さつきとツツジの違いについて
桜の花の季節が終わると、次々を花が咲きだす日本。花壇の草花も色とりどりに咲きだしますが、庭木の花も芽を出し花を咲かせる季節です。家の周りの生垣のさつきやツツジも鮮やかに咲きだします。ところでさつきとツツジってよく似ている花木ですよね。いまだに違いが判らない方が多いのではないでしょうか。そこでさつきとツツジの違いをリサーチしました。よく似ている花木ですが、こんな違いがあります。
さつきとは
さつきの学名はRhododendron indicum
さつきはツツジと同じツツジ科ツツジ属の仲間です。学名はRhododendron indicum。旧暦の皐月に咲くことで和名は「さつき(皐月)」と名付けられました。日本固有種でありますが、学名で呼ばれるRhododendronとはギリシャ語で「バラの樹木」という意味。これは真っ赤な花を咲かせる木ということが由来して付けられた学名なのだといわれています。
さつきはツツジの一種
さつきはよく庭の目隠しの生垣や街路樹として数多く植樹されている庭木の一つです。さつきより一足先に開花するツツジとよく似ている花木ですが、それもそのはず、さつきという花木はツツジの一種で、正式には「さつきつつじ(皐月躑躅)」という呼び方が正しい呼び名です。昔はツツジと区別されてはいませんでしたが、剪定のしやすさや移植にも強い強健な花木であり、江戸時代のころから園芸用の花木と人気であったことで、ツツジとは分けてみなされるようになったのです。
さつきの特徴
さつきはツツジ科ツツジ属の常緑低木。樹高は10cm~100cmくらいです。花の色は朱赤色が多いですが、近年は品種改良が進み、ピンクなどの様々花色や花弁の形の種類を見かけます。花の大きさはツツジの仲間の中では小さい方です。葉は固くて小さい葉です。葉の大きさは長さ2~3cmくらいで、幅は6mmくらいの大きさです。表面に光沢があり隙間なく生えます。強健で移植にも強い木なので庭木に好まれ、また盆栽にも人気です。
さつきの種類
さつきの園芸品種は1000種類以上!
昔はさつきというと、朱赤色の花を咲かすのがさつきで、そのほかの色の花はツツジだなどと言われていましたが、近年は園芸品種がたくさん増えて、ピンク色や白、2色混じった花弁のさつきや、大輪を咲かすさつきなどがあり「これは朱赤色だからさつきだ!これは小さい花だからさつき!これは白いからツツジだ!」とは言えない時代になりました。
朱赤色の品種ばかりが人気ではない!
数ある園芸品種の中で、昔から親しまれている一般的な朱紅色の種類は「春日野」「金采」「紅万重」「薩摩紅」「珊瑚采」などという種類。これらの種類は真っ赤な花を咲かせます。さつきというと華やかな赤い色がトレードマーク。しかし近年は園芸品種が増え、赤い色のさつきだけが魅力を博しているわけではありません。「八咫の鏡 (やたのかがみ)」という品種はこれまでにない色のさつきの種類。緋紅色もしくは白い大きな斑が入った丸形の花弁のさつきです。1959(昭和34)年に農林大臣賞を受賞した「一生の春」というとてもかわいいネーミングのさつきは、その名の通り淡いピンクの地に紫の大絞りもしくは小絞りの丸い花弁の大輪を咲かす種類です。
さつきの花の季節
さつきの開花は5月中旬から6月中旬!
さつきの花の開花の季節は初夏。5月中旬~6月中旬、遅いものは7月初旬に開花するものもあります。さつきの一般的な花の大きさは3.5~5cmくらいの大きさです。一般的なツツジに比べると小さい花です。しかし花の大きさも種類によっては大輪の種類もあります。俳句によく歌われるさつきは初夏に咲く花みなされており、夏の季語として詠まれています。
さつきは枝先に漏斗状の花を咲かす
さつきは枝先に、上が広がり下が細くつぼまった漏斗状の花を咲かせます。一般的なさつきは一つの枝に1~2輪の花を咲かせます。江戸時代から品種改良が盛んにおこなわれてきたので、定義通りには紹介できないのが現状ですが、昔から変わらず最も育てやす花木であることには変わりなく、街路樹や公園などに植樹されています。育てやす花木であることでは一般家庭の生垣や盆栽などにも利用され楽しまれている花木です。さつきというと和風のイメージですが、意外に洋風の庭にもよく合うといわれます。
ツツジとは
ツツジの学名はRhododendron
ツツジはさつきと同じツツジ科ツツジ属の花木です。学名はRhododendron 。和名は躑躅と書きます。さつきもツツジの仲間ですが、ツツジは古くから日本で親しまれてきた花木。落葉樹でもあり常緑低木の種類のものもあり、また半常緑低木の種類もあります。樹高は0.5~3mくらいです。原産国は日本及び北半球の温帯地方に自生しています。自生している日本の野生の種類からたくさんの園芸品種が作られ、昔から強健で育てやすく、花がきれいなことで、さつき同様に庭木としても人気の花木です。
ツツジはヤマツツジの総称
一般的にツツジは落葉樹といわれますが、半常緑性のヤマツツジの総称に扱われることこともあります。それに加えて落葉性のレンゲツツジや常緑性のヒカゲツツジを仲間にして、その総称をツツジとよぶことがあるため、ツツジは落葉樹であるが一方で半常緑性、もしくは常緑性の花木に扱われます。現在栽培されているツツジは、日本に自生する野生種を品種改良したものなので、いずれも育てやすくは、鉢植えなどでも楽しむことができる花木として親しまれています。
ツツジの特徴
ツツジの葉はさつきよりも大きく長さは5~7cm、幅は1.5cmくらいの大きさです。互生して生えています。葉は柔らかく、しかし光沢はありません。花の色はピンク、白、赤紫、混色、朱赤など種類によってたくさんの花色があります。一般的なツツジはさつきより大きめの花です。育てやすい花木ですが、初夏から夏の季節にはハダニやツツジグンバイなど害虫が付きやすくなります。害虫が付くと葉の色が悪くなり病気にかかってしまいます。害虫を発見した時は市販の殺虫剤で害虫を駆除し拡大するのを防ぎましょう。
ツツジの種類
ツツジも園芸品種がたくさん!
ツツジもさつきと同じように江戸時代の中ごろから園芸品種がたくさん作られてきました。日本でツツジは、さつきも仲間に加えると17種類ほどのものが自生しています。その中でもクルメツツジは江戸時代の末期に作り出された園芸種で、明治時代からはさらにたくさんの品種が作出されてきました。
たくさんの園芸品種が作られたツツジ
日本で古くから庭木として親しまれているツツジは、それほど大きくならず育てやすい特徴を持っている上に、きれいな花を咲かす人気の花木であったため古くから改良された点も多く、花の形や色、葉の形などたくさんの種類が存在します。ただ昔ながらのオーソドックスなツツジもその人気の座は譲りません。たとえば江戸時代から人気を博している深赤色の花を盛りだくさんに開花させる「キリシマツツジ」や大輪の赤紫花を咲かせ現在も街路樹などでお馴染みの「オオムラサキツツジ」などは、現在も人気であり、またこれらを基にたくさんの園芸品種も作出されているのも確かです。
ツツジの花の季節
ツツジの開花は4月中旬~5月上旬
ツツジの開花の季節は春。桜の時期が終わった4月中旬~5月上旬に開花します。一般的には花の大きさは5~7cmくらいです。ただし花の大きさは色々は園芸品種が流通していて、盆栽用に造られた品種の花などは普通のツツジの花よりずっと小さい大きさです。花はさつきと同じように漏斗状の花で花弁のように5つに深く切り込みが入ったような花が咲きます。
ツツジの花は種類によって色も大きさも様々!
ツツジの種類の目安に大いに関係するツツジの花。種類によって花も様々!先ほどのツツジの種類の項目で話したキリシマツツジやオオムラサキツツジはツツジの花の代表的な花の形をしています。白いツツジで有名なリュウキュウツツジ、オレンジ色の花が咲くレンゲツツジ、大輪を咲かすヒラドツツジ、色彩ははっきりした数種類の色の花で株を覆うようにもりもりと咲くのが見どころのクルメツツジ、白地や紫地に濃い紅色斑点が所々にみられる1茎に複数の花を咲かせるモチツツジなど、種類によっては花色や花の形などに違いがあります。もちろん花と同時に葉や生長の特徴も違います。
さつきの花とツツジの花の違いと見分け方
咲く時期で見分ける
さつきとツツジはよく似ている花を咲かせます。昔は小さい花はさつきで大きい花はツツジなどと言われていましたが、近年は園芸品種が多く、一概に花の大きさでは判断できないこともあります。花で見分ける場合は早く咲くのがツツジ、初夏頃に咲くのがさつきというように見分ける方が正確に見分けることができるかもしれません。
花色では見分けられない
昔はさつきは赤、そのほかの色はツツジというように見分けていたようですが、近年はさつきの園芸品種も花色が豊富で、花色ではさつきかツツジかと見分けるのは難しい時代になりました。咲く時期以外、しいて言えば、花を覗いてみて雄しべが5本くらいのがさつきの特徴で、ツツジは雄しべが5本~10本とさつきよりもたくさんあるのツツジの特徴です。その特徴を考えると雄しべの数もさつきとツツジの違いの見分け方の目安の一つになります。
さつきの木とツツジの木の違いと見分け方
小さい木がさつきで大きい木がツツジ
さつきの木の特徴は常緑樹なので冬でも葉は落ちませんが、ツツジの落葉樹は冬になると葉が枯れ落ちます。ただしツツジでも常緑樹の種類もあるのでさつきと間違えないように気を付けなければなりません。さつきの木の特徴は大きくても1mくらいの大きさ、ツツジはさつきよりも大きくなります。一概には言えませんが、サツキのほうがツツジよりも木も、花も、葉も小さいのに対して、ツツジの木の方が木も、花も、葉も大きいと思っているとわかりやすいかもしれません。
こんな違いもある
先に花を咲かせるツツジの特徴は、花が咲き、花後の5月下旬に木に新芽が出てきます。新芽が出てきたら剪定して樹形を整えます。それに対してさつきの特徴は新芽が出る5月頃につぼみが付いて花が咲き、花が咲き終わっても新芽が出てこないので剪定しずらい特徴があるといわれます。こんな違いを目安にさつきとツツジを見分けてみましょう。園芸品種の多いさつきとツツジ、小さな株の時は特にどちらもよく似ているので、園芸店などで株を購入する際に、見分け方がわからないときは、専門の店員さんに伺ってみるのも一つの手段です。
さつきとツツジの特徴を知って上手に栽培!
さつきとツツジはよく似ている花木。それもそのはずさつきはツツジの仲間なのでよく似ているはずです。見分け方は色や大きさで昔は見分けていたようですが、近年は園芸品種が増えて、見分け方もプロ並みの知識が必要な株もあります。似ている花木ですが、特徴はそれぞれ違い、花の見栄えも違います。さつきとつつじ、見分け方がわからない株は、専門家に伺ってみるのも一つの手段です。見た目は似ている花木ですが、咲く時期に違いがあります。基本的な見分け方は花が早く咲き大きいものがツツジ、遅く咲き小さいのがさつき。こんな特徴をポイントに上手に見分けてみてください。
さつきの情報をもっと知りたい方はこちらもチェック!
さつきの情報をもっと知りたい方はこちらもチェックしてみましょう。さつきに関する情報がこちらにも掲載されています。たくさん情報を集めて上手に栽培してきれいに楽しんでください。

サツキの花はどんな特徴?見ごろの時期や花の色ごとの花言葉などもご紹介!
さつきの花の特徴にはどのようなものがあるかご存知でしょうか?植物好き、庭木好きの方でも特徴や花の種類も中々全て把握できませんよね。ここでは、...