はじめに
冬野菜を代表する白菜。鍋物はもちろんのこと、炒め物やサラダ、漬物など様々な料理に使用されます。そんな白菜は、ちょっとしたコツをつかめば誰でも簡単に育てることができます。今回は白菜の育て方について、土づくり、種まきから収穫までのポイントやコツを詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
白菜とは
アブラナ科の野菜
白菜は、キャベツや大根などと同じアブラナ科の野菜です。日本には江戸時代より前に渡来しましたが、現在のような白菜になったのは大正時代になってからと言われています。現在では全国的に栽培され、冬野菜の代表格となっています。
3つのタイプが存在する
白菜はキャベツと同じように結球している野菜と思われがちですが、実は3つのタイプが存在します。一般的なイメージの結球したタイプと、頭の部分が少し開く半結球のタイプ、そして結球しないタイプです、結球しないタイプは見た目は小松菜やチンゲン菜などに似ていますが、白菜の仲間とされています。
白菜の栄養素
白菜は9割以上が水分であり、栄養価はそれほど高くありません。しかし、カルシウムやカリウム、亜鉛、ビタミンCなどがバランスよく含まれています。また、精進料理では「冬の養生三宝」と呼ばれ、豆腐、大根と共に、健康維持に欠かせない食材の1つとされています。
白菜の品種
白菜の品種選び
白菜には様々な品種が存在します。自分の好みに合った品種を栽培するのも、家庭菜園の醍醐味ではないでしょうか。育て方にはそれほど大きく違いはありませんが、種まきの時期が少しずつずれる場合があります。ご自身の地域や、育てる時期に合わせた品種を選んでみて下さい。
結球白菜
一般的な白菜で、成長すると2kg程度になります。浅漬けやキムチなどの漬物や、鍋物などに適しています。葉っぱには小さな毛が生えているため、生で食べると、人によっては抵抗があるかもしれません。
タケノコ白菜
一般的な白菜より細長い形を50cmほどにまで成長する白菜です。中国が原産の白菜で、葉っぱはやや硬くて荷崩れしにくいため、炒め物や煮物などに適しています。
半結球白菜
頭頂部がやや開いている白菜です。葉が柔らかく、酸味が出にくいことから、もともとは、関東地方で漬物用の品種として利用されていました。近年では生産が減ってきています。
紫白菜
名前の通り、紫色をした白菜です。アントシナニンをたくさん含むため注目されています。普通の白菜より少し小さめで、1.5kgほどに成長します。葉っぱは柔らかく生でも食べることができます。
サラダ白菜
葉っぱが柔らかく、サラダなど生食用に開発された白菜です。結球していない段階で収穫するため、やや小さめです。サラダ用と言えど、一般的な白菜と同じようにも調理できますので、使い勝手のいい品種とも言えます。
白菜の栽培①:種まき(苗づくり)
種まきの時期
現在では品種が豊富で、栽培できる時期に幅がありますが、一般的な白菜は8月中旬から9月上旬が種まきの時期です。種まきが早すぎると病気を媒介するアブラムシが多く、種まきが遅れると結球しなくなってしまうため適期に種まきをしましょう。
種まきの方法
苗の量が少ない場合は3号のポリポットに、量が多い場合はセルトレイを使用して苗づくりをしましょう。市販の種まき用の培養土を入れて、3~5粒の種をまきます。うっすらと土をかけて鎮圧をし、水やりをし、湿らせた新聞紙をかけて発芽を待ちましょう。
発芽後の管理
全体の3割程度が発芽したら新聞紙を外しましょう。いつまでも新聞紙をかけておくとヒョヒョヒョロの苗に育ってしまうため注意が必要です。しっかりと日の当たる場所で管理し、成長を促しましょう。成長と共に元気のいい株を残して間引きを行います。
苗づくりのコツ
苗の良し悪しで、その後の白菜の生育にも影響があります。小さな苗のうちは水切れに弱いです。そのため、毎朝しっかりと水やりをしましょう。しかし、太陽の光のない夜の間に水やりをしてしまうと、水分と光のバランスが崩れてしまい、徒長の原因となるため注意が必要です。1日1回、毎朝たっぷりの水やりをするのがポイントです。
白菜の栽培②:畑の土づくり
土づくりの重要性
白菜を育てる上で、畑の土づくりは非常に大切です。白菜は、寒くなるまでにある程度の葉数に成長しないと結球しません。そのため、初期の段階で一気に育てるのがポイントです。しっかりとした土づくりをしましょう。
苦土石灰をまく
土づくりの第一歩は、土壌の酸度調整です。白菜を育てる際、畑の土壌の酸度が強すぎるとうまく育たないため、苦土石灰をまいて中和しましょう。1㎡あたり、100gの苦土石灰をまき、約30cmの深さまでしっかりと耕しましょう。直前に行うと、白菜の成長が悪くなる可能性があるため、苗の植え付けの約2週間前までに終わらせておきましょう。
肥料をまく
白菜は生育初期に一気に育て上げたい野菜です。そのため、元肥として肥料をしっかりと施しておきましょう。1㎡あたり化成肥料を約100gと化成肥料1kgをまいて、土を良く耕しましょう。こちらも苗の植え付け直前はよくないため、1週間前までには終わらせるようにしましょう。
畝を立てる
土づくりが終了したら畝を立てましょう。畝を立てることで水はけがよくなり、病気の予防をすることができます。幅60cm、高さ5cmの畝を立てて、表面をなるべく平らにしましょう。マルチは必ずしも必要ありませんが、シルバーのマルチを張ると、アブラムシ対策となって効果的です。
土づくりのコツ
葉の数を増やして成長する白菜は、肥料を多く必要とします。肥料分を増やそうと、化成肥料ばかりを与えてしまうと、畑の土の中の微生物が少なくなり、結果的に痩せた土になってしまい、うまく育たなくなってしまいます。そのため、たい肥などの有機肥料を混ぜることがポイントです。有機肥料を混ぜることで、土の中の微生物の餌が増え、豊な畑になって、白菜も元気に育つようになります。
白菜の栽培③:苗の植え付け
植え付けの間隔
一般的な品種の場合は50cmずつの間隔で植え、サラダ白菜や、ミニ白菜など小型の品種の場合は30cm間隔で苗の植え付けをしましょう。白菜は外葉が広がるため、適度な間隔をあけないと、お互いが干渉しあって上手く成長してくれません。
本葉4~5枚で植え付けする
苗が順調に育って、本葉が4~5枚になったら植え付けをします。植え付け前に、水を張ったバケツなどの容器にポットごと沈めて吸水させましょう。ポットと同じ大きさの穴を掘り、ポットから取り出した苗を植えます。最後に手のひらでしっかりと鎮圧しましょう。
防虫ネットを張る
苗を植えたらすぐに防虫ネットを張りましょう。生育初期に虫の被害を受けると、成長が遅れ、寒くなるまでに大きく育ちません。隙間ができないようにしっかりとネットを張って対策をしましょう。
植え付けのコツ
白菜の苗を植え付ける際は、ポットの中で土と根が固まった「根鉢」を丁寧に扱いましょう。根鉢を崩してしまうと、根っこを傷つけることになってしまい、成長が遅くなってしまいます。特にポットから取り出すときに根鉢が崩れやすいため注意が必要です。根鉢を崩さず、畑に植え付けることが最大のポイントです。
白菜の栽培④:日常の栽培管理
追肥
植え付けから20日経った頃から追肥を行います。1株に対して一掴みの化成肥料か有機肥料を与えます。マルチの切れ目から手を入れて、株の周りになるべく均一になるように肥料をまきましょう。その後は同じ要領で20日に1度追肥を行い、結球が開始したらやめましょう。また、一度に必要以上の肥料をまくと、害虫を呼び寄せやすくなるため、注意しましょう。
土寄せ
マルチを張っていない場合は、追肥をした後に、土寄せを行いましょう。土寄せをすると株が安定するため、生育を促進させることができます。追肥をした後に、肥料と土を軽く混ぜ、その土を白菜の株本に寄せます。
水やり
基本的には水やりはしなくても雨の水だけで十分に成長してくれます。しかし、結球開始から収穫までの時期は、水分の要求量が増えます。この時期に長い間雨が降らない場合は、1週間に1回程度水やりをしてあげると効果的です。水をあげすぎても、多湿になり病気の発生の原因となるため注意しましょう。
白菜の栽培⑤:病害虫対策
害虫対策
白菜はアブラムシ、アオムシ、ヨトウムシなどに被害にあいやすいです。どの害虫も防虫ネットを張ることが一番の予防策となります。しかし、時には小さな隙間から侵入されてしまうこともあるため、万が一見つけた場合は捕殺するか、市販の殺虫剤を散布しましょう。暖かい時期は害虫の数も多いため、種まきは必ず適期に行いましょう。
病気対策
白菜がかかりやすい病気としてモザイク病や軟腐病が挙げられます。モザイク病はアブラムシが媒介するため、アブラムシを寄せ付けないことで予防になります。発生すると治せないためしっかりと対策しましょう。また、軟腐病は多湿な環境で発生しやすいため、畝を立てて水はけをよくすることで予防になります。万が一発生した場合は市販の薬剤を散布しましょう。
病害虫対策のコツ
害虫や病気は対策をしていても防ぎきれないことが多々あります。手遅れになると、白菜が全滅してしまうこともあります。しかし、早くに気づくことで、その後の影響を最小限に食い止めることができます。日ごろからこまめに観察をし、ちょっとした異常や異変になるべく早く気づくようにしましょう。
白菜の栽培⑥:収穫
硬く締まってきたら収穫
白菜の頭を手で押さえて、硬く締まっていたら収穫の適期となります。球を少し斜めに倒し、外葉との間の根元に包丁を入れて収穫をしましょう。すぐに食べない場合は、新聞紙にくるんで日陰の軒下などに立てかけておけばしばらくは保存することができます。
すぐに収穫しない場合
沢山育てて、一度に収穫しても食べきれない場合は、結球した球を外葉で包んでひもで縛っておけば1月頃まで畑に置いておくことができます。外葉は霜で傷んでしまいますが、中の球は瑞々しいまま保存できます。必要な時に、畑から一株ずつ収穫して食べましょう。しかし、外葉で包まないと球も傷んでしまうため注意しましょう。
まとめ
以上、家庭菜園での白菜の育て方について紹介しました。白菜の栽培は種まきの時期と、最初の土づくりがポイントです。初期段階にしっかり成長できるように環境づくりをしてあげましょう。白菜は保存もしやすい野菜なので冬の間に重宝します。ご紹介した育て方のポイントやコツを踏まえて、ぜひ栽培してみて下さいね。
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