ファットウッドとは?
ファットウッドってなに?
アウトドアが好きでもファットウッドという言葉を初めて聞いたという方もいるでしょう。ファットウッドとは枯れた松の木の松脂(松ヤニ)を多く含んでいる部分のことで、松脂の油分でよく燃えます。
松脂がよく燃えることが焚き火の焚き付け(着火)に使うことができますよ。ファットウッドはとても燃えやすいので市販の着火剤のように使うことができ、化学物質を燃やさないので有害なガスが出ません。
なるべく自然の物を使う
ファットウッドはキャンプよりもブッシュクラフトに行く方が好んで使っていますね。最小限の荷物だけ持って山野で活動するのがブッシュクラフトですから、なるべく自然の物を使っていきたいですね。
着火にもライターではなくファイヤースターターの火花を使うときは、燃えやすいファットウッドが焚き付けにあるとすぐ火が付きます。普段のキャンプでも着火剤の代わりにファットウッドを使えば、早く火を起こすことができますね。
ファットウッドのできる仕組み
松脂があつまってできる
松には樹脂である松脂が含まれています、健康な状態の松の木には松脂がいきわたっていてどこかに留まることはありません。ですが松の木が枯れると松脂をいきわたらせる力がなくなり、重力によって松脂が下へと移動していきます。こうして松脂が集まった部分がファットウッドです。
ファットウッドは腐らない
ファットウッド(Fat wood)は直訳すると太った木ですね、松脂が多く含まれているので燃えやすく、また腐りにくい性質があります。腐りにくいので松の木は枯れて腐っていってもファットウッドの部分だけ残っています。ファットウッド採取のときはこの部分を探していきます。
ファットウッドの使い方
焚き付けへの使い方
ファットウッドは小さく削ってから使います。焚き付けへの使い方はまずファットウッドをちょうどかつおぶしのように削ります。削ったファットウッドは熱が逃げないように大きい葉っぱや木の皮へ乗せておきます。
ライターやファイヤースターターで火を点ければ簡単に燃えていきますよ。あとは徐々に大きい薪へ火を移していけばたき火ができあがります。他の種類の着火剤と使い方は同じです。
ファットウッドの使い方は焚き付けだけ
便利でよく燃えるファットウッドですが、使い方は焚き付けだけにしましょう。ファットウッドには松脂の脂分が浸み込んでいてよく燃えますが、松脂が燃えるとすすがたくさんでます。
このすすがなべややかんについて黒焦げになっていしまいます。また火が大きくなってきたらファットウッドは必要ないので、ファットウッドの使い方は焚き付けだけにしましょう。
杉の焚き付けへの使い方
杉も松と同じ針葉樹の種類に入り、杉も着火剤として使えます。杉も身近な木で、日本中どこにでも杉林はあります。杉の葉は油分を含んでいるのでよく燃え、杉の皮もたき火を大きくしていくときに使えます。杉の葉も皮もよく乾燥しているものがおすすめです、杉林にいけば落ちているのでよく探してとっておきましょう。
ファットウッドの探し方
ファットウッドを採取する
ファットウッドがあるのは枯れた松の木の中です、黒松よりは赤松がいいとされています。近くに松林があれば採取に行ってみましょう。ファットウッドはまず枯れている松の木を探します。
その中で松脂が集まってファットウッド化していないか探してみましょう。見分け方ですが松脂のにおいがして、色が半透明になっていたらファットウッドになっていますよ。
赤松と黒松の見分け方
黒松と赤松の見分け方は幹の色が全体に黒いのが黒松で下の方が黒く上の方が赤いのが赤松です。植えられている場所での見分け方は海岸沿いの松林に多いのが黒松で、山に多いのが赤松です。これを参考に枯れている赤松を探しましょう。
ファットウッドを買って保存しておく
ファットウッドは買うこともできます、ネット通販やアウトドアショップで売っています。ファットウッドは家庭の薪ストーブの焚き付けに使うことがあるので、使いやすいサイズで売っていますよ。
基本的にファットウッドは劣化しないのでそのまま保存していて大丈夫です。山や松林が身近になく採取に行けない方は買って手に入れるのがおすすめです。
ファットウッドの見つけ方①
立ち枯れした松を探す
立ったまま枯れている松はファットウッドが探しやすいです。立ち枯れしている松の根元のほうや根元に近い位置の枝の付け根にファットウッドがある場合があります。もしいい頃合いの枝があれば棒やナタでたたいてみましょう。
腐っている木ならにぶい音がするだけですが、ファットウッド化していれば中に松脂が詰まっているので高い音がするはずです。いきなり切らなくてもこの見分け方でだいたいの目星はつけられますよ。
ファットウッドの見つけ方②
倒れている松を探す
松林には倒れている松もありますね、これは風で倒れてしまったり間伐で倒されている木です。この木がファットウッド化している可能性がありますので探しておきましょう。
松脂は重力によって下がってくるので木の下の方にファットウッドがあるはずです。または松脂が溜まりそうな枝があればそこを探してみましょう。やはり叩いてみる見分け方で大体の目星をつけられます。
ファットウッドは松脂のにおいがする
ファットウッドは松脂をたくさん含んでいるので松脂のにおいがします。松脂のにおいは杉やひのきなどの針葉樹に似ていますが、もうすこし刺激のあるクセがあるにおいがあります。ファットウッド探しのときはこのにおいがしてきたらもうすぐファットウッドがあります、においにも気を付けて探していてくださいね。
ファットウッドの見つけ方③
ファットウッドの塊の作り方
ファットウッドを見つけたら余分な部分は現地で落としておきましょう。のこぎりやナタを使ってファットウッド以外の部分を落としてしまいます、これで持ち帰りやすくなります。
松脂の染み込んでいない部分を落とすことで火付が良くなります。ですのでファットウッドの作り方もなるべく余分な部分を落として、火付きが良くなるような作り方にしましょう。
ファットウッドは半透明
質のいいファットウッドウッドは松脂を多く含んでいるので、しっとりしていて半透明になっています。ファットウッドを削り出すときはこの半透明の部分が残るように削っていきましょう。
ファットウッド採集の注意点
私有地に入る場合は注意
たとえ枯れ木からファットウッドを採取するだけでも私有地に入ることになるので、必ず許可を得てから入るようにしましょう。無断で出入りしていると通報されたりトラブルにつながったりしてしまいますよ。日本中に誰のものでもない土地は存在しないので、私有地に立ち入らないように注意してください。
刃物の取扱に注意
ファットウッドを探して採取するには枯れ木の中からとりださないといけません。そして取り出すのにはいろいろな種類の刃物を使います、ナタや斧などですね。普段から山仕事をしていて取扱いに慣れている方はいいですが、刃物をほとんど触ったこともないような方は注意して取り扱ってください。
足場が悪い所もある
ナタや斧は重い上によく切れます、ファットウッドを取り出すのに無理な体制をとったり、急な斜面だったりするとケガにつながりかねません。また山で1人でケガをすると助けを呼べないこともありますので、大事に至らないように慎重に作業してくださいね。
簡単なファットウッドの見分け方
松林での見分け方
ファットウッドは枯れた松の中にあるので外から探しているだけではわかりません、中を割ってみて初めて見つけられます。逆に言うと枯れていない松にはファットウッドはありませんので、見分け方はとにかく枯れた松を探していきましょう。
立ち枯れしていたり倒れて枯れている松の根元付近が狙い目です、ありそうだなと思ったら少し削ってみるとファットウッド化しているかもしれませんよ。
水に浮かべる見分け方
ファットウッドは自然のものなので松脂を含んでいる量にばらつきがあります。そこで良質なファットウッドを簡単に選別できる見分け方をご紹介します。ファットウッドの余計な部分を削ったら水に浮かべてみましょう、水に沈んだら良質なファットウッドと言えます。
普通の木は水に浮きますが、良質なファットウッドは松脂を多く含んでいるので水に沈みます、この見分け方はこれを利用して良質なファットウッドを選別することができますよ。
ファットウッドの作り方
ファットウッドを自作する作り方
ファットウッドは本来天然のものですが、自作することもできます。油分が浸み込んだ木材がファットウッドですから、作り方は木にロウなどを染み込ませればファットウッドと同じようなものを自作できます。
ですが自作してしまうとファットウッドというより自作の着火剤といったニュアンスになってしまいますね。作り方を覚えておいて余ったロウソクなどあれば活用してみましょう。
他の自作着火剤の作り方
他にも着火剤を自作する作り方はあります。有名なのは松ぼっくりですね、松ぼっくりにも松脂が含まれているのでよく燃えます。麻ひもも着火剤になります、ほどいて細かくすればよく燃えるので焚き付けにぴったりです。便利な作り方としては余っているロウソクを溶かして、麻ひもを固めれば使いやすい着火剤が自作できますよ。
自作のギアでキャンプする魅力
キャンプにはそれぞれスタイルがあってこうしなければならないルールはありません。なにも高いギアを買い揃えなくても自作したギアでキャンプするスタイルがあってもいいですね。
ギアを自作できるということは作り方を知っているということです。作り方を知っていれば現地で壊れても直したり応急処置ができたり、即席の道具を自作できたりします。ギアを自作できるもしくは作り方を知っているといった豊富な知識がアウトドアでの余裕につながっていきます。
ファットウッドの保存方法
保存には気を付けなくていい
ファットウッドは腐っていったりしなく劣化しにくいので保存方法は特に気にしなくても大丈夫です。ファットウッドは木の繊維と松脂のかたまりなので保存中に虫に食われることもありません。虫食いだらけの枯れ木でもファットウッドの部分だけ残っているほどです。
ファットウッドの使い方は焚き付けに少しづつ使うので、他の木材を混ざったりうっかり捨ててしまわないように、何か袋にいれておくといいですね。保存中に多少水に濡れたところで燃えやすさに影響ありません。
松脂で汚れないようにする
質の面では保存に気を付けなくてもいいファットウッドですが、夏場の保存では暑さで松脂が流れ出し周りを汚してしまうかもしれません。保存している環境にもよりけりですが、ジップロックのような防水袋に入れておくとより安心ですね。
ファットウッドを使う注意点
燃えすぎに注意
松ぼっくりを焚き付けに使ったことがあればわかりますが、松脂はよく燃えます。ファットウッドはよく松脂を含んでいるのでよく燃えて焚き付けにぴったりですが、燃やしすぎに注意が必要です。
例えば体が冷えていて早くたき火で暖を取りたい時などはファットウッドを多く使ってすばやく火を起こすことができます。一度火が点いたらファットウッドは必要ありません。
燃えている火の中に燃えやすいファットウッドを入れると急に火が大きくなって危険です。ファットウッドの使い方はあくまで焚き付けにのみ使います。
すすが出る
どんな種類のファットウッドでも油分を含んでいるので燃やすと黒い煙が出て、すすが出てきます。このときに鍋などの調理器具を使っていると真っ黒になってしまいます。焚き付けにファットウッドを使っているときはこのすすで汚れないように注意しておきましょう。
ファットウッドと着火剤との比較
市販の着火剤
いろいろな種類の着火剤が売っていますが、どんな種類の着火剤も使い方は同じです。着火剤の種類により燃え方は違いますが、どの種類でも焚き付けに使えます。ファットウッドとの大きな違いは手に入りやすいところです。遠い山へ探しに行かなくてもいいというのが市販の着火剤の最大のメリットですね。
杉の葉
杉の葉もファットウッドと同じく自然に手に入る着火剤で、日本中どこにでもあります。ファットウッドよりは手に入りやすいのが魅力ですね。杉の葉はよく燃えますが燃焼時間が短いのが欠点です。
木の繊維が詰まっているファットウッドの方が燃焼時間は長いです。杉の葉は乾燥したものを使うのがコツです、わざわざ持っていかなくても杉林には確実に落ちています。現地で拾ってきてすぐに使えるのが杉の葉のいいところですね。
ファットウッドの魅力
水がついていても火がつく
ファットウッドは火付がよく水がついていても火がつけれれるのが魅力です。アウトドアでは雨の中で焚き火で暖を取りたい場面もあるでしょう、そんなときにファットウッドがあるとすばやく火を起こすことができます。他の種類の着火剤に比べて、木なので燃焼時間が長いのが魅力ですね。
現地で採取しなくてもいい
ファットウッド探しは一苦労で見つけられないこともあります。アウトドアに行った現地でファットウッドを探して火を起こそうとするとかなりの時間が掛かってしまいますね。
またファットウッドは焚き付けに少しずつ使うものなので大量にもいりません。ファットウッドの使い方としては事前に準備して保存しておき、アウトドアへは少量持っていくのがいいでしょう。
採取の仕方を覚えておく
ファットウッドを持っていなくても燃料になる木の種類やファットウッドの見つけ方と採取の仕方を知っていると、いざというときに役立ちます。
日常生活ではなくてもアウトドアやサバイバルの状況では知識が武器になりますよ。困難な状況になってしまっても、サバイバルの知識で切り抜けられることもありますし、知っていることが気持ちの安定にもつながります。
少しの余裕が大事
持っているファットウッドはあえて使わずにもしもの時にとっておく、という使い方もありです。もしもの時はファットウッドを使えば着火できるという気持ちの余裕が冷静な判断につながります。
アウトドアではぎりぎりでなく少し余裕を持っていることが大事です。誰も助けてくれないところで動けなくなっては大変です。必ず余裕をもって準備し、行動するように心がけましょう。
まとめ
ファットウッドはすぐれた着火性で携帯もできます、自然のものなので燃やしてもガスが出ません。ですが手に入れるのが困難です。ファットウッドのできる木の種類や採取できる場所を覚えて、山へ出かけましょう。
どうしても採取へ出かけられない方は自作したり買うこともできますよ。ファットウッドを使うようなキャンプではたき火を眺めながら、ゆったり過ごしたいものですね。
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