ターシャの庭って?
誰もが羨む憧れの庭
ガーデニングをこよなく愛している人なら誰もが憧れるターシャの庭。広大な自然の中での庭づくり、自然のありのままを愛し自然に近い状態の庭。そんな庭の中で自給自足のゆっくりとした時間を過ごすターシャ・テューダーの生き方、考え方は多くの人が共感する事が多く、ガーデナーでなくとも一度は訪れたくなります。ターシャが亡くなったその後、今現在も多くの人に愛されていますね。まずはこのターシャという人物について次の項目で詳しく述べていきます。
ターシャ・テューダーとは誰?
ターシャの幼少期
1915年にアメリカボストンで生まれ、父は設計士、母は肖像画家でありました。父、母ともに名家出身であり特に母方テューダー家は政財界を支配するくらいのレベルの家でした。しかしそんな華やかな世界を好まないターシャは、この頃から農場などのゆったりとした空間を好む少女だったのは、その後の庭づくりを好むターシャ・テューダーそのものでありそこに誰もが共鳴する部分であるのです。
15歳で学校やめ農業へ
13歳の誕生日に念願の牛を買ってもらうターシャ。この事からもターシャ・テューダーという人物がいかに自然を愛し、農業を愛していたかという事がうかがえますね。その後学校までやめてしまったターシャはこの時から農業への道を究めていきます。その後の自給自足の生活を固めていったのも、この頃から花を育てながらの生活で培っていたのです。ターシャ・テューダーの根強い意思は子供時代からの物だったのですね。
結婚して絵本作家
23歳で結婚したターシャは元々好きだった絵を絵本として出版してこの時から絵本作家ターシャ・テューダーとしてデビューします。その後4人の子供に恵まれながら、絵本を次々に出版してアメリカの子供たちがターシャ・テューダーの絵本に夢中になりました。7年後にはマザーグースという絵本でコールデコット・オナー賞を受賞します。そしてこの頃ニューハンプシャー州の農場を買って本格的に農業を始めるのです。
ターシャ・テューダーの晩年
46歳で離婚を機に絵本の仕事を生活の糧とし、それでも4人の子供たちとゆったりとした生活を送っていました。子供たちをしっかりと愛しイースター、ハロウィン、クリスマスなどの1年を通してイベントを楽しんだり、草花を育てたりしながら自然を楽しんでいました。そして57歳の時に今現在のバーモント州の30万坪もある広大な土地を買い、その後古き良き時代である自給自足のスローライフで、亡くなるまで思う存分に庭づくりを楽しんだのですね。
ターシャの家(コーギーコテージ)
息子が建てたコテージ
57歳から亡くなる92歳までを過ごしたバーモント州のターシャの家コテージは息子セスが建てました。家具職人であったセスはターシャの要望通り、アメリカ開拓時代にあるような古いファームハウスに仕上げ、ターシャ自身もすごく気に入って飼っていたコーギーにちなんでそのコテージを「コーギーコテージ」と名付けました。そんなターシャは家にたった1人で住みその後イングリッシュガーデンのような庭づくりに励んでいったのですね。
水道電気暖房もないコテージ
このターシャの家コーギーコテージは、最初は水道、電気、暖房などの設備が無く、ターシャは自ら薪を割り暖炉に火をつけ、その薪を使ってオーブン料理などを作って生活をしていました。そんな不便なような生活をあえて望み、手作りキャンドルを楽しんだり、子供たちのために日々楽しいイベントを考えたりと毎日を幸せに暮らしていた事がうかがえますね。便利な今現在の世の中、ターシャの家だけ時代がさかのぼったような別空間だったのが分かります。
今現在のターシャの家
孫が管理
このターシャの家コーギーコテージは、今現在もそのまま維持されています。このコーギーコテージを建てた息子セスの息子、つまりターシャの孫であるウィンズローとその嫁のエイミーで今現在も管理しており、ターシャの望んだような形を維持したまま大切に保持されているのです。このエイミーはまだ学生だった頃に、ターシャの家の草取りのバイトをきっかけにずっとターシャの家のお世話に携わっていました。長年に渡りコーギーコテージは大切にされてきたんですね。
ターシャの庭ツアー
そんなターシャの家を1度は見てみたい、訪れてみたいと思う人達は数多くいます。イングリッシュガーデンにあこがれている人はもちろん、ガーデニングをしていない人もターシャの人柄に魅了されて、ターシャの家を訪れる人もいるようですね。ターシャの生前も亡くなったその後今現在も「ターシャの家、ターシャ庭ツアー」が開催されています。年に数回ですが、訪れる事ができます。しかし本当に数少なくまた写真撮影なども厳しく禁じられていますので注意しましょう。
ターシャの犬コーギー
50年飼い続けたコーギー
動物愛に満ち溢れていたターシャ・テューダー。自然の中にいる野生の動物ともすぐに仲良くなるほどです。そんなターシャのそばにはいつもコーギーがいました。最初のコーギーは1959年、ミスターBという名のコーギーで、その後も絶え間なく全部で20匹のコーギーを飼い続けたターシャ。「コーギーほど魅力的な犬はいない」と言うほどコーギーを愛していたんですね。確かにどの写真にもそばにいつもコーギーがいますね。
ターシャ・テューダーの考え方
あせって結果を求めない
物があふれている今現在の世の中は、何でもすぐに手に入り全てが便利になっていますね。しかしターシャは「欲しい物を手に入れる為休みなく働いて、どんな些細な事にも楽しみを見出す事が大切」だと言っています。それが子供たちの誕生日だったり、クリスマスだったり、庭づくりだったりを一生懸命にこなして、小さな楽しみを大きな幸せにしていたのでしょうね。ここが誰もが感銘を受ける部分なのでしょう。
ターシャ・テューダーの生き方
庭中心のスローライフ
ターシャの生き方として「人生は忍耐。庭づくりも同じような物。でも苦労したその後には、必ず楽しみや幸せがあるから頑張れるのよ」と言いながら庭づくりに励んでいたのですね。「美しい庭は喜びを与える。満点の星と同じ」「1日中庭をみてまわり植物が満ち足りているかどうか見て確かめる事が大切」これらの言葉からターシャが毎日、庭仕事を楽しんでいた事が分かります。花や動物を愛して自然の恵みに感謝する心を見習いたいですね。
ターシャの庭の特徴
堅苦しい庭は好きじゃない
そんなターシャ・テューダーの庭は自然をそのままにしたナチュラルガーデン、また誰もが憧れる花いっぱいのイングリッシュガーデン。実際にはどんな庭なのかを次に詳しく述べます。
ターシャの庭の特徴①
ナチュラルガーデン(イングリッシュガーデン)
ターシャの庭は自然に近い状態でのナチュラルガーデン。さらにイングリッシュガーデンもそなえています。このイングリッシュガーデンとは、フランス式のような幾何学的な庭ではなくより自然な風景のように作り出す庭、イギリス式庭園ですね。しかし何も考えずに自然のままに何も手を加えないのでは、ただの森や野原になってしまいます。イングリッシュガーデンとは自然のように見えるように手を加える庭なんですね。
ターシャの庭の特徴②
広大な庭
ターシャの庭の特徴として、その広さにあるでしょう。その大きさは何と30万坪、東京ドーム20個分です。この広さの管理をするターシャ・テューダーという人物がただ庭づくりが好きというだけではない事がうかがえます。自然をうやまい自然とともに生きるという信念のもとに、庭づくりがついてくるのですね。この広大な土地で色々な物を1から自分の手で作り出す事に、喜びや幸せを感じていたのでしょう。
ターシャの庭の特徴③
コテージガーデン
そんな広大な土地の中に建てたターシャの家コーギーコテージのまわりに、みんなが憧れるコテージガーデンを作り上げたのです。アメリカの昔の農家の家のまわりには、ジャムにするためのリンゴの木や、料理に使うハーブを植え生活に使う薪や道具などをしまう小屋があり、その近くには牛や山羊を飼う風景。そんな風景を本当の物してしまうターシャ。便利な今現在の世の中とはまるで別世界のようだと自分でも言っているほどですね。
ターシャの庭の特徴④
1年中楽しめる花々
そんなコテージガーデンをターシャはイングリッシュガーデンの要素も取り入れます。イングリッシュガーデンの特徴として季節関係なく1年中花が楽しめると言う事。その植物の特徴をよくとらえ、開花時期に合わせて季節ごとにそれぞれの四季を楽しめるように植えるという事ですね。またイングリッシュガーデンの特徴として、色を楽しむために優しい色彩をなるべく同系色にまとめて植える事です。これらを念頭に育てるという事ですね。
ターシャの庭の特徴⑤
次世代に受け継がれる植物
ターシャの自慢である事は、今では見られない植物を球根や種から育てると言う事。これはターシャのおばあさん、またはひいおばあさんから受け継がれている植物でしょう。例えばコテージの周りには、ひいおばあさんからもらったタチアオイ(ホリホック)や、おばあさんにもらったアイリスなどが沢山植えられています。古い品種のシャクヤクは中性のオランダ絵画に出てくる物だと自慢気に話すターシャは本当に幸せに満ち溢れていますね。
日本版ターシャの庭
ターシャの庭が日本で見れる
そんな誰もが憧れるターシャの庭を日本でも見る事ができ、実際に多くの人が訪れています。次にこの日本版ターシャの庭をいくつか紹介していきます。
日本版ターシャの庭①
花フェス記念公園(岐阜)
日本版ターシャの庭と呼ばれる最も有名なのは「ターシャの庭inGifu」。これは岐阜県の花フェスタ記念公園の一角にあります。これ2005年に県のイベント「花フェスタ2005」をきっかけにターシャファンにより作られたものですが、ただ真似て作られたのではなく、ターシャの息子セスさんの了承のもとにあるのです。この代表である伊藤左紀子さんは、何度もバーモント州に訪れ、また逆にターシャの孫2人を日本に招待しており、エイミーさんいわく「ターシャの庭inGifu」と認められているお庭ですね。
限りなく再現
この花フェスタ記念公園の中のターシャの庭は、限りなく本物に近い状態に再現してあります。コーギーコテージの中をのぞくと、ターシャが使っていたような家具や食器があり、アーリーアメリカンの雑貨もいっぱいで女性なら誰もが大好きですね。もちろんそのコテージの周りの庭も、ターシャが植えている植物と同じ物を育て、日々ボランティアの方々がお世話しているのですね。しかもバーモントのターシャの本当の家は撮影禁止ですが、こちら写真スポットも沢山あるのです。
日本版ターシャの庭②
ターシャ・テューダー・ミュージアムジャパン(山梨)
ターシャの庭は他にも日本で見る事ができます。山梨県にある「ターシャ・テューダーミュージアムジャパン」という名の美術館です。これは元々ターシャの絵本を翻訳出版していた食野雅子さんと、ブックデザイナーの井原速夫さんが創設した物。二人は何度もバーモントのターシャを訪れてその生き方、考え方にますます魅力を感じ、日本にもこのターシャのすべてを知ってもらいたく、創設してその後今現在も運営に励んでいます。
実際の物を展示
そんなターシャ・テューダーミュージアムジャパンの魅力は実際にターシャが使っていた物が多く展示してあることです。しかもそれを手に取ってみる事ができるのも嬉しいですね。ターシャが出作りしたドレスや直筆の絵、実際のターシャの写真などを見ると、その時その時のターシャの様子が手に取るように分かります。中でも息子セスが作ったターシャの椅子(セトル)をセス自身が再現してくれているのも嬉しいですね。
その他日本でのイングリッシュガーデン
上野ファーム(北海道)
その他に今現在日本で見る事のできるイングリッシュガーデンが北海道にある上野家が営む「上野ファーム」の「マザーズガーデン」。元々はお米農業だった上野ファーム。買いに来られるお客様のためにたんぼの周りに花を植え始めました。その後、その花を育てる事に魅力を感じた上野さん親子は家族総出で庭づくりに励んでいったのです。しかし本来の農作業よりも重労働だったという庭づくり。それでもその庭づくりが人を呼びつながりが広がるのですね。
10種類の庭
全部で1500坪もある広大な土地の中にいくつもの庭があります。最初に作ったマザーズガーデンの他に、例えば「ノームの庭」と題した庭はノーム(小人)が庭づくりをしたような野花やハーブなどの自然なお庭。他に「木の声が聞こえる庭」と題して小さな池と緑多めの木がメインでウラジロハコヤナギなどの木が植えられた庭。「パープルウォーク」は紫の植物ネベータやサルビアが咲いてる庭など色々な庭を楽しめるのも嬉しいですね。
最後に
庭づくりが示すもの
ガーデニングと言うとお洒落なイメージを持つ方もいると思います。しかしターシャいわく「ガーデニングは結局は草取りだわ。」という言葉。その華やかなイメージとは真逆な、きれいな花を咲かせるために色々な苦労があるという事。それは人生においても同じ。このターシャの庭を訪れる人々はそういう思いもあるのではないでしょうか。現在もなお沢山の人が見てみたいと思うのは、ただきれいなだけではないのですね。
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