ロードコメット ルミナスチェスナットブラウン/ルミナスタンジェリンオレンジ(火の玉)1T スモーク/通常スクリーン シックデザイン ゼファー400(89〜95年)
ゼファー400を徹底解剖:はじめに
カワサキのゼファー400は1990年代のネイキッドブームを牽引した名車として、今も多くのユーザーから愛されています。美しさを極めたクラシカルなデザイン、マイルドで乗りやすいキャラクター、空冷4気筒の豪快なエンジンフィーリングなど、ゼファー400はバイク本来が持つかっこいい要素が凝縮された400ccのネイキッドバイクです。
ゼファー400とゼファー400X
ゼファー400にはゼファー400とゼファー400X(カイ)が存在します。この2つのモデルは別モデルとして扱われていますが、ゼファー400がフルモデルチェンジされてゼファー400Xになったと考えてもOKです。ちなみに、ゼファー400の正式名称には排気量を示す「400」がついていません。一般的にゼファー400と呼ばれるのは、後に750や1100が販売されたためです。
ゼファー400の評価:系譜
ゼファー400の年式による違い
ゼファー400は1989年モデルから1995年モデルまで生産され、基本的なスペックに変更はありません。メーターケースのデザイン、ブレーキの仕様の違いに着目すれば、大まかな年式を特定できます。スピードメーターとタコメーターの口径か異なる初期型(ZR400-C1&C2)、砲弾型メーターケースの中期型(ZR400-C3&C4)、1ポッドリアブレーキキャリパーの後期型(ZR400-C5~C7)があります。
ゼファー400Xの年式による違い
ゼファー400の2バルブ(吸気1・排気1)エンジンを4バルブ(吸気2・排気2)エンジンに変更し、最高出力を高めたのがゼファー400Xです。1996年モデルから2008年モデルまでありますが、最初期モデルのみ前後のホイール径が違います。1996年モデル(ZR400-G1)はゼファー400からら引き継いだフロント17、リア18インチですが、1997年モデル(ZR400-G2)以降のモデル(ZR400-G2~G9、G7F、G8F)はフロント・リアとも17インチのホイールを装着しています。
ゼファー400の評価:デザイン
デザインのいいところと注意点
ゼファー400&400Xのデザインはうっとりするほどかっこいいのがいいところです。どの角度から眺めてもボリュームバランスがいいので、安心感が漂います。また、全体のラインに気品があり、しぐさが美しい女性を思わせる雰囲気です。カワサキの名車Z400FXや750RSに似たシルエットですが、細部は全くの別物。そんな新しさも大ヒットにつながりました。
デザインのユーザーレビューは?
ゼファー400&400Xユーザーのレビューをみると、購入動機の多くはかっこいいデザインとのこと。外観をカスタムするユーザーもいますが、ノーマル車の造形美を否定する人は皆無です。まれにリアホイール18インチ年式のタイヤ幅に細さを感じるユーザーがいますが、細めのタイヤ幅(140/70-18)はクラシカルな後姿に貢献しているともいえます。
とりあえず見た目が最高!見てるだけでも飽きない!
街中でも山でも高速でも海でも絵になるバイク!もうウインカーの形とかヨダレが出るくらいエロい。
デザイン上の注意点
ゼファー400&400Xはデザインがかっこいいために、盗難被害に遭うのを心配するユーザーは多いですね。セキュリティ・アラームシステムを導入しても不安だと言われています。かつては素行が悪い少年たちから狙われた時代もありました。しかし、中古車市場価格が高騰している現在は、売買目的の盗難もあるかもです。
ゼファー400の評価:エンジン
エンジンのいいところと注意点
ゼファー400&400Xのエンジンは4気筒エンジンならではのトップエンドパワーがいいところです。理論上の最高速度は190km/h前後ですので、思いのほか速いですね。しかし、2019年モデルのZ400のほうが低回転で大きい最大トルク値を発生させるので、ゼファー400&400Xよりも扱いやすいかもです。
ゼファー 400 |
ゼファー 400X |
Z400 | |
最高出力 PS/rpm |
46 /11,000 |
53 /11,500 |
48 /10,000 |
最大トルク kgf・m/rpm |
3.1 /10,500 |
3.6 /9,000 |
3.9 /8,000 |
最高速度 約 km/h |
189.5 | 190.0 | 171.2 |
※ともに最終型のスペック
※Z400は2019年モデルのスペック
エンジンのユーザーレビューは?
ゼファー400&400Xユーザーのエンジンに関するレビューを確認すると、パワフルだというコメントは少ないですね。ユーザーは濃密な低中回転域のトルクを期待していたからです。カワサキはゼファー400のかっこいいデザインに似合うエンジンフィーリングを与えるために、高回転型の4気筒エンジンを搭載したのだと考えられます。
並列4気筒ツーバルブのオートバイらしい音、それから6000回転からの狂ったようなフケ上がり、ノーマルだと他のバイクには到達できない(と、勝手に思ってる)孤高のたたずまい。
エンジンフィーリングは空冷4気筒のいかにもカワサキ車らしいやや「がさつな」感じです。以前所有していたGPZ900にも共通するものがあります。しかし走り出せば癖がなく、扱いやすいです。
補足:エンジンに関する注意点
空冷エンジンは温まるまで慣らし運転レベルのアクセル開度を保たなければなりません。空冷エンジンは温まった状態で本来の性能を発揮するように設計されているからです。まれに、エンジンをスタートしてすぐにアクセルを激しく開閉し、不規則なメカノイズに首をひねる人を見かけます。エンジンを傷める行為ですので注意すべきです。
ゼファー400の評価:足回り
足回りのいいところと注意点
ゼファー400&400Xの足回りに関するスペックを確認すると、ゼファー400とゼファー400Xで仕様に違いがあります。ゼファー400のリアサスペンションはフルアジャスタブルなのがいいところ。5段のプリロード調整、伸び側4段、圧側4段の調整が可能です。一方、ゼファー400Xは5段のプリロード調整のみ。初期設定のまま乗り続けるユーザーが多かったためか、ゼファー400Xではダンパーの調整機構が省略されています。
足回りのユーザーレビューは?
ゼファー400&400Xユーザーの足回りに関するレビューを確認すると、扱いやすいというコメントがいくつか見つかります。しかし、扱いやすい理由を具体的に表したコメントは少ないですね。ゼファー400&400Xの足回りで注目すべきなのは柔軟で粘るフレーム。タイヤやサスペンションが対応し切れなかった負荷をフレームが受け止め、挙動を安定させてくれます。
・ハンドリングが素直 ・ジムカーナーのような低速コーナーは充分楽しめる
パワーもなくコーナリングに優れているわけでもない。でもいいバイクです。その当時ライバル(?)だったスーパーフォアやXJR派には理解出来ないかもしれません。
足回りのカスタムは?
ゼファー400&400Xの足回りのカスタムは、フロントサスペンションにイニシャルアジャスターを追加し、リアサスペンションはフルアジャスタブルタイプに換装するのがおすすめです。フロントサスペンションはフォークオイルやシールを交換すると生き返ります。しかし、年式や走行距離を踏まえると、リアサスペンション寿命を迎えている可能性があります。マフラーより先にカスタムしたいですね。
ゼファー400の評価:通勤などの街乗り
通勤などの待ち乗りでのいいところと注意点
ゼファー400&400Xは400ccネイキッドバイクの標準的な車体サイズだといえ、通勤などの街乗りでも扱いやすいのがいいところです。2019年モデルのZ400と比較すると、ゼファー400&400Xは長くて重いのですが、シート高は若干低め。2019年モデルのホンダ・CB400スーパーフォアと比較すると、やや大柄で重く、シート高は高めだといえます。問題となるのは高回転型エンジンによる低速トルクです。
ゼファー 400 |
ゼファー 400X |
Z400 | CB400SF | |
全長 mm |
2,100 | 2,085 | 1,990 | 2,080 |
全幅 mm |
755 | 745 | 800 | 745 |
全高 mm |
1,100 | 1,100 | 1,055 | 1,080 |
シート高 mm |
770 | 775 | 785 | 755 |
車両重量 kg |
202 | 208 | 166 | 201 |
※ゼファー400&400Xは最終型の数値
※Z400とCB400スーパーフォアは2019年モデルの数値
通勤などの待ち乗りでのユーザーレビューは?
通勤などの街乗りについて、ゼファー400&400Xユーザーのレビューを確認すると、比較的に扱いやすいというコメントが多いですね。当時のネイキッドバイクは大柄で重いモデルが多かったからだと考えられます。シート高はやや高いのですが、足つき性は良好だというユーザーは多め。ゼファー400&400Xの車体サイズは通勤などでも使いやすいといえます。
以前乗っていたイナズマが大きすぎたのかゼファーはほっそりしていて乗りやすいし取り回しも楽でした。
【取り回し】 楽です。車体重量があるのでもっと大変かと思っていましたが気楽にUターンできます。
ゼファー400通勤最速カスタムは?
ゼファー400&400Xを通勤用にカスタムするなら、二次減速比をカスタムするのがおすすめです。ドライブ(エンジン側の)スプロケットを14丁まで落とし、低中速の加速感を高めましょう(ノーマルは16丁)。マフラーを換装して低速トルクを補う方法もありますが、耳障りな排気音は通勤に不向き。二次減速比のカスタムはかっこいい外観を崩さずにできるのがいいところです。
【3速40km/h時のエンジン回転数スペック】
ゼファー 400 |
ゼファー 400X |
|
ノーマル | 3,766 | 3,927 |
15丁に変更 | 4,076 | 4,189 |
14丁に変更 | 4,305 | 4,488 |
※ともに最終型のスペックをもとに計算した数値
ゼファー400の評価:高速道路
高速道路でのいいところと注意点
ゼファー400&400Xのエンジンのおいしい領域を味わえるのは高速道路です。エンジンの項で先述したとおり、ゼファー400&400Xの理論上の最高速度は十分すぎるレベル。最大トルクを発生させるエンジン回転数の速度(4速)にも余裕があります。巡航速度でのエンジン回転数は、エンジンが豹変する6,000回転付近です。
【高速道路での加速感スペック】
ゼファー 400 |
ゼファー 400X |
|
4速で最大トルク 発生時の速度 |
136.8 km/h |
112.5 km/h |
6速で100km/hの エンジン回転数 |
5,806 rpm |
6,054 rpm |
※最終型のエンジンスペック(ノーマル)から算出
高速道路でのユーザーレビューは?
ゼファー400&400Xの高速道路に関するレビューでは、ユーザーは余裕のあるエンジンを高く評価しています。通勤などの街乗りでは高回転型エンジンがデメリットになっていましたが、高速道路ではちょうどいい味付けになっているとのことです。
高速で120kmほどだしても9000回転ほどと、性能には十分な余裕があったが、それが逆に、下道ばかりの私には『余裕がありすぎて、それが無駄。400の意味がない』と感じられた。
高速道路では走行風直撃
高速道路走行に向けてのカスタムは?
ゼファー400&400Xで高速道路を走行する機会が多い人なら、ビキニカウルを装着するカスタムがおすすめです。お腹あたりに当たる風を和らげられ、体力の消耗を抑えられます。タンクバッグやスマホホルダーを守る効果も高いですね。全体のシルエットが崩れないような、個性的でかっこいいビキニカウルを選びましょう。
ロードコメット ルミナスチェスナットブラウン/ルミナスタンジェリンオレンジ(火の玉)1T スモーク/通常スクリーン シックデザイン ゼファー400(89〜95年)
ゼファー400の評価:ツーリング
ツーリングでのいいところと注意点
街乗りでの扱いやすさだけでなく、エンジンパワーも十分なゼファー400&400Χは、ツーリングにも適したバイクだといえます。リアシート下にある4本のロープフックを使えば、ショックコードで荷物を積載しやすいのもいいところ。キャンプツーリングを楽しむゼファー乗りからも高く評価されています。リアキャリアを追加すると、かっこいいテールカウルが台無しになるのが残念です。
ツーリングでのユーザーレビューは?
ゼファー400&400Xユーザーのツーリングに関するレビューを確認すると、トータルバランスのよさがツーリングに適しているというコメントが目立ちます。燃費については賛否両論。燃費がいいというユーザーは6,000回転以下を多用し、燃費が悪いというユーザーは6,000回転以上の官能的なエンジンフィーリングを楽しんでいるためだと考えられます。
取り回しは、抜群にいいです。勿論出力は必要十分でロングツーリングも楽しめ、オールラウンドです。
【満足している点】街乗り、ツーリング、ワインディング…一応何でもこなせるソツの無さ。常識的な速度域で走るなら、過不足無いパワー。
ツーリングに向けてのカスタムは?
ツーリングでのエンジントラブルは避けたいもの。ゼファー400&400Xのエンジンのオイルにじみ(多くはエンジンパーツのひずみが原因)で苦しむゼファーユーザーは多いですね。トラブルを未然に防ぐために、エンジンのオーバーホールを検討しましょう。ノウハウをたくさん蓄積したショップなら安心です。
ゼファー400の評価:中古車価格について
絶版後にプレミア価格がついて、ゼファー400&400Xの中古車価格は高騰しています。コンディションがいいゼファーを見つけたら迷わず購入すべき!といわれるほど。メーターが改ざんされている車両も多いので、年式や走行距離に頼らず、車両のコンディションを見分ける眼力が必要です。ちなみに、新車価格はゼファー400で529,000円(税別)、ゼファー400Xで580,000円でした。
ゼファー400の中古車価格は?
ゼファー400&400Xは反社会的趣向のバイク乗りに好まれていた時代がありました。ですので、中古車には不具合を抱えたエンジンが多く、コンディションがいい車両は少なくなっています。ノーマルマフラーがついている車両で、フレームや足回りに問題がなければ、エンジンをフルオーバーホールしたほうが割安かもです。ちなみに、ノーマルマフラーの新品在庫はありません。
【ゼファー400&400Χの中古車価格】
ゼファー 400 |
ゼファー 400X |
|
ノーマル車 | 約36~69万円 | 約34~180万円 |
カスタム車含む | 約22~105万円 | 約29~180万円 |
ノーマル車が 占める割合 |
約6% | 約28% |
※2019年4月23日現在の中古車価格
ゼファー400を徹底解剖:まとめ
ゼファー400&400Xのスペックとユーザーレビューを検証し、かっこいいところや注意点を徹底解剖しました。発売された当時は「ゼファー400は遅い」といわれましたが、それはレーサーレプリカと比較してのこと。2019年モデルのZ400と比較すると、ゼファー400のエンジンは高回転型でピーキーだといえます。マイルドな足回りに、バイク乗りの魂を揺さぶるエンジンチューニング!カワサキのセンスに脱帽です。
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