イングリッシュガーデンについて
ガーデニングの長い歴史を持つヨーロッパでは、主に3つの様式があります。 1つ目は16世紀頃に生まれた「イタリア式」、2つ目は17世紀頃に広まった「フランス式」、そして3つ目が18世紀頃から始まった「イギリス式」です。このイギリス式にもとづくお庭が、イングリッシュガーデンと呼ばれています。 イタリア式とフランス式は、人の手によってキチッとキレイに整えられたお庭を評価し楽しみます。
自然を活かすイングリッシュガーデン
イタリア式とフランス式が人工的なお庭であることに対して、イングリッシュガーデンは自然を活かしたお庭の作り方をします。 本来は広大な庭へ美しい自然を移植し、庭にある自然の中を散策して楽しむといった目的がありました。そのためイングリッシュガーデンといえば、ひろ〜いスペースに大きな池があるような光景を思い浮かべるかもしれません。ですが今のイングリッシュガーデンに広さは必要ないんです。
イングリッシュガーデンはナチュラル系
成長したままの樹形の樹木や、整然と並べていない様々な草花。人の手が加わっているようには感じられないけど、上手にまとまっている。こういった美しい自然が楽しめる状態をお庭に作り出せれば、イングリッシュガーデンと呼べます。 人気の高いフレンチガーデンも、ナチュラルを取り入れたおしゃれなお庭です。この現在のフレンチガーデンは、上項で説明したフランス式とは様式が異なります。
イングリッシュガーデンの心得
イングリッシュガーデンの作り方として最初に心へ留めておくことは、お庭作りを楽しむ!です。あまり気負ってしまうと、それだけで疲れてしまいますからね。 ガーデニングはお庭を彩るだけでなく、癒しの空間を作るためでもあります。植物とふれ合い、自然のモノに接すれば気持ちが穏やかになります。この自然の魅力がたくさんつまったお庭が、イングリッシュガーデンやフレンチガーデンなんですよ。
植物の管理と成長が必要
イングリッシュガーデンを作り始めても、素敵なお庭がすぐに出来上がるわけではありません。 植え付けた植物を管理しながら成長を見守り、それぞれの植物にあった時期になるとお庭作りの成果が花開きます。多い方がいいからと、たくさんの樹木や草花を一気に育てようとすれば、不慣れなこともあって管理が追いつかなくなり失敗してしまいかねません。
長い目でみながら続ける
イングリッシュガーデンらしくなるには早くても3年ぐらいはかかることを念頭に、まずはできる範囲だけのことに集中し、少しずつ植物を増やしていきましょう。 心に余裕を持つことでガーデニングを楽しめるようになりますし、いろんなアイデアが浮かび始めます。それが素敵なイングリッシュガーデンにつながるんですね。オリジナリティを出すなら少しフレンチガーデンに寄せたりと、柔軟な考えを持つこともおすすめです。
イングリッシュガーデンの作り方/デザイン3選
イングリッシュガーデンをさっそく作り始めようとしても、初めての人は何から取りかかればいいのか分からないと思います。植物の選び方からどんな配置にするのかなど、いっぱいいっぱいになりがちです。 おすすめの方法は、憧れるイングリッシュガーデンのデザインを参考にすること。その中から今できそうなことを探して、ひとつひとつ自分なりに実現させていきます。参考になるおすすめのデザインをご紹介します。
おすすめデザイン.3-1
全体の自然さと赤色のバラが、イングリッシュガーデン感を出しています。植物の配置もこだわりがあって素敵ですね。 小道を歩いて奥まで行ってみたくなります。ほどよい狭さで植物に包まれる感じが別世界に来たよう。植物をひとつひとつ観察したくなるような工夫があると、ゆっくりと楽しめますね。 散策しやすくなる小道を配置する際には、参考にしてください。
おすすめデザイン.3-2
広くて公園のようなお庭です。違和感のないベンチがおしゃれ。ここに座って全体を眺めるのでしょうか。 広くなくてもベンチを配置するといいですよ。実用性のあるオブジェになります。ちょっと疲れたらひと休みして、植物に癒されてください。ガーデニングがはかどりますね。 小さなベンチなら、鉢やプランターに植え付けた色々な植物を配置するのもおすすめ。簡単にできる植物の飾り付けです。
おすすめデザイン.3-3
ひとつの世界観ができあがっているイングリッシュガーデン。建物が自然の素材で作られているので、野性味が強い自然の中でもよくなじんでいます。 植物を自由に茂らせているようにも見えますが、全体的にバランスがいいですね。配置にセンスが感じられ、緑色の濃淡も活きています。自然に見せつつ手を入れるのは簡単ではありません。植物の特性や、ほどよい管理具合を知りましょう。
イングリッシュガーデン作り方のコツ.1
イングリッシュガーデン1番のテーマは自然です。様々な植物の特性を理解した上で、その魅力を活かしたガーデンにしていきます。 実際には植物の管理などに手を加えるとしても、ナチュラルに自然感をださないといけません。簡単なやり方は、自然界に自生している植物をイメージして不規則に植え付けていくことです。雑にやるというわけではないですよ。不規則ながらもバランスよくしてください。
自生する植物を観察する
自然な雰囲気について考えすぎても、よく分からなくなってしまうかもしれませんね。とりあえずはキッチリさせないことを意識してみてください。 自然感の表現力を高めるために、普段から自生している植物を観察してみましょう。お散歩中に見つけたお花や樹木の様子をチェックします。ただし公園などに植わっている植物は、きちんと管理され並べられているので、イングリッシュガーデンのイメージとは離れてしまいます。
イングリッシュガーデン作り方のコツ.2
自然ながらもまとまった印象にするためには、カラーが重要になります。テーマカラーを決めた上で、咲かせる花の色から植物を決めるという選び方もあります。 イングリッシュガーデンっぽさを出すのにおすすめなカラーは赤系です。イギリスのガーデンといえばバラ。このイメージが浸透しているので、迷ったらバラを基本にして考えてみてください。
花の組み合わせに気をつける
色や大きさなど同じ系統の花をひとつの花壇にまとめてしまうと、人がキレイにそろえた感じがでてしまいます。花が散る時期も同様で、自然に見えるようできるだけ別々の花壇に分けましょう。 基本的にはサイズが大きくなくて薄い色合いの花や、優しい緑の植物を植えていきます。そこに、それぞれの花壇で目立つ花が少しだけあると、いいアクセントになってお互いが映えますよ。
イングリッシュガーデン作り方のコツ.3
植物の多くは秋〜冬になると枯れてしまいます。そうなるとこの季節のガーデンは寂しくなってしまうので、緑を残しておくために常緑樹を加えておくのがおすすめです。冬に咲く花もありますから、取り入れていきたいですね。 草花の種類には多年草と宿根草、一年草などがあります。多年草は何年も枯れずに育てることができ、毎年花を咲かせてくれます。成長を休む時期になると、地上部分が枯れる多年草を宿根草といいます。
宿根草を知る
宿根草は地上に出ている部分が枯れてしまっても、地下にある根っこの部分は生きています。暖かくなれば芽が出てきて成長し、また花を楽しむことがきますよ。 管理が簡単で、新しく草花を追加する必要もないので費用も浮きます。ですがこのように簡単に育てられるようになるのは、植え付けたあとにちゃんと根っこを張ってくれた場合。園芸になれていない人だと上手くいかないこともあります。
一年草を使う
一年草は1年以内の期間で、発芽〜開花〜枯れるという草花です。短命ですがその分、成長への強い力があって丈夫。そのため初心者でも簡単に育てることができます。園芸になれるまでは一年草にチャレンジすることをおすすめします。 なれてきたら宿根草も育てていくことになりますが、一年草とは同じ花壇に植え付けないでくださいね。一年草の強い成長力が、宿根草の養分を吸い取ってしまうからです。
イングリッシュガーデン作り方のコツ.4
イングリッシュガーデンには、ボーダーガーデンが欠かせません。 自然感を表現するため、同じ系統の植物をひとつの花壇にまとめない。と先に説明した通りです。草丈もあてはまり、サイズの違う植物を組み合わせます。 そしてボーダーガーデンとは、草丈が異なる植物を並べる手法のことになります。手前に背の低いものを配置し、奥にいくほど背の高いものにしていきます。
ボーダーガーデンの効果
ボーダーガーデンにすれば、その花壇は奥行きがでてきます。遠近感によってガーデンが広く見える効果も。それにそれぞれの草丈がそろっていないので、自然に見えるんですよ。 草丈の低い植物が隠れてしまうことも防げます。せっかく植え付けた大事な植物ですから、なるべく全部を表に出してあげたいですよね。 自然感がありつつ、まとまった美しいイングリッシュガーデンにするため、ボーダーガーデンをぜひ取り入れましょう。
イングリッシュガーデン作り方のコツ.5
ガーデンへは植物以外のものも配置していきます。植物を植えるための鉢やプランター、花壇を囲う材料、ガーデン散策がスムーズになる通路の素材、ひと休みできるベンチ、ティータイムを楽しむテーブルなど、お庭の用途が増えるほど色々なものが必要になってきます。 それに広さがあれば、デッキやフェンスも欲しくなるでしょう。オブジェなどで飾り付けするのもおすすめです。
自然感をジャマしない
植物以外のものは人によって作られた人工物です。イングリッシュガーデンというテーマを気にせずにそろえてしまうと、自然感が薄れてしまいます。 イングリッシュガーデンに合う人工物の選び方は、自然の素材を使ったものを探すことです。鉢やプランターならテコラッタ製、通路や花壇はレンガまたは石に木材、ベンチやテーブルとデッキやフェンスは木製にすると、なじみやすくなります。 プラスチックでできたものは避けましょう。
イングリッシュガーデン作り方の注意点.1
ご紹介してきた5つのコツをふまえて、イングリッシュガーデン作りを始めてみてください。ただ、コツだけでは足りないこともあります。注意するべきこともおさえないといけません。
自然さと管理の兼ね合い
イングリッシュガーデンは自然感が重要です。とはいっても自然さを表現することに気を取られて、植物を適当に配置したり、管理をしないのはNGです。植物が完全に自生しているような状態では、ワイルドすぎてガーデンとは呼べなくなってしまいます。自然さを崩さないように管理することが必要になります。 なかなか簡単なことではありませんが、植物の色合いや配置をよく考えればバランスは整えられますよ。
イングリッシュガーデン作り方の注意点.2
イングリッシュガーデンに植えた、それぞれの植物に合う管理方法を覚えていきます。最低限の内容はほとんど共通していますので、まずは基本からおこなっていきましょう。 まず植え付ける土については、水はけのよい状態にします。培養土は草花用や樹木用のものが売られていますので、それを使えば大丈夫です。 病気や害虫による被害も出てきます。常に観察して気になることがあったら早めに対処してください。
水やりに気をつける
ほぼ毎日おこなう管理として水やりがあります。水をあげるという行為なので難しくはありませんが、初心者が一番失敗しやすい管理でもあります。 水はなるべく多くあげればいいと思っていませんか?土が常にしめっていると、根っこがくさって枯れてしまうんですよ。なので、土の表面を触ってみて乾いていたらふんだんに水やりするようにしてください。
イングリッシュガーデンの作り方/エクステリア
上項のコツ.5で説明した植物以外の物、イングリッシュガーデンにぴったりなエクステリアをご紹介します。選び方は簡単ですが、どこに何を置くかでセンスが問われますよ。美的感覚を発揮してください!自信がなくても大丈夫、素敵なデザインを参考にしちゃいましょう。 庭の広さ、育てている植物、お家の外観などをふまえた選び方がおすすめです。
小道を作る
イングリッシュガーデンは、お庭の中を散策することが楽しみ方のひとつ。そこで小道を設置すれば移動がスムーズになります。しかも雨によってぬかるんだ地面や水たまりを避けることもできるんですよ。それに通路になっていれば、来客者も行き来に迷いません。 小道はレンガで作るとオシャレになりますし、自然感にマッチします。レンガをしっかりと並べない敷き方があるので、取り入れたいものです。
花壇を作る
植物を植え付けるスペースとして花壇は必要です。花壇もレンガで作れます。素材の選び方は自然素材にすればOKで、木材や石にするのもおすすめ。素材の大きさによっては囲うだけで済むため簡単です。 花壇の形も我が家のイングリッシュガーデンに合わせましょう。直線で四角形に囲ったり、曲線で丸型にしたりできます。ハーブを収穫するために、ハーブガーデン用の場所があるとグッド!
ガーデンファニチャーを配置する
テーブルや椅子はぜひ欲しいですね。こちらも選び方は、木などの自然素材でできたものにしてください。 イングリッシュガーデンの中で楽しむティータイムは格別です。イギリス人になった気分を味わえますよ。お友達を呼んで、リッチなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。ハーブガーデンを作れば、自家製のハーブティーを楽しめますね。
イングリッシュガーデンの作り方/バラを育てる
イングリッシュガーデンと聞いて、まず思い浮かべる植物はバラ。バラは色から全てが美しいお花。自然さを表現しつつも格式高いイングリッシュガーデンを作るなら、ぜひ取り入れたい植物です。 病気や害虫の被害を受けやすいので初心者には難しいと思われていますが、品種によっては病害虫に強いものがあります。選び方に気をつければ、管理は比較的簡単です。せっかくなのでチャレンジしてみてくださいね。
バラの選び方
バラはたくさんの品種があるので選び方に迷ってしまうと思います。初心者は病害虫に強い品種を選択しましょう。 大輪や中輪、ミニ系、つる性など多くの形態があり、色も様々です。 春と秋、どちらかに咲く品種や、どちらも咲く四季咲きなど、品種によって開花期も色々。開花期のズレを利用して上手に配置するのもいいですね。 見た目や用途に合わせた選び方で、いくつかの品種を組み合わせるのがおすすめです。
イングリッシュガーデンの作り方/おすすめ草花
バラ以外にも、イングリッシュガーデンらしさのある草花を植えてください。ハーブガーデンを作れば楽しみが増えます。選び方は自分が気に入ったものや、理想のデザインにあるものをチョイスすれば大丈夫です。 ペチュニア、クレマチス、ニチニチソウ、ゼラニウム、クリスマスローズ、キボウシなど。ハーブガーデン用には、ラベンダー、チェリーセージ、ローズマリーなどがおすすめです。
イングリッシュガーデンの作り方/おすすめ樹木
秋〜冬でも緑を絶やさないようにするため、常緑樹を植えましょう。自然の樹形が美しいものにすると、剪定の手間が少なく済みますし、お庭の自然感が崩れないのでいいですよ。 大きく育つ樹木ならシンボルツリーにもなりますね。小型の品種にすれば管理が簡単です。見た目と目的、管理のしやすさから選んでください。コニファーなどがおすすめです。
イングリッシュガーデンの作り方/まとめ
イングリッシュガーデンの作り方を簡単に説明してきました。おすすめのデザインはぜひ参考にしてくださいね。植物やエクステリアの配置、色、デザインにこだわって満足いくお庭にしていきましょう! ポイントになるテーマは自然さです。ここを意識した作り方で、きっと素敵なイングリッシュガーデンになりますよ。これからお庭作りをするという人や、作り直しを考えている人は、試す価値ありです。