ハコベとハコベラ
どちらも同じ植物で違いはない
ハコベと言われる植物もハコベラと呼ばれる植物も特徴に違いはありません。ハコベとハコベラは探せば身近なところに自生していてる同じ植物を指す言葉です。
少しだけ違いますがアロエとアロエベラ、さくらとソメイヨシノみたいなもので、どちらも大きな違いはないですよね。それと同じです。一説によると万葉集に登場した時にはハクベラと言われていてそれがは語源になったと言われています。
身近な場所に生えている植物のこと
背の低い草花で日本には在来種、帰化(元外来種)を含め18種類のハコベがいます。そして世界では100種類以上あるどこにでも生えている雑草です。
種類によって住み分けるようになっていて平地の空き地や耕作放棄地などの野原や道端に生えるもの、山深い場所や谷などの山間部に自生するもの、そして高山植物に分類される3つの生息地に分かれています。身近な場所にあるのはミドリハコベやコハコベ、ウシハコベなどになります。
ハコベといえば
ハコベはナデシコ科ハコベ属の総称になるので前述したように、サボテンを見てサボテン、桜を見て桜と言っているだけです。サボテンにもウチワサボテンなどの種類があり、桜にも牡丹桜などの種類があります。
ハコベ属の総称ロして使われますが、特にハコベといえばミドリハコベとコハコベになります。ただし注意しないといけないのは魚のタイ(鯛)と同じようにハコベとは無関係の草花にもルリハコベと名付けられているものもあるので少しややこしいです。
コハコベとは
古くから日本にある外来種
コハコベは近年外国から入ってきたハコベではなく、200年以上前にはすでに定着している帰化植物と言われています。諸説あり、いつどのようにして日本に入り定着したかはさだかではありません。
ハコベということで草丈はなく小さな草花で、日本在来種のミドリハコベと非常に似ていてどちらのハコベも同じ低地の耕作放棄地や道端などに生え、大昔に帰化しているため在来種を脅かすことはなく鳥たちの大切な餌となっています。
春の七草の1つ
1月7日に食べる料理として七草粥があります。無病息災を祈る意味と正月ということでついつい食べ過ぎたりお酒をお見過ぎたりして負担をかけた胃腸を整える意味もあると言われています。
普通の粥ではなく春を代表する草花(野菜)が具として入っていてハコベ(ハコベラ)、スズナ、セリ、ナズナ、ホトケノザ、ゴギョウ、スズシロとなります。ハコベはコハコベ、ミドリハコベのどちらでもいいとされています。
コハコベは食べられる草花
七草粥として食べる風習があることからハコベは食べられる草花になります。ただし食べる風習があるのはコハコベ、ミドリハコベとなり他の違う種類のハコベは食べられないものもいるので注意しましょう。コハコベ同様に外国から入ってきたと言われるイヌハコベは食べることができるか不明と言われています。
コハコベの特徴
大きくても18cm程度の草花
コハコベは大きさで大きくなっても18cm前後というのが1つ目の特徴です。原産は前述したイヌハコベと同じヨーロッパと言われています。日本では北海道から沖縄に自生していてどこにでもある小さな植物です。
葉には切れ込みなどの特徴がなく楕円に近くひまわりの葉をそのまま小さくしたような感じで茎の片側にだけうっすら毛が生えている特徴があります。
小さいけど特徴的な花
コハコベの花は直径6mm程度の小さく白い花を付けます。注意深く観察しないと花びらの正確な枚数はわかりづらく、一見すると10枚あるように見えますがハート型のようになっていて切れ込みが深いく、2つで1枚の花びらになっているので正確に数えると5枚です。開花時期は特に決まっていませんが冬以外の季節に咲いています。
世界でもハコベといえばコハコベ
日本でもハコベといえば在来種のミドリハコベか帰化植物のコハコベになります。コハコベの英名は「Common Chickweed」となり学名は「Stellaria media」です。世界でもハコベといえばコハコベと言われるぐらいありふれた種類です。
コハコベの種子の特徴
ゴマ粒程度の大きさしかない
花びらが非常に小さいため実と種子もかなり小さいです。種子の写真撮影をするには、デジタル一眼レフカメラなどのちゃんとしたカメラを使わないときれいに写すことは不可能でしょう。
スマホでもレンズを追加しないと撮影できないほど小さく、その大きさは成熟した状態の大きいものでも1.2mm程度、平均して1mmぐらいです。未成熟なら0.5mm前後と非常に小さく形は丸くて切れ込みが一箇所あり、成熟した種子は褐色になります。
魚や爬虫類の鱗のような凹凸
小さな種子をルーペで拡大してよく見てみると爬虫類や魚の鱗のようなでこぼことした突起物のようなものが見えます。
切れ込みがある丸い形状のせいか拡大して見るとペルーで栽培されているジャイアントコーンのように見えると言われていて、熟す前は白色でとなり実の先が自然と裂けて種子が出てくる仕組みです。鱗のようにでこぼことした突起は個体差が少ないので見分け方の大きなポイントになります。
コハコベ(ハコベ)の花言葉について
ポジティブな花言葉が多い
ハコベの花言葉は鳥が餌として好む習性から付けられたものもあり、ネガティブな花言葉ではなくポジティブで素敵な花言葉が多いです。
例えば「ランデブー」や「密会」は花に鳥が集まることから誰かと会うという花言葉になったと言われていて、他には「愛らしさ」や「初恋の想い出」などがあります。ランデブーは英語の花言葉でもありますが、世界各国でもやはりハコベは鳥が食べに来る草花なので同じような意味があります。
海外の花言葉
海外の花言葉もやはり日本と同じようなニュアンスで意味も似ているものが付けられていて、前述したように「ランデブー」や「集合する」などがあります。海外でも鳥がハコベを食べにくるので大きな違いがありません。他には「私に会わない?」という意味の花言葉などもあります。
ミドリハコベ・ウシハコベとは
ミドリハコベは在来種のハコベ
すでに何度か名前が出てきたミドリハコベは、在来種のハコベで花や葉の特徴がコハコベと非常によく似ているため見分け方を知っていても、瞬時に見分けるのは難しいと言われています。
コハコベのことを稀にヒメハコベと呼ぶこともあるようですが、大きさに差はありません。コハコベもミドリハコベも特徴がよく似ているので、前述したようにハコベといえばミドリハコベとコハコベを意味し、特に区別することなく呼んでいます。
ウシハコベは違いがたくさん
日本にはミドリハコベの他にウシハコベというハコベも多く自生しています。コハコベやミドリハコベ比べ草丈が大きくなりやすく、20~50cmとなると言われているので大きいものは一目見るだけでわかりますが、小さいものは草丈だけでは区別しにくいです。
しかしよく見ると葉の形状が三角形に近いものが多く、見分け方がわからなくても見比べるだけでなんとなく区別できます。花を観察すると5本の花柱があり違いがわかりやすいです。
コハコベとミドリハコベの見分け方
見分け方1:生息地と生え方
コハコベは樹勢がつよいので以前流行ったド根性大根のようにコンクリートの隙間から顔を出していることも多く都市部でも自生する特徴があります。また上の方に伸びていくのではなく、姿勢は低く地面を這うように成長すると言われています。ミドリハコベは土の上で上の方に伸びて成長することが多いです。
見分け方2:茎の色
コハコベの茎の色は紫になる場合もあるので、その部分で見分けることも可能です。しかし、必ず変色するとは限らず確定するには少し説得力のない見分け方とも言えます。
簡易的に見分けたいときやフィールドワークなどでゆっくり観察する時間が限られている場合には有効です。なお、ミドリハコベの茎は紫に変色することなく鮮やかな緑となっています。
見分け方3:葉の色の濃さ
彩度(鮮やかさ)や明度(明るさ)でいうとミドリハコベは鮮やかで明るい緑をしています。一方でコハコベは鮮やかではあるのですが明るい緑ではなく暗い緑なので濃い印象のある葉になります。
光の当たり具合やコハコベ、ミドリハコベの両方が手元にないと分かりにくいので確定するには少し分かりにくい見分け方になるでしょうか?このような場合は茎の色と合わせて確認するといいでしょう。
見分け方4:ルーペを使って観察
花をよく確認するにはルーペを使わないと見にくいです。ミドリハコベとコハコベでは雄しべの数が違うと言われていますが、個体差があるので明確な違いとは言えません。多ければ7本や10本とミドリハコベの可能性が高いです。
一番確実な見分け方としては種子を見た時に魚や爬虫類の鱗のように見える凹凸に高さがあり出っ張っているとミドリハコベ、あまり目立たないならコハコベとなります。
ハコベ(コハコベ)の利用方法1
人間が食べる
前述したように春の七草として数えられていて、七草粥にいれて食べる草花です。それ以外でもいろいろな料理があります。野草ですが苦味が強いということもなく、ハーブの用に香りがいいというわけではないのですが、おひたしのようにして食べたり、パスタに入れてたべたりと野菜のように利用できます。
はこべのゴマあえ
材料 (4人分) はこべ1ざる 白ゴマ大さじ2 だし醤油大さじ2
柔らかい若い目を摘み取りよく洗いサッと茹でて調味料やごまであえれば完成です。水気をよく切らないと調味料が薄くなるので注意しましょう。ハコベで簡単につ作れる人気レシピです。ミドリハコベでもコハコベでもどちらでも食べられるので好きな方を用意しましょう。花が咲かないイヌハコベは食べられるか不明なので気をつけてくださいね。
ハコベ(コハコベ)の利用方法2
小鳥の餌
古くからハコベは鳥がよく食べる草として知られています。花言葉で紹介したように鳥の大好物ということで鳥のためにハコベを育てているという方もいるほどです。種子だけではなく葉の部分も食べます。鳥の餌として家庭で育てるためのハコベの種子も販売されているほど一般的でセキセイインコ、コザクラインコなどの餌として重宝します。
薬草としての利用
材料 はこべ 好きなだけ 天然塩 粉状にしたはこべと同量
食用意外にも歯磨き粉として利用することもあり古くから民間療法に用いられる薬草という使い方もあります。作り方は乾燥させたハコベを炒って粉状にして塩と混ぜるだけです。
江戸時代にはすでに歯茎からの出血や予防に使われていた言われています。使い方は指につけてマッサージするだけですが、民間療法ということで明確に効くかは分かっていません。
コハコベのまとめ
身近にある食べられる草花
ハコベとハコベラは同じ植物を指す言葉でコハコベは一般的にハコベのことです。よく似たハコベにミドリハコベもあり両方を含めてハコベと総称されます。
どちらも非常によく似ているので見分けるのは難しいですが茎の色、雄しべの数などいろいろなところを見比べていけばルーペを使わなくてもわかりますよ。1月7日に食べる七草粥としても利用されることからかなり身近な野草です。
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