ルピナスをきれいに咲かせる育て方を学ぼう!
ルピナスは、春から初夏にかけて、さまざまな色の花を咲かせます。その花形は、藤の花がひっくり返ったような姿で、昇り藤の異名を持っています。花壇が鮮やかになるルピナスは、ぜひさまざまな色の花を寄せ植えで楽しみたいです。かわいい花を咲かせるための育て方では、種まきや植え付けによる植え方で栽培をスタートさせることができます。日々の手入れや管理などは、コツをつかめばさほど手がかかりません。植え替えや増やし方なども含めて、さっそくルピナスの育て方を学びましょう。
ルピナスってどんな花?
ルピナスは古代から利用されてきた
ルピナスはマメ科の植物です。開花時期は春で、冬の終わりごろから苗が店頭に出回ります。ルピナスはアメリカ、地中海沿岸~北アフリカエリアにわたって多く分布する多年草で、かつては食用として利用されていました。日本にやってきたのは観賞用に栽培されるようになったのは100年ほど前からで、現在ではさまざまな種類のルピナスがあります。
ルピナスは花や葉に特徴がある
花の開花時期は4月~6月で、茎のてっぺんから花序を出し、まっすぐに伸びる大きな花穂にたくさんの花をつけます。大きな花序で50cm以上にもなるものもあり、藤の花がひっくり返ったような姿から、昇り藤と呼ばれることもあります。花の色が実に多彩で、白、黄色、オレンジ、赤、ピンク、紫、青など、寄せ植えしたくなるカラーバリエーションです。葉は手のひらのような形をしていて互生します。草丈は40~50cmほどから、大きなもので150cmに生長するものもあります。
種類別ルピナスの育て方のコツ
ルピナスの花は、形や色によって、さまざまな品種があります。栽培環境やさまざまな手入れや管理の時期などが異なります。寄せ植えの際の参考にぜひ確認してみましょう。
ラッセルルピナス
ラッセルルピナスは、アメリカからカナダが原産のルピナスで、夏の間、休眠する宿根草です。暑さに弱く、湿気にも弱いため、暖地では手入れも栽培も難しいタイプです。草丈は150cmと大きく、花の色は、白、黄色、オレンジ、ピンク、赤、紫、青と、バリエーションが豊富で、単色だけではなく、二色組み合わせもあります。
カサバルピナス(傘葉ルピナス)
大きな傘にたとえられたその名のごとく、カサハパルピナスは、ルピナスの中でも大型の草姿が特徴です。草丈は70cmほど、白と青の二色のカラーバリエーションがとてもきれいです。寒さには強いものの、暑さに弱いのが特徴。花の後に大きな種ができるため、株が弱ってしまいます。必要な種を収穫したら、早めに花茎を取り除くようにしましょう。
カササキルピナス(傘咲きルピナス)
カササキルピナスは、葉が大きく、葉の先が下方を向くため、傘に似ていることからその名が付いたといわれています。南ヨーロッパ原産のため、寒さにやや弱いのが特徴。草丈は70~80cmほどになり、藤色または藍色の大きな花をつけます。花の中心は白く、花姿がとても印象的です。
キバナルピナス
緑肥として使われるキバナルピナス。草丈は50~60cm、黄色い花を咲かせます。花に甘い香りがあるため、切り花としてもおすすめ。寒さには比較的強いものの、暑さに弱いため、夏越しは至難の業。種から増やすのが簡単なので、ぜひ挑戦してみましょう。
ルピナス・テキセンシス
アメリカのテキサス州が原産のルピナス・テキセンシスは、草丈は30~40cm、15cmほどの花穂を伸ばすかわいらしい品種です。花色が青のブルー・ボンネット、赤の花をつけるテキサス・マローンなどの品種があります。
ピクシー・デライト
アメリカのテキサス州が原産のルピナス・テキセンシスは、草丈は30~40cm、15cmほどの花穂を伸ばすかわいらしい品種です。花色が青のブルー・ボンネット、赤の花をつけるテキサス・マローンなどの品種があります。寄せ植えなどにも人気が高く、切り花としても出回っています。
ルピナスの育て方のポイントとは?
乾燥ぎみに育てることが大事
ルピナスの育て方の中で最も注意するべきことは、乾燥ぎみに育てていくということです。ルピナスは、耐寒性の高い花ですが、湿気がとても苦手で、暑さにも弱い性質です。日々の手入れや管理に気を遣い、水をやり過ぎてしまうと、根腐れして枯れてしまうこともあります。注意して育てましょう。
植える場所や土の性質は要注意
ルピナスは、連作障害が出やすいといわれています。一度ルピナスを植えた場所は、2年ほど開けておき、別の場所に植えるようにしましょう。また、ルピナスは、酸性の土壌が苦手です。種まきや植え付けの際は、前もって苦土石灰をまき、酸性度を中和しておくことが大切です。
ルピナスの育て方①種まき
種まきは秋ごろが一般的
ルピナスの種まきは、9月~10月ごろが適期です。ルピナスの発芽温度は、だいたい20度と低めなので、夏が終わり、涼しくなったころに種まきを行いましょう。種まきの前に、種を一晩、水につけてから種まきをした方が、発芽しやすくなります。1か所に2~3粒ずつ種まきし、1cmほど土を覆います。種まきの後は、水を切らさないように管理し、発芽した後は、日当たりのよい場所で管理するようにしましょう。本葉が4~5枚になったら植え付けるようにします。
種まきの時期を注意するべき品種も
ルピナスは、発芽温度が種類によって微妙に違うため、栽培するルピナスがどの種類なのか確認しましょう。ラッセルルピナスは多年草タイプで、6月が種まきの時期となります。また、カサバルピナスは、発芽温度が25度程度なので、8月の終わりごろに種まきできるかもしれません。種まきの際は、発芽温度などを確認し、適した時期に行うように心がけましょう。
ルピナスの育て方②植え付け
苗が出回るのは春先
ルピナスは、苗を植え付ける植え方で育てると、気軽に栽培することができます。ルピナスの苗は、春先に出回るので、気に入った苗を購入しましょう。鉢での植え方は、草花用の培養土などを使って、購入した苗を鉢に植え付けます。根が傷つきやすいため、ていねいに植え付ける植え方を目指しましょう。植え付けたら水をたっぷりと与え、日当たりのいい場所で管理していきます。
地植えの植え方では土質チェック
ルピナスの苗を地植えで植える植え方では、土の状態を必ず確認してから植えるように心がけましょう。ルピナスを前年まで植えていた場所では植えないようにすることが大切です。また、ルピナスが好む土質に寄せておくことも重要です。ルピナスは、弱アルカリ性~中性の土壌を好みます。植え付けの前に苦土石灰や結城石灰を混ぜておきましょう。
ルピナスの育て方③置き場所
日当たりがよく水はけのいい環境を
ルピナスは、日当たりがよく、水はけがいい環境を好みます。鉢植えや地植えでルピナスを育てる場合、ルピナスを育てる環境には十分に注意しましょう。ルピナスを育てる際、5~20度が適温です。真夏の暑さにはとても弱く、日本では夏越しはむずかしいでしょう。ただ、絶対に夏越しはできないということではありませんので、暑い日などは涼しい場所に置き換えるなどして、手入れし続けていくことも大切です。
寒さには強いが霜には注意
暑さに弱いルピナスですが、寒さには比較的強く、耐寒温度は0度ぐらいです。0度を下回る日は、寒さがしのげる屋外に移動するなどして、生育環境を整えてあげましょう。ただし、寒冷地の場合、わらや寒冷紗などで防寒対策を取るようにしたいです。また、室内で管理する場合、暖房が効いている室内はNG。暖房が効いていない室内で管理するようにしましょう。
ルピナスの育て方④水やり
土が乾いたら水やりが鉄則
ルピナスの手入れ方法で注意したいのが水やりです。水やりをし過ぎてしまうと、土が湿っぽくなってしまうため、必ず土の表面が乾いてから、十分に水やりをするようにします。ルピナスは湿気が苦手ですが、だからといって水やりをしないでいると、葉が乾燥してしまいます。乾燥がひどくなると、葉が落ちてしまうこともありますので、乾燥しすぎにも注意しましょう。この微妙なタイミングこそ、ルピナスの手入れで重要なポイントです。
開花時期は乾燥ぎみの水やりを心がける
花が咲きはじめた春から初夏にかけての時期の水やりでは、花に水がかからないように注意しましょう。午前中に水やりを終わらせるようにして、鉢の中が湿気に包まれないようにします。地植えの場合、とくに水やりの必要はありません。ただし、雨がほとんど降らず、葉が枯れてきたら、様子を見て水やりをしてみましょう。冬は乾燥ぎみに管理して、根腐れなどが起こらないように注意しましょう。
ルピナスの育て方⑤肥料
肥料は多く与えない
ルピナスは肥料をあまり必要としません。種まきや苗の植え付けの際、元肥として緩効性の肥料を施します。必要に応じて、生長期の春先に追肥しますが、少なめに肥料を与えるように心がけましょう。
肥料の種類に注意を
ルピナスをはじめとするマメ科の植物は、根粒菌という微生物が根に共生し、空気中の窒素を取り込んで寄生している植物に与えてくれます。このため、ルピナスなどマメ科の植物に肥料を与える際は、窒素分が少ないものを選ぶように心がけましょう。窒素分を与え過ぎてしまうと、根粒菌による働きを失ってしまいます。
ルピナスの育て方⑥病害虫
特定の病害虫はいない
ルピナスを育てていく上で、特別に心配する必要のある病害虫はいません。このため、ルピナスは育てやすい植物であるということができます。日々の手入れや管理をしっかりと行い、水やりの鉄則である土が乾いたら水やりをするを続けていれば、元気に育ち、美しい花を咲かせてくれます。
根腐れが最も心配するべき症状
ルピナスを育てていく上で、最も心配するべきは根腐れです。土が湿っぽい状態が続くと、根が腐ってしまいます。根腐れの状態になったら、復活させるのは難しく、多くの場合、枯れてしまいます。土の表面が乾燥しているかどうかしっかりと確認し、水やりを失敗しないように行うことを心がけましょう。
ルピナスの育て方⑦植え替え
ルピナスの植え替えは難しい
暑さに弱いルピナスは、花が咲き終わると、ほとんどの株が枯れてしまいます。このため、植え替えの必要はありません。ただ、ルピナスの種類や生育環境によっては、毎年、同じ株を楽しむことができます。とくに関東地方よりも北部の地方では、長い期間にわたってルピナスを楽しむことができます。
ルピナスは植え替えが嫌い
ルピナスは、直根性の植物です。太い根がまっすぐに張っていくため、根が傷みやすく、植え替えしてもうまく根づかないことが多いです。このため、ルピナスで植え替えをしてもうまくいかない可能性が高く、それでもルピナスを植え替えする場合は、かなりの覚悟が必要です。どうしても植え替えしたいという場合は、根を傷つけないように慎重に行い、植え替え後はいつも以上にしっかりと手入れをして管理してあげましょう。
ルピナスの育て方⑧花柄摘み
春が終わったら次の花を咲かせよう
春になってルピナスの花穂全体が咲き終わったら、茎の付け根で茎を切り取ります。すると、わきから芽が出てきて、再び花をつけていきます。こうしてルピナスの花を長い期間、楽しむことができます。花が終わった後もそのまま花を残しておかず、ぜひ花を楽しんでみましょう。
種を採りたい場合は
花茎を切らずにそのままにしておくと、豆のようなサヤができ、中に種ができていきます。種を採りたい場合は、花茎を切らずに種を作って収穫するのも増やし方のひとつです。花柄を摘んで花を楽しむか、翌年に花を咲かせるために種を収穫するか、いろいろな栽培方法を楽しみましょう。
ルピナスの育て方⑨寄せ植えの方法
寄せ植えはバランスがポイント
春の訪れを感じるルピナスは、同じく春の訪れと同時に開花する花と寄せ植えするととてもかわいらしくまとまります。鉢植えで寄せ植えを楽しむ場合、寄せ植えで使う植物との色や姿とのバランスで考えてみましょう。ルピナスは花姿が細長いため、株元に背の低い花を並べると、寄せ植えが全体的に引き立ちます。
植え方にも注意が必要
ルピナスを使った寄せ植えは、苗を使ったほうが寄せ植えしやすいです。寄せ植えをはじめてやってみようという方は、大きめの鉢を使って花の時期が同じになる春先の花を使ってみましょう。花が咲いた後の姿を想像しながら寄せ植えをするのがポイントです。植え方を間違えると、バランスが悪くなってしまうほか、想像していたものとはかけ離れた姿になってしまいます。植え方をしっかりと考えて、なるべく失敗しないように寄せ植えをしてみましょう。
ルピナスの増やし方
ルピナスは種による増やし方で
ルピナスの一般的な増やし方は、種で増やす増やし方です。花が終わったら、花柄を摘まずにそのままにしておくと、さやができてくるので、十分に乾燥したら種を採取します。種は十分に乾燥させ、植え付けの時期が来たら種まきをしましょう。ルピナスの増やし方は、種の収穫がポイントとなります。さやから種が飛んでいく前に収穫することが大切です。
ルピナスの増やし方はむずかしい
ルピナスは、植え替えや株分けなどで増やす増やし方ができません。このため、種で増やす増やし方以外には、新たに苗を購入して植え付ける増やし方しかありません。ただ、うまくルピナスの花が咲けば、種を収穫するのはさほどむずかしいことではないため、種による植え方をうまく成功させるようにしましょう。ルピナスの種は硬いため、一晩、しっかりと水につけ、うまく発芽するようにがんばってみましょう。
ルピナスの花畑をぜひ作ってみよう
ルピナスは、適切な土を準備し、種まきなどの時期をしっかりと見極め、正しい植え方で発芽させ、乾燥気味に手入れをするという管理方法を続けていれば、失敗せずに花を咲かせることができます。はじめての方は苗を購入して植え付け、適切な手入れの方法を習得して、ルピナスの花を存分に楽しみましょう。花を咲かせることに成功したら、種を収穫して種による増やし方でルピナスを増やし、色とりどりのステキな花畑をぜひ作ってみてください。
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