家庭菜園でしょうがを栽培
ピリッとした辛味を与えたくれるしょうがは、生薬としても効果が期待される健康食材として古くから親しまれています。そんなしょうがは家庭菜園でも栽培しやすい野菜です。こんなコツやポイントを押さえておくと、より上手にしょうがを栽培することができます。
ここでは家庭菜園でしょうがを栽培するときの方法、上手に栽培するポイントや注意点を解説します。
しょうがの栽培方法とポイントを解説
①種しょうがを選ぶ
しょうがは栽培期間が長く、栽培過程で葉しょうがや、根ショウガとして楽しめる野菜です。しょうがはほかの野菜や草花のように種まきや苗植えから栽培するのではなく、種しょうがを植え付けて栽培します。
種しょうがは4月頃になると、園芸店やホームセンターで売りに出されます。しょうがの栽培でまず最初のポイントは、良い種しょうがを選ぶこと。種しょうがの良しあしで、良いしょうがをたくさん作ることができるかどうかが決まるといっても過言ではありません。
よい種しょうがの見分け方
種しょうがの見た目は、スーパーで売られているしょうがによく似ていますが、スーパーのしょうがはすでに食用として芽が削られ、しかも冷蔵管理されているので栽培には向きません。
スーパーのしょうがを水栽培などから芽を出させて育てることもできますが、簡単にしょうがを栽培したいのであるなら、良い種しょうがを購入して植え付けるのがおすすめです。
良い種しょうがの見分け方は、
1.表皮にしわがなくみずみずしい
2.ツヤがある
3.硬くしまっている
4.しっかりと芽がついている
この4つのポイントを目安に、種しょうがを見分けてください。
②土壌を耕し土作りをする
どんな野菜でも家庭菜園で上手に育てるには、栽培する野菜にあった土壌作りが大切です。植え付けの約2週間前に土作りをして準備します。植え付ける土壌をクワなどでよく耕して土壌を柔らかくします。
雨の多い日本では通常の土壌は酸性に傾いたいる場合が多いのですが、野菜にはその野菜の成長に適する土壌の酸度(PH)というものがあります。
ホームセンターなどに行くと、土壌酸度計というものが売っているので、それを使用してしょうがを栽培する土壌の酸度を計り、しょうがの栽培に適する土壌の酸度に調整します。
しょうがの栽培に適する酸度は
しょうがが好む土壌の酸度(PH)は5.5~6.0。しょうがは弱酸性から中性の土壌を好みます。土壌酸度計でしょうがを栽培する土壌が酸性の傾向が強いのであるなら、石灰を土壌に施して土作りの段階で土壌を調整します。
石灰は土壌をアルカリ性にする作用があるほかに、野菜や植物の成長に必要なカルシウムやマグネシウムの補給作用もあります。石灰にもいろいろ種類がありますが、一般的に家庭菜園で使いやすい石灰は、市販の苦土石灰がおすすめです。
施す分量は購入した苦土石灰の説明欄に記載がありますので、しょうがを栽培する土壌の酸度を計って、適量を施してください。
③堆肥・元肥について
堆肥
しょうがだけではありませんが、家庭菜園で野菜を育てる場合や花木を育てる土作りに欠かせないのが、土壌に堆肥を施しておくことです。土壌中の保水性、通気性、排水性を高め、野菜や植物の根の張りをよくする効果があります。
堆肥は市販の腐葉土を使用するのがおすすめで便利です。腐葉土とは落ち葉などを発酵・分解させたもので、自分で作る人もいますが、大変手間がかかるので、家庭菜園初心者や、小さな場所を利用して家庭菜園を楽しむのなら、市販のものを使うと便利に土作りをすることができます。
元肥
しょうがをはじめ野菜や植物が成長するには、土壌から必要な栄養分を吸収し成長します。そのためしょうがの栽培では、しょうがの成長に必要な養分となる肥料を土作りの段階で施しておきます。「元肥」とは土作りのときに施す肥料のことです。
元肥も園芸店やホームセンターの市販のものを使うと便利です。元肥はゆっくりと効果があらわれる緩効性の有機肥料を使います。元肥として使う有機肥料の主な要素はチッソ(N)、リン酸(P)、カリウム(K、「カリ」と表示されていることもある)です。
市販の有機肥料は含有する要素の配合が様々です。しょうがは根を成長させて楽しむ野菜なので、必要な要素であるカリウムの配合の多い元肥を選ぶのがおすすめです。
プランターで栽培する場合
しょうがはプランターでも栽培することができます。しょうがをプランターで栽培する場合の植え方の目安は30×30×60cmの深型10号鉢に種しょうが1~2個を植え付けるのがよいでしょう。使用する用土は市販の野菜用の培養土を使用すると便利です。市販の用土の酸度はほとんど弱酸性~中性です。袋の説明書に元肥などが含まれていない場合は、元肥を加えてください。
④植え付け
4月頃になると種しょうがが店頭に並び始めます。丈夫そうな良い種しょうがを選んで準備した土壌やプランターに植え付けます。植え付ける時期は4月下旬~5月上旬が最適です。種しょうがは気温が25~30℃くらいが生育の適温です。そして地中の温度が15度以上なければなかなか発芽しません。だから植え付けの季節は地中の気温が高くなり始める4月下旬~5月上旬が最適なのです。
植え方のコツ
種しょうがの植え方のコツは、種しょうがを1片40~50gくらいの大きさを目安に分割します。それからここでもまた一つコツがあるのですが、分割した1片に2~3つ程度、芽が付いていることです。
植え付けるときのコツは株間は20~30cmに間をあけて植えること、プランターの場合は10号鉢に1~2片くらい植え付けるのがよいでしょう。そして10cmくらいの深さのところに植え付けることです。ほかの野菜に比べると結構深めに土を掘り植え付けます。
⑤敷きわらを引き追肥を施す
しょうがは乾燥に弱いので、植え付けた後は水をよく施します。プランターの場合は朝夕2回、地植えのものは2日に1度はたっぷりと水を施します。特に梅雨明けのあとは乾燥しがちになるの、根本に敷きわらなどを引いて乾燥防止の対策をしましょう。
また本葉が2~3枚でてきて、草丈が15cmくらいに伸びたら追肥をします。この時追肥する肥料は有機肥料でも化成肥料でも構いません。株のまわりに追肥したら周りの土とよく混ぜ合わせておきます。草丈が30~40cmくらいになった頃もう一度追肥します。
それからは1ヵ月に1回のペースで同じ肥料を追肥していきます。
追肥に液体肥料を使用する場合
追肥に液体肥料を使用する場合は、注意事項通りの分量を水で薄めて、本葉が2~3枚出て草丈が15cmくらいに伸びたころから1~2週間に1度水やりの代わりに施します。
液体肥料は肥料やけなどを起こす心配が少ないので、分量を守れば初心者でも心配なく使用できますが、雨が降ると土壌にとどまらず、しょうがの養分になる前に雨と一緒に流れてしまいます。
雨が続くようなときや、株に元気がない時は、液肥ではなく顆粒の肥料を土にまぜる方をおすすめします。
⑥土寄せをする
追肥と一緒に株元に土寄せするのもしょうがの栽培のコツです。しょうがは成長してくると株元でしょうがの根が頭を出してきます。そのような場合は株元に土寄せして根元を土で覆っておきます。
追肥と一緒に土寄せするのがいいわけは、しょうがは地中に、下にまっすぐ根を伸ばすため、追肥は株元にするのが効果的なコツです。追肥する肥料を土に混ぜ合わせて追肥するので、その土を株元に寄せると追肥にも効果的なわけです。
⑦しょうがを収穫
しょうがは7初旬~8月下旬ごろから収穫を楽しめます。葉が3~4枚開いた7月の初めの頃は、植え付けた種しょうが(古根)を地中に残ししたまま摘みとった「筆しょうが」が楽しめます。柔らかでまだ辛味少ないためそのまま味噌などをディップにして味わえます。
葉が7~8枚付いた頃は、新しい根が少し大きくなった頃で、葉付きのまま収穫すると「葉しょうが」として楽しめます。そのままにして夏を越し10月下旬~11月上旬の晩秋の頃まで待つと、葉が黄色く枯れてきます。
その頃になると根が十分大きくなったみずみずしい「新しょうが」を掘り出すことができます。新しょうがを掘り出した後のものは、種しょうがとして翌年利用できます。
栽培時の注意点2つ
①しょうがは連作障害がある野菜
翌年もしょうがを栽培する場合に注意しなければならないことは、しょうがは連作障害がある野菜だということです。そのため翌年も同じ場所に栽培しないように注意しなければなりません。連作というのは文字通り、翌年も同じ場所で同じ野菜を栽培することです。
連作障害とは、翌年も同じ場所で同じ野菜を栽培すると育ちにくく、あるいは育たないという性質のことです。すべての野菜が連作障害があるわけではありませんが、しょうがは連作障害がある性質の野菜なのです。
しょうがの連作障害の対策
連作障害に考えられる原因は、収穫後の土壌に前年に育った野菜の根に寄生していた害虫などが発生してしまい、土の環境が崩れることや、同じ野菜を連作することで、同じの微生物だけが集まり特定の病原菌が増えてしまうので、翌年の野菜の成長に悪影響を及ぼすことなどが考えられています。
こんな障害がしょうがは出やすい性質なのです。そのためしょうがは一度作った場所ではしばらく栽培せず、間隔をあけて栽培するのが連作障害を予防する対策です。間隔をあける期間は野菜によって違いますが、しょうがの場合は1年は間隔をあけるのが好ましいです。
ほかの野菜では2年も3年も間隔をあけなければならないものがあることを考えると、たった1年は短い期間です。
プランターの場合は毎年用土を替える
プランターでしょうがを栽培する場合、翌年もそのプランターでしょうがを栽培したいのであるなら、用土を新しいものに替えて栽培しましょう。そうすることで連作障害を予防できます。
もしくは翌年は用土を再生し、1年は違う野菜を育ててみるのもおすすめです。地植えの場合も同様で、翌年は土壌を耕し、1年間は違う野菜や草花を楽しむとよいですね。
②地温を上げるためのマルチングなどをする
しょうがの植え付けの項目でも説明しましたが、種しょうがは25~30℃が成長の適温です。種しょうがは低温だと成長が遅れてしまいます。植え付けの時も地温が低いと発芽するまでに時間がかかってしまうことがあります。
その年の気候によって、気温が低い場合は、マルチングシートなどで根元の土壌を覆って、地温を上げてあげるのも発芽しやすくなるコツです。
成長してきたら、シートに穴をあけて芽を出してあげます。しょうがを栽培すときは、発芽時期の気温に注意して成長に注意するようにしましょう。
家庭菜園でしょうがを栽培してみよう
しょうがは家庭菜園で育てやすい野菜です。最初のコツはよい種しょうがを選ぶこと。そしてしょうがを栽培しようと思ったら、2週間前にはしょうがの成長に適する土作りを始めてくださいね。
乾燥が嫌いなので水やりもお忘れなく。成長によっていろいろな収穫が楽しめるしょうが。あなたも栽培してみませんか。
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