普通自動車免許で125ccのバイクに乗れる?
みなさんもよくご存じの通り、50ccの原付バイク、正式には原動機付自転車ならば普通自動車免許を取得すれば付帯されているので乗ることができます。しかしそれ以上のサイズのバイク、125ccのバイクは別途小型自動二輪免許を取得する必要があります。
本当に125ccのバイクに普通自動車免許で乗れるようになるのでしょうか?本当だとすればその解禁日はいつなのでしょうか、その真相を探ってまいります。※情報は2020年1月現在のものです
現行のバイク免許の種類をおさらい
バイク免許の種類①原動機付自転車免許
原動機付自転車免許は排気量50ccまでのバイク、いわゆる原付を運転できるバイク免許です。このバイク免許の取得可能年齢は16歳以上で、試験は視力、聴力などの適性検査、学科試験があり合格すれば最後に実技講習があり、めでたく1日で原付免許が取れます。
多くの人は通学・通勤用にスクーターと呼ばれるオートマチックミッションのバイクを買って乗ります。そしてこの原付免許は普通自動車免許に付帯されていて、取得すればいわゆる原付バイクを運転することができます。
バイクの免許の種類②小型自動二輪免許
小型自動二輪免許、正式には小型限定普通自動二輪免許といい、原動機付自転車を含む排気量125ccまでのバイクを運転することができます。取得可能年齢は16歳以上、このバイク免許の取得方法は教習所へ入所し技能および学科教習、卒業検定を受け適性検査、学科試験に合格するか、いきなり自力で運転免許試験場で適性検査、学科試験、技能試験に合格し免許交付を受けます。
こちらは現状では普通自動車免許には付帯されません。
バイクの免許の種類③普通/大型自動二輪免許
普通自動二輪免許は年齢制限16歳以上、原付バイクから排気量400cc以下の中型(主に250cc)、大型自動二輪免許は年齢制限18歳以上、原付バイクはもちろん、排気量400cc以上~無制限の大型バイクを運転することができます。
このバイク免許の取得方法は小型自動二輪同様に、教習所に通い、技能および学科教習、卒業検定を受け適性検査、学科試験に合格するか、運転免許試験場で飛び込みで合格を狙います。大型バイク免許なら憧れのビッグスクーター、GSX隼やゴールドウィング、ハーレーも乗れます。
現在の普通自動車免許の付帯状況
普通自動車免許に付帯されている免許
ここで確認のため、普通自動車第1種免許に付帯されている免許の種類について確認しておきます。現行の道路交通法ではみなさんがご存知のとおり、原動機付自転車(排気量50cc以下)が付帯されます。そして意外と知られていないのが小型特殊自動車免許の付帯です。
小型特殊自動車とはトラクターやコンバインなどの農作業用が主で、工事などに使われるブルドーザーやショベルカーなどキャタピラー車両(小型のもの)も含まれます。
普通自動車免許で運転できる自動車とは?
ちなみに普通自動車免許で運転できる自動車は平成19年までに取得した場合は車両総重量8トン以下、平成19年以降29年までは車両総重量5トンまで、平成29年3月以降の取得の場合、車両総重量3.5トン以下の自動車となっています。そして定員は一律に10名以下となっています。
それぞれの取得時期に応じてトラックにも乗れますし、事業所のハイエースクラスの送迎車は定員が10名以下なら普通免許で運転できます。私もアルバイトで2トン/4トントラックに乗っていました。
小型自動二輪車は原動機付自転車か?
道路運送車両搬法では小型自動二輪は原付バイク
たまに出てくる疑問として「小型自動二輪車は原動機付自転車ではないのか?」というものがあります。主に小型自動二輪免許の取得者の間で議論されます。
その理由は、道路交通法では原動機付自転車は50cc以下ですが、道路運送車両法においては原動機付自転車とは50㏄以下の第1種原動機付自転車と50cc超から125㏄以下の小型自動二輪車を第2種原動機付自転車としていることです。このことを知っていれば小型自動二輪車は原動機付自転車という考えもできるのです。
あいまいな原動機付自転車と小型自動二輪車の区別
特に小型自動二輪車の所有者が戸惑うのが店舗や施設などでのバイクの駐車ではないでしょうか。実際、バイクの場合、原付バイクより上のクラスのバイクは種類や車種関係なく自動車として扱われるため駐車場に駐車するのが法律上正しいのですが、実際はその施設や店舗の駐車・駐輪の方法やスペースによります。
一方で小型二輪車は自転車や原付バイクと違って一時的であっても気軽に路上に駐車してよいものではないという運転者の正しい倫理観が必要です。
原付より快適に乗れる小型自動二輪の特徴
小型自動二輪の速度
排気量50cc~125cc以下の小型自動二輪車では50cc以下の原付バイクとは色々と違いがあります。まず大きな違いは法定速度です。50cc以下の原付バイクでは時速30キロ以下となっていますが、小型自動二輪の場合は60キロ以下となり出せる速度が倍違うことになります。原付バイクに乗っている人も、その他のバイクや車に乗っている人も30キロという速度には遅すぎて不満や危険を感じることが多いようです。
小型自動二輪に二段階右折はない
次に大きな交差点で標識によって原動機付自転車には二段階右折が義務付けられることがありますが、小型自動二輪には適用されません。バイクの種類によっては50cc以下と90ccでも見た目やボディサイズが変わらないバイク車種もありますが、同じバイク車種でも排気量が50cc以上の小型自動二輪なら二段階右折をしなくてよいので、面倒がありません。
逆に小型自動二輪で二段階右折をすると道路交通法違反になりますので注意が必要です。
小型自動二輪なら二人乗りOK
排気量50cc未満の原付バイクでは現在の道路交通法では二人乗り運転は出来ませんが、50cc以上、125ccまでの小型自動二輪なら二人乗り運転が可能です。この面では小型バイクの免許であっても普通や大型という上位の種類のバイク免許と遜色がありません。
ただし、二人乗り運転ができるのはバイク免許取得から1年後になりますので注意が必要です。またバイクの種類によってはタンデム装備がないものもあり、その場合は二人乗りできません。
125ccバイクに普通免許で乗れるという理由①
とある経済産業省の幹部の発言という理由
この普通自動車免許で125cc以下の小型自動二輪に乗れるようになるというウワサにはちゃんとした理由があります。2016年に神戸で行われた「Bike Love Forum(バイク・ラブ・フォーラム)」というバイクのイベントで当時の経済産業省の自動車課の幹部が、小型自動二輪車の免許の簡略化について触れたことに端を発します。
それを聞いた業界人や一般人がそれを普通自動車免許で125㏄のバイクに乗れるという期待を織り込んで広げていったというのが真相です。
125ccバイクに普通免許で乗れるという理由②
若者のバイク離れという理由
経済産業省の自動車課の幹部は単に小型自動二輪免許の取得をもっと簡単にしたいということを言ったのですが、それが"125cc以下の小型自動二輪免許が普通自動車免許に付帯されて乗れるようになる"という尾ひれがつくには更なる理由があります。
それは若者のバイク離れと言われる、バイク業界の不振という理由です。少子化や若い人の消費意欲が低いことはさまざまな産業の不振につながっています。その打開策の一つとして法的な規制緩和をすることでバイク免許取得を促進することが考えられます。
125ccに乗れる?普通自動車免許への付帯解禁日
普通自動車で125㏄バイクに乗れるようになったのか
上述したように、普通自動車免許で125㏄のバイクに乗れるというウワサは期待とともに解禁日の予測も盛り上がりました。実際に警察庁が2017年に小型自動二輪免許取得の負担軽減についての研究調査を始めたものですから、当然、解禁日についても盛り上がる訳です。
ということで、早ければ1年後の2018年に解禁日が訪れるという予測もありましたが、その後、2019年にも解禁日は来ずとうとう2020年を迎えてしまいました。125㏄のバイクに普通自動車免許で乗れると期待している人には肩透かしが続いている状態です。
小型自動二輪免許の規制緩和について
普通自動車免許に125㏄付帯ではない規制緩和
2016年に経済産業省の幹部からそういう発言があった後、警察庁の調査研究が行われたことが理由で解禁日までささやかれるほど期待が広がりましたが、この発言と警察庁の調査の落としどころと思われる小型バイクの規制緩和が2018年7月の道路交通法施行規則の改正がありました。
それはAT小型限定自動二輪免許取得について、その技能講習期間を今まで最短3日間かかっていたものを最短2日間に短縮しました。1日の教習時間を長く取れるようになったのです。
スクーターに乗れるAT限定免許とは
人気のスクーター型だけ運転するならAT限定免許
バイクや車の歴史では手や足でミッションを操作するマニュアルミッション離れが進んでいます。バイクの方はまだマニュアルの需要がありますが、最近ではAT車バイクであるスクーター型の車種が人気で多く発売されています。
AT車種=スクーターといってもいいでしょう。そして自動車同様に、バイクにも原動機付自転車より上の排気量なら小型バイク、普通バイク、大型バイクすべての種類にAT限定免許があり、教習時間が短く、料金も安くなります。
スクーターだけ乗れるという選択肢もあり
今回ご紹介した2018年の改正のように、AT限定免許取得はさらに簡略され、MT(マニュアル)免許取得とは差が広がりました。現在ではマニュアルこそバイクという固定概念はなくなったといってもよいでしょう。スクーターといえば50ccの原付を想像しがちですが、現在は小型から大型までスクーターの選択肢は幅広くあります。
しかもマニュアル車よりも運転が簡単ですし、ビッグスクーターも流行っていることからスクーターでよいと割り切るならAT限定免許でもよいでしょう。
まとめ
今回は125㏄までの小型自動二輪免許が普通自動車免許に付帯されるという噂の真実と小型自動二輪車の現状について書いてきました。小型自動二輪免許が普通自動車免許に付帯されれば非常に革新的な改正だったのですが、現時点はそのような改正の動きはありませんでした。
しかし、日本のバイク業界、大きくは経済の活性化という面では非常に可能性の残る改正だと思われます。いずれ来るかもしれない解禁日は遠い日でない可能性もあります。期待したいところです。
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