オタフクナンテンとは
見た目が綺麗で知られるナンテン
ひと目で魅了される葉を広げているので、現在でも園芸用植物の中で人気なのがオタフクナンテンです。オタフクナンテンは1年中葉っぱが耐えることのない常緑樹。東アジア原産で、メギ科で有名なナンテンの近縁種です。ある理由から、育てるのに手間がかからないことでも支持されています。
江戸時代に品種改良で生まれた
明確に江戸時代に品種改良されて生み出された記録が、オタフクナンテンには残されています。オタフクナンテンは江戸時代から数百年間も、庶民の間で親しまれている品種なのです。そんなに昔、元のナンテンとはまるで違う性質を持つよう品種改良されたことには、驚きを覚えてしまいます。
オタフクナンテンの基本情報
【名称】オタフクナンテン
【学名】Nandina domestica
【原産地】東アジア
【科名】メギ科
オタフクナンテンの特徴
成長がとても遅いオタフクナンテン
際立つ特徴と言えば、オタフクナンテンの極端な成長の遅さがあります。オタフクナンテンは苗木の段階から、他の植物に比較して大きくなりにくい品種なのです。成長しないような品種改良がされたのが理由で、これがオタフクナンテンが手間要らずと言われる由縁でもあります。
オタフクナンテンのサイズ
街なかでよく見かけるオタフクナンテンのサイズは、中型犬以下と言って過言ではありません。高さは20~50cmほどにしかならず、オタフクナンテンを栽培すれば確実に地表に近いところを飾ります。横幅も30~50cm程度と場所を取らず、オタフクナンテンは自然と丸く収まる特徴を持っています。
オタフクナンテンの葉っぱ
先端は尖って細長い形の葉っぱは、オタフクナンテンの小枝に螺旋を描くように付いています。春の芽吹きの段階から赤みを帯び、成長した葉っぱは緑色を基調としながら赤色も含んでいます。夏の季節のオタフクナンテンは、黄緑と赤の2色の葉っぱが混ざり合ってとても綺麗な見た目です。
オタフクナンテンの花と実
花が咲きにくいオタフクナンテン
滅多に花を咲かせてくれないことも、オタフクナンテンの知られる特徴のひとつ。普通のナンテンは梅雨が開けた6~7月の季節に花が咲きますが、オタフクナンテンでは咲かない年が多めです。これもまた江戸時代の品種改良の結果ですが、稀にナンテン同様の白と黄色を基調とした花を見せてくれます。
実がなりにくいオタフクナンテン
当然花を目にできないなら、実もなり難い性質を持つのがオタフクナンテンです。本来のナンテンは秋の時期に小さな赤や黒い実を数多く付けているのが魅力になっていますが、そんな姿はオタフクナンテンでは滅多にありません。しかし稀な花が咲いた後なら、ナンテンと似た実を付けることがあります。
オタフクナンテンの紅葉
晩秋から冬に紅葉を見せる
全体を真っ赤な様子に染め上げる紅葉は、オタフクナンテンで最大の魅力と言われています。小さな樹木でありながら、真っ赤に染まるオタフクナンテンの紅葉は、ひときわ存在感を際立たせた状態です。オタフクナンテンが紅葉を見せる見頃の季節は、初秋から冬にかけての頃です。
オタフクナンテンの紅葉の特徴
よくある紅葉する落葉樹は、冬に葉っぱを全て無くして寒々しい姿です。しかしオタフクナンテンの場合、葉っぱを落とさない常緑樹でありながら、見事なほどの紅葉を見せています。オタフクナンテンを取り入れたなら、真冬の季節も葉を茂らせてくれて、庭や部屋を1年中飾ってくれることになります。
オタフクナンテンの名前の由来
お多福南天
普段は片仮名を並べて、オタフクナンテンと表記されがちですが、昔からの漢字表記をしてみれば、お多福南天と記されます。お多福と言えばあの真っ白くてニコニコしている仮面を思い浮かべますが、そんなオタフクを使った命名がされたのも江戸時代のことでした。
お多福とは
笑顔が気になるお多福とは、別名をおかめ(お亀)とも言うキャラです。狂言では乙御前(おとごぜ)として登場しますが、神話に登場するアメノウズメを表す顔だと言われています。お多福は福をもたらし魔除けに通じるとの縁起の良い存在で、オタフクナンテンにもそんな意味合いが込められています。
難を転ずるナンテン
一方でオタフクナンテンの下半分、南天の方も縁起物として認知されてきました。元々は中国で南天燭と呼ばれていたのが、日本でナンテンと略された形です。オタフクナンテンの種類も含むナンテンは江戸時代に「難を転ずる」と解釈され、玄関前に植栽して火災除けの縁起を担がれる樹木になりました。
別名ゴシキナンテン
いつの頃からか、オタフクナンテンには違う名も付くようになりました。それはゴシキナンテンという名前。ゴシキとは五色を意味する言葉です。これはオタフクナンテンの独特な葉っぱが、季節や日光の当たり具合で光沢を持った玉虫色に見える性質があることから、そう名付けられたと考えられます。
オタフクナンテンの花言葉
①福をなす
やはりお多福の仮面と関連していることもあって、当然ながらオタフクナンテンの花言葉にはこれが含まれています。福が多くて難を転ずる意味の名を持ち、火災除けとして好まれたので、この相応しい花言葉が付きました。他の幸福な意味を持つ植物と比べても、手間いらずで入手のしやすさが際立ちます。
②私の愛は増すばかり
女性にとって一番気になるオタフクナンテンの花言葉は、こちらの種類かもしれません。私の愛は増すばかりという、留まることを知らない愛情の意味を持っているためです。もし家庭円満の目的を持っているなら、庭にオタフクナンテンを植えてみると、花言葉の効果が期待されます。
③よい家庭
少し控えめな家庭の幸福を表すような花言葉も、オタフクナンテンにはありました。よい家庭とは呼んで字のごとく、理想的な家庭を持つとの意味合いが込められています。オタフクナンテンを植えたらよい家庭が継続できるのではないか、そんな期待をもたせてくれます。
④機知に富む
誰かに機知に富む人だと評されるのは純粋な褒め言葉ですが、オタフクナンテンの花言葉にもコレが含まれます。機知とは英語で言うところのウィットで、場面に応じて知的でユーモアある発想や行動ができることを意味します。季節に関係なく綺麗な表情を見せる、オタフクナンテンに相応しい花言葉です。
オタフクナンテンの育て方
屋外栽培は南関東より南方で
南の天と書くのと同様、オタフクナンテンの品種は比較的に温かい地方を好んで自生します。日本列島であれば、オタフクナンテンは南関東よりも南方(西方)の気候での育て方が最適です。逆に真冬の季節に厳寒な地方では、オタフクナンテンは屋外で育たない確率を高めるので、冬は屋内栽培が必要です。
日向や半日陰での育て方
その葉っぱの色合いを絶えず好ましいものとするなら、オタフクナンテンは日向での育て方が一番です。日向で日光が当たる場所のほうが、オタフクナンテンの五色とも評される色を確認しやすくなります。しかしオタフクナンテンは半日陰のような環境でも、じゅうぶん枝葉を維持できる性質があります。
剪定はほぼ必要なし
育てる上では剪定はほぼ必要ないと言えるのが、放置可能なオタフクナンテンです。その理由は、オタフクナンテンは1年に数cmしか伸びないという極めて遅い成長をする性質に関係しています。オタフクナンテンが初心者向きな庭木や観葉植物と言われるのも、剪定しなくて良いことに関係します。
オタフクナンテンの植栽の時期
庭や植木鉢などにオタフクナンテンを植栽するに相応しい時期は、春や秋の頃。気温20度以上の環境ならば、オタフクナンテンの根付きが良くなります。逆にうだるような炎天下の真夏や寒い冬の時期は、オタフクナンテンの生育を妨げることになるため、この時期の植栽は避けるのが無難です。
オタフクナンテンの害虫
カイガラムシ
数年も育てていれば、ある日オタフクナンテンの枝葉に動かぬ虫が付いてたことに気づいてうろたえることがあります。それは温かい時期にオタフクナンテンを好んで付く、カイガラムシです。一度オタフクナンテンに付くとどんどん増殖して痕跡が残るので、綺麗な育て方をするなら速やかな除去が必要です。
カイガラムシの駆除
基本的にオタフクナンテンに寄生したカイガラムシの除去は、手作業が推奨されます。農薬はカイガラムシには効果が薄く、葉が少ないので剪定は推奨しません。オタフクナンテンの虫をブラシや軍手の指先で削り取る方法で、簡単に外れます。オタフクナンテンの葉の裏まで、丹念に見ていく必要があります。
オタフクナンテンの増やし方
挿し木による増やし方
去年の秋ごろに挿し木していたドウダンツツジとオタフクナンテンの苗が、半年ほどでずいぶん立派になりました。
— 三宅 しげひさ (@shigehisamiyake) June 3, 2019
秋くらいには、畑に植え付ける予定です。 pic.twitter.com/GbA32rqaqb
もし幾つもオタフクナンテンの苗木が欲しいとなれば、1本の樹木からの増やし方も簡単です。そのオタフクナンテンの増やし方とは、挿し木による方法を取ります。オタフクナンテンの挿し木は、苗を植栽するのと同様に園芸の素人でも難しくはないです。しかし成長させるには、増やし方のコツが必要です。
オタフクナンテンの挿し木の方法
同じく半分失敗したもので、オタフクナンテンの苗つくりがあります。
— 三宅 しげひさ (@shigehisamiyake) March 3, 2019
挿し木で増やしたつもりが、新芽を見ると成功率は6割ほど。
追加で挿し木すれば良いだけではありますが、上手い人はたぶん9割以上だと思います。
勉強しなおさなきゃ…。 pic.twitter.com/ORwjEaJ7KS
葉っぱが複数付いたオタフクナンテンの枝を、剪定バサミで用意します。挿し木の増やし方では、枝が15cmあると良いです。育苗ポットに培養土を用意、オタフクナンテンの枝を深く差します。挿し木の増やし方の季節は春から初夏の時期が相応しく、土は湿らせて日当たり良好を心がけるのも大切です。
オタフクナンテンの利用
オタフクナンテンの寄植え
1つの鉢やプランターに色とりどりの植物を集める寄植えでも、オタフクナンテンを選ぶのが好まれています。それはオタフクナンテンが持つ個性的な色が力となって、他の植物と合わせて魅力を高めるためです。オタフクナンテンの寄植えを植栽する時期も、冬を避けて暖かな春や秋の季節が無難です。
オタフクナンテンのリース
もし剪定して大量にオタフクナンテンの枝が残ったのなら、リースとして作ってみるのもおすすめです。リースは古代ギリシャに遡る装飾品で、冬のクリスマス飾りとしてもオタフクナンテンリースがぴったりです。または枝をスワッグにしたり、和風に生花や正月飾りにすることも魅力的です。
オタフクナンテンの垣根
見上げる垣根は確かに自宅を立派に彩ってくれるアイテムですが、剪定の手入れの手間や料金が問題です。しかし成長しにくく小さなオタフクナンテンの垣根にすれば、そうした剪定やお金の問題を考えることもなくなります。低くて可愛くて綺麗なオタフクナンテンで、お手軽に垣根を作ってみては?
贈り物に相応しいオタフクナンテン
とても魅惑される葉を揃え、大きくならず育て方も簡単なオタフクナンテンは、贈り物としても最良な植物です。しかも前向きで当たり障りのない花言葉が揃っているので、それを教えてあげたら喜ばれます。もしオタフクナンテンを贈るなら、性質や挿し木の増やし方も教えてあげると良さそうです。
オタフクナンテンを育ててみよう
寄せ植えなど気になる植え方で
鮮やかな赤を基調とするオタフクナンテンは、季節を問わずに綺麗な姿を見せてくれる性質を持つことが分かりました。オタフクナンテンを庭木や寄植えとして植栽するのは、とても簡単です。紅葉が期待できて幸福や愛の意味を持つオタフクナンテンによって、自宅の印象を変えてみてはいかがですか。
幸福の木が気になる方はこちらもチェック!
当サイトではオタフクナンテンの他にも、幸福をもたらすという植物の情報をまとめています。オタフクナンテンと合わせて幸せになれそうな木を植栽したい方も、チェックしてみてください。

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