石鎚山ってどんな山?
石鎚山は四国の愛媛県にあり、西日本では最高峰の山です。石鎚山脈の中心的な山で標高は1982mあり、日本百名山、日本7霊山に選ばれています。頂上からは周囲の四国の主要山脈や瀬戸内海が見渡せます。また、石鎚山は紅葉が美しい山で日本百景の一つでもありますが、鋭くとがった天狗岳の岩峰が紅葉に染まる景色は絶景です。登山道は初心者におすすめのロープウェイを利用するルートやベテラン向けのルートなど難易度の違う3つのルートがあります。
石鎚山という山はない:3ツの山の総体山(総称)
「石鎚山」という名前は有名で良く聞きますが実は石鎚山という名前の山は存在しません。初心者を始め多くの人が登る「石鎚山」は石鎚神社が建っている「一つ目の山頂」で正しくは弥山(みせん、標高1974m)と言います。弥山からはすぐ近くに「二つ目の山頂」で西日本最高峰の天狗岳(てんぐだけ、標高1982m)が見えます。天狗岳の先には「三つ目の山頂」で天狗岳と同じく西日本最高峰の南尖峰(なんせんぽう、標高1982m)が見えます。これらの3ツの山全体をを総称して石鎚山と言っているのです。
石鎚山と関係の深い石鎚神社
石鎚神社は石鎚山を神体山(ご神体の山)とする神社です。石鎚神社の本拠地である口之宮本社がJR 石鎚山駅に近い所にあります。そして中宮の成就社が石鎚山の7合目にあり、奥宮頂上社が弥山の頂上にあります。また、石鎚山への登山ルートの一つ土小屋ルートの登り口に土小屋遥拝殿があります。これらの4ツの社を合わせて石鎚神社と言います。
石鎚山観光でのおすすめの見所
石鎚山は神の宿る山、あるいは山自体が神として古くから崇められてきました。4本の長い鎖場があって修験者の修行の場所としても知られています。また石鎚山は日本百景にも選ばれていて、秋の紅葉を始めとして四季それぞれに美しい自然が楽しめます。石鎚神社は諸願成就の神様として知られる石鎚大神を祀っており、願い事が叶うパワースポットとして人気があります。この様に石鎚山登山、観光での見所はいろいろとありますが、特に人気のある見所について何カ所かご紹介しましょう。
おすすめの見所1.石鎚神社中宮「成就社」
石鎚神社成就社は石鎚山へ登る人が、初心者に限らず最もよく利用する登山コースの「成就社コース(表参道)」の7合目にあります。参道は小さな門前町の様な感じで、土産物屋や食べ物屋などがあります。 進学、入学、家内安全など、もろもろのことを祈願しに多くの人が訪れます。
石鎚山の頂上まで登る場合はそれなりの準備と覚悟が必要ですが、成就社までは初心者も一般の観光客の人もロープウェイを利用して問題なく来ることができます。
成就社へはロープウェイに乗って行きます
成就社への行き方は、標高455mにある石鎚山ロープウェイの下谷駅から標高1,300mの成就駅までロープウェイに乗って約10分間で一気に上がります。ここから徒歩25分で成就社です。成就駅から5分ほど回り道をして観光リフトで展望台まで行くこともできます。観光リフトを降りてから成就社まで10分ほど歩きます。
願い事を叶える成就社
千三百年以上の昔、石鎚山開山の祖である役小角が石鎚山頂を目指すもかなわず、挫折しかけましたが「為せば成る」と行を続け、ついに石鎚山の頂上を極めて開山することができました。頂上から下ってから「吾が願い成就せり」と石鎚山を拝したのが現在の成就社の場所でした。物事の成就を祈ってその願いを叶えるお社が「成就社」なのです。
おすすめの見所2.鎖場
石鎚山というと鎖場が有名で昔から修行の場として訪れる人が沢山いました。鎖場はほぼ垂直の石壁を鎖をつかんで登る行場で、下から「一の鎖」(33メートル)、「二の鎖」(65メートル)、「三の鎖」(68メートル)と3か所の鎖場があります。「三の鎖」を登り切ると標高1974mの弥山山頂はすぐです。また、「一の鎖」の手前に「試しの鎖」(67メートル)と呼ばれるもう一つの鎖場があります。この鎖場を登り切れれば後に続く3つの鎖場も登れる、ということで「試しの鎖」なのです。
なお、鎖場にはすべて整備された迂回路がありますので登山初心者にはこちらをおすすめします。自信のある人のみ鎖場に挑戦してください。上の画像で左側の梯子の道は右側の鎖場の迂回路です。
おすすめの見所3.石鎚神社奥宮「頂上社」
石鎚山の一番目の頂上、弥山頂上に石鎚神社奥宮の「頂上社」があります。ここには「仁」「智」「勇」の神徳を持つ3体の神像が祀られています。ここでは「御内陣入(ごないじんいり)」という、直接神像にふれて神徳を受ける神事を受けることができます。
また、弥山頂上には石鎚神社会館が運営する50名収容可能な頂上山荘もあります。この山荘の1階には休憩所、売店、食堂があり、一般の登山客が休憩したり食事したりできます。
おすすめの見所4.天狗岳の紅葉
石鎚山には多種類の木々が育っていて、四季それぞれの景色を楽しむことができます。その中ではなんといっても秋の紅葉シーズンが一番見事です。9月末ごろから山頂付近の木々が色づき始め10月上旬には山頂は紅葉のピークを迎えます。紅葉は徐々に下へ広がり、20日頃には中腹の成就社周辺が、下旬にはロープウェイ区間が色付き、11月には麓まで紅葉します。
紅葉の景色では、鋭くとがった天狗岳の山頂が赤、黄、緑に彩られる景色が最高です。特に弥山の頂上からまじかに見る天狗岳の紅葉は岩峰がコントラストになり絶景です。
石鎚山への登山ルートの紹介
石鎚山への登山道は、方角の異なる3方向から登る3ツのルートがあります。まずは北面から登る成就社コース(表参道)で、石鎚山ロープウェイの成就社駅が登山口となります。2ツ目は東面から登る土小屋コース(裏参道)で、石鎚スカイラインの土小屋が登山口です。3ツ目は北面から登る面河コースで、面河渓が登山口になります。この3ルートについて紹介していきます。
石鎚山への登山ルート1.成就社コース(表参道)
このコースの往復総距離は約9km、成就駅(出発点)と最高点との標高差は約700m、往復の所要時間(正味)は約6時間、コースの難易度は鎖場を登るルートを取る場合は中級者向き、迂回路のルートを取る場合は初級者向きでしょう。
標準的なコースタイム
山頂成就駅(25分)→石鎚神社成就社(25分)→八丁コル(鞍部)(2時間20分)→弥山(20分)→天狗岳(10分)→弥山(1時間35分)→八丁コル(鞍部)(25分)→石鎚神社成就社(20分)→山頂成就駅
コースの説明
ロープウェイの成就駅をスタートして25分ほど歩くと石鎚神社の中宮成就社につきます。観光リフトに載って展望台を経由する道もありますが、頂上まで登る人には必要ないでしょう。成就社からはゆるやかな道が続きますが、八丁の鞍部からは本格的な登山道になります。最初の鎖場の「試しの鎖」を登ると一軒茶屋につきます。
この先には「一の鎖」から「三の鎖」まで3つの鎖場が続いて現れます。これをすべて上りきるとそこはもう弥山の頂上です。弥山頂上についたら目の前の最高峰の天狗岳山頂まで往復します。距離は短いですが岩場の狭い稜線の道です。初心者に限らず全員が足元に気をつけて歩きましょう。ここまで出発から3時間から3.5時間程度です。なお、上の画像は最初のものが「一の鎖」、後のものが「三の鎖」です。
弥山&天狗岳頂上
弥山山頂からは目の前の天狗岳を始め四国の主な山々が全て見渡せます。北面には瀬戸内海の島々が見えます。ここにはすでにご紹介した石鎚神社奥之宮頂上社と山荘があります。
天狗岳の頂上へ登る道は幅の狭い岩尾根のため、紅葉のシーズンには混雑しますが、天狗岳頂上から見た石鎚神社頂上社はまさに「天空の神社」といった感じで、すばらしい眺めです。
石鎚山への登山ルート2.土小屋コース(裏参道)
このコースの往復総距離は約9km、登山口(出発点)と最高点との標高差は約500m、往復の所要時間(正味)は約4.5時間、コースの難易度は鎖場の迂回路ルートを取るものとして初心者向き、子供でも問題なく登れるレベルです。
標準的なコースタイム
土小屋(45分)→休憩地(55分)→二の鎖(35分)→弥山(15分)→天狗岳(15分)→弥山(20分)→二の鎖(40分)→休憩地(35分)→土小屋
コースの説明
石鎚スカイラインの終点の土小屋が出発点になります。ここの標高は約1500mで山頂まではわずか500mです。このコースはスタート地点から石鎚神社土小屋遥拝殿、国民宿舎石鎚を経由して全体的になだらかな尾根伝いの登山道を登ります。途中には景色の良い休憩地もあり技術難易度は低く初心者向きのコースと言えます。「二の鎖」の手前で成就社コースに合流します。「二の鎖」、「三の鎖」を経て弥山頂上です。スタートから2時間から2時間半で着くでしょう。
石鎚神社土小屋遥拝殿
土小屋遥拝殿は石鎚スカイラインの終点で標高が1,500mの土小屋にあり、神殿の後ろ側には石鎚山がそびえています。昭和46年に御神像を遷座して創設されました。4月から11月までは毎月神事や行事が行われ、一般登拝者のための祈願等も受け付けています。成就社と並び石鎚山頂登拝の重要拠点となっています。
石鎚山への登山ルート3.面河コース
このコースの往復総距離は約16km、登山口(出発点)と最高点との標高差は約1,300m、往復の所要時間(正味)は約8時間、コースの難易度は上級者向きです。
標準的なコースタイム
面河渓駐車場(25分)→面河登山口(1時間50分)→面河山(20分)→愛大石鎚小屋(1時間40分)→弥山(15分)→天狗岳(10分)→弥山(1時間10分)→愛大石鎚小屋(15分)→面河山(1時間20分)→面河登山口(20分)→面河渓駐車場
コースの説明
このコースは上級者向きです
愛媛県の観光スポットの一つである面河渓から入るコースです。このコースは面河渓の駐車場を出発点としますが、頂上までの標高差は1,300mで距離も長く往復の正味所要時間は8-9時間もかかります。また面河登山口から先の登山道は良く整備された道とは言えません。愛媛大学の山小屋から先には崩落箇所やガレ場のトラバースなどもあり、上級者向けのコースと言えます。一方水の澄んだ美しい面河渓を楽しめて、登山者の少ない自然のままの登山道を歩けるこのコースを好むベテラン登山家も多くいます。
コースの説明
コースは登山口から急な登りの樹林帯の道を進みます。途中から尾根道となり出発から2.5時間ほどで愛媛大学の石鎚小屋につきます。ここにはバイオトイレ(使用料は100円です)もあります。またここから先は裏石鎚山の険しい山容が常に見えます。愛大の小屋から約1.5時間で成就社コース、土小屋コースと合流します。二の鎖と三の鎖の中間で、頂上まで300mの地点です。三の鎖を過ぎるとそこはもう弥山の頂上です。目の前の天狗岳を往復して同じ道を戻ります。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございます。いかがでしたか??
石鎚山は古くから修行の山として知られ、険しい山で登るのが難しいと思われています。実際、1300年以上前に役小角が登頂する際には大変な苦労をした険しい山でした。しかし今では登山道が整備され、土小屋ルートであれば子供でも登ることができます。またロープウェイを利用する成就社ルートでは若干時間はかかりますが初心者でも容易に登れます。次の紅葉シーズンには石鎚山への山行を計画してみませんか? (上の画像は、土小屋ルート親子登山者70名が登る前に土小屋遥拝殿でご祈祷を受けている様子です。)
登山の所要時間が気になる方はこちらをチェック!
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