エンゼルトランペットとは?
エンゼルトランペットは熱帯性の低木で、大きくて下向きのラッパのような花をたくさん咲かせ、夕暮れになると下向きの花からさわやかな香りを漂わせます。日本へは江戸時代に薬用植物として渡来し、和名を「木立朝鮮朝顔」、別名を「エンゼルトランペット」、「ダチュラ、ブルグマンシア」といいます。
草丈と葉の特徴
丈は1mから3mほどに成長し、枝はよく分枝します。葉は20㎝前後の長楕円形で、葉の縁はギザギザの切れ込みがあり、葉柄(ようへい)が長く、枝に互生(ごせい)します。
冬越しや夏越しは
冬越し
エンゼルトランペットは熱帯性の花木の中では比較的低温に耐えることが出来ます。冬越しの耐寒温度は0℃です。霜の心配のない暖地では腐葉土や敷き藁などでしっかり防寒対策をすれば花が咲かない時期の戸外での育て方として冬越しが可能です。寒さで地上部が枯れたり落葉したりしても、根が生きていれば春になればまた芽を出しますので、花が咲かない晩秋に根元から25㎝程度の高さで剪定して下さい。
夏越し
高温多湿は多少苦手ながらも、品種にもよりますが、日本の暑い夏にも耐えることが出来ます。しかし夏の暑い時期は花付きが悪くなったり、花が咲かない事があります。
エンゼルトランペットの花
エンゼルトランペットの花期は6月から11月頃で、葉の付け根から、長い萼(がく)を持ったラッパ状の、大きくエキゾチックな花が下向きにたくさん咲きます。一重咲きと八重咲の品種があり、花の直径は25~30㎝程で花弁は5つに分かれ、下向きの先端は尖って反り返っています。夕方になると甘い香を漂わせます。
花の色は?
花の色は白やレモンイエロー、ピンク、紫、オレンジなどがあり、オレンジ色の花は、徐々に杏色に変化していきます。
蕾の形
つぼみは卵形や、球形、円柱状でまん中が太く、両端がしだいに細くなる形などがあり、花はつぼみから飛び出すような形で下向きに垂れ下がって咲きます。
果実
花が終わり、花が咲かない時期はトゲトゲしたハリセンボンのような実がなります。熟すとはじけて種を飛ばします。
エンゼルトランペットの花言葉や名前の由来
花言葉と誕生花
沢山の花言葉がありますが第一に挙げられるのが、「愛敬」と「愛嬌」という花言葉です。次は「変装」、「偽りの魅力」。また「夢の中」、「遠くから私を思って」、「率直」、「開放的」などの花言葉があります。あなたはどんな花言葉が好きですか。誕生花は8月9日、8月16日、9月4日、10月23日です。
名前の由来
エンゼルトランペットの花言葉に「偽りの魅力」という花言葉がありましたが、エンゼルトランペットの本来の名前は「ブルグマンシェア」です。しかしこの名前ではせっかくの魅力的な花も全く売れませんでした。そこでこの下向きの花をじっと眺めて思いついたのが「エンゼルトランペット」だったのです。この「エンゼルトランペット」という名前を通称名として売ったところ、たちまち売れはじめ、この通称名の方がすっかり有名になってしまったというわけです。
エンゼルトランペットの気になる毒性は?
エンゼルトランペットは花の付きが良く、株が大きく育てば一度に50~100以上の花を咲かせることもあります。しかしこの美しい植物は全草にアルカロイド類の有毒物質を含んでいます。
毒性の症状は
もし誤食した場合、嘔吐や幻覚や錯乱状態に陥ったり、呼吸困難が生じたりします、また目に入れば一時的に視力障害が起きたりします。しかしこれは一定以上の量を摂取してしまった場合なので、必要以上の心配はいりません。ですが、家で育てている場合などは小さな子供やペットがいる家庭では誤食の無いように気を付けてください。また毒性は全草に含まれているので手に傷のある場合など直接触れるのはやめましょう。
薬の効能も
毒性はその性質を熟知し、的確に調合することによって逆に薬としての効果が得られることもあります。エンゼルトランペットの強い毒性は麻薬的な効能があるため「麻酔薬」として用いられました。江戸時代の外科医華岡青洲がこの薬草を使って、麻酔手術を成功させた史実を有吉佐和子が小説「華岡青洲の妻」で発表したことは有名ですね。
エンゼルトランペットの育て方
育て方:栽培環境
エンゼルトランペットは暑い地域の植物で、日光を好みますので春から秋に掛けての育て方として、しっかりと日当たりのよい場所で育てましょう。ただし、日本の真夏の高温多湿は少々苦手なので、真夏は日陰へ移動させるか、遮光をして下さい。また花期は初夏から秋までですが、暖地では真夏は暑さで花が咲かない状況に陥り、結果的に初夏と秋の二回開花するようにみえます。強風にも弱く、当たると花を傷めますので強い風を避けられる場所での育て方を心掛けて下さい。
育て方:植え付け
植え付けの時期は庭植え、鉢植えともに4月から6月頃の気温が上がってからが適しています
庭植え
植え付けは日光が当たる水はけのよい肥沃な土が適していますので、水はけが悪い場合は土に腐葉土を混ぜ合わせて水はけを良くしておきます。堆肥も混ぜ込んで肥沃な土壌を作り、さらに元肥として緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。庭植え状態での冬越しは春の回復が遅く、なかなか花が咲かないので、地植えした株を秋に掘り起こし、鉢に植え替えるという方法もあります。鉢に入らない時は太い根は切り、上部も太い幹を残して切り落とし、広がった枝はひもでまとめます。
鉢植え
用土は市販の草花用培養土を購入するのが便利ですが、自作する場合は小粒の赤玉土6、腐葉土3、堆肥1を配合したものに、緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。エンゼルトランペットは大きく育つので、鉢植えするときは最低でも10号鉢以上を用意してください。鉢植え時期は春から秋が適期で、日のあたる場所で管理しますが、夏の高温多湿時期は、木陰などに場所を移してください。
エンゼルトランペットの増やし方
エンゼルトランペットは増やし方は挿し木、とり木、タネまきなど実に様々。ここでは順を追って詳しく各エンゼルトランペットの増やし方について解説していきます。
増やし方:挿し木
増やし方としての挿し木の適期は4月から8月頃ですが、挿し木は生育期間であればいつでも可能です。挿し木用の枝は3~4節ほどの長さにカットし、挿し穂にします。大きな葉は水の中で半分にカットして水揚げをします。それぞれ挿し木用土に挿し、半日陰で水を切らさないように管理しますと早ければ1ヶ月くらいで根が出てきますので鉢に植え替えます。
増やし方は水挿しでもOK!
枝を20センチほどに切り取り、水に挿しておくと用土に挿し木したのと同じように水差しでも発根します。夏場は水が腐らないように管理して発根を待って下さい。
増やし方:とり木
とり木は5月~9月頃が適期です。枝の表面の皮を剥いで、水分を含ませた水ゴケを巻き、乾燥しないようにビニールで包み、上下をひもでしっかり縛ります。根が十分出てきたら親株から切り離します。ビニールを取り除いて植え替えます。
増やし方:種まき
花が咲かない秋はトゲのある果実が実ります。熟すと割れるので、種を採取し封筒などに入れて乾燥保存します。5月~7月に用土を入れた鉢に種をまき、隠れるくらいの土を上からかぶせて下さい。10日ほどで発芽しますので、本葉が出てきたらその都度、ポットに1本ずつ植え替えて育苗します。
エンゼルトランペットの水やりと肥料
水やり
庭植え
庭植えの場合は水やりの必要はありません。自然の降雨だけで十分です。ですが、もし日照りが続くようでしたらたっぷりと水を与えて下さい。
鉢植え
エンゼルトランペットは水を吸い上げる勢いが強く、春から秋の生育時期はよく水を吸い、枝や葉が大きくなるにつれてさらに水をほしがります。水分が不足すると葉がぐったりして、ツボミも落ちたり、また水分の蒸発を防ぐために下の方の葉が落ちたり、花芽が枯れてしまったりしますので、鉢植えの水不足には十分注意してください。株が充実する夏場も朝と夕方の2回鉢底から水が染み出すまでたっぷりと水を与えます。しかし夏以外は水のやりすぎは根腐れの原因になりますので、土が濡れている時は水やりは控えて下さい。また冬は半休眠状態になりますので土が乾いてから数日経ってから水やりをします。
肥料
エンゼルトランペットはわりあい短期間でぐんぐん生長するので春から秋の生育期は庭植え、鉢植えともに肥料を切らさず与えて下さい。肥料不足になると葉の変色や落葉、花が咲かないなどの影響がでますので花をたくさん咲かせるためにも多肥を心掛けて下さい。芽が出る春から花の終わる秋ごろまでは月1回のペースで暖効性肥料を与えます。半休眠状態の冬越し時期は肥料の必要はありませんが、もし新しい葉が出てきたら成長しているという事なので液体肥料を薄めたものを時々与えて下さい。
エンゼルトランペットの植え替え
鉢植え
エンゼルトランペットは株が大きく育ち根詰まりを起こしやすい植物ですので、植え替えは毎年行って下さい。植え替え時期は4月から5月頃が適期です。エンゼルトランペットは根の古い土を三分の一ほど落とし、地上部の枝も半分ほどに切り詰めて、根に負担をかけないようにします。根鉢より一回り大きな鉢を用意し、鉢底から土が出ないようにアミを敷き、軽石を2~3㎝ほど入れ、その上に土を入れ、エンゼルトランペットの株を入れます。土を隙間が無いようにきちんと詰めて、最後に鉢底から水が出るまで水を与えて下さい。
庭植え
庭植えの場合は、鉢植えと違って、特に植え替えはしなくても良いですが、必要とあれば根鉢の2~3倍の深さと大きさの穴を掘り、掘り出した土に腐葉土又は堆肥を3~4割混ぜ、半分ほど土を戻したら株を入れ、隙間に土を入れます。最後に水を与えて完成です。
エンゼルトランペットの病気や害虫
病害虫の発生はほとんどありませんが、もし葉っぱが食べられているようでしたら、ヨトウムシが発生しているかもしれません。夜に活動するため日中は見つけにくいようでしたら夜懐中電灯をもって探し、見つけ次第駆除しますが、スミチオンやオルトランを散布も有効です。また夏の高温や乾燥でハダニが発生する事がありますので水やりをする時は葉の裏にもしっかりかけるようにしてください。新芽や若い葉っぱが萎えていたらアブラムシのせいかもしれませんので大量に増える前に駆除し、追いつかない場合はスミチオンやオルトランを散布します。
まとめ
エンゼルトランペットは熱帯性の植物にしては冬越しもさほど難しくなく、増やし方も挿し木も簡単で、株に勢いがありどんどん成長する元気な植物ですが、日中は顔を近づけても匂わないのに夕方になると下向きの花から甘い香りを漂わせるなどは妖艶な花のイメージさえ感じます。おまけに強い毒性も持っているなど興味の尽きない不思議な花だと思いませんか。世の中にはまだまだ不思議な花が沢山あります、これを機会に図書館で禁帯出の植物図鑑などを開いてみるのも面白いかもしれませんね。
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