涸沢岳とは
涸沢岳(からさわだけ)は標高3,110mの山です。涸沢岳は、北アルプスの槍ヶ岳から大キレットを通って奥穂高岳へと続く縦走路にある山で、穂高連峰のなかのひとつです。涸沢カールの上層部にそびえるのが涸沢岳です。涸沢岳は長野県松本市と岐阜県高山市の境に位置しています。
涸沢カールについて
涸沢といえば、涸沢岳を思い浮かべるより、涸沢カールを思い浮かべる人のほうが多いはずです。涸沢岳の下に広がる涸沢カールは、氷河の痕跡を残した深い谷は、夏には高山植物が咲き誇り、秋には美しい紅葉で彩られます。
穂高連峰について
穂高連峰は、奥穂高岳、前穂高岳、西穂高岳、北穂高岳、涸沢岳、明神岳などが連なる山々です。穂高岳、剱岳、谷川岳で日本三大岩場とされています。滝谷やジャンダルムなどに代表される岩の殿堂を作り上げています。
涸沢岳山頂からの眺望
涸沢岳の山頂からは、奥穂高岳から西穂高岳、北穂高岳から南岳さらには槍ヶ岳、目の前に前穂高岳などの山々はもちろんのこと、眼下に涸沢岳から続く涸沢カールの姿を一望できます。
涸沢岳の難易度は
初心者でも大丈夫な難易度のルートは、上高地から涸沢を経由して、穂高岳山荘から涸沢岳山頂を目指すルートです。北アルプスの初心者が涸沢岳を目指すなら、このコースが一般的です。
涸沢岳山頂までのルートの難易度
穂高岳山荘から涸沢岳山頂までのコースは、比較的穏やかな傾斜になっていて、初心者でも無難に挑める難易度の山です。
涸沢岳山頂から北穂高岳へのルートの難易度
涸沢岳山頂から北穂高岳へと向かうコースは一転して難易度が上がります。涸沢槍、カメ岩を経て最低のコルと呼ばれる場所まで下るコースには、クサリや梯子が設置されていています。特に、涸沢槍からの下りの岩場は傾斜がきつく緊張感が途切れることがありません。
涸沢岳への登山ルート
涸沢岳への基本コースである上高地から涸沢に入って、穂高岳山荘を経由して涸沢岳に至るルートについて見てみます。
上高地から横尾まで
涸沢岳を目指すには、北アルプスを代表する登山基地であり観光地でもある上高地を出発します。横尾までは約3時間の行程です。横尾までは、比較的平坦な道のりです。定番の河童橋での写真撮影が済んだら、梓川を遡っていきます。明神、徳沢とポイントごとに山小屋があります。山小屋で休憩を取りながら行程を進めます。
横尾から涸沢まで
横尾で、槍ヶ岳方面と涸沢方面へ向かう道が分かれます。涸沢岳へは、屏風岩をぐるっと迂回するような形で登山コースがあります。横尾から本谷橋までが約1時間、本谷橋から涸沢までが約2時間です。涸沢の標高は約2,300mです。上高地の標高が1,500mほどですから、約800m登ります。目指す涸沢岳が涸沢を取り囲む山のひとつとしてそびえます。
涸沢から穂高岳山荘を経て涸沢岳
涸沢岳へは、まず、穂高岳山荘を目指します。涸沢から穂高岳山荘まではザイテングラードを通って約2時間30分です。穂高岳山荘まで来ると涸沢岳はもう目の前です。あと約30分頑張れば涸沢岳の山頂です。その先は、北穂高岳、さらには大キレットを通って南岳へと続きます。
涸沢岳周辺の山々
涸沢岳は奥穂高岳を主峰とする穂高連峰を形成するひとつの山です。南には奥穂高岳、北には北穂高岳がそびえています。涸沢岳から涸沢カールを挟んで南側にあるのが、前穂高岳です。
奥穂高岳
穂高岳の主峰奥穂高岳は標高が3,190mあります。奥穂高岳は、北アルプスで最も高く、日本で3番目に高い山です。奥穂高岳から西穂高岳へと南西に延びる尾根には、ジャンダルムに代表される岩稜が続きます。
北穂高岳
北穂高岳は標高は3,106mで、涸沢岳の北に位置しています。北穂高岳からは大キレットを経て南岳、中岳、さらには槍ヶ岳へとづづく、日本屈指の岩稜地帯になっています。涸沢岳から北穂高岳へのコースは急峻な岩場となっていて、初心者には難易度が上がります。
前穂高岳
前穂高岳は標高3,090mで、涸沢の南に位置しています。前穂高岳へは、上高地から岳沢を経由して、重太郎新道を登ります。上高地から前穂高岳までは、約6時間30分です。前穂高岳はロッククライミングのフィールドとしても有名です。
涸沢岳付近の山小屋
涸沢岳へのアタックでベースとなる山小屋です。上高地から涸沢岳への行程を考慮すると、涸沢で1泊して涸沢岳へ挑むのが標準的なコースです。
涸沢小屋
涸沢に2つある山小屋のうちのひとつです。涸沢ヒュッテに比べると、こじんまりしてます。涸沢カールを見下ろす場所にあって、テラスから涸沢の風景を満喫できます。
涸沢小屋の基本情報
【住所】長野県松本市安曇上高地 4469-1
【連絡先】090-2204-1300(小屋直通、夏期のみ)
【アクセス】上高地から約6時間
【備考】定員約100名、標高2,350m
涸沢ヒュッテ
北アルプスの山小屋のなかでも1、2を争うほど混雑するのが、涸沢ヒュッテです。涸沢岳だけでなく、奥穂高岳や前穂高岳を目指す人でにぎわいます。涸沢ヒュッテからのテラスからは、涸沢岳から前穂高岳へ連なる稜線の姿を望めます。テント泊の場合、涸沢ヒュッテで受付をします。
涸沢ヒュッテの基本情報
【住所】長野県松本市安曇上高地 4469-1
【連絡先】090-9002-2534(小屋直通、夏期のみ)
【アクセス】上高地から約6時間
【備考】定員約200名、標高2,310m、レンタルテントあります。
穂高岳山荘
涸沢からザイテングラードを通って、奥穂高岳と涸沢岳の鞍部である白出のコルに建つ山小屋です。涸沢からだけでなく、西穂高岳からジャンダルムを越えてきた人、槍ヶ岳から大キレットを越えてきた人などで賑わう山小屋です。
穂高岳山荘の基本情報
【住所】長野県松本市と岐阜県高山市の県境
【連絡先】 090-7869-0045(小屋直通、夏期のみ)
【アクセス】上高地から約8時間30分
【備考】定員約250名(クレジットカード使用可能)、標高2,996m
涸沢岳の登山時期
冬の間は上高地への道路も閉鎖されます。涸沢岳や奥穂高岳などはさらにその奥にありますので、初心者では近づけないので領域です。涸沢岳へは、夏~秋、つまり7月~9月がおすすめの時期になります。
涸沢岳の夏
梅雨が明けた7月下旬ごろからが夏山の本格的なシーズンになります。涸沢岳への登山もこの時期がメインになります。この時期には、奥穂高岳などを目指して、多くの人が涸沢に集まってきます。あたかもテント村が出現したかのように、さまざまなテントが張られ、山小屋にも多くの人がやってきます。梅雨が明けた直後の天気の安定した時期が涸沢岳への登山のおすすめです。
涸沢岳の秋
夏よりも涸沢が賑わうのが秋です。秋の紅葉の時期、紅や黄色の染まった涸沢は、穂高岳の山々に包まれて圧巻の風景を作り出しています。この時期の涸沢は、奥穂高岳や涸沢岳などの登山目的だけでなく、この紅葉目的の人も多く、特に連休中の山小屋は超満員になります。紅葉の時期はぜひ、涸沢岳に登って頂上から紅葉に彩られた涸沢を見下ろしてください。
涸沢岳の登山口、上高地へのアクセス
上高地は、穂高岳や槍が岳への登山口ですが、マイカーの乗り入れが規制されています。マイカーは釜トンネルより先へは行けません。シャトルバスかタクシーのみになります。新島々や松本、平湯温泉などからバスが運行されています。
マイカーの場合
マイカーは、松本市方面からは沢渡の駐車場、高山市方面からはあかんだなの駐車場に車を置いて、シャトルバスに乗り換えます。シーズン中はかなり混雑が予想されます。余裕を持って現地入りしてください。
まとめ
涸沢というとすぐに思い浮かべるのは、奥穂高岳です。でも、ちょっとだけ足を延ばして、涸沢岳の山頂にも立ってみてください。眼下に広がる涸沢カールの姿や、奥穂高岳や北穂高岳の穂高連峰の数々が目の前に広がる光景は素晴らしいです。
涸沢の天気が気になるかたはこちらをチェック!
涸沢岳に限らず、登山中の天気は気になるものです。そんなときは、こちらもチェックしてください。
涸沢の天気・気温情報のまとめ!服装や装備は?登山ルートや難易度もご紹介!
穂高連峰の中心部に位置する涸沢は、氷河期に形成された涸沢カールに残る雪と高山植物の花々が美しく、アルプスを代表する景観で人気です。天気がよい...