はじめに
連子鯛の読み方はレンコダイで別名黄鯛(読み方:キダイ)と呼ばれています。鼻から上顎にかけて黄色に光っていることが黄鯛と呼ばれる理由です。
真鯛と比較すると安価で小ぶり、皮が柔らかいなどの違いがあります。料理に扱いやすい大きさでお祝い事などでも重宝する魚です。この連子鯛の特徴やさばき方、おすすめの料理法を紹介していきます。
連子鯛(黄鯛)の特徴
連子鯛は、同じ鯛でも真鯛(読み方:マダイ)とはまったく違う生態や特徴を持っています。また、別称も多い魚です。連子鯛と呼ばれる所以などの特徴も交えて紹介していきます。
連子鯛(黄鯛)の生態
日本では、中部地方より南部の温かい海域に生息しています。日本海、太平洋問わず漁獲されますが、瀬戸内海などの内海では存在しません。50mから200mの海底に群れをなして生息しています。
黄鯛と呼ばれる由来は上述の通りですが、延縄で連れ立って漁獲されることから連子鯛と呼ばれるようになりました。漁業関係者の間では、黄鯛よりも連子鯛という呼び方が主流です。
連子鯛(黄鯛)の別称
連子鯛=黄鯛は上述の通りですが、他にも地域によって呼び名が変わります。東京では「ハナオレダイ(読み方)」、中国地方「バジロ(読み方)」、高知・愛媛「コダイ・メンコダイ(読み方)」、他にもアカメ、ハジロ、メッキ(読み方)など様々な呼び方で呼ばれています。
連子鯛(黄鯛)の旬
連子鯛の旬は産卵期を迎える夏から秋(6月~8月)と言われています。脂がのっており食すのにもってこいの時期です。しかし秋以降は脂の量が半分になってしまいます。沿岸部に生息せず沖合で水揚げされる理由から、鮮度の問題で刺身より加熱調理されることが多いです。
連子鯛(黄鯛)と真鯛の違い
鯛にも様々な種類が存在しますが、正式に鯛の系統に部類されるのは24種類です。その他、和名で「タイ」と呼ばれる魚だと200種以上にも及びます。鯛の王様と言えば真鯛です。
高級魚の真鯛はもちろん正式な系統の「鯛」に部類されますが、実は連子鯛(黄鯛)も正式系統24種に部類される「鯛」なのです。連子鯛(黄鯛)との違いはなにでしょうか?どのような違いがあるか紹介していきます。
見た目の違い
連子鯛と真鯛の容姿はよく似ていますが、よくみると微妙に違いがあります。まず、連子鯛は鼻から上顎にかけてうっすら黄色くなっている特徴があります。また、体表面もうっすら黄色が混ざっています。この黄色が黄鯛とわれる所以です。
一方、真鯛は体が赤色で尾びれが黒っぽく縁取られていることが特徴です。また、淡い群青色の斑点がある場合もあります。ちなみに天然の真鯛は鮮やかな赤色ですが、養殖真鯛は少し赤黒い印象になります。
大きさの違い
連子鯛は20cm~30cmほどの大きさが一般的です。大きく成長したものでも35cm程度になります。一方の真鯛は30cm~50cmが一般的な大きさです。大きく成長したものだと100cm程にもなるのだそうです。
旬の違い
連子鯛は年間通して味が安定している魚です。産卵期は初夏と秋で最も旬な時期は、6月から8月といわれています。一方の真鯛は海域によって産卵期に差がありますが2月から6月頃が産卵のシーズンです。
産卵後は脂がのっておらず味が落ちてしまいますが、秋口には味も美味しく戻ります。旬の時期は晩秋の11月から春の4月頃になります。夏は真鯛の味が落ちるといわれていますが、連子鯛は夏に旬を迎えることが特徴です。
味の違い
連子鯛、真鯛ともに白身魚です。たんぱくな味わいは共通していますが、連子鯛は真鯛に比べると身が水っぽく感じます。真鯛の方がより魚の旨みが感じられて、身に厚みがあります。しかし、連子鯛はほどよく脂がのっており年間通しておいしい魚です。真鯛の脂が落ちる夏頃は真鯛の代用として重宝されます。
連子鯛(黄鯛)のさばき方
連子鯛のみならず鯛という魚は身がしっかりしていることが多いゆえさばきやすい魚です。大きい真鯛などでは5枚おろしにするさばき方が主流になる場合もありますが、連子鯛のさばき方は3枚おろしにするのが簡単で様々な料理に汎用性があります。こちらでは、連子鯛の3枚おろしについて紹介します。
連子鯛のさばき方/3枚おろし
連子鯛は、小ぶりでなおかつ火を通すと皮が柔らかくなり姿料理にもおすすめの魚です。淡泊な白身でくせが少ないため様々な料理で親しまれています。刺身などでは、魚をおろす必要があります。上の動画では比較的簡単なさばき方の3枚おろしについて説明しています。他の鯛でも応用可能ですので是非参考にしてみてください。
連子鯛おすすめ料理①/刺身
沖合いで漁獲されることが多いため、鮮度の問題で刺身で食べる機会が少ない魚ではありますが、旬の連子鯛が手に入った場合は程よく脂がのっており刺身が絶品です。簡単な料理法を紹介します。
食材、調理法、レシピ
【材料2人前】連子鯛2匹
【調味料】(さしみ醤油適量またはポン酢適量)
【作り方】連子鯛のさばき方は3枚おろしです。うろこを丁寧に取りましょう。内臓は破れないように慎重に取り出してください。内臓が破れて身についてしまうと臭みの原因になります。皮をひく必要はありません。薄造りにすれば皮も美味しく食べられます。薄造りした身を大皿に並べたら完成です。
おすすめの食べ方、アレンジ料理
連子鯛の刺身は真鯛と比べるとコリコリ食感が少ないですが、皮と身の間に脂がのっており、刺身にする場合は皮を引かずに食すことをおすすめします。炙りやしゃぶしゃぶなど皮に火を通して食べると皮が柔らかくなりこちらもおすすめです。刺身で美味しければ握りにしてみても美味しくいただけます。
連子鯛おすすめ料理②/塩焼き
連子鯛は鮮度の問題があり塩焼きで調理するのがもっともポピュラーな食べ方です。連子鯛の塩焼きはお祝い事で使用される際にも重宝する魚になります。真鯛が使用されることも多いですが、安価で見た目も美しいので、真鯛の代用魚として使用されることが多いです。簡単に料理法を紹介します。
食材、調理法、レシピ
【材料2人前】連子鯛2匹
【調味料】(あら塩適量)お好みで:(レモン適量)(大根おろし適量)(醤油適量)
【作り方】連子鯛の鱗をしっかり取ります。内臓も丁寧に取り除きお腹をきれいに水洗いします。キッチンペーパーなどで表面の水分を取り除いたら体表面に塩を振りかけます。魚焼きグリルで両面を焼いてお皿に盛り付けます。お好みで薬味を添えて完成です。
おすすめの食べ方、アレンジ料理
結婚式の披露宴や赤ちゃんの100日祝いなどで姿焼きで出されることが多いです。さばく必要がなく小ぶりなので魚焼き器やグリルで調理できることもおすすめポイントです。
3枚おろしにできる方は焼き物アレンジとしてムニエルやポワレにしてもおいしくいただけます。塩焼きは食べる直前に焼き上げるようにしましょう。時間が経つと身が硬くなってしまいます。また、レンジ加熱でも同様に硬くなるので要注意です。
連子鯛おすすめ料理③/煮付け
連子鯛は白身のさっぱりした味わいからどのような料理にもよく合います。中でも煮付けは魚臭さを軽減できごはんのお供に小さなお子様にも好評な料理です。調理の工程もさばく必要がなくシンプルでおすすめな調理法です。簡単にできるレシピを紹介します。
食材、調理法、レシピ
【材料2人前】連子鯛2匹
【調味料】(醤油大さじ3)(砂糖大さじ2)(みりん大さじ2)(酒大さじ3)(しょうが輪切りスライス5枚)(水400g)
【作り方】最初にうろこを丁寧に取り除きます。次に、エラブタを開いて包丁を入れエラを取っておきましょう(残すと臭みが出やすいです)。お腹に切れ目をいれ内臓をきれいに取り出します。全体をきれいに水洗いした後キッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。身に飾り包丁をいれます。
大きめのフライパンに水、酒、砂糖、みりんを分量通り入れて火にかけ沸騰させます。沸騰したら弱火にして連子鯛をフライパンに並べます。醤油を回しかけスライスしたしょうがも入れておきます。アルミホイルの落し蓋をして弱火で15分煮詰めたら完成です。
おすすめの食べ方、アレンジ料理
具材は連子鯛のみでも十分美味しくいただけますが、野菜を一緒に煮込むと連子鯛の出汁がしみ込んで絶品です。ゴボウや大根などの根菜類、キノコ類などよく合いますのでおすすめです。
連子鯛おすすめ料理④/鯛飯
鯛飯は、お米が鯛の出汁を吸ってとても美味しいです。真鯛を使用した鯛飯は高級料亭などで目にします。連子鯛は真鯛に比べると水分の多い魚です。一般的には鯛飯には真鯛が適しているといわれますが、連子鯛でも十分に美味しくリーズナブルに仕上がります。簡単にできるレシピを紹介します。
食材、調理法、レシピ
【材料(2合分)】(連子鯛1匹)(お米2合)
【調味料】(酒大さじ2)(みりん大さじ1)(醤油大さじ1)(しょうが5g)(塩適量)
【作り方】前述した「連子鯛の塩焼き」を作ります。炊飯器に研いだお米を用意し分量通りの酒、みりん、しょうゆをいれます。次に水を通常炊きのラインまで注いでよく混ぜ合わせます。千切りしたしょうがを入れ連子鯛をのせます。通常通り炊飯器で炊きます。
炊き上がりに連子鯛の頭、ひれ、骨(なるべく丁寧に小骨まで取り除く)を取り除いて混ぜ合わせたら完成です。
おすすめの食べ方、アレンジ料理
お好みで大葉や白ごまを散らしても美味しく頂けます。鯛飯が余った場合のアレンジ料理としてお茶漬けでいただくことをおすすめします。あっさり昆布茶やかつおだしを掛けて食べると違った味わいが楽しめて絶品です。是非、挑戦してみてください。
連子鯛おすすめ料理⑤/干物の素焼き
連子鯛は、鯛の中でも旨みの強い魚です。真鯛に比べて水気が多いですが干すことで旨みが倍増します。また、皮もパリパリになって美味しいです。自宅で干物を作るのは難しいかもしれませんが比較的安価に購入できます。簡単に調理法を紹介します。
食材、調理法、レシピ
【材料(2人前)】連子鯛干物2匹
【調味料】お好みで:(レモン適量)(大根おろし適量)(醤油適量)
【作り方】干物によりますが基本的には程よい塩味が干物にあるので何もせずにそのままフライパンか魚焼きグリルで素焼きする食べ方がおすすめです。開きになっている場合は皮目から炙るように焼きましょう。
おすすめの食べ方、アレンジ料理
干物にすると連子鯛の味わいが倍増します。お酒のおつまみやごはんに合一品です。おろし醤油にレモンを絞って食べればさっぱりといただけます。干物にすると出汁がよくでるので鯛飯にアレンジしてもよいです。
連子鯛おすすめ料理⑥/唐揚げ
老若男女問わず愛されている唐揚げもおすすめの料理です。連子鯛の身に含まれる水分がジューシーな味わいを演出してくれます。皮目まで柔らかくおいしくいただけるので、皮引きする必要はありません。簡単にできる料理法を紹介します。
食材、調理法、レシピ
【材料2人前】連子鯛2匹
【調味料】(小麦粉200g)(塩適量)(故障適量)(レモン少々)(揚げ油300g)
【作り方】連子鯛のうろこを丁寧に取り、内臓を取り除きます。身は3枚におろしてキッチンペーパーなどで水分を取っておきましょう。皮引きする必要はありません。身を食べやすい大きさにぶつ切りしたら小麦粉を全体にまぶします。180℃の油で表面がきつね色になるまで3分~5分揚げて完成です。
おすすめの食べ方、アレンジ料理
お好みでレモンを絞ってもさっぱりしておいしく頂けます。余った唐揚げは南蛮漬けにアレンジしてもおいしく食べられます。小さめの連子鯛を一枚揚げされる場合は開いたお腹のなかまでしっかり水分を拭き取り小麦粉をまぶしてください。
連子鯛を食す際の注意点
連子鯛を食材として扱う場合の注意点として、体内に微量の水銀を保有するとの報告があります。1匹、2匹食べる分には問題ありませんが、妊婦や子供は食べすぎないように注意が必要です。
まとめ
ここまで連子鯛の生態やさばき方、料理法を中心に紹介してきました。安価で美味しい魚ということでみなさんから親しまれている理由がお分かり頂けたかと思います。クセの少ない淡泊な白身で多くの料理に万能な食用魚です。是非、連子鯛が手に入った際はさまざまな料理に使用してみてください。
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