オオシマザクラの特徴と育て方
桜といえば、春の代名詞ですね。桜の種類は、野生種が15種で園芸品種として庭木で育てられているものは約300品種以上もあるといわれています。その中でも、桜餅の葉に使用されている大きくきれいな葉を持つのが今回ご紹介するオオシマザクラです。オオシマザクラの葉や実の特徴や、開花時期・花言葉・由来についてまとめていきたいと思います。昔から育てられているオオシマザクラは、庭木として育て方も簡単です。ぜひ育て方もチェックしてくださいね。
オオシマザクラの基本情報
桜には、現在310品種以上もあります。古くから自然と交配を行われたり、人工的に品種改良を行ってより豪華に花を咲かせる桜も生まれました。実は、オオシマザクラを交配親として生まれたのもソメイヨシノなんですよ。それでは、オオシマザクラの基本情報からまずはチェックしていきましょう。
科名属名
オオシマザクラの科名属名は、バラ科サクラ属です。
学名
オオシマザクラは、「Prunus・lannesiana・var.speciosa」または、「erasus・speciosa」が学名となっています。
英名
オオシマザクラの英名は、「Ooshimazakura」・「Oshima・cherry」です。
和名・別名
オオシマザクラは、日本の固有の桜となっています。オオシマザクラの別名では、「薪桜」や「餅桜」とも呼ばれています。薪桜の由来は、オオシマザクラの幹はほかの桜に比べて太く、よく薪に利用されていたことに由来しています。また、桜餅を包む葉の塩漬けにしていることが由来で、餅桜とも呼ばれています。
樹高
オオシマザクラの樹高は、約10mから15m程度です。苗木は約1m程度から購入することが多いようで、その後の剪定の仕方で、樹高を調整することもできます。
原産国
オオシマザクラの原産国は、日本です。特に、伊豆諸島に自生していて「大島の桜」という桜は有名ですね。このオオシマザクラは樹齢800年ともいわれており、国の特別天然になっています。
オオシマザクラの花言葉
オオシマザクラは、花はまとまって咲く姿が美しいのが魅力的です。そのオオシマザクラの花言葉と花言葉の由来について詳しくまとめていきたいと思います。
花言葉:「純潔」・「心の美しさ」
オオシマザクラの花言葉は、「純潔」・「心の美しさ」などです。英語の花言葉では「優れた美人」という花言葉も付けられています。一般的な桜の花言葉は、「精神の美しさ」・「優美な女性」です。オオシマザクラは、一般的な桜よりも純粋なイメージが強いのかもしれませんね。
花言葉由来
オオシマザクラは、一般的な桜に比べて真っ白な花が特徴的です。一つ一つの花も大きく、遠目から見ても真っ白な花が目立ちます。花言葉の由来はこのような花姿から「純潔」という花言葉が付けられたようです。また、芳香についても、オオシマザクラは香りが強くなっています。オオシマザクラの見て香りをかいで、花言葉のような「心の美しさ」を感じることができそうですね。
オオシマザクラの特徴
オオシマザクラは、野生種の日本さくらの代表ともいえる品種です。そんなオオシマザクラは、ひろく鑑賞されている染井吉野などの桜とは違った特徴を持っています。ここでは、オオシマザクラの葉の特徴や花の咲き方・果実の特徴について、ご紹介していきたいと思います。
開花時期
オオシマザクラは、別名で薪桜とも呼ばれています。特徴的なのは幹の太さで、苗木の状態でも直径が約50cm程度にもなります。開花時期は3月から4月で、葉がやや遅く成長し始めた状態で開花させます。特徴的な太い幹を持つオオシマザクラは、特に満開の花を咲かせると枝が見えなくなるほどの多花性を持ってます。オオシマザクラの花は、白色で特に強い香りをもっているのも魅力的ですね。
葉の特徴
4月に入ると、遅めに成長を始めていた葉が見え始め、白の桜の花と新緑の緑が美しい景色を作ってくれます。オオシマザクラの葉の特徴は、直径約7cm程度で縁が細かく尖っています。桜餅に使用されている桜の葉の塩漬けは、このオオシマザクラの葉を使用しています。オオシマザクラの葉は、大きくて表面に産毛が少なく、菓子として利用しても舌触りが滑らかなことが特徴です。また、葉にも香りを楽しむことができるため、塩漬けにしても桜の風味を損なわないことから、長年にわたって和菓子に重宝されてきたようです。
結実時期
品種改良や自然交配によって、多花性で美しい桜をよく見かけるようになりました。しかしこれらの多くの桜は、自己結実が難しく実を楽しむことが少ないようです。オオシマザクラは、多くが結実して赤から紫色の果実を楽しむことができますよ。オオシマザクラの結実時期は、5月中旬から6月です。果実の特徴は、生食用のサクランボの果実の半分程度の大きさで、味は渋みやえぐみが強くなっています。そのため、人が生食用として利用することは、難しいでしよう。
オオシマザクラの育て方①植え付け
オオシマザクラは、基本的によく日の当たる場所を好みます。しかし、夏の強い西日に当たってしまうと葉焼けをおこしたり、水切れで葉を落としてしまうこともあるため、午前中を中心に日に当たる場所で栽培するとよいでしょう。太陽に向かって樹高を伸ばしていくため、高いところで日に当たれるような場所があれば半日陰でも栽培できるのではないでしょうか?
植え付け時期
オオシマザクラの植え付け時期は、11月から12月もしくは3月です。苗木を購入したら、まず植え付ける前にその場所がオオシマザクラの適した環境かどうか、仮置きしておくのもおすすめです。植え付けを行うと、基本的に根を動かさないほうがよく成長します。大きくなってからの植え替えは、樹高が高くなる品種なのでおすすめできません。植え付けるときには、オオシマザクラの環境にあっているかチェックしてみるの良いのではないでしょうか?
土作り
オオシマザクラの好む土異質は、通気性がよく、水はけのよい土質です。水切れをおこすと簡単に葉を落としてしまうので、水持ちがよいことも重要です。土は、小粒の赤玉土を主体に、腐葉土、黒土、川砂を5:3:2の割合でブレンドして作りましょう。掘り上げた土質を見て、排水性が悪い場合は川砂を多めにすき込むとよいでしょう。元肥として、腐葉土を地中に施しておきます。
植え付け方法
苗木を購入したら、まず大きめの鉢か地植えを行いましょう。特に開花株で売られていた苗木の場合は、おおよそ12cmの狭いプラスチックポットでは根が回りすぎてしまっています。根が回りすぎていると、立ち枯れしてしまうこともあるので、苗木は早めに植え付けを行うとよいでしょう。霜が降りる時期と猛暑の時期を避けて、根をあまりいじらないように植え付けます。強風が当たると、木が傾いてしまうので地植えの場合は50cm程度は深く植え付けましょう。植え付け後、支柱を立てておきましょう。
オオシマザクラの育て方②水やり
水やり方法
苗木を植え付けてすぐは、水切れをしないように表土が乾いたらたっぷり水やりを行います。植え付け後2年ほどたつと、苗木がしっかり根付いているので水やりの必要はなくなります。しかし、水切れしやすく夏場に葉を落として枯れてしまうことがあります。夏場は葉からも水分を蒸散するため、表土を観察して水やりをするようにするとよいでしょう。
オオシマザクラの育て方③肥料
オオシマザクラの開花時期には、枝が見えなくなるほどの花を咲かせる多花性の品種でしたね。また、桜の品種の中でも果実をつけやすいので、開花後にも株の体力を消耗しがちです。ここでは、オオシマザクラの肥料の時期や、与える肥料についてまとめていきたいと思います。
肥料の時期
オオシマザクラの肥料の時期は、2~3月・5~6月です。2月は開花に備える寒肥として施し、5月の時期は開花・結実で消耗した体力を補い、株の成長を促進させることができます。
肥料の施し方
植え付けの際に、元肥として腐葉土や化成肥料をすき込んでおきましょう。その後寒肥として、2月ごろ油かすや鶏糞などの有機質肥料等を、オオシマザクラの周りに円を書くように穴を掘ってすき込みます。開花時期のあと、5月ごろにも同じ内容の肥料を与えます。直接根に肥料分が当たらないように、苗木の根元から半径約15cmは離して地中に埋めましょう。
オオシマザクラの育て方④害虫病
オオシマザクラを始め、桜の品種はどれも害虫病にかかりやすいと特徴があります。その中でも、幹を枯らしてしまうようなかかりやすい害虫病について、まとめました。苗木の状態でも害虫病にかかっている場合があるので、苗木の購入の際にはよく観察しておくとよいかもしれませんね。
テング巣病
枝から癌腫のようなものがあり、一部がカビてしまうのがテング巣病です。ウイルスの感染症の1つで、庭に他の草木がある場合は、感染がひりがってしまう可能性もあります。効果的な薬剤が現在はないため、こぶがある枝は、幹の根元から切り取りましょう。この時、切り口から新たな感染がおこってしまうこともあるため、切口には癒合剤を塗りましょう。
害虫
外来種の害虫によって、近年日本の桜が枯れてしまうことが頻発しています。近年話題になったのがクビアカツヤカミキリで、5匹程度で枯らしてしまうほどの被害が出てしまうんです。割けた桜の木の間に産んだ卵が木の中で孵化します。幹の中で木の内部を食べていき、幹の中がスカスカになって枯れてしまいます。同じように気の中を侵食する害虫に、モンクロシャチホコという害虫もいます。これらの害虫は、飛来する時期に殺虫剤を使用して、幹の侵入を防ぐようにしましょう。
オオシマザクラの育て方⑤剪定
オオシマザクラは、自然樹形だと樹高が約15mにもなる高木です。樹高を低く整えたり、下の葉にも日光が当たるようにするためには、剪定が必要になっていきます。オオシマザクラの剪定を行う際には、病気の対策が重要です。
剪定時期
オオシマザクラの剪定の時期は、12月から3月に行います。休眠期の間に剪定を行うことで、幹から吸い込んだ樹液や水分が切り口からあふれ出るのを防ぐこともできます。剪定の前には水やりを控えておきましょう。また、3月以降に剪定を行うと、花芽を落としてしまうので花が咲かないときもあるので注意します。
剪定方法
オオシマザクラの剪定は、害虫病にかかるリスクがあることを念頭に置く必要があります。下の枝葉にも日光が良く当たるように、込み合った枝をすき込んだり、株の根元から伸びるひこばえを剪定しましょう。剪定は、良く消毒した剪定ばさみを使用して、綺麗な切り口で剪定しましょう。害虫病の対策として、太い枝を剪定した場合は、その切り口に癒合剤を塗っておくようにします。
オオシマザクラを開花させよう
オオシマザクラの花言葉や由来・開花時期・葉の特徴についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?オオシマザクラの育て方も、庭木として桜を育て始めたいという人にも、お勧めできます。オオシマザクラの苗木は、あまり出回らないようですが、挿し木や接ぎ木をした苗木は3月から出回り始めます。よく根が回っている苗木は、地上部がぐらつきません。ぜひ良い苗木を購入して育ててみてくださいね。
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