ストウブ鍋って何?
耳にしたことも見たことも無い人は、ストーブみたいな鍋なのかと誤解しがちなストウブ鍋。この謎の鍋にはいったいどんな歴史があり、炊飯にはどんな機能が働いているのか気になります。
フランス生まれの鋳物ホーロー鍋
可愛らしい街並みが続くアルザスはフランス東部の観光地ですが、ここで生まれたのがストウブ鍋です。有名シェフだったポール・ボキューズとストウブ社とが1974年に発表した、鋳物ホーロー鍋です。炊飯ができるストウブ鍋は会社名を冠したもので、製品名をピコ・ココットといいます。
料理人が炊飯や料理に使うストウブ鍋
早い段階より欧米方面で知名度を高めたストウブの鍋は、フレンチなどを始めとする料理人が好んで使う鍋となりました。それは炊飯を含む様々な伝統的な料理を美味しくするストウブ鍋の構造と美味しさが、プロの料理人の間で支持を広めていったからです。日本には2004年に初上陸を果たしています。
ピコ付きだから美味しい
この鍋がどんな理由で炊飯や料理を美味しいものとするのかは、ストウブ鍋の蓋のピコと呼ばれる突起が関係していました。熱されて湧き上がる蒸気がピコに付着し、水滴が料理に落ちるというセルフ・ベイスティングのシステムです。調理に熱の循環を生み出し、味を満遍なく染み込ませる構造なのです。
ストウブ鍋の炊飯向きなタイプとは
炊飯には丸型のラウンド中~大
ちがった種類が色々見つかるストウブ鍋ですが、炊飯向きなタイプはまん丸のラウンドの種類です。これには直径10センチ(0.25Lから最大で34センチ(12.6L)まで12タイプがあります。少量の料理ならミニで問題ないですが、炊飯用なら22センチ以上のラウンド、またはXOココットがおすすめです。
主なストウブ鍋の種類
【ラウンド】丸型、直径10cm(0.25L)~直径34cm(12.6L)
【オーバル」楕円形型、直径11cm(0.25L)~直径41cm(12L)
【XOココット】炊飯に適したタイプ
【タジン】マグレブ料理が作れる
ストウブ鍋の炊飯方法①
お米を水に浸して炊飯準備
使い慣れた炊飯器とは全然作業も異なっている、ストウブ鍋での炊飯の開始です。最初にお米を水のなかに浸すことが先決です。ボウルの水をお米に吸わせることで、柔らかい仕上がりは確実です。たった10分だけ浸け置くだけでもまるで出来栄えが違います。
水を切っておく
水をちょうど良い具合に吸水ができたと判断したら、お米を水から取り上げ、水切りをして用意を万全とします。水を吸っているお米は若干体積も増えて柔かく炊きあがる状態です。ストウブ鍋をコンロへと置いたら、炊飯の準備はととのいました。
ストウブ鍋の炊飯方法②
ストウブ鍋にお米を入れる
ある程度の吸水ができているお米が準備できたなら、炊き上げるためにストウブ鍋のほうへと移します。南合を炊飯するかで、使う水の量は違ってくるので、きちんと調べてから作業に入ったほうが良いです。
お米に水を加える
どんな炊飯でも、用意する水量の基本は決まっています。ストウブ鍋のお米1合につき180ccが基準です。しかしそれより若干多いくらいの200ccの水を鍋に入れて炊飯することが、美味しいご飯にするコツです。2合の場合には360cc+αで400cc程度といったふうな具合です。
ストウブ鍋の炊飯の水量おさらい
【1合(150g)】180cc+αの水(200cc程度)を加える
【2合(300g)】360cc+αの水(400cc程度)を加える
【3合(450g)】540cc+αの水(600cc程度)を加える
【4合(600g)】720cc+αの水(800cc程度)を加える
ストウブ鍋の炊飯方法③
蓋をずらしつつ中火で加熱する
なによりストウブ鍋の火加減が大切になる、炊飯の本番はここからです。最初の段階では、中火で加熱することが必要です。弱火だと時間がかかりすぎ、強火だと水分が飛び過ぎてしまいます。この時ストウブ鍋の蓋は完全には閉めきらず、かなり大きく隙間を開けておくのが炊き方のコツです。
沸騰したら蓋を締めて弱火とする
火加減の調整が急務となるのは、ブクブクしたストウブ鍋の沸騰状態の確認ができた時です。沸騰後にはぴったりと蓋を閉めて熱気と蒸気を逃さないようにし、火加減はとろとろな弱火に切り替えること。これもピコ・ココットで美味しい炊飯を実現するコツとなります。
ストウブ鍋の炊飯方法④
ストップウォッチを用いて正確に10分炊く
これより先の手順について、美味しいご飯の炊き方にするため、時間の正確性がモノを言います。ストウブ鍋の蓋を密閉して弱火にした段階から、10分の炊飯を行います。できればストップウォッチなど時間を測れるアイテムを使うことで、炊飯の確実性を向上させられます。
火を止めたら10分蒸らす
そして10後。火をピタリと止めたら、そこからは蒸らす時間の始まりです。蒸らす作業は美味しい炊飯にするためには、とても重要な工程です。だからストップウォッチを使うことも怠れません。そして蒸らす間に、ストウブ鍋の蓋をうっかり八兵衛的に開けてしまうような失敗をしない気遣いも大切です。
一旦ご飯を混ぜて再度蒸らす
大切な蒸らし工程で10分がたったら、ストウブ鍋の蓋を開けゴマ。炊飯が無事に成功すれば、水分も丁度良くて焦げもない、ホカホカで艷やかなご飯ができています。しかしここで食べ始めるのは早計です。一旦ご飯を混ぜたら、蓋をして再度1~2分蒸らすことで、鍋底の硬い部分も柔らかく仕上げます。
ストウブ鍋のおすすめレシピ①
炊き込みご飯
炊き込みご飯の材料(4合の場合)
絶賛される美味しい炊飯が簡単に叶うストウブ鍋の能力を活かし、調理してみたいレシピといえば炊き込みご飯です。ストウブ鍋を用いて調理する炊き込みご飯では、材料をバランス良く準備してください。鍋の効果により味がご飯によく染み込んで、最高の炊き方ができます。
【お米】4合 【合わせ調味料】水4合分、しょうゆ大さじ4、料理酒大さじ2、だし適量 【具材】こんにゃく、人参、椎茸、薄揚げ、鶏肉
炊き込みご飯のレシピ
これぞ自分好みで間違いなしという美味しい材料を選び出し、材料を切りそろえます。合わせ調味料は醤油と料理酒とダシを準備して水と混ぜ、お米に合う分量を用意します。ストウブ鍋にお米、材料、合わせ調味料を入れたら普通のご飯の炊き方と同様で、火加減を気をつけ炊飯をすれば完成します。
ストウブ鍋のおすすめレシピ②
無水カレー
時は幕末の頃、インドより伝来してきた日本風カレー作りは、水を使うのが常識なようです。しかし内部に水分を閉じ込めて循環するストウブ鍋なら、無水カレーを作るのも簡単になります。無水カレーは一見炊飯よりも難しいように思われますが、実は調理のレシピ自体はとても簡単です。
【具材】玉ねぎ、トマト、じゃがいも、人参、鶏肉など【調味料】カレールウ
無水カレーのレシピ
これは除外不可能と信じるる材料を準備できたら、適当に切り分けてストウブ鍋に投入します。この時野菜の量が多いほど、野菜から水がにじみ出てきます。炊飯時のように水を注ぎ入れることはせず、そのまま蓋を密閉して弱火にて1時間煮込みます。ルウを溶かし入れ、10分寝かせたら完成です。
ストウブ鍋のおすすめレシピ③
無水肉じゃが
味を染み込ませることで美味しい日本代表と言えば肉じゃがです。ストウブ鍋での料理がおすすめですが、こちらも無水での調理ができます。時間もかけずに極めて簡単に出来るレシピで、いったん覚えれば食卓のレパートリーに華を添えます。白米の炊飯をするなら、おかずとして用意してみませんか。
【サラダ油】適量【肉】豚肉か牛肉250g【合わせ調味料】醤油大さじ3、みりん大さじ1、砂糖大さじ2【野菜】じゃがいも3~4個、玉ねぎ1個、人参1/2本、しらたき(下茹で)小1袋
肉じゃがのレシピ
まず牛肉のほうをストウブ鍋で軽く炒めたら、合わせ調味料を絡めます。そこにじゃがいもなど大きめに揃えた固めの野菜を入れて蓋をし、火加減は弱めにて加熱をします。蒸気が出たら、さやえんどうなど柔らかい野菜を加え、3分程度。火が通っていれば美味しく完成なので、炊飯よりも格段に簡単です。
ストウブ鍋のおすすめレシピ④
ローストチキン
いま心から求めてのは炊飯よりも断然トリ肉料理だという鶏派な人には、ストウブ鍋で作れる簡単なローストチキンです。ニンニクの風味で野菜をたっぷりと添えて無水で仕上げてみれば、食欲を掻き立ててくれる美味しいチキンとなります。
【鶏もも肉】2枚【野菜】ぶなしめじ、にんじん、玉ねぎ、ミニトマトなど(お好み)【調味料】塩、胡椒、オリーブオイル、ローズマリー、ローリエ(お好み)
ローストチキンのレシピ
事前に熱して万端なストウブ鍋の全体にオリーブオイルをなじませ、ニンニクを炒め、中火で鶏肉を両面焼きをします。いったん鶏肉を取り出し、お好みの野菜をストウブ鍋に入れて鶏肉を載せます。蓋をしたら火加減は弱火で30分煮込みます。この作業も、炊飯よりも手間や時間をかけません。
ストウブ鍋のおすすめレシピ⑤
焼き芋
街角では金時の石焼き芋の移動販売に、ついつい吸い寄せられてしまったこともありませんか。ストウブの鍋を使うと、炊飯に加えて焼き芋でも、時間をかけず特別に美味しい仕上がりになります。普段は焼き芋と無縁という人も、自宅で試してみれば焼き芋のおやつに目覚めてしまうかもしれませんよ。
焼き芋の材料
【さつまいも】1~3個(22センチの場合) 【オーブンシート】1枚
焼き芋のレシピ
コレは必須と評判アイテムのオーブンシートをストウブ鍋に敷き、濡らしたさつまいもを置いたら蓋をします。火加減はあたたまるまで中火、その後は弱火で20分焼き上げます。ひっくり返してからも20分焼いた後は、炊飯と同じく20分蒸らすことで、美味しい焼き芋が出来上がります。
炊飯におすすめストウブ鍋
ストウブ ココット ラウンド 22cm
多彩な種類が出ているストウブ製鍋のなかでも、入門的に丁度よいとして評判を得ているのがこちらのタイプ。大量の炊飯や料理は不可能ですが、直径は22センチと丁度よいサイズ感をしているラウンドです。少量の炊飯をしたり、無水料理などさまざまな調理へと使用ができる人気の逸品です。
ストウブ鍋22cmの特徴
どんな種類の熱源にも対応する丈夫さや、ピコによる炊飯時の蒸気の循環力は、ストウブ鍋の22cmタイプは充分備えています。艷やかなホーローの蓋も22センチタイプなら軽く、全体も重たすぎないために料理も、お手入れの方もしやすくなります。サイズのちょうど良さがもたらす効果は絶大です。
ストウブ ココット ラウンド 22cmの仕様
【サイズ】縦284×横220×高さ147mm(フタを除く高さ:99mm)
【重量】3.9kg
【満水容量】2.6L
【材質】本体:鋳鉄(ほうろう加工)、ツマミ:真鍮
【対応熱源】IH、ガス、オーブン
ストウブ鍋で炊飯や調理しよう
まずは炊飯と簡単料理を覚えるところから
近ごろの奥様方の話題に登場しがちなストウブ鍋に、興味を掻き立てられてしまいましたか?炊飯の火加減や蒸らす工程など、ピコ・ココットの炊き方のコツを覚えれば炊飯器を超える美味しさとなります。家でもキャンプ場でも調理も簡単とするこの鍋、1個入手してみませんか。
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