木材カットの基礎知識
実際に木材をカットする前に木材カットについて少し触れておきます
木材には木目がある
木材には木目というものがあります。木材加工することによって年輪が木目となるのですが、木材をカットする際は「木目に沿ってカットすると切断しやすい」です。肉の筋と同じように、木目に沿ってカットすることで木の繊維が邪魔をせず、すんなり切断することができます。逆に木目に逆らってカットしようとすると切断しにくくなります。
工具の刃には厚みがある
当たり前ですが、工具の刃には厚みがあります。いくら薄くても限界がありますので、カットする際は忘れないようにしてください。物にもよりますが刃の厚みは1～2mm程度ですので、カットする際は刃の厚みの分、余裕をもって切断するようにしましょう。
水分で伸び縮みする
木材は水分を含みますので、濡れると膨張し少しだけ大きくなります。そのため、塗れた木材で木材をカットすると、木材が乾いたときにサイズが変わってしまうことがあります。
サイズが違うとDIYでは致命的なことになりかねませんので、木材は濡らさないようにしましょう。特に梅雨の時期は湿気が多く、木材も湿気を吸収していますので注意が必要です。
木材カットの様々な工具
差し金・鉛筆（線引き用）
差し金とは、大工仕事などに使われるＬ字型の工具の事です。主に線引きなどに使われ、Ｌ字部分を木材にひっかけ垂直に線を引いたりします。あると便利ではありますが、線を引くだけなら定規でも問題なく、初心者は使いこなせない場合の方が多いですので、わざわざ用意せずとも定規や物差しで十分でもあります。
クランプ・台（木材固定用）
クランプとは木材を挟んで固定する工具のことです。木材を固定することで切断中に木材が動くのを防ぎ、作業しやすくします。台の縁に木材を固定し、はみ出した部分をカットしていきましょう。
ノコギリ
木材加工といえばノコギリが必要です。手動でカットしますので自分のペースで安全に加工することができます。また、ノコギリの反動が少ないため、片手で木材を固定して、もう片方でカットするといった切り方もあります。単純な物ですので応用が利きやすく、様々な切り方に対応します。
手動で疲れる上、カットに時間もかかるというデメリットもありますが、何より切断工具の中で最も安全ですので、初心者はノコギリから始めるといいでしょう。
ノコギリは引いてカットする
よく初心者DIYが忘れていることは、「ノコギリは引いてカットする」ということです。日本人は引く力が強く、それに合わせてノコギリの刃も取り付けられています。一応押しながらもカットすることはできますが、上手く力が入りません。上手く切れないと思ったら切り方を見直してみましょう。
丸のこ
丸のことは、円盤状のノコギリの歯が付いた切断工具の事です。工具からはみ出た刃を木材に充て、回転する刃で木材を切断します。
物によってははみ出る刃を調整できるものもあり、木材を切り落とさずに溝を作るといった切り方も可能です。ただ、刃自体は長くありませんので、厚い木材は切断できません。ベニヤ板など薄い木材用と思った方がいいです。
ジグソー
ジグソーとは、工具の刃が上下に動くことで木材を切断する工具のことです。ようはノコギリと一緒で、手動を自動にしたものと思ってもらえばいいでしょう。
同じ電動工具である丸ノコとは違い、ドリルで開けた穴に刃を入れて切断を開始するといった切り方もできます。反動がありますので木材に垂直な状態でしか使えませんが、厚い木材も簡単に切断できます。それと、ホームセンターでは様々な種類の刃を取り扱っていますで、用途に合わせて選びましょう。
糸ノコ
プロメイト No.7260
出典:Amazon糸ノコとは、刃が細く薄いノコギリの事です。厚みがありませんので小さな穴にも通しやすく、窓抜などがしやすいノコギリです。また、カットしながらの方向転換もしやすく、曲線の切断にも向いています。
細く薄いため乱暴に扱うと折れやすく、「ただ切断するだけ」なら向いてはいませんが、窓向きや曲線といった特殊な切り方では必要になるノコギリです。ちなみに、手動と電動の両方があります。
ドリル
ドリルは主に、窓抜きやコの字形に切る際に使用します。ドリルで木材に穴をあけ、そこに糸ノコやジグソーを通してカットし始めるのです。また、カット線上に穴をあけていけば、ハンマーなどで叩いて点線と同じように切り落とすこともできます。窓抜きをする際は不可欠の工具ですので、ホームセンターで購入しておきましょう。
安全第一で作業する
木材加工で最も大切なことは「安全第一」です。ノコギリは木材だけではなく「人」もカットすることができます。電動ノコギリの使い方を誤れば怪我をするだけではなく、指を切断する大事故にもなりかねません。絶対に悪ふざけはせずに正しく工具を使用してください。
掃除しやすい場所で行う
木材をカットするとおがくずが大量にでます。そのため、木材をカットする際は駐車場などの開けていて掃除しやすい場所で行いましょう。掃除がしやすいだけではなく、作業自体もしやすくなります。
もし、そのような場所がない場合は、あらかじめビニールシートなどを敷いておいた方がいいです。ビニールシートをまとめればおがくずもまとまりますので掃除が楽になります。
木材カットをしてみよう①：「線引き」
木材を切断する前には、まず線引きから行います。線引きとはそのままの意味で「切断する場所に線を引く」ことです。木材加工は一種のパズルです。それぞれが長さを決め作成していきますので、長さや角度が狂うと完成しなくなってしまいます。
そうならないように、設計図に合わせてカットする箇所に線を引き、それを目印に切断していきます。直線は意外と難しく、慣れてないと曲がってしまうこともよくあります。ですが、線が曲がったままでは切断面も曲がってしまいますので、何度か測って直線かどうかを確認した方がいいでしょう。
線引きのコツ
上記でも説明しましたが、ノコギリの刃には厚みがあります。そのため、切断するギリギリではなく、少しだけ猶予を持たせて線を引くといいです。そうすれば設計が狂いにくく、仕上げをする余裕もあります。
木材カットをしてみよう②：「固定」
実際に木材を切断する際には木材を固定しなければなりません。電動ノコギリの多くは反動があり、カットしていると木材が暴れてしまうからです。一応電動ノコギリの重さで木材を抑えますが、それでも暴れてしまうことは多々あります。
これは手動のノコギリにもいえることです。抑えていないと木材がノコギリの刃に引っかかってしまい、切ることができなくなってしまいます。クランプ、万力、手足、何でも構いませんのでしっかりと固定をします。
木材カットをしてみよう③：「直線」
基本となる切り方の直線では、難しいことはほとんどありません。線引きに合わせて刃を合わせ、ノコギリを動かすことでカットしていきます。また、カットする際はノコギリの刃が曲がらないように注意しながらカットしていきましょう。
刃はしなるため折れにくいですが、しなったままでは切断面が歪んできてしまいます。正しくノコギリを使えば力はほとんどいりませんので、落ち着いてよく見ながら木材に垂直当てながらカットしてきましょう。
ノコギリで切り落とす
木材を切断する際は一方向からカットするのではなく、全方向に切れ込みを入れると綺麗に切れます。
1：一面に直線に切れ込みを入れる
2：木材を回して、2面、3面、4面と切れ込みを入れて一周させる
3：始めの面に戻ったら切込みの続きからカットし始めて、木材を切断する
切り方が面倒かもしれませんが、全面に切れ込みを入れることで、切り落とした際に木材の端が割れるのを防ぐことができ、後の木材加工も綺麗になります。別にしなくても問題ありませんが、木材が欠けてしまう際は試してみましょう。
木材カットをしてみよう④：「曲線」
曲線の切り方は、直接曲線で切るのではなく多角形に切り落としてから曲線に近づけていきます。
1：曲線を通るようにして多角形を線引きする
2：直線でカットし多角形を作る
3：角をカットしより細かい多角形にする
4：最後にヤスリがけして曲線にする
多少面倒ではありますが、直線だけでも曲線の切り方は可能です。ただ、木材を切り落としてしまいますので、曲線の反対の木材がダメになってしまうのが問題といえます。
糸ノコ・ジグソーの切り方
ノコギリは直線でしか切れませんが、糸ノコやジグソーなら直接曲線にカットすることも可能です。刃が細いですので少し斜めにしても問題なく切断していきます。ジグソーは多少刃が太いですが、ホームセンターに曲線用の細い刃が販売していますので、それを使えば糸ノコと同じようにカットすることができるでしょう。
ノコギリと比べて、複雑な曲線や木材を無駄にしませんので、曲線を作る際は糸ノコやジグソーの使用をおすすめします。
木材カットをしてみよう⑤：「斜め」
斜めの切り方は直線の切り方と同じです。線を斜めに引いてノコギリでカットしていきましょう。切りたい角度に線を引いて、当て木などでノコギリを誘導すると斜め切りもしやすくなります。
それと、斜めにカットする際は体の向きもノコギリに合わせて移動します。慣れてしまえばどの角度でもカットできますが、そうでないとノコギリの刃が見えにくく危ないです。特別な理由がなければ、体も動かして「斜めにカットする」のではなく「直線でカットする」ようにしましょう。
難しければ道具を使用する
斜めのカットは慣れてしまえば苦になりませんが、それまでは難しい人もいると思います。そのような場合は、ノコギリの切断線を誘導する道具を使うのもいいです。
木材にボックスをかぶせて誘導するタイプや、金具を当てて誘導するタイプなど様々な物があります。他にも、斜め専用の丸ノコなどもありますので、気になる人はホームセンターで探してみてください。
木材カットをしてみよう⑥：「コの字」
コの字型にカットする際は、基本的に一筆書きでカットはしません。
1：コの字の両端を直線にカット
2：切り落とす部分に対角線を引いて、斜めに切り落とす（三角形を切り落とす）
3：残った三角形の部分を輪切りにして、少しずつ切り落としていく
4：ノコギリがコの字に入るようなら残りをまとめて切り落とし、切断面を綺麗にする
ハンマーで砕いてしまう
木材を切り落とすだけではなく、余分な木材を砕いてコの字型にしてしまう方法もあります。
1：コの字の両端を直線にカット
2：取り除く部分を無数にカットする
3：取り除く部分が櫛のようになったら、ドミノ倒しのようにハンマーでたたいて木材を折る
4：残った木材をヤスリやノミで削ったら完成
斜めにカットする必要がないですので、人によってはこっちの方が楽に感じるでしょう。また、ベニヤ板など薄い木材なら手で折れますので、2～3の部分は手で折ってしまって構いません。ようは、コの字に加工できれば方法はなんだっていいのです。
木材カットをしてみよう⑦：「窓抜き」
窓抜きとは窓のように木材に穴をあける切り方です。もちろん、それ以外を切るわけにはいきませんので、他の切り方のようにはできません。
1：抜き取る形に線引きをする
2：線上の一か所にドリルで穴をあける
3：糸ノコやジグソーを穴に通し、カット線に沿って切断する
窓の中を切り抜く際は、一筆書きでなくても構いません。コの字と同じように何分割しながらカットすると抜き取りやすくなります。
木材カットをしてみよう⑧：「面取り」
面取りとは、木材の角を綺麗に加工することです。一般的に木材は四角に加工されていますので角があります。ですが、角があるとぶつかって怪我をしてしまうかもしれません。そのような怪我の心配が無いように木材の角を面取りするのです。見た目も綺麗になりますので、DIYする際は面取り加工をおすすめします。
面取りのコツ
面取りをする際はヤスリやかんなで削ります。手触りを良くするならかんながおすすめですが、面取りに慣れていないと上手くいきませんのでヤスリがけでもいいでしょう。
コツとしては、均等に丸く面取りすると綺麗になります。一か所を横向きで磨くと均等になりませんので、縦方向に磨いていきます。ただ、それでも人の手では均等になりにくいですので、あるのでしたら面取り用のグラインダーやトリマーを使った方がいいです。見た目を気にしないのならいりませんが、必要ならホームセンターで用意してください。
面取りの注意
当たり前ですが、何でもかんでも面取りすればいいわけではありません。コの字など組み合わせる場所を面取りしてしまいますと面取りした部分に隙間ができてしまい組み合わせが悪くなってしまいます。
また、角が丸みを帯びてしまうことで見た目が悪くなる場合もあります。安全のために角を面取りすることは大切ですが、どの程度まで行うかは設計図であらかじめ決めておくようにしましょう。
木材カットをしてみよう⑨：「仕上げ」
木材をカットし終えたら、最後に仕上げを行います。切断面が毛羽立っていたり、木材がかけている場合もありますのでヤスリがけやかんなで磨いておきましょう。また、刃の厚さ分の余裕が残ってしまった場合は少し削る必要があります。
ヤスリがけやかんな、ノミなどを使用してもいいですが、カッターやナイフでも削ることはできます。コンパネなどの厚くて固い木材は難しいですが、ベニヤなどの薄くて柔らかい木材ならカッターなどで十分に削ることができます。
木材カットがどうしても難しい方はプロにお任せ
木材の加工方法を紹介して来ましたが、自分でカットしなくてもホームセンターなどでカットしてしまうこともできます。ホームセンターで販売している木材は長いですので、そのままでは持って帰れない人のために、カットサービスをしているホームセンターも多いのです。
基本のカットは直線だけ
カットしてくれるといっても基本は直線だけです。場所によっては斜めや曲線でカットしてくれるホームセンターもありますが、窓抜きやコの字、面取りまではしてくれません。
それでも、大きい木材をカットするのは大変ですので、あらかじめ長さを決めているのなら、ホームセンターで購入した際に一緒にカットしてもらった方がいいでしょう。特にコンパネなどの丈夫な木材は手間がかかりますのでおすすめです。
木材加工専門店
ホームセンターでは窓抜きやコの字の加工はしてくれませんが、木材加工の専門店なら加工してくれる場所もあります。1カットいくらの料金を支払えば、指定したサイズや形にカットしてくれるのです。持ち込みも行っていますので、コの字や窓抜きが難しいと感じたら、失敗すて木材がダメになる前に専門店に相談することをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか？木材カットは思ったよりも簡単だったと思います。実際に行う際もジグソーなどの電動式を使用すれば初心者でも簡単にカットすることができます。ただし、使い方を間違えれば大変危険ですので注意しながら使用してください。そして、カットした木材を組み合わせて自分だけのDIYを完成させましょう。
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