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モチノキとは?花や実の特徴や育て方を解説!剪定のやり方は?

モチノキは、秋につく小さめの赤い実がとてもキュートで印象的な植物です。古くより日本庭園によく使われ人々に愛されてきました。強くて育てやすく強剪定もオッケーなので、生垣にもピッタリ。モチノキの育て方や増やし方、枯れる要因などをご紹介いたします。
更新: 2021年3月6日
Yukari.S
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モチノキってどんな植物?

モチノキとは、モチノキ科モチノキ属に属する高木で、樹高は種類にもよりますが5~15メートルにまで成長します。雌雄異株の特徴を持ち、実は雌の木にだけつきます。

「モチノキ」という名前は、モチノキの樹皮から「とりもち」が作られることに由来しています。「とりもち」というのは、虫や鳥をつかまえるために使うねばねばの物質を指し、モチノキの樹皮を削ってすり鉢などでたたくと、ねばねばの物質ができあがります。

庭木の三大名木とされている

目を見張るような特徴はないのですが、安定した樹姿から日本では庭園にかかせない樹木として重宝されてきたモチノキ。木犀・木斛と並んで庭木の三大名木と称されています。

モチノキの花の特徴

花の咲く時期は、4~5月ごろです。ひとつひとつの花は小さく直径は1センチ未満です。白に薄い黄緑色がはいったような色の上品な花は、いくつもが連なるように集まって咲きます。花の咲く時期は、ちょうど春。桜やガーデンの華やかな花々が咲く季節でもあり、あまり目立たずひっそりと咲く印象です。

モチノキの葉の特徴

葉っぱの形は楕円形で先がとがっていて、ややかための印象です。葉っぱのカラーは明るいグリーン色。種類によっては、黄金色のものや白い斑入りのものもあり、花や実のつかない時期も美しいです。

モチノキの実の特徴

秋になると、小さめの赤く可愛らしい実がつきます。季節がらクリスマスのリースなど華やかなインテリアに重宝されます。実には野鳥などがついばみにやってきますが、人間の食用としては不向きです。なお、モチノキは雌雄異株の特徴を持つため、実は雌の木にしかつきません。

モチノキの基本データ

科名属名

モチノキ科モチノキ属

学名

Ilex integra 

和名

モチノキ

別名

ホンモチ

英名

 mochitree

原産国


日本、中国

モチノキの種類

モチノキに属する樹木は、世界中に400種類もあるそうです。秋につく赤い実が可愛らしいのでガーデナーからも人気が高く、さまざまな園芸品種も生み出されています。では、おすすめの種類をご紹介いたします。

種類1・黄金モチノキ

「黄金モチノキ」は、明るく黄金色のカラーリーフが大層美しい品種です。春から夏にかけては明るめのグリーン色の葉っぱで、秋から冬にかけて黄色っぽくなってきます。

常緑性で冬も黄色の葉っぱが楽しめるので、庭木に植えておくと庭がさみしくなりません。ただし、寒さにやや弱い特徴があり、あまり寒い地域では栽培できないようです。

種類2・タラヨウ

グリーンの地色に薄い黄緑色のような白っぽい斑入りの品種です。白い斑入りの葉っぱの植物は、ガーデンに一本あるとそれとなくよい雰囲気を出してくれます。一枝切って花瓶に生けるのも素敵です。

種類3・クロガネモチ

花付き・実付きのよい品種で、モチノキの代表的な種類とも言えます。秋につくツヤツヤとした赤い実がとても華やかです。枝分かれしやすく、新芽も出やすいため、初心者さんにもぴったりの栽培しやすい品種です。赤い実をついばみにやってくる鳥たちを鑑賞するのも面白く、新しい趣味になりそうです。

種類4・サニーフォスター

サニーフォスターは、セイヨウヒイラギとも呼ばれ、葉っぱのふちがギザギザにとがっています。春から夏のあいだは美しいグリーン色で、秋から冬になると明るい黄色に紅葉します。新芽の出やすい品種で、生垣などの利用にも向いています。

種類5・クリスマスホーリー

上品につく赤い実がキュートな印象をもたらしてくれる品種です。名前のとおり、クリスマスのリースや飾りに利用すると一気に楽しいクリスマスムードになります。明るいグリーンの葉っぱと赤い実のコントラストにキュンとします。

種類6・ソヨゴ

ソヨゴという名前は、葉っぱ同士が風にゆられてそよそよと音がするところから名付けられました。放任していても樹形が整いやすい品種なので、庭木や生垣に向いています。秋につく赤い実は、やや離れたところにつきます。

種類7・ホーリー・オースプリング

葉っぱのふちがトゲトゲした洋風なイメージの品種です。グリーンの地色にクリーム色の斑入りで華やかな印象。しかも、クリーム色の斑は、秋から冬にかけて赤紫色に紅葉します。少し珍しい品種をお探しの方にもぴったりです。


モチノキの育て方1・土作り

水はけのよい土壌を好む植物で、地植えに適しています。鉢植えでは育ちが悪くなり不向きです。植え付けたい地面を少し掘って、腐葉土や川砂などを混ぜ込んでおくのがベストです。ただし、比較的強い樹木なので、さほど土質に神経質にならなくても大丈夫。よほど悪い土でない限り枯れることはあまりないようです。

モチノキの育て方2・肥料

2~3月ごろの冬の寒い時期に、寒肥を与えます。穏効性の固形肥料を株元にほどこすとよいでしょう。そのあとの追肥はほとんど必要ありません。育てている株の成長具合を見ながら、必要であれば春から夏の時期にかけて、寒肥と同じ穏効性の固形肥料を少し与えるとよいでしょう。

モチノキの育て方3・水やり

一度地植えにして根付いたあとは、それほど水やりの必要はありません。真夏によほど日照りが続くなど乾燥が気になる場合のみ水やりを少ししてもよいでしょう。なお、真夏の水やりは朝夕の気温の低い時間におこないます。

昼間の気温が高い時間に水を与えると、与えた水が地中で温まり、植物の根っこを傷めて枯れることがあります。

モチノキの育て方4・場所

日当たりのよい風通しのよいところを好む植物です。強い植物なので少し日陰になるところで育てても枯れることはありません。ただし、日当たりのよくないところで育てると、どうしても花付きや実付きが悪くなります。

花や実の観賞を目的とせず、単に生垣として使いたいという場合には、日陰でも枯れることのないモチノキは最適でしょう。

モチノキの育て方5・植え付け

植え付けに適した時期は、4~5月もしくは9~10月ごろです。苗木の根っこの大きさよりひとまわりからふたまわり大きめの穴を掘り、苗木を植え付けます。植え付けたら、苗木がグラグラしないように土を手や足でしっかり踏みしめます。

必要なら支柱を立てて誘引しておくとさらに安心です。植え付けた苗木がしっかり根付くまで、水やりを続けましょう。

モチノキの育て方6・植え替え

庭木や生垣など、おもに地植えで育てる植物なので、とくに植え替えは必要ありません。一度根付くと移動は苦手で、頻繁な植え替えをすると枯れることがあります。

モチノキの育て方7・剪定

自然のままに栽培していても、比較的樹形が整う樹木なので、それほど剪定は必要ありません。ですが、強剪定しても芽吹きやすいので、とくに生垣などに利用するときに好きな形に剪定することも可能です。剪定に適した時期は、春に花が咲いたあとのだいたい6~7月ごろです。

コンパクトに仕立てるなら冬にも剪定をしよう

コンパクトに仕立てたい場合は、12~翌年1月ごろに再度剪定してもよいでしょう。育てている株を観察しながら、まず混みあったところや邪魔な枝を剪定ばさみで切り取って剪定します。そのあと樹形が好みの形になるよう剪定しましょう。

なお、あまり春先に剪定をすると、花付きや実付きが悪くなってしまうので気を付けましょう。

モチノキの育て方8・病気

すす病


すす病とは、植物のおもに葉っぱや枝に発生し、薄黒いまるですすのような病斑部があらわれる病気です。すす病はカイガラムシから出される排泄物に発生しやすい病気です。すす病を放置しておくと、やがて株全体に広がり、株ごと枯れることがあります。

こまめに植物の様子を観察しながら、病気の発生を発見したら、病斑部をすみやかに切りとって駆除しましょう。
 

うどんこ病

うどんこ病は、春から秋のあたたかい時期に発生しやすい病気です。名前のとおり、白い粉がついたような病斑部があらわれます。病気を放置しておくとみるみるうちに株全体に病気が広がり、株が枯れることもあります。病気の発生を認めたら、すみやかに病斑部を切り取って処分しましょう。

モチノキの育て方9・害虫

カイガラムシ

カイガラムシは、じめじめとした環境に発生しやすい害虫です。とくに枝が混みあって風通しのよくないところなどがあると、急激に発生します。一匹の大きさはとても小さいのですが、群生して発生するのがやっかいなところ。

栄養成分を吸い取られた葉っぱや枝が枯れることがあります。さらにカイガラムシの排泄物には前述のすす病という病気が発生しやすいのも問題です。小さくて発見が遅れがちになるのですが、育てている株をこまめにチェックして早期に駆除することが一番です。なおカイガラムシはとてもかたいので、スプレーなどを吹きかけても駆除できません。

ブラシなどを使ってこそぎ落とすようにするのがベストです。
 

モチノキの増やし方1・種まき

増やし方のひとつめは種まきです。まず秋につく赤い実から種を採取します。種のまわりについている果肉は水できれいに洗い流しましょう。種を採取したら、すぐに種まきします。

種が乾燥してしまうと発芽率がぐんと下がりますのでスピーディにおこないましょう。種まき用の土を入れた鉢などに種をまいたら、直射日光のあたらない風通しのよいところで管理しながら、こまめに水やりをしましょう。

種まきは経済的なメリットが大きい増やし方ですが、発芽するまでになんと2~3年もの年月がかかるのでかなり難易度が高いです。その分、発芽したときの感動はひとしお。試してみる価値のある増やし方でしょう。

モチノキの増やし方2・挿し木

ふたつめの増やし方は、挿し木です。挿し木に適した時期は、花の終わったあとの6~8月ごろです。栽培している株などから、よい枝を10センチくらい切り取ります。水に数時間つけておきましょう。挿し木用の土を入れた鉢や育苗ポットに挿し木をします。

直射日光の当たらない風通しのよいところで管理しながら、乾燥させないよう水やりを続けましょう。挿し木での発根率は低く、挿し木もまた少し難易度が高いです。たくさん挿し木しておくと成功率が少しでもあがります。

和風にも洋風にも合うモチノキを植えよう

モチノキと言うと、古くより日本庭園に重宝されてきた植物で和風の印象が強いかも知れません。ですがクリスマスホーリーなど洋風な雰囲気の品種もあり、洋風のガーデンにもピッタリ。強くて育てやすく、肥料いらずで剪定も簡単なので、ガーデン初心者さんにもおすすめです。

少し肌寒くなってきた秋に赤い実を見るとなんだかキュンとするものですが、モチノキはそんな自然を感じるのに最適の樹木です。赤い実を花瓶に生ける・リースに仕立てるのも素敵。集まってくる野鳥の姿を眺めるのもよい時間です。

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