はじめに
自宅から離れた場所でサイクリングを楽しむ際などには、公共交通機関などを利用して移動します。その際、輪行で自転車を持ち運ばなければなりません。輪行をすることで、自転車をどこへでも持ち運びができ、サイクリングの幅が広がるため、今まで以上に楽しめます。しかし、輪行は面倒、だという人も多く方法がわからない人も少なくありません。この記事では、そんな面倒と思われがちな輪行に必要な道具や方法、分解の手順から袋への入れ方まで詳しく紹介していきます。
ロードバイクの輪行はいつ行うの?
輪行は自転車を分解することで、公共交通機関で持ち運びができる状態にすることを言います。輪行をすることで荷物にはなりますが、持ち運びやすく自転車をどこへでも運ぶことができるのです。ここからはそんな輪行が必要な状況について紹介します。
サイクリングを行う場所までの移動
地元を離れて、別の地域でサイクリングを楽しむ際に輪行で公共交通機関や自家用車を利用します。様々な場所でサイクリングを楽しむことで、自転車がさらに楽しめるため、地元のコースでは満足できなくなってきた際にはおすすめです。
スタートとゴールが違う場合
サイクリングはスタートゴールが同じ場所であることが多いのですが、輪行をすればスタートとゴールが違う設定にできます。スタートからゴールまでサイクリングを楽しみ、ゴールからスタートまで戻る際には公共交通機関を使うことでより長い距離のサイクリングが可能です。
地形によって輪行を実施する
自転車を乗る人の中には、上り坂を走りたい人や下り坂を下りたい人など地形によって走りたい場所が変わってきます。そんな適切な地形がある場所までの移動も輪行で自転車の持ち運びができます。
ロードバイクの輪行に必要な道具
輪行袋
輪行を行う際には輪行袋が必要です。この中に自転車を入れて持ち運びます。中にロードバイクを入れた際、完全に自転車が隠れないと、公共交通機関を利用できないため、輪行袋への入れ方に注意しなければなりません。
エンド金具
輪行を行う際には車輪を外さなければなりません。エンド金具とは、タイヤを外した後にはめ込む金具のことで、フレームやディレーラーを保護する役割があり、持ち運びの際にディレーラーが破損しにくくなります。
スプロケットカバー
スプロケットカバーはその名の通りスプロケットを保護するためのカバーのことでスプロケットとは、チェーンの回転を軸に伝えるための歯車のような部品です。このスプロケットに傷がついてしまうと、満足な走行ができなくなるだけでなく、自転車自体が破損してしまいます。そのため、輪行を行う際にはスプロケットカバーの装着をおすすめします。
フレームカバー
フレームカバーはフレームに巻くことで、フレームに傷がつくことを防いでくれます。輪行を行う際には1枚から2枚程度で充分フレームの傷を防止できます。フレームカバーを巻く位置については後程紹介します。
手袋
輪行に慣れている人は、手袋をしなくてもほとんど手が汚れることはありませんが、初めて輪行を行う人は手袋をつけて、自転車を分解したり組み立てることをおすすめします。輪行に慣れていないにもかかわらず自転車を分解したり組み立てたりすると、手が真っ黒になってしまいます。
輪行袋の種類
輪行袋は大きく3種類に分けられます。それぞれに特徴があり、入れ方も違います。ここではそんな輪行袋の種類と特徴について紹介します。
縦型
車輪を両方外すタイプの輪行袋です。慣れないうちは自転車の分解に時間がかかるかもしれませんが、電車などに乗っていても、サイズが小さいため、邪魔になりにくい、というメリットがあります。
横型
横型の輪行袋はサドルを下に、リアエンドを後ろに来るようにして持ち運びます。縦型よりもサイズは大きくなりますが、リアエンドを後ろにするため、エンド金具を取り付ける必要がありません。
前輪のみ外すタイプ
前輪のみを外して後輪を付けたまま袋に入れるタイプの輪行袋です。持ち運びの際に縦型、横型の輪行袋と比べるとサイズが大きくなってしまいますが、前輪のみを外して入れるという入れ方になるので、簡単な上時間もかかりません。
ロードバイク輪行の手順は分解・固定・収納
ロードバイクの分解
輪行の最初の手順は分解です。持ち運びの際には車輪を外す必要があります。基本的に車輪は誰でも簡単に外せる構造になっているため、初心者の人でも心配はいりません。また、車輪を外す際には必ずギアを一番重くしてから外しましょう。
分解したロードバイクの固定
輪行を行う際には車輪を固定する必要があります。輪行袋の種類にもよりますが袋には車輪を留めるためのストラップが付いています。そのストラップを使用して車輪を留めて輪行袋に収納します。詳しい入れ方については後記にて紹介しますが、この固定の手順は輪行を行う上で、非常に重要な手順です。
ロードバイクを収納
車輪を留めたら、ロードバイクを輪行袋の中に入れます。袋の向きに注意するなど、入れ方には気をつけましょう。輪行袋の向きが逆だと、ロードバイクが輪行袋からはみ出したり、収納できなかったりします。そのため、必ず袋の向きを確認しましょう。輪行袋への入れ方については後記にて紹介します。
ロードバイクの輪行方法1(場所選び)
輪行を行う際にはまず、自転車を分解する場所を決めなければなりません。場所を選ばないと、交通機関を利用する他の人に迷惑が掛かってしまう上、物を破損させる可能性もあります。
人の邪魔にならない場所
自転車の分解は、人に迷惑が掛からない場所で行わなければなりません。人通りが激しい通路や階段、扉やバスやタクシー乗り場の近くなど人の邪魔になるような場所で分解することはやめましょう。
点字ブロックに注意
見逃しがちなのは点字ブロックです。点字ブロックに気が付かず、分解を始めると障害者に非常に迷惑がかかります。また、自転車や車輪が踏まれて、破損することもあるため、自転車を分解する際には点字ブロックに気をつけましょう。
壁際で行う
車輪を外す際や組み立てる際は壁際で行わなければなりません。基本的に壁際は人に迷惑がかかりにくい、ということもありますが、車輪などを地面に置いておくと、人に踏まれて破損する可能性があります。壁際で組み立て作業などを行うと、壁に立てかけておけるため、分解したり組み立てる際は壁際で行いましょう。
ロードバイクの輪行方法2(車輪を外す前に)
車輪を外す前に装備品を外す
車輪を外す前に、サイクルコンピュータやライトなどの装備品を外さなければなりません。装備を外さずに輪行を行うと持ち運びの際に装備が破損する可能性があります。そのため、輪行をする際には必ず装備を外しましょう。
ギアをアウタートップに入れる
装備を外したら、ギアをアウタートップに入れます。アウタートップとはギアが一番重い状態です。この状態にすると、輪行袋に入れた際に、スプロケットが輪行袋を突き破ってくることが無くなります。また、スプロケットが背中に食い込んで痛い思いをしなくて済みます。そのため、車輪を外す前に必ずギアをアウタートップに入れましょう。
ブレーキのクイックレバーを外す
初心者の人は忘れがちな作業ですが、ブレーキのクイックレバーを外さなければ、車輪は外れません。そのため必ず外してから作業に入りましょう。
ロードバイクの輪行方法3(車輪を外すやり方)
車輪を外す準備ができたらいよいよ車輪を外していきます。やり方は手順さえ分かってしまえば非常に簡単です。ここではそんな車輪を外すやり方を紹介します。
後輪を外す手順
後輪のクイックレバーを緩める
まず、後輪のレバーを起こします。中にはレバーを起こした後、さらに回して、緩める人もいますが、後輪の場合は回す必要はありません。レバーを起こした状態で車輪を外せます。
後輪を抑えてサドルを持ち上げる
レバーを起こしたら、後輪を上から押さえてサドルの後ろ側を持ち上げます。それで後輪が外れますが、まだチェーンが後輪に引っかかっている状態です。チェーンの外し方はサドルをおろしながら、車輪を手前に引っ張るとチェーンが外れます。外した車輪は地面に置くのではなく壁に立てかけましょう。
前輪を外す手順
自転車をひっくり返す
後輪を外したら、自転車をひっくり返します。ひっくり返することで自転車がハンドルとサドルで自立する状態となり、前輪を外しやすくなります。
クイックレバーとナットを緩める
前輪を外す手順は非常に簡単でレバーとナットを緩めるだけです。後輪のようにチェーンが引っかかることもないため、簡単に外せます。外した後は、後輪と同様に地面に置かず、壁に立てかけましょう。
ロードバイクの輪行方法4(車輪を固定するやり方)
車輪を外したら車輪をロードバイクのフレームに固定する作業を行います。車輪を固定する手順は輪行の作業の中でも非常に重要な作業です。ここからはそんな車輪を留めるやり方について紹介します。
フレームカバーを装着する
持ち運びの際にフレームに傷がつく可能性があります。輪行の際にはシートチューブとトップチューブの角付近が車輪のスプロケットが当たるため、最も傷がつきやすい箇所となります。そのため、シートチューブ(サドルの下へ伸びるフレーム)とトップチューブ(サドルの下から前方へ伸びるフレーム)の角にフレームカバーを巻きましょう。
エンド金具を装着する
エンド金具を後輪がはまっていた場所にはめます。エンド金具を装はめれば、ディレーラーが破損することを防ぐことができます。また、はめる際、チェーンと一緒にはめるとフレームがチェーンで傷ついてしまうことが無くなります。
ペダルの位置に注意
輪行を行う際には車輪でフレームを挟むように配置します。この時、自転車をどちらの手で持つのかによって変わってきますが、ペダルの位置に気を付けなければなりません。右側で自転車を持つのならばシートステイに沿って、右を上に、左を下にすると、持ち運びが非常に楽になります。
ハンドルを倒す方向
ロードバイクのハンドルは基本的に自分の方向に倒しておきます。つまり、右手でロードバイクを持つ人は、ハンドルを左側に倒しておきます。こうすることで、自転車の幅を最小限に抑えることができる上、バランスもとりやすくなり、自転車を自立させやすくなります。
車輪を固定する場所
まず、車輪同士が最も近い場所で一か所留めます。この場所は、非常に重要な場所でもあるため、ストラップを2重にしましょう。次にシートステイと車輪で一か所留め、サドルの前側と車輪で一か所、合計3か所、大体正三角形になる形で車輪を留めます。
ロードバイクの輪行方法5(肩紐を結ぶやり方)
車輪を留めたら、次はロードバイクのフレームに肩紐を結びます。この肩紐の結び方を失敗すると、担いでいる途中で自転車が落下し、破損する可能性があります。そのため、肩紐はしっかりと、結ぶ必要があるのです。ここでは肩紐を自転車に結ぶやり方を紹介します。
肩紐を準備する
肩紐は、バックルが二か所あり、結び方が複雑なので、最初は戸惑うこともありますが、慣れれば簡単です。まず、1つのスライダー付近で小さな輪っかを一つ作ります。その輪っかがある方をBB(ペダルの根元部分)に通し輪っかを利用してBBに結びます。その後、フロントエンド(前輪があった場所)の部分で引っ掛けておきます。
ロードバイクの輪行方法5(輪行袋への入れ方)
肩紐の準備ができたら袋の中へ入れていきます。輪行袋の種類によってやり方が違ってくるため、袋の特徴をあらかじめ把握し、袋への入れ方を理解しましょう。
収納袋の中に外した装備品を入れる
車輪を外す前に装備をはずしましたが、収納袋に入れることで、なくす心配がなくなります。収納袋に装備を入れたら、ハンドルに引っ掛けておきましょう。なくす心配も、忘れてしまうこともなくなりますよ。
ロードバイクを輪行袋に半分ほど入れる
装備品を引っかけたら、輪行袋の中にロードバイクを入れていくのですが、先に肩紐の準備をする入れ方がおすすめです。この時輪行袋によってロードバイクの向きが記載してあるものもあるのですが、記載がない場合は肩紐を通す穴で向きを確認しましょう。BBに肩紐を通したので、BB付近に穴が来るのが正しい向きです。
輪行袋の穴に肩紐を通す
ロードバイクを半分ほど入れたら、袋の穴に肩紐を通します。この時、しっかりと肩紐を引っ張ってください。一度引っ張ることにより、肩紐に余裕がないことを確認します。その後、肩紐をサドルの下の部分に通し、バックルに通して留めます。この時、フロントエンドに肩紐を通し、ピンと張っている程度がちょうどよい長さです。バックルの位置はフロントエンドとサドルの間に来るようにします。
輪行袋に完全に入れる
肩紐を通したら、自転車を完全に袋の中に入れます。すでに半分ほど袋に入っている状態なので、入れ方に特に工夫はいりません。輪行袋の種類によってはフォークの部分が袋からはみ出してしまうこともあるため、しっかりと自転車全体が隠れるようにしましょう。
ロードバイクの輪行方法7(担ぎ方)
自転車を袋に入れたら後は担ぐだけです。ここでは輪行袋を担ぐやり方を紹介します。
力が弱い人はしゃがんで担ぐ
男性など力がある人はそのまま肩紐を持ち上げて肩にかけるやり方で、担ぐことができますが、女性の人など力が弱い人は一度しゃがんでから、肩紐に肩を通して立ち上がると、楽に担ぐことができます。また、リュックを担ぐように後ろで担ぐことで、より楽に担ぐことができます。
下ろすときには注意が必要
自転車を下す際には、そのまま下ろすと、エンド金具が曲がってしまう可能性があります。そのため、普通に下ろすのではなく若干、後ろから降ろすようにすると、サドルから降ろすことになるため、エンド金具が破損することがありません。
ロードバイクの輪行方法8(組み立て方)
ここでは袋からの取り出し方と組み立て方を紹介します。基本的には分解したときと逆の手順で組み立てます。
場所を決める
分解したときと同じように、まずは組み立てる場所を決めます。人の邪魔にならない場所、壁際、点字ブロックに注意して場所を選びましょう。
自転車を袋から取り出す
場所を決めたら、輪行袋から自転車を取り出します。自転車を置く際は、必ずサドルから置きましょう。
肩紐を外す
袋から半分ほど取り出したら、肩紐をほどきます。これは肩紐を結ぶ際と全く同じ手順を逆から行うだけなので、簡単に外せます。肩紐を外したら、ハンドルに取り付けた装備も取り外しましょう。
車輪を外す
3か所で留めているストラップを外します。この時、上から外すと、車輪が倒れてくるため、必ず下から外しましょう。
エンド金具を外す
次はエンド金具を外します。エンド金具を外す際には一度ひっくり返します。ひっくり返すことでエンド金具が外しやすくなります。
車輪をはめる
次に車輪をはめるのですが、ひっくり返した方が車輪をはめやすいため、自転車はそのままで構いません。この時チェーンを触る人もいますが、ディレーラーの後ろ側を起こせば後輪をはめることができます。前輪も同じようにはめます。
ブレーキレバーを締める
車輪をはめたら、ひっくり返して、元の状態にします。元に戻したら、ブレーキレバーを締めてブレーキがかかるようにします。これで自転車の組み立ては完了です。組み立てた後に、必ず異常がないか確認しましょう。
輪行を行う際のよくある疑問と回答
ここでは輪行する際のよくある疑問とその疑問に対する回答を紹介します。初心者の人は輪行を行う際にはわからないことも多いかと思います。是非、参考にしてください。
電車内の電車内ではどこに自転車を置いておくの?
基本的に最後尾か先頭に置いておきます。一番前か一番後ろの運転席の真後ろです。ここなら比較的人の邪魔にもならないため、安心して電車に乗れます。
特急列車や新幹線では?
特急列車や新幹線ではデッキスペースか最後尾の座席の後ろにあるスペースを使用します。スペースを使用するにはあらかじめ予約が必要な列車もあるため、確認しておきましょう。
輪行袋以外の袋でもいいの?
輪行袋以外で収納されているものは輪行とは呼べません。当然電車にも乗ることができないので、輪行の際は必ず専用の輪行袋を使用しましょう。
輪行で電車に乗ると迷惑がかかるのでは?
混雑している時間帯に自転車を電車に持ち込むと他の人に迷惑が掛かってしまいますが、比較的空いている時間帯を利用すれば、それほど迷惑は掛かりません。当然、最低限のルールやマナーを守っていればの話ですが。
おわりに
ロードバイクの輪行のやり方を紹介しました。輪行は慣れてしまえば非常に簡単ですが、慣れないうちは自転車の分解に時間がかかってしまったり、輪行袋に入れてもがたついたりしてしまいます。そのため、輪行をしなければならないようなサイクリングはしない、という人もいます。しかし、輪行を行うことで、日本だけでなく海外でもサイクリングを楽しむことができるため、サイクリングの幅が格段に広がります。自転車が好きな人は是非、輪行をして全国様々な場所でサイクリングを楽しんでください。
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