ヒナゲシの花とは
透きとおるような花びらが美しいヒナゲシの花。ケシ科ケシ属、ヨーロッパ原産の1年草です。秋に種を蒔き、4月から6月に、まるで薄紙をクシュクシュっと揉んで作ったような魅力的な花びらを持つ花を咲かせます。花色は赤やオレンジ、白、黄色、紫など濁りのないあでやかな色が多いですが、近年では園芸品種も増え、パステル調のピンクや斑入りのもの、そして八重咲きのものもあります。学名はPapaver nudicaule。別名はシャーレイポピーとか、グビジンソウ(虞美人草)と呼ばれています。このグビジンソウという呼び名は、この後にご紹介する中国の歴史上の美人がまつわる、ヒナゲシの花の誕生説から由来する呼び名です。眺めているだけで心が潤うヒナゲシの花は、こんな花言葉で象徴されています。
ヒナゲシとポピーって同じ花?
ヒナゲシにそっくりな花で「ポピー」という名の花、よく見かけませんか。花図鑑などの目次でも「ヒナゲシ」と探すと「ポピーを参考」と書かれている本があります。読者の中にはヒナゲシの別名がポピーなのかと思っていらした方も多かったことと思います。確かにヒナゲシとポピーは違う花ではありません。ポピーとはケシ科の植物をまとめて「ポピー」と呼んでいるのです。ケシ科ケシ属は60種類以上の植物があり、麻薬であるアヘンを採取するケシ、ここで紹介している園芸種のヒナゲシ、同じケシ科ケシ属の園芸種でも多年草で朱色の大きな花を咲かすオニゲシ、ヒナゲシと同属で近縁種であるけれど1本の茎から1輪しか花を咲かせないアイランドポピーなどを含め、大きなくくりで「ポピー」と呼びます。
ヒナゲシの花言葉
「忘却」「眠り」「夢想家」「癒し」
園芸用のケシでアイランドポピーのように1茎に1輪ではなく、茎を分枝させて花を咲かせるヒナゲシの英名はcorn poppy。意味は麦のケシという意味です。和名は雛罌粟と書きます。和名の雛罌粟とは、ケシの中では花が小ぶりだということで「雛」という文字を使い、「罌粟」とは瓶(罌)の形をした実を結び、その中に栗のような種をたくさんつけることから、この文字を使って「雛罌粟=ひなげし」と書きます。そんなヒナゲシを象徴する花言葉は「忘却」「眠り」「夢想家」「癒し」という言葉です。
それぞれの花言葉の由来
ケシ科の植物の乳汁に催眠性や麻酔作用があることは古くから知られていること。「忘却」「眠り」「夢想家」という言葉は、そのようなヒナゲシの植物学的な作用が由来し「忘却」「眠り」「夢想家」という言葉が付けられています。「癒し」は薄い花びらが風に揺れる様子に優しさを感じる見た目の印象が由来して付けられた言葉です。また「眠り」と「癒し」という花言葉は、ギリシャ神話に登場する大地の母神であり豊穣の女神であるデメテルにまつわる伝説が由来する花言葉でもあります。
大地の母神であり豊穣の女神デメテルを癒し眠らせる花!
ヒナゲシの花言葉「眠り」と「癒し」にまるわるギリシャ神話とは、こんな話です。穀物の実りを司る大地の母神、そして豊穣の女神であったデメテルは、冥界の王に娘をさらわれてしまいました。デメテルは暗闇の世界に娘を探しに行くのですが、見つけることができませんでした。デメテルの願いは叶いませんでしたが、デメテルの母親の悲しみと苦痛を和らげるために、彼女が娘を探しに行く道々に、ケシの花を咲かせ、娘を失った悲しみを癒し、安らかな眠りにつかせて休息させるために、眠りの神様が作った花がこのヒナゲシだというギリシャ神話の伝説が由来し、ヒナゲシには「眠り」と「癒し」という花言葉が付いています。
ヒナゲシの色別の花言葉
まぶしい花色のヒナゲシの花言葉は「愛らしさ」
透明感のある花びらが魅力的なヒナゲシの花色は、濁りのない原色が多いです。その中でも赤やオレンジ、黄色のまぶしい花色のヒナゲシの花言葉は、見る者の目を楽しませてくれるので「愛らしさ」という花言葉が付けられています。花色別にヒナゲシの花言葉を見ると、豊穣の女神が癒されたヒナゲシが赤色だったという伝承から「赤いヒナゲシ」の花言葉は「感謝」「慰め」です。
黄色の花色は「富」「成功」、白い花色は「眠り」
ギリシャ神話の「豊穣」の女神デメテルの伝説と、黄色は金運や富や名誉をもたらす意味がある色だということが兼ね合い「黄色いヒナゲシ」の花言葉は「富」「成功」、そして眠りの神が豊穣の女神デメテルの苦しみを癒すために彼女を眠らせた伝説と、眠りをもたらす作用のあるヒナゲシの汁液が白かったことで「白いヒナゲシ」の花言葉は「眠り」という言葉が付けられています。
ヒナゲシの花言葉に由来する誕生説とは
ヒナゲシの別名「グビジンソウ」という呼び名の由来
ヒナゲシの花言葉を探ると、ヒナゲシの花言葉は、ギリシャ神話の大地の母神であり豊穣の女神のデメテルの伝説に由来する言葉に象徴されるインパクトがあります。しかしヒナゲシの誕生説は、中国の秦の時代の武将であった項羽(こうう)の美しい愛人であった虞姫(グキ)、虞美人(グビジン)ともいわれる歴史上の美人姫にまつわるエピソードからこの花が誕生したいう誕生伝説があり、その伝説が由来となる花言葉もあるのです。ちなみにヒナゲシの別名である「グビジンソウ(虞美人草)」とは、ヒナゲシの誕生伝説が由来する呼び名です。
ヒナゲシの誕生伝説がまつわるヒナゲシの花言葉
中国の美人姫の名が由来するヒナゲシの花言葉
ヒナゲシの別名「グビジンソウ(虞美人草)」という名の由来は、中国の歴史上の美人姫の名が由来し、「グビジンソウ」と呼ばれています。中国の秦時代の末期、その時代の武将であった項羽が、項羽の楚軍と劉邦(りゅうほう)の漢軍との戦いで、項羽が劉邦に追いつめられることに始まります。項羽は愛する愛人の虞姫だけでも助けたいと願っていましたが、その決戦で負けた項羽は自決。そして項羽の愛おしい愛人であった虞姫も項羽の後を追って自ら命を絶ってしまいます。その後、虞姫のお墓に毎年咲く真っ赤な花を「グビジンソウ=虞美人草」と呼び、このエピソードがヒナゲシの誕生伝説だとされています。ヒナゲシの別名の謂れでもあります。この誕生伝説の由来からも、赤いヒナゲシは「感謝」「慰め」という花言葉で象徴されます。
ヒナゲシで恋占い
古くから伝わるヒナゲシの民間伝承
ヒナゲシの花言葉。由来を探るとギリシャ神話の豊穣の女神にまつわる話や、別名の由来ともなる中国の武将の美しい愛人であった虞姫の話など、眺めているだけで心が癒される花姿からは想像できない伝説が由来して、ヒナゲシの花言葉は付けられていたのですね。今日からヒナゲシを、もっと奥ゆかしい花として観賞する方もいらっしゃるかもしれません。さて、古くからヒナゲシに伝わる伝承には、ヒナゲシで恋占いするという伝承もあるのをご存じでしたか?ヒナゲシの恋占いはこんなようにするのです。
ヒナゲシの恋占い
恋人の本心を知るヒナゲシの恋占い!ヒナゲシの恋占いのやり方は、ヒナゲシの花びらを手のひらの上に置き、パンと大きな音を立てるほど強く叩いて、その時花びらが破れなければ誠実な愛、破れてしまうと不誠実な証拠だと占います。結果を聞くと叩くときに、わざと力を抜いてしまいそうですが、強く叩いてくださいね。彼の愛が誠実なら破れないはずです。
ヒナゲシを飾って春を感じよう!
透きとおるような薄い花びらが魅力的なヒナゲシの花は、中国の美しい虞姫の名が由来し「グビジンソウ」という別名でも呼ばれます。真っ赤な花がヒナゲシの別名ともなるその由来を知ると、魅力的な花びらがより一層美しく思えてしまう話です。春に咲くヒナゲシの花。お部屋に飾ると、きっと美しいヒナゲシの花のメッセージが、小さな幸せを運んできてくれることでしょう。濁りのないあでやかな花色で透きとおる花びらが美しいヒナゲシは「眠り」という花言葉も持ち合わせています。花言葉にあやかり、寝付けぬ時は寝室に飾ってみるのもおすすめです。ヒナゲシの花、もうすぐ見頃を迎えます。とくと楽しんでください。
ヒナゲシの情報を知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」では、ヒナゲシの情報を他にも掲載しています。ガーデニングの花としても育てやすく、好まれているヒナゲシの花の育て方など、ヒナゲシの情報をもっと知りたい方は、こちらもチェックしてみてください。

ヒナゲシ(虞美人草)とはどんな花?その語源や特徴をご紹介!育て方のコツも!
ヒナゲシがどんな花か気になりますか?虞美人草とも呼ばれておりその花の名前や語源も気になるところです。同じ種類の品種の特徴から花言葉・名前の由...

春の花!ポピーの育て方!特徴や種類は?種まき、開花の時期もご紹介!
春風にゆれるポピーの花。印象派の巨匠・クロードモネが愛した花のひとつで、赤いポピー畑を描いた作品はとても美しいです。ポピーは強くて育てやすい...