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ウインカーリレーとは?修理で気になる仕組みや配線、抵抗などを解説!

車を運転する人なら誰でもウインカーは知っています。ウインカーを点滅させているのがウインカーリレーです。ウインカーが正しく作動しないトラブルの多くはウインカーリレーの不具合です。修理に必要なウインカーリレーの構造、仕組みや部品などの知識について紹介します。
更新: 2021年3月10日
aakm.yamada
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ウィンカーとは

ウインカーとは皆さんご承知のように、車がこれから曲がる方向を指し示すものです。左右のどちらかの曲がる側のオレンジのランプを点滅させて、周囲の車や人に対して「車はこっちへ曲ります」と示すのです。

なおウインカーについては、点滅は毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するもので色はオレンジ色と決められていてこれから外れると車検に通りません。

ウインカーの歴史

自動車開発の初期には何の指示器もなく手信号で方向指示をしていました。その後矢羽根式或いは腕木式と呼ばれる指示器の時代があって、1950年代に現在のランプを点滅させる方式が現れました。

なお、「ウインカー」が使われるのは日本だけで外国では「ブリンカー」「ターンシグナル」「ディレクショナル・インジケーター」などと呼ばれています。最近では「ターンランプ」が統一的に使われ始めています。

ウインカーが点滅する意味

現在では、腕木式(矢羽根式)の方向指示器が主に使われていた頃よりも交通量が多くなり、車の性能も向上しスピードも平均的に速くなってきています。安全確保の観点から、より確実に周囲に車の動く方向を知らせる必要が出てきました。周囲の注目を促すために点灯よりも目立つ点滅式のウインカーが採用されるようになったのです。

ウインカーリレーとは

ウインカーリレーとは、ウインカーを点滅させるための電気部品です。この部品を使うことで、ウインカーランプが一定のリズムで点滅を繰り返すことができるのです。

現在は機械式のCRウインカーリレーが主流ですが、CRタイプが出る前には同じような構造でバイメタルを使う機械式リレーが使われていました。また最近の車には電子式のICウインカーリレーが使われていますし、機械式リレーの互換品としてもいろんなICリレーが市販されています。

ウインカーリレーに関係する電気の基礎知識

ウインカーリレーの仕組みや、後に出てくるハイフラ対策などを理解するためには電気の基礎知識が必要です。この記事の内容に関係する部分に限定して、解説しておきます。

ウインカーリレーの理解に必要:オームの法則

ある導体にVボルトの電圧を与えた時、流れる電流がIアンペアとします。この時、VとIには電流「(I)=電圧(V)÷抵抗(R)」の式がなり立ちます。ここでRは導体の電気抵抗値(オーム)です。

この式の意味は、「電流は加えた電圧に比例し、抵抗に反比例する」ということで、これをオームの法則といいます。電気配線回路で最も基礎になる公式です。

オームの法則から導かれる式

オームの法則から次の式も導かれます。「電圧(V)=R×I、抵抗(R)=V÷I」また、「電力(W/ワット)=電圧(V)×電流(I)」ですから、「電力(W)=V×I=I×I×R」、
「電力(W)=V×I=V×V÷R」などの式も導かれます。​​​​

ウインカーリレーの理解に必要:合成抵抗の求め方

電気配線で並列接続された抵抗のの合成抵抗は「1/R=1/R1+1/R2+1/R3+----」、となります。抵抗が2ツの場合は、「1/R=1/R1+1/R2」で、「R=R1×R2/(R1+R2)」となります。

ウインカーリレーの理解に必要:コンデンサーとは

コンデンサーにはいくつかの性質/機能がありますが、その一つが「電荷を貯める」という性質です。このことからコンデンサーは蓄電器とも呼ばれます。電荷を蓄える容量のことを「静電容量」といいます。

コンデンサーに蓄えられる電荷量はQ=CVで表され、Qの単位はクーロン、Cは静電容量で単位はファラッド、Vは電圧で単位はボルトで、コンデンサーに蓄えうる最大電荷量は電圧に比例するのです。


ウインカーリレーの仕組み

現在多く使われている機械式CRウィンカーリレーの構造、仕組を解説します。CRリレーのCはコンデンサー、Rは抵抗を意味します。CRリレーの構成品にはコンデンサーと抵抗のほかに鉄心に導線をコイル状に巻きつけた電磁石、それらを連結する配線があります。

ほかに電磁石によって開閉される可動接点と固定接点があり、この接点はウインカーランプの回路をオン、オフします。上の動画にはコンデンサー、抵抗器、可動接点を戻すスプリングなど構造物の一部が見えます。

ウインカーリレーの動作原理

ウインカーのスイッチが入ると、バッテリーから回路配線を通ってリレーのコンデンサーに向かって電気が流れますが、コンデンサーに容量限界までの電荷がたまるまでは電磁石のコイルには電流は流れません。

限界に達するとコンデンサーは放電をはじめ、電磁石が作動し、金属接点がくっつきウインカーランプに電流が流れて点灯します。放電が終わると電磁石の磁力が消えバネの力で接点がはなれ、ランプは消えます。コンデンサーの充電、放電のタイミングでランプが点滅する構造になっています。

回路配線の抵抗でランプ点滅間隔を変えられる

ウインカーリレーの配線に組み込まれた抵抗の大きさを変えるとコンデンサーにかかる電圧Vが変化し、コンデンサーの限界電荷量Qが変わる(Q=CV)ため、充電時間が変わり、ランプの点滅間隔を変えられます。
 

ウインカーのトラブルと修理

ウインカーのトラブルとしては、ウインカーランプが灯かない、逆に灯きっぱなしになる、あるいはハイフラ(ハイフラッシャー現象)といって点滅間隔が早くなることなどがあげられます。

これらのトラブルの原因はランプの球切れ、ウインカー関係の配線の断線を除きほとんどがウインカーリレーの故障です。次項からは、主なウインカートラブルとその修理について解説して行きます。

ウインカートラブル:点灯しない

ウインカーランプがつかない場合は、まずハザードランプが正常に灯くかどうかを調べます。ハザードも灯かない場合はヒューズ切れか、ウインカーリレーの故障ですが、後者の方の比率が高いです。

ハザードが灯く場合は、ほとんどの場合ウインカーレバーの中に組み込まれたウインカースイッチの仕組みに不具合が出ています。自分で修理するのは難しいので専門店で修理を依頼しましょう。

ウインカーリレーの故障

Photo byBru-nO

ウインカーリレー構造内部の故障場所はコンデンサーの場合が多いです。コンデンサーが劣化して充電、放電をしなくなり電磁石に電流が流れないのです。また、電磁石によって開閉される可動接点の動きが悪くなり接点が開いたままで固着することもまれにあります。

ウインカーリレーの取扱いに慣れていれば、コンデンサーだけを交換(半田付け必要)したり、リレーの構造内部を掃除して動作接点の手入れをすれば修理も可能ですが、一般的にはリレー全体を交換修理するのがベターです。

ウインカートラブル:常時点灯する

ウインカーが点滅しないで点灯したままになるトラブルの原因はほとんどがウインカーリレーの構造的な原因です。電磁石の力で動く可動接点が固定接点にくっついたまま離れなくなっているのです。

繰り返し電流のオンとオフが行われる場所ですので熱によって接点が融着することがあるのです。分解掃除して接点を手入れすれば修理できますが、またすぐ融着するようであれば、リレー本体を交換修理しましょう。
 

ウインカートラブル:ハイフラ現象(1)

ハイフラとはハイフラッシャー現象のことで、車についているウインカーランプのうち、一つでも球切れを起こした場合に消費電力が下がることを検知してウインカーを高速で点滅させのです(上の動画参照)。それによって運転者に球切れしているランプがあることを知らせ、交換修理を促す仕組みなのです。次にランプの交換手順を説明します。

ウインカーランプの交換手順

ハイフラでランプの球切れに気付いたら、まずどの場所のランプが切れているか確認します。車を止めてウインカーかバザードを動作させればその場所を確認できます。

次にランプを取外す必要がありますが、これは、車の種類や構造によって、またランプの場所によって簡単に外せる場合もあれば、かなりの手間がかかる場合もあります。

ランプを取り外したら、ランプのボルト数とワット数(12V*21Wなど)を記録しましょう。ホームセンターで同じ規格のランプを購入して、取付け修理します。1個500円程度です。


ウインカートラブル:ハイフラ現象(2)

本来の意味のハイフラ現象のほかに、ウインカーランプを従来のランプから、LEDランプに交換した場合にもハイフラ現象が起きるのです。なんの対策もしないで、ランプだけLED化するとこの現象が起きるのです。

これは、従来の白熱ランプに比べてLEDの方がワット数が少ないために、車はランプ回路の消費電力が下がった、球切れが起きたと判断してハイフラ現象を生じさせたのです。

白熱ランプをLED化をする場合は、回路に抵抗を入れる対策が必要なのです。この件については「ウインカーランプのLED化」という見出しで別途解説します。

バイメタル方式ウインカーリレーの仕組み

バイメタルについて

バイメタルは熱による膨張率が異なる2種類の金属板を張り合わせた構造をしています。上の図で説明すると、常温でまっ直ぐな状態のバイメタルは加熱されて暖められると、膨張率の大きい下側の合金の伸びが大きいためバイメタルは上側に曲がります。加熱が止まり常温に戻ると元の真っすぐな状態に戻ります。

バイメタルリレーの仕組み、配線

リレー配線回路のプラス側に上図バイメタルの左端を連結して固定し、右端下部に固定接点を接触させておけば点滅配線の完成です。通電すると発生した熱によりバイメタルが暖められ、上側に反り返り、接点が外れます。

接点が外れると電流が止まり、バイメタルが冷えて元の状態に戻り接点がつながります。この動作が繰り返されて点滅の周期ができます。以上がバイメタルリレーの仕組みですが、バイメタルの金属疲労などで点滅周期が不規則になることがあり、現在この仕組みはあまり使われていません。

電子式ICウインカーリレーの仕組み

機械式のCRウインカーリレーの次に登場したのが電子ICウインカーリレーです。新しい車にはこの電子ICリレーが使われていることが多いです。

ICで通電タイミングを制御しますので構造物も機械的動作もなく耐久性が高く、LEDウインカーランプに交換した場合でも問題なく使用できます。タイマー機能付きのICを使用した点滅回数を調整できるタイプのものもあります。

さらに最近では、ウインカーリレー自体を使用せず、その機能を車の制御基板に内蔵させたタイプも出てきています。

ウインカーランプのLED化

従来の白熱式のウインカーランプの次にLEDのウインカーランプが登場しました。白熱ランプに比べ、明るさや長寿命などに特徴がありますが、見た感じでは一番の違いは「点滅のキレ」です。

白熱球はジワジワ灯いて、ジワジワ消えるのに対してLED球はパット灯いてパット消えるのです。上の動画で左が白熱ランプ、右がLEDランプです。両者の違いが判ると思います。

前に説明しました様に、LEDランプが良いといって白熱ランプだけをLEDランプに入れ替えるとハイフラ現象が起きます。ランプをLED化する場合に必要なハイフラ防止対策について説明します。

ウインカーランプのLED化とハイフラ防止策

ウインカーリレーのICリレー化

ハイフラ防止対策には2ツの方法があります。機械式ウインカーリレーを電子ICウインカーリレーに入れ替える方法とハイフラ防止抵抗器を白熱ランプに並列に付け加える方法です。

ICリレーに入れ替える方法は1箇所だけの入れ替えだけで済みますので、費用に拘わらないのであればお勧めです。費用を安くしたい場合は抵抗を入れる方法になります。

また、最近はウインカーリレーの機能を車の制御基板に組み込んで、リレー自体が存在しないタイプもありますが、この場合はLEDランプ化するには抵抗を入れる方法しか対策がありません。

ハイフラ防止抵抗器の取り付け

白熱ウインカーランプをLEDランプに入れ替えする場合のハイフラ対策として抵抗器を取り付ける方法を解説します。ポイントは二つあります。まず1番目は、何オームの抵抗を入れるべきかを知ることです。そのためには若干の電気の基礎知識が必要となります。

2番目には、抵抗器本体が通電時に高い熱を発生するため、高熱対策をどうするか、具体的には取り付け場所と取り付け方法の2点について十分な対策をすることが必要となります。これから具体的に説明していきます。

何オームの抵抗をどの場所に付けるか?

バッテリーの電圧は12ボルトが標準ですが、実際には12~14.1程度まで変動します。白熱ウインカーランプのワット数は21が標準的ですが、10や23などもあります。LEDランプのワット数は5.5,4.2,3.1などまちまちです。

ここでは標準的なところで、電圧は12V、白熱ランプが21W、LEDランプが4.2Wとして、必要な抵抗のオームを計算します。要はLED化によって減る消費電力分をランプに並列に抵抗を入れて消費してやればよい訳です。

何オームの抵抗をどの場所に付けるか?(計算)


21-4.2=16.8ワットを消費する抵抗オームを、消費電力「W=V×V÷R」の式を使って計算します。「R=V×V÷W」と変形して、「R=12×12÷16.8=8.57」オームとなります。

この値より小さいオーム数の市販のハイフラ防止抵抗器(6オームのものが多く出ています)を購入して、前後左右4個のウインカーランプに並列で追加します。この対策によって、各ランプの場所で白熱ランプの時の消費電力が維持されるのです。

発熱を考慮した抵抗器の取り付け

ハイフラ抵抗器の車への取り付けは抵抗器の発熱を考慮しなければなりません。12Vで6オームの抵抗を追加するとその場所で「W=V×V/R=24ワット」を消費することになり、高熱を発します。

抵抗器本体がライトの樹脂部分や配線などに接触すると溶けてしまいます。必ず鉄板部分で、車の樹脂部分には触れない場所に取り付けることが最重要対策となります。

取付方法も取付金具を使って ビス止めするとか、グラスウールで本体を覆ってその上からアルミテープで巻きつけて固定するとかします。ビニルテープ、ガムテーム、結束バンドなどは使用不可です。

抵抗器2か所取付けもありです

ここではウインカー4か所に抵抗を並列に入れる方法で説明しましたが、消費電力的には右側、左側ともに前後のどちらか1カ所に、半分のオーム数の抵抗器をつければよいのです。

並列接続の合成抵抗の式「R=R1×R2/(R1+R2)」で「R=6×6/(6+6)=3」となり、4ツの場所に6オームをつける代わりに2ツの場所に3オームをつければよいのです。

ただし、3オームの抵抗1個で消費する電力はW=V×V/R=2×12/3=48ワットとなり、6オームの場合の2倍になるのでその分発熱も多くなり、取り付けには特別な発熱対策が必要になります。

最新のウインカーランプ

流れるウインカー

ウインカーがLEDランプ化されて以降、2014年に法改正されて、流れるウインカーが合法化されて、新車で標準装備する車種も増えてきました。流れるウインカーがどんなものか上の動画で確認ください。

流れるウインカーは車の内側から外側に向かってLEDランプを順に点灯して光が流れるように見せるウインカーです。

8個とか10個のLEDランプを横に並べますので、横方向にスペースが必要であり、専用のウインカーリレーも必要なため、後付けで設備するのは簡単ではありませんが、「流れるウインカーキット」なども発売されてはいます。

ミラーウインカー

LEDランプが非常に小さいスペースに設置できることからドアーミラーにウインカーを取り付けることが可能になり、メーカーの純正オプションに採用されるようになってきています。さらにミラーウインカーで流れるタイプも出てきています。後付けの商品がいろいろ売られていますが、ランプ電源や点滅信号などの取り方が難しそうです。

おわりに

ここまでお読みいただき、有り難うございます。いかがでしたか?
車のウインカーの構造や仕組みはめまぐるしく進歩、更新されています。最近はウインカーリレーを持たない車も出てきています。一方でLEDランプが増え、流れるウインカーも出てきました。取り入れる場合はハイフラ対策を忘れずに!

流れるウインカーが気になる方はこちらをチェック!

あと付けで流れるウインカーにする方法を解説しています。