カワサキ エストレヤの評価:はじめに
新車?中古車?後継機種は出るのか?①
カワサキのエストレヤは1992年の5月から販売が開始されました。以降、バリエーションモデルを展開しながら人気を集め、2017年6月に発売されたファイナルエディションを最後に生産終了となりました。エストレアの美しいデザイン、ロングストロークエンジンの鼓動、威圧感を与えないフレンドリーな佇まいに魅了されたライダーは多いですね。
名車の香り漂うロングセラーバイク
カワサキのエストレヤは多くの人に愛された名車だといっても過言ではありません。名車には二つのパターンがあり、一つはメーカーとライダーの期待を背負って華々しくデビューするバイク、もう一つは地味に累計販売代位数を増やすバイクです。エストレヤは後者であり、約25年もの間カワサキラインナップの隅でひっそりと咲く鈴蘭のようなバイクでした。
カワサキ エストレヤの仕様:系譜
新車?中古車?後継機種は出るのか?②
エストレヤはバリエーションが豊富なバイクです。バリエーションを見分けるのはそれほど難しくありません。シート形状(セパレートシートorダブルシート)とブレーキ形式(ディスクorドラム)の組み合わせで見分けます。
エストレヤの仕様
「エストレヤ」の車名を持つエストレヤは二種類あります。新発売当初のキャブレターを搭載した「エストレヤ」と、バリエーションモデルが廃止されてインジェクションを搭載した「エストレヤ」です。
キャブレターモデルのエストレヤはセパレートシートに前後ディスクブレーキの組み合わせ、インジェクションモデルのエストレヤはダブルシートに前ディスク・後ドラムブレーキの組み合わせになっています。
エストレヤRSの仕様
1995年に登場した「エストレヤRS」はダブルシートに前後ディスクブレーキの組み合わせになっています。スポーティな印象が強いモデルで、エストレヤの人気を急上昇させました。
エストレヤカスタムの仕様
1996年に登場した「エストレヤ カスタム」はセパレートシートと前後ドラムブレーキの組み合わせになっています。クラシカルな雰囲気がもっとも高いモデルです。
エストレヤRSカスタムの仕様
1996年には「エストレヤRSカスタム」も登場しました。ダブルシートと前後ドラムブレーキの組み合わせになっています。クラシカルなレーサーをイメージさせる渋いモデルですね。
車名 | シート形状 | ブレーキ 前/後 |
エストレヤ (キャブレター) |
セパレート | ディスク/ディスク |
エストレアRS | ダブル | ディスク/ディスク |
エストレヤカスタム | セパレート | ドラム/ドラム |
エストレヤRSカスタム | ダブル | ドラム/ドラム |
エストレヤ (インジェクション) |
ダブル | ディスク/ドラム |
カワサキ エストレヤの評価:スペック
新車?中古車?後継機種は出るのか?③
5つのエストレヤすべてのスペックを紹介したいところですが、今回は最終型のスペックのみを紹介します。それぞれのスペック差は体感できるほどはありません。
最終型となったエストレヤ(インジェクション)はカラーチェンジのみを繰り返し、ファイナルエディションへと至りました。
スペック:車体サイズ
エストレヤの車体サイズは標準的だといえます。シート高が低いので足つき性は良好です。低い位置でコントロールできますので、スペックシートの数値以上に軽く感じ、コントロールもしやすいといえます。
【車体サイズスペック】
全長:2,075mm、全幅:755mm、全高:1,055mm、軸間距離:1,410mm、シート高:735mm、車両重量:161kg
車体サイズに関するユーザーレビューを紹介しますね。
自分が乗った時のシルエットと、バランスが重要だと思い、細身の私が満足できるバイクはエストレヤでした。
取り回しが楽。運転が楽。コーナーリングも簡単。1人のりでも2人のりでも変化が無く乗りやすい。
スペック:エンジン
エストレヤのエンジンはうっとりと見とれてしまうほどデザインが美しいですね。ボア66.0mm×ストローク73.0mmのロングストロークエンジンは心地いい鼓動感があり、低中回転域の粘りあるトルク感も魅力です。意外と回転フィーリングに重々しさはありません。
【エンジンスペック】
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ、排気量:249cc、最高出力:13kW(18PS)/7,500rpm、最大トルク:18N・m(1.8kgf・m)/5,500rpm
エンジンに関するユーザーレビューを紹介します。
ロングストロークのエンジンが粘って走る感じが好きで、峠をトコトコ走るのはすごく楽しかったです。
吹け上がりは割と良いです。上までストレスなく回ります。しかしながら、5000回転を超えると振動が辛くなってきます。7000回転にもなるとバイクがバラバラになりそうな感覚が味わえます。
スペック:足回り
エストレヤの足回りはごくオーソドックスだといえます。セミダブルクレードルフレームはオフロードバイクで採用される形式ですが、エストレヤのデザインにも貢献していますね。リアサスペンションはプリロード調整可能で、車載工具にあるフックレンチで簡単にできます。
【足回りスペック】
フレーム:セミダブルクレードル、フロントサスペンション:Φ39mmテレスコピック、リアサスペンション、ツインショック
足回りに関するユーザーレビューを紹介します。
ワインディングでは、体重をかければ素直に曲がってくれます。反応がピーキーだったり、鈍すぎたりということはありません。気持ち良くヒラヒラと曲がります。カーブに入る場合、バンク角が深くなると簡単にバンクセンサーが擦ります。
整備状態の悪い峠道や砂利道などに気軽に突っ込める。
カワサキ エストレヤの評価:街乗り
新車?中古車?後継機種は出るのか?④
エストレヤは街乗りしたくなるバイクです。車体サイズは標準的でコンパクトだとは言えませんし、車両重量は軽量だとは言えません。しかし、低中回転域で粘るエンジン特性は街乗りがとても快適です。また、美しいデザインや質感が高いメッキパーツが華やかさを醸し出していますので、街中で映えること間違いありません。
エストレアのレビュー:街乗り
エストレヤの街乗りに関するユーザーレビューを見ると満足感はかなり高いですね。シート高が低いので、信号待ちでストレスを感じることはありません。重心が低く、エンジンがシート寄りにレイアウトされていますので、街中でのマシンコントロールも容易です。ステップ位置が前過ぎるというレビューをチラホラと見かけます。
足つきもよく、取り回しは楽です。でも意外に250シングルにしては重量あります。鉄メッキ品が多いからなのかな。
出力特性の1番気持ちいい所が50〜60km/h設定なので、街乗りが楽しい。メッキ多用で落ち着いたデザインのため、どこに行っても初対面の人に「キレイなバイクですね。」と褒められます。
カワサキ エストレヤの評価:高速道路
新車?中古車?後継機種は出るのか?⑤
エストレヤでの高速道路走行は必要最低限のレベルだといえます。250ccの軽二輪バイクですので法律上は問題なく走行できます。
しかし、低中回転域を重視したエンジンですので高回転時の振動が大きく、長時間・長距離の高速道路走行は疲労が蓄積しやすいですね。高速道路での追い越しは正気の沙汰ではないレベル!追い越し距離が長くなりますので無理のない範囲で行いましょう。
エストレアのレビュー:高速道路
高速道路走行に関するユーザーレビューを見ると、やはりエンジンの振動に閉口するコメントが多いですね。ハンドルバーにバーエンドウェイトを追加するとハンドルの振動を軽減できます。
高速道路走行は退屈なので一気に走り切ってしまいたいところですが、長時間・長距離の走行は疲労を蓄積しますので控えましょう。サービスエリア等を利用してローカルグルメを楽しむのがおすすめです。
高速巡航は80キロが自分には限界でした。90だすと振動が激しくて怖かったです。なので高速は基本のらなかったです。
高速走行も問題なし。しかし単気筒特有の振動は物凄いのでそれをバイクの躍動感、鼓動感と捉えるか単なる試練と捉えるかは乗り手次第です。
カワサキ エストレヤの評価:ツーリング
新車?中古車?後継機種は出るのか?⑥
カワサキのエストレヤはツーリング向きというよりも旅バイク向きだといっていいですね。気の向くままエストレヤを前に進め、絶景を眺めながらゆったりと走ったり、バイクから降りてのんびり景色や観光を楽しんだりするのに向いています。
エストレヤはツーリング先での小休憩がもっとも楽しいですね。美しいエストレヤの姿に見とれながら缶コーヒーを飲む、それは至福のひと時になること間違いありません。エンジンの鼓動が心地いいので、淡々と距離を稼ぐときも楽しさを感じられます。
エストレアのレビュー:ツーリング
エストレヤのツーリングに関するユーザーレビューを見ると、一般道をメインにしたツーリングを楽しむ姿が垣間見られます。
長距離ツーリングでのお尻の痛みを解決するにはシートの換装がおすすめです。カワサキ純正オプションや社外品が豊富に揃っていますので、好みのデザインと座り心地を選べます。サイドバッグを装着しやすいのもエストレヤの魅力です。サイドバッグが装着できるよう、リアウインカーはテールランプ横についています。
街乗りや下道ツーリングならタンデムでもパワー不足を感じずに余裕を持って走れる。
長距離では尻が痛いです。なので純正レトロシートにしたらふかふかになりました。振動で手は痺れます。
カワサキ エストレヤの評価:燃費
新車?中古車?後継機種は出るのか?⑦
エストレヤの燃費性能をスペックシートで確認すると、インジェクションモデルであるにもかかわらずそれほど良くありません。車両重量が割とあることや、燃焼効率が悪い空冷エンジンであることが原因だと考えられます。エンジンの設計が古いので仕方ありません。
【燃料消費率スペック】
31.5km/L(WMTCモード値 クラス2-2、1名乗車時)
エストレアのレビュー:燃費
燃費に関するユーザーレビューを見ると、スペックシートのWMTCモード値を越える実燃費が報告されています。エストレヤユーザーは紳士淑女が多く、むやみに加減速しないことも要因ですね。また、低中回転域の楽しいフィーリングを楽しむことが高燃費につながっている可能性もあります。
中には極端に実燃費数値が悪い報告もあります。あまりにも実燃費が悪いようなら、エンジンやECU(エンジンコントロールユニット)の不具合を疑いましょう。また、乗り方が悪い可能性もあります。
【実燃費】
30.4km/L
※全年式の実燃費20件から算出
燃費も大満足。街乗り:32km/L前後。ツーリング:37~38km/L前後。
燃費はあまりよくない。15~20km/L程度。
カワサキ エストレヤの評価:新車価格
特にこだわりがなければ新車を購入するのがベストです。カワサキのエストレヤはすでに生産が終了されていますので、カワサキの新車在庫かショップの新車在庫を購入するしかありません。注文販売しているショップは多いので、カワサキの新車在庫はまだあると考えていいですね。ショップの新車在庫も豊富だといえます。しかし、いずれはなくなりますので新車が欲しい人は急いだほうがいいですね。
新車の価格
新車価格 | 新車市場価格 | |
エストレヤ ファイナルエディション |
533,000円 | 約41~58万円 |
エストレヤ STD |
497,000円 | |
エストレヤ スペシャルエディション |
511,000円 |
※税別
※2018年12月現在
新車市場価格を調べると値崩れしている様子はありません。人気モデルだからだと考えられますが、仕様やカラーを選べる間に購入したいですね。カワサキの製品ラインナップからエストレアが消えた後、新車市場化価格が上がるのか?それとも下がるのか?それは予測不能です。しかし、値引きなしで販売しているショップは多い印象を受けます。
カワサキ エストレヤの評価:中古車価格
過去のエストレヤを入手したい、カスタムベースにキャブレター搭載車が欲しい、好みのカラーが新車にない、そんな場合は中古車を探すしかありません。エストレヤは年式によってカラーが違いますし、限定モデルもありますので、中古車に魅力を感じる人は多いでしょう。
中古車の価格帯
中古車価格帯 | |
エストレヤ (キャブレター) |
約18~23万円 |
エストレヤRS | 約10~43万円 |
エストレヤカスタム | 約9~36万円 |
エストレヤRSカスタム | 約16~27万円 |
エストレヤ (インジェクション) |
約18~58万円 |
※ノーマル車に限る
※年式不明車両を除く
※2018年12月現在
エストレヤの中古車価格を調べると、状態のいいキャブレター搭載車は高い価格で推移している印象を受けます。特に前後ディスクブレーキのエストレヤRSは人気がありますね。インジェクションを搭載したエストレヤの中古車も年式と走行距離によっては安くなっていますので捨てがたいですね。
あまりにも安い中古車は現状販売車(部品取り目的で整備せず渡す車両のこと)である可能性がありますので注意しましょう。
カワサキ エストレヤの後継機種は?
エストレヤの後継機種は現れるか?全く可能性がないとは言えませんが、あまり期待しないほうがいいですね。エストレヤが搭載している空冷エンジンはクリアランスが広いのでガソリンを完全に燃やしきれず、有毒な排気ガスを出してしまうからです。
ヤマハのセロー250やSR400は空冷ながらも復活しました。カワサキのW800も再生産に向けて取り組まれています。いずれもロングストロークエンジンを搭載していますので、エストレヤも後継機種復活か?そう願わずにはいられません。
エストレヤの後継機種はない?
エストレヤの後継機種が現れるか?街乗りが快適なクラシカルストリートシングルは他メーカーを含めてすべて生産終了となりました。そのままの姿で後継機種を開発するのが難しいなら、Z900RSが900スパーフォアのイメージをまとって登場したように、水冷エストレヤが開発されてもいいのでは?そう思ってしまいます。
カワサキは2018年12月現在、250ccのエンジンバリエーションが1つしかありません。ですので、250ccシングルエンジンを開発しているかも?と期待してしまいます。しかし、カワサキがシングルエンジンを開発しているとしても、エストレヤのエンジンとならず、KLXのエンジンとなる可能性もあります。水冷エストレヤが後継機種として販売されるかどうかは未知数だといえます。
カワサキ エストレアの評価:まとめ
カワサキのエストレヤは擬人化したくなるほど愛おしいバイクです。街乗りでは扱いやすいのですが高速道路走行は苦手、ツーリングバイクというよりも旅の相棒、スペックやユーザーレビューからはそんな姿が明らかになりました。残念ながら生産が終了されましたが、復活もしくは後継機種の開発に期待したいですね。
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