奥秩父の金峰山小屋とは
奥秩父山塊の金峰山にある
正式な名称は奥秩父金峰山小屋で、この奥秩父とは埼玉の秩父地方のことではなく、長野や山梨や奥多摩にまたがる、関東山地の奥秩父山塊のことを指しています。金峰山は2,000m級の山々の中でも2番めの標高2,599mを誇る、日本百名山に含まれる名峰です。その山頂近くに目指す山小屋が建っています。
標高2,440mの山小屋
周囲のすべてがもう山だけしかない奥秩父山塊の真ん中で、金峰山山小屋は標高2,440mという酸素も薄い大変な高所に作られています。訪れる方法は大弛(おおだるみ)峠まで車で向かい、そこから登山を決行するのが最短です。苦労をしてたどり着けるからこそ、評判を呼んでいる山小屋なのです。
山小屋は定員55人の完全予約制
気をつけておきたいのは、金峰山小屋の宿泊に関しては完全なる予約制であることです。山小屋ではゆとりを持って過ごせることをモットーに、定員55人を厳守している施設です。仮に予約しないで金峰山登山をしてみても、山小屋で食事は可能でも、宿泊は不可能ということになってしまいます。
ユズヒコがいる
こんな高山の小屋を訪れると、体をぶつけてじゃれついて来るのが、看板犬で山小屋の影の支配者とも言われるユズヒコ。2018年で10歳となった真っ黒い犬は、小屋の中や外のベンチや地面など、気がつけば何処にでも寝そべっています。金峰山小屋に行ったら、まっ先に出会いたい存在です。
金峰山小屋までのアクセス
山小屋までのアクセスの概要
基本的に普通車ならば、南側(山梨)から車やタクシーで大弛峠に向かうのが通常です。北側(長野)側の山道は砂利道で危険な地点も多く、4輪駆動などの車でないと難しい場合があります。大弛峠の駐車場にとめたら、いざ金峰山小屋までの登山を進めることになります。
大弛峠駐車場
林道を走った先の大弛峠は、山小屋に向かう時に使える駐車場が広がる場所です。この峠が意外と知られるのは、車で行ける山岳の峠としては2番目に高い、標高2,360m地点にあることも理由です。駐車場は無料ですが数が少ないため、連休中に金峰山小屋に行くと路駐を余儀なくされる可能性があります。
アクセス方法
【山梨・笛吹市から(南側)】国道140号→県道219号→山梨県県営林道川上牧丘線→大弛峠
【長野・川上村から(北側)】県道68号→長野県川上村営林道村道秋山・川端下線林道→大弛峠
【大弛峠から】登山道を西へ→金峰山小屋(3時間)
金峰山小屋までの登山ルート
金峰山小屋までの尾根道
目指す小屋までの道のりは、全体が標高2,000mを超える高山地帯の尾根道がメインです。気難しく捉えたいのは金峰山の山頂の岩場のあたりです。全体で見れば起伏は大きくなく、時間をかけず、大弛峠から目的地となる金峰山小屋にたどり着けます。到着までの時間は、順調ならば3時間程度を要します。
登山ルートの見どころ
駐車場のある大弛峠から出発すると、尾根ではシラカバやハイマツなどの樹林を抜けながらの縦走です。朝日峠の先の朝日岳は奥秩父山塊の山並みを一望できる場所。金峰山のてっぺんは東の関東山地の山々、西の南アルプスや八ヶ岳、南の富士山までもくっきりと見渡せる絶景ポイントです。
登山時に必要とされる道具
これは山道で持っていたほうが無難だという道具は、金峰山小屋でも紹介しています。基本となるのは暗がりで安心なライト、道に迷わないための地図、急な雨に対応する雨具、登山の体力を確保する行動食です。また、春先は凍結や冠雪が残っているため、チェーンアイゼンも装備すると安全です。
金峰山小屋の予約方法
予約フォームかメールか電話で
限定で55人までの評判な山小屋なため、利用するなら一先ず予約を取るところから始めます。金峰山小屋の予約は、公式サイトに準備している予約フォームから、必要な事項を記入することができます。また山小屋では、電話やメールを使った予約も受け付けています。
予約に必要な情報
【お名前】代表者の本名
【e-mail】代表者がよく使うアドレス
【電話番号】代表者の電話
【宿泊日】宿泊を希望する日付、何泊など
【人数】1名、5名など参加者数
【食事の有無】夕食と朝食希望など
【お問合せ】そのほか金峰山小屋に個人的な質問(なんでも)
金峰山小屋の営業期間
通常の営業期間
雪に覆われる冬を過ぎて、山小屋が営業を開始するのは春4月の下旬の頃。春先の頃の奥秩父山塊は積雪がまだ残っているため、冬と然程変わらぬ装備が不可欠です。それから秋深まる11月の中旬頃までが、金峰山小屋の通常営業期間ですが、その後の冬季休業期間にも、稀に営業する日が存在していました。
冬季営業
あたりは氷雪に閉ざされる真冬の金峰山小屋でも、休業期間の合間に冬季営業を実施しています。それは年末から正月を迎えるあたりの頃です。そして1月の頃にも週末に予約者があれば特別営業を行います。夏や秋とは違う、雪景色の登山と小屋生活を楽しめます。
金峰山小屋の営業期間
【通常営業】4月末~11月中旬
【冬季営業】12月29日~1月6日、1月の週末
【冬季休業】11月中旬~4月末(冬季営業を除く)
金峰山小屋の施設の特徴①
金峰山小屋の宿泊
むき出しとなった柱と梁がなんとも山小屋的な光景で、蚕棚形式とよばれる寝床が宿泊部屋に備え付けられています。床に寝る場合と棚の上に寝る場合があり、予約状況によっては場所を選べませんが、布団はちゃんと用意してあるので安心です。金峰山小屋では合計で55名までの寝床が用意されています。
宿泊の特徴
もし1泊を希望するなら2食も付いているのでおすすめです。また、食事を望まずに素泊まりを希望することもできます。宿泊せず食事だけを目的にしても構いません。ただ金峰山小屋では宿泊者限定でおにぎりも用意してくれるため、やっぱり泊まりのほうがお得感が高めです。
宿泊料金の一覧
【1泊2食】8,500円
【素泊まり】5,500円(小学生3,500円)
【冬季料金】+500円
(テント設営不可)
金峰山小屋の施設の特徴②
山小屋の設備
いつも小屋の管理人が潜んでいるあたりを中心として、何やら金峰山小屋には過ごしやすい空間が作られています。毎年のように訪れる人の間では、どんどん設備が充実していって、凄いことになってきたと評判です。
食堂のストーブ席やこたつ席
山奥なのに色んな役割を果たしてくれる空間が食堂。冬季にはあったかいストーブを取り囲む席が用意されたり、片隅にこたつが置かれたりします。金峰山小屋のこの空間は、食事をするだけでなく、お話をして過ごしたり休憩をしたり、本棚から気になる本を取って読書に熱中したり気ままに過ごせます。
更衣室
小屋の入り口付近には、とても簡易な更衣室が用意されています。大部屋の宿泊が基本な金峰山小屋なので、小さなスペースでも更衣室があって、特に登山女子にとってはありがたい場所です。普段はカーテンが上に上げられた状態ですが、カーテンを下ろすことで使うという仕組みです。
金峰山小屋の施設の特徴③
水場と雨水
北へと流れる千曲川や、南へと流れる富士川の水源地となっているのに、この山の頂上付近にはせせらぎや湧き水などの水場が何処にもありません。山小屋を訪れたとしてもお風呂もシャワーも使えず、雨水を使うのが金峰山小屋の当たり前な姿。それを承知のうえで訪れたいところです。
雨水の利用方法
変わりなく天の恵みである雨水は、常に山小屋のタンクの内部に貯蔵されています。金峰山小屋では煮沸して消毒をしたうえで、提供している飲料水や料理に使っています。加熱した雨水の販売もしているので、登山のお供に備えるようにしてください。
金峰山小屋の施設の特徴③
金峰山小屋の食事
とても辺鄙(へんぴ)な山奥でありながら、名物料理を含む幾つかの料理を味わえることも、金峰山小屋が評判なところです。メニューにはうどんや蕎麦やラーメンといった麺類から、おでんやお汁粉まで揃います。鶏肉といった肉料理も登場、山の上とは思えないグルメに出会える驚きもあります。
食事のお供にお酒も
そして山の上で提供されて酔っぱらいを生み出すお酒が、金峰山小屋の評判を上げている理由に数えられます。メニューを見ればビールに日本酒に梅酒と、食事と一緒に味わえるお酒が揃っているのです。時には食卓にワインまでも登場することがあるので、酒と山好きにはたまりません。
食事メニューの例
【飲み物】コーヒー、ジュース、ミネラルウォーター
【お酒】ビール、日本酒、梅酒
【食事メニュー】うどん、そば、おでん、でんがく、おしるこ、カップラーメン、ラーメン、チキンステーキ
金峰山小屋の施設の特徴④
山小屋でのお土産と販売品
非日常の山生活を地で行く宿泊、美味しい食事といった目立つお楽しみだけでなく、山小屋の観光気分を高めるのがお土産品です。金峰山小屋オリジナルのロゴが入っていて評判なお土産が、現地に幾つか用意されています。訪れた記念に、気になる何かを入手してみませんか。
人気の手ぬぐいやナルゲンボトル
とくに人気なアイテムといえば、金峰山小屋の文字が入っている手ぬぐいです。模様が違ったものがあり、記念品としてだけでなく登山中にも役立ちます。近ごろに登場したお土産といえば、山にピッタリなナルゲンボトル。水筒や食事のストッカーにも使えると評判な品です。
お土産の例
【手ぬぐい】各種あり
【ナルゲンボトル】飲料や食事のストッカーに
【モビール】絵柄入のランプシェード
【山バッジ】記念に
【絵はがき】記念に
【シェラカップ】登山のお供に
金峰山小屋の施設の特徴⑤
トイレ棟
【18.09.16】
— 悠汰 (@moomin19820707) September 17, 2018
【 15. 金峰山小屋 】
山頂から下り金峰山小屋へ:walking:♂️
ここで金峰山の山バッジを購入。
トイレが凄く綺麗だった:sparkles:
宿泊者の食事が豪華らしい:tv:
#お写ん歩
#イマソラ
#空がある風景
#山梨県旅行記
#悠汰の旅2018
#iPhone越しの私の世界
#山好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/SLVIF4Nh2k
奥に隣接している白とオレンジのツートンカラーが特徴な建物は、金峰山小屋のトイレ棟です。外観的な真新しさを見せてくれるとおり、まだこの山小屋に完成して間もない新築バイオトイレです。奥秩父で登山した先の施設ながらも、トイレがとても綺麗なことも利用者に評判です。
トイレ棟の特徴
正面に入り口があり、階段を上がった先に男性用トイレと洋式の個室トイレが並んでいます。階段で登る構造なのは汲み取りなどの管理をしやすくする、金峰山小屋の工夫です。夜間でもLEDライトで照らされて訪れやすく、トイレのペーパーも標準装備されていたりと山小屋と思えぬ仕様です。
金峰山小屋の施設の特徴⑥
ヘリでの物資輸送
とことん山奥なので、人力での物資輸送には限界があります。だから金峰山小屋ではヘリを活用しての物資輸送が通常に行われています。大勢が宿泊する山小屋であるため、山の麓からの荷揚げは一回では終わらず、1日に8回も往復することも通常です。一体山の荷揚げに幾ら掛かっているのかと気がかりです。
物資の運搬は見応えあり
そんな山上まで荷揚げヘリが飛来して作業を進める様子は、稀にしか見られない刺激的な光景です。重たそうな物資を山に運ぶ様子は爆音を伴って迫力があり、運が良ければ観賞することができます。荷揚げする時を狙って宿泊は難しいですが、ぜひとも目にしてみたい、金峰山小屋ならではの特徴です。
金峰山小屋近くのテント生活
大弛小屋テントサイト
すぐにテント泊がしやすい名所といったら、大弛峠のすぐ近くで予約利用ができる大弛小屋です。標高2,365m地点では、名物的な山小屋カレーや、国師岳の伏流水を使った大弛コーヒーも味わえます。山でのテントの1泊は格安で、金峰山に向かう駐車場も近くという意味でもキャンプに最適です。
大弛小屋の基本情報
【所在地】山梨県山梨市牧丘町北原4141大弛峠
【電話】090-7605-8540
【テント料金】1泊:800円(水洗トイレ使用可能)
富士見平小屋テント場
もし野生に回帰してのテント暮らしを希望するなら、瑞牆山の富士見平小屋を目指して歩くのもおすすめです。金峰山小屋からは西へ4kmほど先で、トイレ付きのテント宿泊を選べます。こちらの山小屋は、鹿肉ホットドッグや富士見平小屋ビールが評判の名物で、夏~秋のテント暮らしも快適です。
富士見平小屋の基本情報
【所在地】山梨県北杜市須玉町小尾
【電話】090-7254-5698
【テント料金(トイレ料金込)】大人1泊:1,000円
廻り目平キャンプ場
北方の川上村を目指して行けば、テント設営ができる廻り目平キャンプ場があります。ここは金峰山小屋から北へ5km、小川山の東山麓です。テント場はもちろん山荘やバンガローの宿泊もでき、トイレにシャワーにランドリーまで完備されているので、テント泊の過ごしやすさは期待通りです。
廻り目平キャンプ場の基本情報
【所在地】長野県南佐久郡川上村大字川端下(カワハケ)546-2
【電話】0267-99-2428
金峯山小屋の周辺の見どころ
五丈岩
まるで古代の石積みの遺跡のような迫力を見せてくれるのが、金峰山の頂上にデンと構える五丈岩です。この山は昔から修験者が絶えず訪れた霊山であり、山頂の金櫻神社本宮がその名残をとどめます。宿泊の金峰山小屋からも近いのでじっくり拝見してみたい自然の名所です。
千代の吹上
すこし五丈岩より西へ向かってみれば、金峰山の南斜面には目も眩むような断崖風景が立ちはだかります。ここが千代の吹上という、山小屋近くの名所です。かつて千代さんという人がこの断崖から落ちたとき、信じられない強風が吹いて千代さんが山の尾根に戻されたという伝説が残っています。
金峯山小屋の周辺の温泉
はやぶさ温泉
清流の笛吹川のほとりにある、山梨市のはやぶさ温泉に立ち寄ってみませんか。このお湯はべっぴんの湯と称えられるアルカリ性で、滝状に湯が流れる露天風呂や内湯が見どころ。金峰山小屋の後の疲労回復をしたら、はやぶさ温泉の名物うな丼やちらし丼を味わってみてください。
はやぶさ温泉の基本情報
【所在地】山梨県山梨市牧丘町隼818-1
【電話】0553-35-2611
南相木温泉 滝見の湯
北回りの山道を通るなら立ち寄りやすいのが、南相木温泉の滝見の湯です。ここは犬ころの滝の名勝に接する、相木渓谷の真っ只中。温泉は滝の音も聞こえる露天風呂や、ガラス張りの内湯が特徴です。金峰山小屋から帰宅時の疲れは、温泉とあわせて南相木ダムカレーや冬の寄せ鍋で吹き飛びます。
【所在地】長野県南佐久郡南相木村5633-1
【電話】0267-91-7700
金峰山小屋に行こう
奥秩父の絶景と快適さを求めて
果てしなく迫力の山々を見渡す奥秩父の山小屋は、宿泊すれば魅力に溢れる所でした。大弛峠から登山でたどり着いたら、金峰山小屋で評判の食事とお酒と居心地、そして犬にも出会えて、日常を忘れることは必至です。夏も冬も、予約を入れて評判の山小屋を目指してみませんか。
(当記事は2019年3月2日時点の情報をもとに作成されております。)
奥秩父 金峰山小屋情報
【所在地】連絡所:長野県南佐久郡川上村居倉535-60、現地:長野県南佐久郡川上村金峰山
【電話予約】0267-99-2030
長野の登山が気になる方はこちらもチェック!
当サイトでは奥秩父金峰山小屋の他にも、長野で評判な登山スポット情報をまとめています。これから長野で登山する方はチェックしてみてください。
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