ジャガイモを種芋から育てよう
難しい手入れをしなくても比較的イージーに栽培できるジャガイモ(馬鈴薯)は、家庭菜園でも人気の野菜として昔から沢山の人々に愛されてきました。1~4苗程度ならベランダで気軽に栽培可能なので、初心者の方でも積極的に取り組んでいる人も増えていますね。
そこで今回は、ジャガイモを種芋から育てるまでに必要な知識を、種芋の選び方、保存方法や販売時期、栽培のやり方まで詳しくご紹介したいと思います。
ジャガイモの種芋と食用との違いとは
はじめてジャガイモを1から作っていこうと計画中の人で、最初に気になる疑問と言えば種芋と食用の違いです。どちらも違いを確認することは難しく見た目は同じジャガイモ、しいて言えば、分かりやすい違いは種芋の方が若干サイズが大きく、ドテっとした立ち構えをしている違いでしょうか。
種芋と食用の大きな違いは病気の有無
ご存知の方も多いかもしれませんが、ジャガイモは病気にかかりやすい野菜で一度感染すれば畑の土全体が悪い菌に侵食されてしまうこともあります。ジャガイモを栽培中に発生する病気の原因は、ほとんどが既に感染症になっているジャガイモを苗として使っていることです。
そこで人々は苗として扱うイモは食用とは別に、種芋として病気に強いイモに育てていこうと決心して、食べずに栽培目的を前提にしたイモを作ってきました。
種芋は基本的に食べられない
今日も商店で販売されている食用のジャガイモには、病原菌が潜んでいることがあります。しかしこの菌は人には無害で、作物にのみ害を及ぼします。この菌を農薬などを使って可能な限り減らしたものが種芋となります。
種芋には作物の成長を妨げる病原菌はほとんどいませんが、その代わり菌をやっつけるために薬品が使われているので、人間が食べることには向いていないのも違いの1つです。
ジャガイモの種芋の正しい選び方を紹介
ジャガイモの品種
いま世界にあるジャガイモの品種は100種類以上ものタイプが存在します。そのうち日本の市場で流通しているのは10種類ほどになります、デジマやニシュタカなどの秋ジャガイモは病気にかかりやすく、初心者には向いていません。
これから家庭菜園などで育てられるさいの選び方は、メンテナンスが簡単な男爵イモやメークインなどの春ジャガイモを選ぶことをおすすめします。
表面の皮の状態
ジャガイモの品質の良し悪しは、まず表面を覆う皮にあらわれます。ジャガイモ全体をざっくり見わたしたとき、シワシワになっているものは湿気の多いところで保管されていた可能性があり、ジャガイモが弱っている状態を示しています。
なので最初に見ておく選び方のポイントとしては、皮の表面にハリとツヤがある種芋をチョイスするようにしましょう。
芽の生え方
ジャガイモの種芋の選び方で、次にチェックしたいところは芽の生え方です。ギュギュっと密集するように1つのポイントに集中的に芽が生えているジャガイモの種芋は、1カ所からしか茎が伸びず、収穫物である食用のジャガイモの量が減ってしまいます。
ですので正しい選び方としては、なるべく芽はランダムな方向にばらけて生えている種芋を選ぶようにしましょう。
イモの大きさも重要な選び方の1つ
大きい種芋は2等分もしくは3等分にカットして土に植えていく必要があります。切った種芋はとてもデリケートに扱っていかなければならないので、カット作業に自信がない方は1つ40gから60gのジャガイモを選ぶようにして下さい。
このサイズのイモなら半分に切らなくても、そのまま植え込むことができます。
ジャガイモの種芋はホームセンターで買おう
ここまでの解説に沿って正しい選び方を実行するなら、直接ジャガイモの状態をチェックする必要があります。種芋はネットでも購入可能ですが、どんなものが届くか分かりません。
販売されている種芋は農林水産省が定める適正基準にクリアしたものしか流通させていけないルールがあるので、ネットで購入してもまず問題はありませんが、なるべく良いイモを作っていきたいのであれば、ホームセンターへ行き目で確認した種芋を選択することがベストです。
販売価格の相場
春、秋、いずれの品種も販売価格に大きな差はなく、500gあたり300円~500円程度が価格相場です。種芋の場合、1個あたり100g前後になる大サイズのイモが主流なので、1ネットに5つほど入って価格は400円前後になっていることがほとんどでしょう。
10kg以上必要な場合は販売価格は若干安くなることもありますが、まとめ売りだと1つ1つ選別することが難しいので、販売元の口コミや評判を確認して信用できる業者を選ぶことが大事です。
種芋の販売開始時期について
春種芋は早くて12月下旬から市場に送り出されます、その後は遅くても3月上旬ころまで店頭に並ぶことになります。秋の種イモは8月上旬ころに販売開始、地域によりますが長くても9月中旬ころになると購入不可となるケースが一般的です。季節による価格の変動もそこまでありません。
ジャガイモの種芋の栽培に適した時期とは
ジャガイモ栽培時期は春と秋の2パターンあり、春であれば2月下旬から3月上旬の時期に苗植えを開始して、6月から7月が収穫時期になります。秋イモは8月から9月頃に苗植えをして、11月下旬から12月中旬ころが収穫時期にあたります。
初心者は春のジャガイモ作りがおすすめ
ジャガイモ作りは、その季節によって栽培の難易度が変わります。秋は苗植え時期に残暑の照り付けがイモの体力を奪い、収穫時期には冬の寒さでイモが傷みやすく、秋のジャガイモ作りは初心者には難しい部分があります。
その反面春の栽培は種芋の選び方や切り方に植え方など最低限の知識を身につけていれば、初めての方でも比較的成功しやすいので、初心者は3月ころに栽培をスタートさせることをおすすめします。
ジャガイモの種芋の保存方法を紹介
植え込みの数ヶ月も前からジャガイモの種イモを購入してしまった場合、土に埋める前まで大切に正しく保管しておかなければ、植え込み当日までにイモが傷んで使い物にならなくなってしまうこともありえます。
ジャガイモはとても繊細な野菜なので、生き物のように優しく扱ってあげなければ、すぐに体調を壊してしまいます。
気温は5度から10度のところに保存
暖かすぎると芽が出てしまいやすくなりますし、逆に寒すぎるればジャガイモが傷む原因になってしまいますので、保存温度の目安は5度から10度が理想です。また湿気と乾燥どちらにも弱いので、日なたを避けて風の通りやすい日陰に保管しておくようにしましょう。
1月や2月の寒い時期は新聞紙にくるんで段ボールに詰めておけばOK。ただし気温や湿度は地域差が関係しますので、一概に言える保存方法ありません。
苗植えギリギリまで購入は控えよう
保存期間中にジャガイモの種芋が腐ってしまったなんて事態に陥らない為には、苗植え前の2月の終わりころまで購入しないことをおすすめします。ホームセンターや市場ではしっかり保管対策が行われているので、直前まで買うのを控えておけば面倒な保管も省くことができます。
ジャガイモの種芋の栽培方法を紹介
天日干しで芽出しスピードを高める
ジャガイモの種芋は土に植えるまえに、まずは日光の光をあてて予め芽を少し出しておしょう。広げた新聞紙の上に種イモを並べて置き、日中は天日干しさせておきます、光がイモ全体にいきわたるようにたまにイモを転がして置き場を変えていきます。
夜は冷えと霜がジャガイモに悪影響をきたすので屋内にしまいます。20日程度でイモからニョロっと根っこが出始めますので、それを合図に土に埋めていきましょう。
ジャガイモのカット方法
1個が60g以下の小ぶりなジャガイモであれば、カットする必要はないので、芽出しが終わり次第土に埋めて構いません。それ以上大きいジャガイモですと、分割することで収穫量を増やすことができるのでサイズに合わせてカットします。
2分割の場合はそのまま半分に切ってOKです、3分割の場合は、1片1片がしっかり均一なサイズになるようにカットしていきましょう。
芽の位置は分散すること
ジャガイモをカットするときに気をつけたいことは、ただ大きさを均等に整えることだけではなく、根っこが1片1片に最低1つは残るようにカットします。芽が1つもないカットしたジャガイモでは植えたあとも目が生えてこないなんて大失敗に終わることもあるので、必ず芽の位置を振り分けてカットしていきましょう。
さらにもう1点注意ポイントは、切り口はしっかり乾かしてから土に埋めて下さい、濡れているとそこから病気になることがあります。
苗植え後のケアについて
深さ7cmほどの穴を左右前後25cmほどの間隔を空けて必要な種イモの数量分作っていきます、その穴にイモを植えて上から土をかぶせていけば芽植え作業は終了です。
その後は花が咲いてきたらすぐに除去する、育ってきたジャガイモには太陽の光が当たらないように土をかぶせる、害虫対策や病気になった部分の除去など、必要な処置を行うことでジャガイモは元気に育ってくれます。
種芋から収穫したジャガイモの保存について
2~3ヶ月でジャガイモは収穫時期に入ります、葉っぱの色が黄色くなり、ハリが失われて少し萎びてきたら収穫の合図です。収穫後も保存方法次第でジャガイモの消費期限は大きく左右されます。
状態の悪いものは容赦なく捨てておこう
収穫したジャガイモはブルーシートなどの仮置き場にまとめて広げて、簡単なチェックでいいので1つ1つ状態を確認していきます。このときグニャとした柔らかいイモや、異臭がするものなど、明らかに不良品であるジャガイモは取り払って下さい。そのままにしていると他のジャガイモにも悪い影響を与えてしまいます。
段ボールに入れて暗所に保管
風通しのいい涼しいところにおいておけばジャガイモは長持ちします。収穫後のジャガイモには休眠と呼ばれる、芽の成長が止まる期間があるので、平均で3ヶ月から4ヶ月は保存しておくことが可能です。
保管中に芽が生えてきたらすぐに除去して下さい、放置すれば毒性のあるソラニンが増加しやすい環境になってしまいます。
ジャガイモの種芋を襲う病気について
ジャガイモのむしばむ病気の種類は、イモ本来の問題、土壌の質、害虫など様々な要因で発症し、1回かかってしまったら治すことはできません。
症例の中では「そうか病」というイモの皮が変色する病気が有名です、ジャガイモ栽培は酸性の土が適しているのですが、アルカリ性が強すぎると症状を引き起こしやすくなってしまいます。
ほかには連作障害もよくある病気です、ジャガイモ(ナス科)の植物を同じ土で何年も作っていると、成長が遅れたり病気に弱くなってしまいます。
ジャガイモを病気から守るには
経験豊富な農家さんでさえも、完全に病気をゼロでジャガイモを育てるのは苦労します。
ガーデニングの一環としてジャガイモを育てるなら、種イモは審査を通過したイモを選ぶこと、土は酸性のジャガイモに適したものを使う、虫は発見次第取り除くなど基本的な栽培方法を理解しておけば、元気に太ったジャガイモを育てることは可能です。
まとめ
食用のジャガイモは作り方も使用目的も種イモとは違い、ジャガイモを育てるには種イモの存在がとても重要だということが理解できましたでしょうか。
もともとジャガイモは、病気にかかりやすいことから食用のイモでは栽培が難しい農作物でしたが、技術の進化によって作り出された種イモを使えば個人でも比較的簡単に育てることができるようになりました。
正しいジャガイモの種芋の選び方を知って、美味しいおイモを生産して生きましょう。
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今回この記事では紹介しきれなかったジャガイモの育て方について、さらに詳細なコツや失敗しないためのポイントなど、気になる方は関連記事もチェックされてください。
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