エンジュってどんな植物?
エンジュは、中国を原産とする高木で、冬に落葉します。とても強くて生育スピードが早く、庭木や街路樹として重宝されています。樹高は10~25メートルくらいです。春には可愛らしいお花、秋には豆のような実を楽しめます。
エンジュは縁起のよい樹木
古くより、エンジュを植えておくと魔除けや長寿がもたらされるという言い伝えがあります。エンジュという名前から、「延寿」とのイメージが思い浮かべられることから長寿のイメージになったようです。さらにエンジュの幹はとても強くてかたいため、長寿や出世によいとされてきました。とくに魔除けとして庭木に取り入れるときは、北の方角に植えるとよいそうです。
エンジュの花の特徴
春から夏にかけて、かわいらしい蝶々のような白い花を咲かせます。樹木でありながら花も可愛いためとくに女性からの人気が高く、シンボルツリーとしてよく利用されます。
エンジュの葉の特徴
エンジュの葉っぱの表の色は明るいグリーン色もしくは黄緑色です。裏側はやや白みがかったいて、細かい無数の毛が生えています。手で触ると毛布のようなネル生地のような気持のよい手触りです。
エンジュの基本データ
科名属名
マメ科エンジュ属(クララ属)
学名
Styphnolobium japonicum
和名
槐(えんじゅ)
別名
黄藤(きふじ)、槐樹(かいじゅ)
英名
Japanese Pagoda Tree
原産国
中国
エンジュの花言葉
エンジュには2つの花言葉が存在します。どちらの花言葉もとてもポジティブで庭木やシンボルツリーにぴったりです。縁起のよい木として愛されているエンジュは花言葉も素敵ですね。
花言葉1・上品
エンジュの花は小さく白いとても美しいものです。それほど目立つタイプではありませんが、季節になるとなんとも言えず可愛らしいお花をひっそりと咲かせます。その花姿から、「上品」という花言葉が生まれました。
花言葉2・幸福
エンジュという名前や、材木にも使われる硬い幹、すくすくと成長するさまから縁起のよい庭木と言い伝えられているところから、花言葉もまさしく「幸福」というものになっています。
エンジュの利用シーン
庭木として
前述のとおり、エンジュはその名前や強さから縁起のいい木として庭木に重宝されてきました。肥料成分のあまりないところでもスクスクと育ちます。ただし生育スピードが早いのでこまめな剪定は必要です。
薬用として
夏から秋にかけて実る、さや状の実のなかに種があります。この種には、ルチンが含まれていて古来より漢方の材料とされてきました。おもに高血圧の予防に効果的なのだそうです。
木材として
エンジュの木は古くより木材として利用されてきました。とてもかたい木材なので加工するときは少々大変なのですが、その分耐久性があるため床カマチといった装飾木材として重宝されています。切り出したときは少し目があらいのですが、きれいに磨くとツヤがでて美しいです。ただし今では希少木材であり、木材店では販売と同時に売り切れることもあるようです。
エンジュを使った商品1・マグカップ
かたさがあるので口なじみがよく一生ものになるカップアンドソーサー。木製なので軽くて割れず、幼い子供さんにもおすすめです。ご出産祝いの品としても人気があります。美しい木目が中身を引き立ててくれ、暖かいドリンクやスープなど、さまざまな用途で利用できるのもうれしいポイントです。
エンジュを使った商品2・箸
長寿の木として愛されているエンジュで作られたお箸も素敵です。敬老の日などのちょっとしたプレゼントにも最適です。またご家族でお揃いにしてもいいですね。かたいので折れにくく長い間使うことができます。
エンジュを使った商品3・菓子器
縁起のよいエンジュに、これまた縁起のよいフクロウを配した菓子器です。ちなみにフクロウは、「不苦労」とイメージされるところから縁起がよいとの言い伝えがあります。菓子器ではありますが、ボタンや裁縫用具を入れておくのもよし、ちょっとした小物を入れておくのも素敵です。ふたを開けたら何がでてくるのか、なんだかわくわくします。
エンジュを使った商品4・仏壇
細部にまで細かな細工がほどこされた仏壇です。エンジュのかたさや木目の美しさを生かした、自然味あふれるお仏壇で、どんなお部屋にもマッチします。
エンジュの種類
エンジュにはいくつかの種類があります。苗木が出回っている代表的なものを挙げてみました。
種類1・イヌエンジュ
日本の北海道から本州の山に自生するエンジュです。通常のエンジュよりやや小さく、樹高は大きく育っても15メートルくらいです。
種類2・ゴールドスタンダード
幹の色が黄色みを帯びた独特の美しさを持つ種類です。育て方や増やし方は通常のエンジュと同様です。
種類3・エンジュ(赤花)
白い花が咲くのが一般的なエンジュですが、赤花(ピンク花)品種もあります。春から夏にかけて咲くピンク色は、春のよろこびをあらわしているようでもあり大変愛おしいです。庭木やシンボルツリーにおすすめの品種です。
エンジュの育て方1・土作り
水はけのよい土壌を好みますが、とても強い植物なのでそれほど土質に神経質になる必要はありません。また、地植えにすると大きく育つ樹木ですが、鉢に植え付けて、ある程度小さめに仕立てることも可能です。地植えにする場合は、植え付ける場所にスコップなどで穴を掘り、腐葉土などを少し混ぜ込んでおくのがベストです。鉢植えにする場合は、小粒の赤玉土や市販の草花用培養土に少し腐葉土を混ぜ込んだものを準備して植え付けましょう。
エンジュの育て方2・肥料
はじめに植え付けるときに元肥として、油粕を少し土に混ぜ込んでおきます。そのあとはさほど追肥をほどこす必要はありません。育てている株の成長具合をチェックしながら、葉っぱが黄色くなってくるといった元気のない症状があらわれた場合のみ、少し追肥をほどこすとよいでしょう。追肥には、穏効性の固形肥料や有機肥料がおすすめです。
エンジュの育て方3・水やり
乾燥には比較的強く、はじめに植え付けて根付いたあとはさほど水やりの必要はありません。庭木など地植えにしている場合は、自然の雨水だけで大丈夫です。よほど日照りが続くなど気になる場合のみ少し水やりしてもよいでしょう。鉢植えにしている場合は、植えている土の表面が乾いたな、と感じたら水やりをしましょう。
エンジュの育て方4・場所
日当たりのよい風通しのよいところを好みます。とても強い樹木なので、多少日当たりがよくないところでもただちに枯れるということはないようです。ですが、日当たりがあまりに悪いと、成長が緩慢になる、花付きや実付きが悪くなる、といった症状があらわれます。
エンジュの育て方5・植え付け
植え付けに適した時期は、3~4月ごろです。販売されている苗木を植え付けるのが一般的です。庭や鉢に苗木を植え付けたら、苗木がグラグラしないようにしっかり土を押さえます。軽く足で踏みつけるようにしてもよいでしょう。植え付けた苗木が根付いて安定するまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら水やりを続けましょう。また、苗木の安定しない時期に風で株が倒れないように、軽く支柱をしておくとさらに安心です。
エンジュの育て方6・植え替え
庭木や街路樹など地植えにした場合は、植え替えの必要はありません。鉢植えにしている場合は、定期的な植え替えが必要です。生育スピードがはやく、根っこが鉢いっぱいになりやすいため、だいたい1年に1度の割合で植え替えしましょう。植え替えに適した時期は、3~4月ごろです。これまでよりひとまわり大きな鉢を準備して植え替えます。植え替えた株がしっかり根付くまで、日当たりのよい風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。
エンジュの育て方7・剪定
成長スピードが速く、放任しておくとどんどん空に向かって枝葉を伸ばします。そのままにしておくと25メートルにも成長するので、庭木などある程度の樹高を保ちたいときは、剪定によりコントロールしましょう。剪定に適した時期は、3~4月ごろです。育てている株を観察しながら、混みあった枝や成長の悪い枝、枯れた葉っぱなどを剪定ばさみで切り取り剪定しましょう。成長をある程度で止めたいときは、幹の先を剪定してしまうと、それ以上大きくなりません。
エンジュの育て方8・病気
さび病
さび病は、かび菌を要因とするため、気温が18~25度くらいまでの春や秋の気候のよい時期に発生しやすい病気です。おもに葉っぱや枝などに感染します。葉っぱの色が茶褐色や黄色などに変色し落葉しやすくなります。さらに病気が進むと、枝がこぶのように膨らんで樹形が乱れ、最悪の場合幹が折れることもあります。重大な被害になる前の早期発見が大切です。育てている株をこまめにチェックしながら、もしも病斑部を見つけたら、すみやかに切り取って駆除しましょう。
エンジュの育て方9・害虫
それほど心配な害虫はありません。
エンジュの増やし方1・種まき
ひとつめの増やし方は、種まきです。種まきによる増やし方のメリットは、何より経済的にたくさんの苗木を作れることです。夏から秋にかけての種を採取しておいて、春の種まき時期まで保存します。夏から秋に、さやのような実がつきそのなかに種ができます。さやが茶色っぽくなってきたらなかの種が成熟していますので採取します。ジップロックなどの保存袋に入れて春まで冷蔵庫などの冷暗所で保存しておきます。4月ごろ気温がしっかりあがってきたら種まき時期です。まず、一晩種を水につけておきます。種まき用の土を入れた鉢などに種まきしたら、発芽するまで乾燥しないよう水やりを続けましょう。
エンジュの増やし方2・接ぎ木
ふたつめの増やし方は、接ぎ木です。接ぎ木というのは、より丈夫な台木に増やしたい植物の枝を接ぐ増やし方です。とくに枝垂れエンジュを増やしたいときによく用いられる増やし方です。台木にはエンジュの株を使います。台木の高さ5センチくらいのところの幹をスパンと水平に切り取ったら、そこに枝垂れエンジュの枝を接いで、専用のテープなどで固定します。直射日光の当たらない風通しのよいところで管理しながら、水やりを続けましょう。やがて接いだところがくっついて枝垂れエンジュが育ちます。
縁起のよいエンジュを庭木に取り入れよう
名前が延寿とイメージされること・装飾用木材としても利用価値が高くとても幹がかたいことなどから、古くより縁起の良い木として人々に愛されてきたエンジュ。丈夫な樹木なので育てやすいのもうれしいポイントです。なお庭木としてより縁起をかつぐなら、北の方角に植えるとよいそうです。春には上品な白いお花、秋には豆のような実がつき、季節ごとの移り変わりを鑑賞できます。ぜひ庭木に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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