モーラナイフ Hook Knife
静かなブーム「ククサ」を手作りしよう
ククサでキャンプをおしゃれに
アウトドアでのコーヒータイム。軽いアルミの金属製カップも人気ですが、もっとナチュラルに過ごすなら、木製のマグカップを使ってみませんか。都会では味わえないような、とてもおしゃれでのんびりとした贅沢な時間が過ごせます。
ククサについて、作り方や、どうしても塩分がつよい場合の塩抜きなどの手入れ方法、できあいのものを買うときの参考になる、ククサ人気メーカーなどをご紹介します。
ククサについて
ククサはフィンランド生まれ
ククサは北欧フィンランドで生まれた食器です。サーメ人という民族が作る民芸品です。ククサという言葉も、このサーメ人の言葉。"kuksa"と書き、カップという意味があるそうです。
ククサはマグカップ
この食器、何に使うものかというとコーヒーを飲むときなどに使われます。木製のマグカップですね。持ち手を支えて口に運ぶと、木のあたたかなぬくもりを指先や唇に感じます。
焼き物のマグカップと違い冷たさを感じることもないし、金属製のカップのように唇がやけどするほど熱くなることもありません。
幸せをはこぶククサ
この木製の優しい食器は、北欧では親しい人の間でプレゼントします。丁寧な手作り、あまり数がない材料。ひとつのククサができるまで、とても長い時間が必要になります。
貴重な"幸福をもたらすマグカップ"として、大切な人に贈るのにふさわしいアイテムです。
ククサは何でできている?
本式のククサの材料は木のコブ
丁寧に手入れしながら使うと、一生モノのマグカップともいわれるククサ。部品ごとに切り出し、接着剤やビスで留めることはありません。
ひとつのコブからひとつのカップができているので、つなぎ目が取れてしまうなどということもなく、とても丈夫です。
フィンランドの白樺「バハカ」
白樺といっても日本の高原でみるような木とは違います。とても寿命が長く、何十年と大きく成長します。コブというのは、幹についた傷から樹液が出て少しずつ育つもの。カップになるくらいの大きさになるには、30年ともいわれています。
フィンランドの寒さがコブを育てる
寒い北欧でゆっくりと育つ白樺、その白樺の成長とともに、コブも大きく育って「しあわせの木製食器」ククサの材料となります。
いかがでしょうか。おしゃれな木製のカップに興味を持たれた方もいるのではないでしょうか。バハカのコブは手に入りにくいものですが、日本でも手に入る材料で、自分だけのククサを作ってみましょう。
【手作り】おしゃれなククサの作り方①材料
バハカのコブは日本では入手が難しい
日本にある白樺の木はフィンランド(ラップランド)のバハカとは違う品種で、木の寿命がとても短いです。軽井沢の白樺林を見ても、細い木ばかりであることからも、食器にできるようなコブができそうにないことはわかります。
日本でククサを作るなら
本格的なフィンランドで作られるような、コブが手に入らないのならば、使うのはブロック材です。さて、そのブロック木材の種類ですが、何を使えば良いのでしょう。
日本製の木の器で使われている材料を参考に考えてみました。
ククサの材料候補①ヒノキ
木のニオイで選ぶなら、ヒノキ。これはククサキットでも使われている木材なので信頼度が高いです。出来合いのククサを買った方の中で、「木の匂いがひどくてとてもコーヒーが飲めるようなものではなかった」というものがありました。
木の匂いは使っていくうちに薄くなってくるものですが、気になるなら最初からよい香りのする木材を使いましょう。
ククサの材料候補②サクラ
割れにくくて長持ちする木材ならサクラ。木製品の器は、水分(洗い物含む)を入れたり、乾燥させたりと繰り返して使うので、だんだんと割れたり反ったりと変形・水漏れしてきます。
それが少ない木材が良いとの判断です。ただ、桜材は器の材料としても人気。高品質とあいまって、手に入りにくいのが難点です。
ククサの材料候補③ケヤキ
手に入りやすい木材で、器にもよく使われるものなら、と白羽の矢を立てたのがケヤキです。硬い木材なので割れにくいのが特徴です。
カラーは黄みがかった色で、成長が早い木なので、木目の模様も美しく人気があります。
【手作り】おしゃれなククサの作り方②くり抜き
ブロック材に作りたいククサの下書きをする
材料が手に入ったら、それをおおまかなマグカップの形にしていきましょう。太く柔らかい鉛筆や木炭などで、ザックリと器の形を書きます。
糸鋸などを使い大まかにくり抜く
形をくり抜く道具は、電動工具が早くて便利です。ドリルで印の外側に穴を開けて、その間をノミなどで割っていくと良いでしょう。
ない方は糸鋸などを使って、大まかなマグカップの形にしていきます。ここからナイフで削ってもう少し完成品に近い形にしていくので、大まかで構いません。
ナイフでもっと細かく造形する
モーラナイフ Hook Knife
材質 | 木材(ハンドル)、ステンレス(ブレード) |
---|---|
サイズ | 17 x 5.6 x 5.1 cm |
重量 | 0.05kg |
ブッシュクラフトなどで使う、大きくてよく切れるナイフをお持ちの方は、それらを使ってもっと出来上がりのマグカップの形に近づけていきます。
最終的には次のやすりがけの工程で仕上げるので、先程よりも形が近くなり、やすりがけがやりやすくなる程度を目指します。カップの内側はカービングナイフを使うとくり抜きやすいです。
【手作り】おしゃれなククサの作り方③やすりがけ
ククサの仕上げ
マグカップの造形の仕上げはサンドペーパーで丁寧なやすりがけをしていきます。これで、ククサの形が仕上がりますので、自分か納得できるようなおしゃれな形になるまで、じっくりとやすりをかけていきましょう。
かなり丁寧にくり抜きまでされている、市販のキットでも3~5時間かかったという口コミがありますので、全て手作業で作る場合は、もっと時間がかかります。何日もかけてゆっくりと、満足するまで形や薄さを整えていきましょう。
【手作り】おしゃれなククサの作り方④塩漬け
塩水でククサの強度を増す
本格的なククサの作り方は、木の強度を増すために24時間以上塩水に漬けるそうです。硬い木を使うなら、この工程は省いてしまうこともできますが、市販の完成品ククサは塩水に漬けてあります。塩水の濃度は問いません。
まずはお湯を沸かし、塩を入れて塩のお湯を作り、さきほどのマグカップを入れて煮ます。そのまま鍋に入れっぱなしで放置します。24時間から2日を目安とします。
塩漬け後はゆっくりと乾燥
塩漬けにしたマグカップは、すぐに乾燥させずにできるだけゆっくりと乾かします。食器乾燥機などには、絶対に入れてはいけません。
これは普段のお手入れでも同じことが言えます。乾燥が進みすぎて、木が痩せ、割れの原因となります。
【手作り】おしゃれなククサの作り方⑤油で保護
コーヒーが漏れないようにする大切な工程
キャンプでククサを使ってコーヒーをのんびり飲む。おしゃれでかっこいい憧れのアウトドアのスタイルですね。市販のものは、しっかりコーヒーが漏れないような加工がされています。そのための材料は、植物の油です。
しかし、植物の油なら何でも良いわけでなく、乾いたらベタベタしないような油を使います。本場のククサは、クルミ油を使ってこの漏れ防止の作業をするそうです。
油の塗り方
乾燥まで済ませた手作りククサに、植物油(乾性油限定)を塗っていきます。塗り方は、ハケを使ってたっぷりと。こちらも、日陰でじっくり乾かすと、サラリとした仕上がりになります。
ただし、食器用の塗料とは違い、油で薄くコートするだけですので、何度も塗り重ねることによって漏れない器にすることができます。(最初はコーヒーが漏れることが多いです。)
ククサの手入れ方法・塩抜きや油での保護
ククサの手入れ①塩抜き
完成品のククサを買って最初に飲み物を入れて飲んだとき、誰もがしょっぱいと感じます。これは、作り方で説明した"塩に漬ける"工程があるため。塩に漬ける作業は、ククサを丈夫にしてくれる大切な作業です。
またアク抜きの意味もあります。しかし、塩味は飲み物の味を変えてしまうので、最初に軽く塩抜きをします。塩抜きはあくまでも軽く。お湯でグラグラ煮るようなことは割れの原因となります。
何度も使うことが、最適な塩抜き方法となります。
ククサの手入れ②油
木は中の水分が抜けると痩せて割れがおきます。塩ゆでするのも、この割れを防ぐための方法のひとつですが、さらに乾性油という乾くとサラサラになる植物油を塗って保護・乾燥からの割れを防ぎます。
本家ククサで使われるのはくるみ油。スーパーなどで簡単に手にはいりやすい、えごま油やべに花油も使えます。オリーブオイルは植物油ですが乾性油ではないので使えません。
頻度はツヤがなくなってきたらおこないます。
お手入れの注意点
特に、割れに関する大切なお手入れの注意なのですが、最初はしょっぱいと感じても、決して真水のお湯でグラグラと煮ることは避けましょう。せっかく行った塩水に漬ける工程が無駄になってしまいます。
塩水の浸透圧によって、木材の中の水分を適度に抜き、代わりに塩の結晶が入り込んでいます。塩抜きは、その塩の結晶を取り除き、また木の中に水を戻す行為です。
塩抜きはそこそこに、回数を使い普段の油を塗るお手入れを続けていくうちに、安定して漏れ、割れを防ぐコートとなります。
ククサを買うならどれ?おすすめメーカー3選
ククサの人気メーカー①Puuhari
夫婦で木工工房を経営しているフィンランドのメーカー。プーハリと読みます。デザインにこだわりのあるプーハリの考え方は、ひとつの形に固執せず、丸いもの、四角の角がとれたくらいのもの、洗練されたフォルムのもの、荒削りだけどナチュラルさにこだわったものと、多種な形になってあらわれています。
ニセモノが出るほど人気の高いメーカーです。
ククサの人気メーカー②Koivumaa
コイブマーもブーハリと並んで有名なフィンランドのメーカーです。丸みがより強いフォルムと、オーロラという全体にモヤがかかったような光沢の仕上げが特徴。
工程のひとつにコーヒーに漬ける作業があり、それにより木目の濃淡が際立ちます。他にはなかなか見られない、コーヒーに染まった赤褐色を帯びたカラーも人気。
ククサの人気メーカー③SomAbito
日本でククサの手作りキットを作っているメーカーです。あらかじめ、おおよその形が出来ているものを、付属のやすりで角をとったり、持ち手を工具を使って切り、オリジナルデザインに仕上げたりすることができます。
材料を集められない人、木工工作機械がない人向けのセミハンドメイド商品として人気があります。
まとめ
ククサを作ってプレゼントしよう
バハカのコブは日本では手にはいりにくいですが、そのかわりいろいろな種類の木材のブロックが手にはいりやすいです。木材の種類によって色も模様も手に触れた時の感触も変わってきます。
せっかく木材が豊富な国に生まれたのですから、日本の、あなたオリジナルなククサ作りをしていきましょう。素材選びからはじめるプレゼントなら、さらに贈る方にしあわせを運んでくれそうな気がします。
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