グラストラッカーのインプレまとめ:はじめに
ストリートカスタム全盛期、街中でスズキのグラストラッカーを見かけることは多かったのですが、軽二輪バイクの売れ筋がスーパースポーツへと移ってからは影を潜めていました。
しかし、2010年にアドベンチャーライダーである加曽利隆氏がグラストラッカー・ビッグボーイで林道日本一周をしたことで、一時的に注目されたことを記憶している人も多いはず。
スペックやユーザーのインプレやレビューからグラストラッカーでの長距離ツーリングや林道走破性について検証します。
グラストラッカーは4モデルに分けられる

最終型(2014年)生産終了
パールグレッシャーホワイト
新車価格(税別):399,000円
2018年12月現在
2000年2月、スズキはグラストラッカーの販売を開始し、翌年の3月にはバリエーションモデルであるグラストラッカー・ビッグボーイの販売も開始しました。
最終モデル(2014年)モデルまで基本的なスペックは大きく変更されませんでした。しかし、細かな変更点を見ると①キックペダルが付いた最初期型②キックペダルがない初期型③2バルブエンジンとなった二代目④インジェクション化された三代目、この4モデルに分けられます。
なお、グラストラッカー・ビッグボーイはインジェクション化されるまでキックペダルが付いていました。
グラストラッカーのインプレまとめ:車体サイズ
長距離ツーリング・林道走破性・中古車選び①

最終型(2014年)生産終了
グラスデザートカーキ
新車価格(税別):429,000円
2018年12月現在
グラストラッカー | グラストラッカー ビッグボーイ |
|
全長 | 2,050mm | 2,200mm |
全幅 | 900mm | 910mm |
全高 | 1,130mm | 1,145mm |
軸間距離 | 1,325mm | 1,405mm |
※2014年モデルのスペック
グラストラッカーはストリートバイクとして人気がありましたが、車体サイズに関するスペックを確認すると意外とコンパクトではありません。全長は軽二輪バイクの標準的なサイズですし、全幅はかなり広いですね。グラストラッカーは名車ボルティのスズキ公認カスタムともいえるバイクで、デザインが優先された印象があります。
ユーザーレビューでの評価:車体サイズ

最終型(2014年)
ソリッドブラック
新車価格(税別):429,000円
2018年12月現在
グラストラッカーユーザーの車体に関するインプレやレビューを見ると、車体のコンパクトさを高く評価しています。小柄なライダーや非力な女性に人気があり、初心者でも取り回しやすいと評判ですね。スペックシートの数値と乗ってみての印象は大きく違うといえます。
女性には嬉しいコンパクトな車体だけど、170cm~の男性には窮屈らしい。
ハンドルが長く(全幅約90cm)車格の割に小回りが難しいです。(短いものに変えるとこの点は改善されました)
163cmの僕にはピッタリのサイズ感でした(背が高い人にはビックボーイがおすすめ)。
車体サイズのカスタムポイント
ハンドル交換はグラストラッカーの基本的なカスタムだといえます。ハンドル幅を短くしたり体格に合わせた形状にしたりなど、ハンドル交換するユーザーは多いですね。両腕を大きく広げて胸に風を受けながら走るライディングポジションは気持ちがいいのですが、街乗りではデメリットになります。
しかし、林道走行するにあたってはノーマルハンドルがベストです。ハンドル幅が狭くなるとブレに対応しにくくなりますし、スタンディングポジションでのコントロール性が悪くなります。
グラストラッカーのインプレまとめ:エンジン
長距離ツーリング・林道走破性・中古車選び②

初期型(2002年)
キックペダル廃止
4バルブエンジン
キャブレターモデル
グラストラッカー | グラストラッカー ビッグボーイ |
|
エンジン | 空冷4サイクル単気筒SOHC2バルブ | |
排気量 | 249cc | |
最高出力 | 14kW(19PS)/7,500rpm | |
最大トルク | 21N・m(2.1kgf・m)/5,500rpm | |
Fスプロケット | 15丁 | |
Rスプロケット | 41丁 | 43丁 |
※2014年モデルのスペック
グラストラッカーは厳しい排気ガス規制のたびにエンジンスペックを変更してきました。しかし、初期型と最終型では体感できるほどの差はありません。グラストラッカーのエンジンスペックで注目すべきなのは最大トルクを発生させるエンジン回転数の低さです。最高出力を捨てることで低中回転域のトルク感を力強くした扱いやすいエンジンだといえます。
ユーザーレビューでの評価:エンジン
グラストラッカーユーザーのエンジンに関するインプレやレビューを見ると、粘り強いエンジン特性が高く評価されています。アクセル開度に合わせて高まる低中回転域のトルク感がグラストラッカーの総合的な評価を上げているといっても過言ではありません。
もともとオフロードバイクに搭載されていたエンジンですので扱いやすいのは当然です。しかし、エンジンの振動が大きいので、高速道路での長距離移動は疲れを蓄積します。また、最高速度域が低いので、高速道路での追い越しに要する距離はかなり長くなります。
鋭いレスポンスはありませんが、スロットルをひねれば素直に回転が上がり、車の流れの先頭に立つことも容易にできます。上り坂での力の出方もなかなかのもので、5%くらいの傾斜なら50キロから80キロくらいまで上げて遅い車を抜くことも難なくできてしまう力があります。
トルクが下から粘るって本当に楽です。パンチはありませんがスムーズな加速のおかげでスイスイです
エンジンのカスタムポイント
グラストラッカーのエンジンをカスタムするなら、スプロケットの丁数変更がおすすめです。ギア比を変更して低い回転数で走行できるようにすると、エンジンの振動からくる疲労を軽減できます。長距離ツーリングが楽になりますし、燃費改善にも効果ありです。
グラストラッカーで林道ツーリングするならノーマルのスプロケット丁数で十分です。オフローダーはより強い加速感を得られるギア比に変更しますが、グラストラッカーなら林道までの舗装路を快適に走るほうが得策です。
グラストラッカーのインプレまとめ:足回り
長距離ツーリング・林道走破性・中古車選び③

初期型(2001年)※画像は2002年カラー
キックペダル付き
4バルブエンジン
キャブレターモデル
グラストラッカー | グラストラッカー ビッグボーイ |
|
フレーム | ダイヤモンド | |
Fサスペンション | 正立フォーク | |
Fサスペンション | ツインショック(プリロード調整5段) | |
Fタイヤサイズ | 3.00-18 47S | 100/90-19M/C 57P |
Rタイヤサイズ | 120/80-17M/C 61S | 130/80-18M/C 66P |
※2014年モデルのスペック
グラストラッカーの足回りに関するスペックを確認すると、シンプルなフレームとサスペンションであることがわかります。
ダイヤモンドフレームは車体の剛性確保と軽量化を両立するために採用されるフレーム形式です。リアサスペンションは5段のプリロード調整ができますので、体重や積載量に合わせて調整しましょう。
ユーザーレビューでの評価:足回り
グラストラッカーユーザーの足回りに関するインプレやレビューを見ると、不満らしいコメントはありませんでした。スズキはバイクのキャラクターに合わせたセッティングが上手なメーカーですので、問題のないレベルの足回りになっているといえます。また、グラストラッカーはサスペンションの性能にこだわらなければならないバイクでもありません。
Rの小さい峠の下りなら結構速く走れてとても楽しい。ミニバイクを走らせているようです。
中古なら状態によると思いますが、やわらかめで多少のギャップならほとんど突き上げ感がありません。
足回りのカスタムポイント
グラストラッカーの足回りに関するカスタムは①リアサスペンションの換装②タイヤの銘柄、この2点に絞られます。リアサスペンションの換装はローダウンを兼ねて行われることが多いですね。ここ近年人気のスクランブラーカスタムする場合はタイヤの銘柄にこだわりたいですね。稀にリア用タイヤをフロントに装着する人もいますが、操縦安定性が悪くなりますし、見た目重視のニセモノ的な印象が強くなります。
純正のダンロップK180にはフラットトラックをスライドさせて走るイメージがありますが、意外と林道ツーリングでの走破性は高いですよ。
グラストラッカーのインプレまとめ:燃費
長距離ツーリング・林道走破性・中古車選び④
グラストラッカー | グラストラッカー ビッグボーイ |
|
定値燃費値 | 48.0km/L | |
実燃費 | 30.6㎞/L | |
燃料タンク容量 | 8.4L |
※2014年モデルのスペック
※キャブレターモデルの燃料タンク容量は6L
グラストラッカーの燃費性能は良好です。軽量な車体に程よいパワーのエンジンを搭載していますので、燃費を悪化させる要素が少ないですね。インジェクション化されて以降はさらに燃費が良くなりました。
スペックシートには燃料消費率のみ記載されています。2009年モデル以降で仕様変更されていませんので、WMTCモード値の記載が義務付けられていないからです。
ユーザーレビューでの評価:燃費
グラストラッカーユーザーの燃費に関するインプレやレビューを見ると、満足度はまずまずだといえます。スズキジクサーのような50km/h越えはありませんが、設計が古いエンジンであることを踏まえると妥当な燃費性能だといえます。悪いユーザーで約26km/L、いいユーザーで約40km/Lでした。
燃費は32から35km/L位でまず良いと思う。
タンク容量が少なすぎる。GN125のタンクに交換すれば解決できる
燃費のカスタムポイント
燃料タンク容量が少ないために航続距離が短いと嘆くユーザーはかなり多いですね。週末にガソリンスタンドが営業しなくなる地域を走るとタンク容量の少なさに不安を感じざるを得ません。キャブレターモデルは特に燃料タンク容量が少ないので注意が必要です。
カスタムパーツのアルミタンクはかっこいいですし、キャブレターモデルなら確実に燃料タンク容量を増やせられます。また、ポン付けできるGN125H(中国スズキ)の燃料タンク(10L)に換装するユーザーは多いですね。
グラストラッカーのインプレまとめ:街乗り
長距離ツーリング・林道走破性・中古車選び⑤
グラストラッカー | グラストラッカー ビッグボーイ |
|
最小回転半径 | 2.4m | 2.5m |
シート高 | 750mm | 790mm |
車両重量 | 136kg | 139kg |
キャスター/トレール | 28°25'/107mm | 28°00'/92mm |
※2014年モデルのスペック
グラストラッカーは軽量でコンパクトに感じる車体、粘り強いエンジン特性が功を奏し、街乗り性は良好です。シート高が低いので小柄なライダーでも信号待ちでストレスを感じることはありません。スーパーの駐輪場に駐車しても邪魔になりませんし、取り回しも良好です。
グラストラッカー・ビッグボーイは大柄ですので街乗り性はやや劣ります。しかし、不便さを感じるレベルではありません。キャスター角がグラストラッカーよりも立っているのは街乗り性を考慮してのことだと考えられます。
ユーザーレビューでの評価:街乗り
グラストラッカーユーザーの街乗り性に関するインプレやレビューを見ると、概ね満足されているといえます。
街乗りにはハンドル幅を短くしたほうがメリットは多いというコメントをチラホラと見かけます。ハンドル幅が広いとハンドルを大きく切るときに腕を伸ばす量が多くなるからです。
すり抜け走行は交通違反を重ねないとできませんので止めましょう。
軽く取り回し易く足がベタ付きで直立ポジションは乗りやすいと思います。
軽く、足付き性は文句なし。乗りやすいです。
街乗りのカスタムポイント
街乗りメインでグラストラッカーに乗るならスタイリッシュな外装にしたいですね。テールランプの交換は定番となっています。ノーマルのテールランプは視認性が優れていますが、キノコのような形状が全体のシルエットを崩していると嘆くユーザーは多いですね。
グラストラッカーは汎用品を用いてカスタムするのが楽しいといえます。しかし、基本性能がしっかりしていますので、スペックダウンするようなカスタムはおすすめできません。
グラストラッカーのインプレまとめ:ツーリング
長距離ツーリング・林道走破性・中古車選び⑥
グラストラッカーは街乗りに特化したバイクというイメージが強いのですが、ツーリングでも大いに活躍します。確かに、高速道路を走行すると正気の沙汰ではないバイブレーションに閉口するでしょう。しかし、一般道を中心にしたツーリングではまるで水を得た魚!幹線道路はもちろん、高低差があるワインディングロードや路面が荒れた狭路、観光地での路地裏散策で驚異的な活躍をします。
ユーザーレビューでの評価:ツーリング
グラストラッカーユーザーのツーリングに関するインプレやレビューを見ると、振動の大きさやシートの硬さに辟易しながらも楽しくツーリングに向かう姿が垣間見られます。
しかし、タンク容量が少ないことに加え、全モデルでトリップメーターが省略されていることは脅威でしかありません。キャブレターモデルなら、満タンで150km走行すると予備タンクに切り替えなければならず、あと30km走ればガス欠ですね。インジェクション搭載車はタンク容量が増やされ、シートの座り心地も改善されています。
高速はとりあえず乗れたのでよかったレベル。こんなバイク乗りですが、無謀にも長距離ツーリングを企てていたりします(笑)色々いじくります!
シートが固いのでケツが痛くなります。二人乗りも不向きです。
ツーリングのカスタムポイント
グラストラッカーでツーリングをするなら積載性を高めるカスタムパーツを追加したいところです。しかし、リアキャリアの種類は少ないですし、追加すると全体のシルエットが崩れてしまいます。
ミリタリー風のサイドバッグが似合いますので活用しましょう。持ち物を少なくし、コンパクトにパッキングして積載する工夫が必要です。
グラストラッカー考察①長距離ツーリング
グラストラッカーでの長距離ツーリングには長所と短所があります。長所は気軽に操作できるキャラクター、短所は疲労を伴う振動やシートの硬さです。
ツーリング中の疲労は辛いだけでなく、集中力が弱くなって事故につながる可能性があります。疲労の原因はできる限り少なくしたいですね。ツーリングは無事に帰宅できてこそ楽しい思い出に昇華します。
長距離ツーリングのために
バイクの振動は抑えられませんが、ハンドルの振動を軽減することはできます。ハンドルを換装するときはバーエンドウェイトを追加して振動を軽減しましょう。キャブレターモデルのシートはかなりお尻が痛くなりますので、幅が広いカスタムシートに換装したいですね。
ガス欠防止に社外品の多機能メーターに換装したくなりますが、手放すときにメーター交換車扱いされますので注意が必要です。
グラストラッカー考察②林道走行
グラストラッカーは林道走行に適したバイクではありません。アスファルト道を走行することを前提としたモデルです。しかし、フラットな林道なら全く問題なく走行できます。ダート走行を前提としたタイヤを装着していますし、粘りあるエンジンと軽量な車体は林道でもコントロールしやすいですね。
林道走行時の注意点
グラストラッカーのサスペンションストロークは短いので林道での無理な走り方は厳禁です。オフロードバイクのような路面追従性もありません。
グラストラッカー・ビッグボーイで林道日本一周をした加曽利隆氏は普通のオジサマではありません。パリダカールラリーに参戦したりバイクでキリマンジャロ登頂を目指したりしたエキスパートライダーです。テクニックはもちろん、危険を感じたら撤退する勇気を持っておられますので、真似できる人物ではありませんよ。
グラストラッカー考察③中古車選び
年式 | グラストラッカー | グラストラッカー ビッグボーイ |
中古車:2000~2001年式 キックペダル付き |
約2~17万円 | - |
中古車:2002~2003年式 4バルブエンジン |
約4~13万円 | 約8~19万円 |
中古車:2004~2008年式 2バルブエンジン |
約9~21万円 | 約8~27万円 |
中古車:2009~2014年式 インジェクション車 |
約23~32万円 | 約14~38万円 |
新車(生産終了) | 約30~43万円 | 約34~46万円 |
※2018年12月現在
※ノーマル車に限定
※年式不明車両を含まず
グラストラッカーの中古車在庫は豊富です。カスタムのベース車両には中古車で十分ですし、キックペダルが付いている最初期型、4バルブエンジン搭載車、キャブレターモデルを購入したい場合は中古車を探すしかありません。
スズキにどれだけの新車在庫があるかは不明ですし、ショップの新車在庫は少なくなっています。新車を購入したい人は急いだほうがいいですね。
中古車選びの注意点
グラストラッカーの中古車は年式や走行距離に応じて程度にバラツキがあります。低年式の(古い)中古車を購入する場合は相当な覚悟が必要ですね。車両価格が低いものには現状販売車状態の個体もあります。
消耗パーツはボルティやST250のものが流用できますのでしばらくは大丈夫です。外装パーツが破損してもカスタムパーツが豊富ですし、汎用品も多くあります。
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グラストラッカーのインプレまとめ:総括
グラストラッカーはストリートカスタム全盛期に販売が開始され、少しずつ変更されながら2014年モデルを最後に生産が終了されました。それほどコンパクトではありませんが、軽量な車体と粘り強いエンジンが街乗り性を高めています。長距離ツーリングには不向きな車格に旅心をくすぐられる人は多いですね。シンプルだからこそ旅の相棒に相応しいといえます。
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グラストラッカーの中古車を入手したらプチレストアしましょう。カスタムするにはしっかり磨いてからですよ。プチレストアについての記事をチェックしてくださいね。
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最終型(2014年)生産終了
グラスミッドナイトブラウン
新車価格(税別):399,000円
2018年12月現在