に、植え替える場所の土には、1株当たり20センチメートル程度の間隔を保って、根鉢がすっぽりと隠れるくらいの深さの穴を掘りましょう。穴の中に苗を植え替えたら、植え付けの作業は完了です。このとき苗は深く植えすぎず、根鉢がぎりぎり土に隠れるくらいにしましょう。
植え付けが終わったら
植え付けが終わったら、鉢植えの場合は必ず日当たりのよい場所に置きます。秋に植え替えた場合は、念のため霜よけの対策をしたり、霜が当たらない場所に置くなどの工夫をするとよいでしょう。あとは、日ごろの手入れをこまめにしつつ、成長を待ちます。
キンギョソウの手入れ①水やり、肥料
水やり
キンギョソウは乾燥に強く、多湿でじめじめした場所を嫌います。土は常に乾燥気味の状態を保ち、乾燥がひどくなってきたら水を与えるくらいにしましょう。水のやりすぎは、根腐りによって枯れる原因となります。花に直接水をかけると花が痛みますので、水はじょうろなどを使って根元からやるようにしましょう。
肥料
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キンギョソウは庭植え、地植えの場合肥料はほとんど必要ありません。茎や花に元気がない場合や、鉢植えやプランターで育てている場合は、開花時期の1~2週間に1回程度、薄めた液体肥料をやりましょう。
キンギョソウの手入れ②注意すべき病気、害虫
灰色かび病
灰色かび病は、病原菌によって感染し、キンギョソウに限らずあらゆる植物がかかる危険性のある病気です。葉や茎、果実、花、蕾など植物の多くの部位に発症します。灰色かび病にかかると、感染した場所に水がしみ込んだような淡い褐色、または白色の斑紋があらわれ、やがて灰色のカビに覆われます。根に近い部分が腐敗すると、そのまま植物全体が枯れる原因にもなるやっかいな病気です。
灰色かび病を防ぐための手入れのコツ
キンギョソウを灰色かび病から守るためにできる予防法は①混み入った葉をこまめに剪定、切り戻しする。②咲き終わってしおれた花をこまめに取り除く。③灰色かび病を発症したと思われる部分はすばやく取り除く。の3つ。
灰色かび病の原因菌は、湿度が高く風通しの悪い環境や植物の枯れた部分で繁殖しやすくなっています。剪定や切り戻しなど、こまめな手入れが病気の発生を抑える一番の予防策です。病原菌は空気感染するため、灰色かび病を発見した部分はすぐに取り除き、患部の拡大を防ぎましょう。
立枯病
立枯病(たちがれびょう)は、植物の根から感染するかびの一種です。発症すると、だんだんと植物の元気がなくなり、土に近い部分の茎から黄色く変色し、最後は枯れて倒れてしまいます。立枯病も、キンギョソウを含む多くの植物で発症リスクがある病気です。立枯病の病原菌は、植物が枯れた後も土の中に胞子が残り、次に植えた作物にも連鎖してしまう危険性があります。
立枯病を防ぐための手入れのコツ
キンギョソウを立枯病から守るためにできる予防法は①土を水はけのよい状態に保ち、多湿を避ける。②混み入った葉をこまめに剪定、切り戻しする。③立枯病が発生した植物は、根や落ち葉まで徹底的に取り除く。④病気が発生した部分の土を入れ替える、または薬剤で消毒する。4つ。
立枯病が発生したら、菌の伝播や連鎖を防ぐことが大切です。普段から菌の発生しにくい土壌づくりを心掛け、万一発生した場合は土もきれいな状態に戻してから次の植物を植えるようにしましょう。
アブラムシの食害
アブラムシは、キンギョソウ以外にも多くの植物を食害する害虫です。植物に寄生して汁を吸うことで、植物の生育を阻害します。アブラムシ1匹は体長2ミリメートル前後と小さいですが、繁殖力が強く、大群でびっしりと発生するため、被害は侮れません。発生した場合は、ピンセットなどで除去する、アブラムシが付いている枝を剪定、切り戻しする、または木酢液や殺虫剤を吹きかけて駆除するなどの方法で対策しましょう。
キンギョソウの手入れ③剪定、切り戻し、植え替え
剪定、切り戻し
キンギョソウは、開花時期が長く、次々とたくさんの花を咲かせる植物です。枝が伸びすぎて風通しが悪くなったり、株全体のバランスが悪くなってきたと感じたら、枝を剪定、切り戻ししてやりましょう。また、キンギョソウは通常日本の夏の気候に合わずに枯れてしまいますが、春の開花時期が終わった後に思い切って新芽以外の部分を剪定、切り戻ししてやることで、秋に再び花がつく可能性があります。
鉢の植え替え
キンギョソウは、多くの場合一年で終わり、次の年には新しい株を植え付けてしまいますので、植木鉢の植え替えの必要はほとんどありません。ただし、株が予想以上に大きく成長し、鉢が窮屈になってしまった場合には剪定、切り戻しでサイズを整えるか、より大きな鉢への植え替えを検討するとよいでしょう。
植える品種の選び方
草丈で選ぶ
キンギョソウは品種によって、草丈が1メートルを超える「高性種」、20~30センチメートル程度の「矮性種」、その中間の「中性種」などの種類があります。植える場所や好みに合った草丈の品種を選ぶとよいでしょう。ただし、高性種は花が倒れないように支柱を立てるなどの手間がかかる場合があります。
花の見た目で選ぶ
キンギョソウの花は、赤、白、黄色、ピンク、バイカラーなどカラーバリエーションが非常に多いことが特徴です。色だけでなく、八重咲やペンステモン咲きなど、花の付き方も品種により大きく異なります。草丈と合わせて、花の見た目や色にもこだわることで、よりガーデニングを楽しむことができるでしょう。
キンギョソウの品種ラインナップ①高性種
F1カリヨンシリーズ
高性種で、花房が大きく華やかな印象のカリヨンシリーズ。ペンステモン咲きで、花が平たく開いているのが特徴です。
F1とは?
植物の品種の名前についている「F1」とは、「一代雑種」や「一代交配」という意味を持つ言葉です。簡単に言えば、それぞれ異なる長所を持つ親の個体をかけ合わせて生まれた「子」の個体を指します。F1品種自体は優れた性質を持ちますが、遺伝の法則上、F1個体から採取した種を栽培しても、次の世代はF1と同じ見た目にはなりません。常に美しい花を楽しむためには、F1品種の種を再利用せず、毎年新たにF1品種を購入する必要があります。
F1メリーランドシリーズ
キンギョソウ 種 【 メリーランド アップルブロッサム 】 1000粒
高性種のキンギョソウの代表的な品種です。花のカラーバリエーションが豊富で、堂々としてボリュームのある見た目は切り花やプレゼントにもぴったりでしょう。
キンギョソウの品種ラインナップ②中性種
ソネットシリーズ
キンギョソウ 種 【 ソネット 特選混合 】 1ml
草丈30~50センチメートル程度になる中性種。茎が丈夫で花にボリュームがあることが特徴で、ガーデニングにも切り花にも最適です。
F1プリンセス系
草丈50~60センチメートル程度になる中性種。2色咲きの鮮やかな花色が特徴です。
キンギョソウの品種ラインナップ③矮性種
F1パレット系
キンギョソウ 金魚草矮性品種 花苗12ポットミックスセット[春一年草]
草丈20~30センチメートル程度のコンパクトな矮性種。単色、複色の豊富なカラーバリエーションを楽しむことができます。
F1フローラルシャワーシリーズ
キンギョソウ 種 【 フローラルシャワー レッド&イエローバイカラー 】 1ml
草丈20~30センチメートル程度の四季咲き性の矮性種。寄せ植えや花壇の縁取りなどに最適です。
おわりに
今回は、キンギョソウの基本情報から種まき、植え替え、剪定、切り戻しの方法まで育て方とお手入れのポイントをまとめてご紹介しました。キンギョソウは、きちんと手順を守って種まきすれば、誰でも手軽に楽しめる花です。ぜひ、今回の記事を参考にしてガーデニングを楽しんでください。
春に咲く花が気になる方はこちらもチェック!
キンギョソウは、そのままでも十分きれいな花ですが、他の花と一緒に花壇に植えたり、寄せ植えにしたりして楽しむこともできます。暮らしーのでは、キンギョソウ以外の春の花の種類や育て方についても解説していますので、ぜひ花が色づく春に、いろいろな種類のカラフルな花を植えてみてはいかがでしょうか。
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