あずま袋って何?
あずま袋とは、手ぬぐいや風呂敷きなどを縫い合わせて作った簡単な袋です。風呂敷よりも立体的で、マチをつけることもでき、サイズも自由に作れるところが魅力です。字は「吾妻」「東」とするようで、江戸を中心とした関東を指すようです。
西洋の文化が入ってきたときに、新しい物好きの江戸っ子の間で広まったと考えられます。(上の画像は浴衣用の和布のはぎれを利用しています)
あずま袋の成り立ち
風呂敷の文化からわかるように、日本にはもともと物を包む習慣がありました。江戸時代の終わりとともに西洋からカバンが入ってきたことで、もともとあった風呂敷や手ぬぐいといった身近な布をアレンジしてカバンのように使い勝手を良くしたところから生まれたと考えられます。
風呂敷や手ぬぐいで物を包む方法もあるのですが、ちょっと難しいですよね。あずま袋を使うともともと袋状になっていますから物が落ちにくく、持ち手を結ぶだけでよいと使い勝手のよさも特徴です。
あずま袋のメリット
あずま袋は何も入れないとペタンコになります。コンパクトになるので持ち運びによいこと、サイズが自由に作れることがメリットです。しかも縫い方も簡単でシンプルです。ミシンがなくても手縫いでも簡単に作ることができます。
ポケットを付けたり、開き口にスナップやボタンをつけたり、レースやリボンを挟んだりと凝ることもできるし、そのままでシンプルさを楽しむこともできます。浴衣や着古した服をリメイクするにも適しています。
また、和柄を使っても洋風な布を使ってもおしゃれに仕上がるところも人気の秘密です。今は100均で十分材料がそろいますので、下の作り方を参考に挑戦してみませんか。
あずま袋の作り方のコツ①
生地の裁断の仕方
縦:横=1:3になるように布を裁断します。縦を25~30㎝で考えると簡単です。手ぬぐいも大体これくらいのサイズです。お弁当を包めるくらいのサイズになります。
型紙を作ったり、長さを図るのが面倒な方は縦が入れたいものと同じ「長さ」になるように切り、そこから対角線に折り、二重になったところを持ち上げても一度重ね、もう一度重ねると、ちょうど横が縦の長さの3倍になります。このやり方で裁断すると型紙との差は写真のようになります。(5cmほど長くなりました。)
あずま袋の作り方のコツ②
生地の選び方
簡単に縫える布選び
自分で好きな布を切って作りたい方に、布の選び方のコツをお話しします。基本的には何でもよいのですが、縫いやすいのは中厚地のオックスなどのコットン素材です。初心者でも簡単にきれいに縫えます。
くたっと柔らかくしたければ接結ガーゼなどもよいでしょう。ただし薄すぎると針穴が目立って縫いにくくなります。ミシンをかけるときに針飛びの原因にもなります。
裏地をつけるなどして補強するといいですね。また接着芯を長方形の状態で4辺に貼るのも一つの手です。ニット素材は伸びすぎないものを選んだ方が物を入れたときに型崩れしにくいです。
心配でしたら全体に薄い接着芯を貼りましょう。また、デニムや帆布などは厚すぎるの縫いにくいですし、持ち手を縛るのが大変です。
針と糸を選ぶのも大事
縫い方は簡単なのであまり心配はないのですが、初心者にはわかりにくいのが、どの針と糸を使うかということです。布をこれから買うのであれば、手芸店に行って店員さんに相談しましょう。ミシンでも手縫いでも縫いやすいものを選んでくれますよ。手縫い針がない方は100均でも手縫い針と糸を購入できます。
待ち針の打ち方
簡単にきれいに仕上げるにはやはり手順を一つ一つ追うことが大切です。待ち針ものその一つ。まずは両端に、それから真ん中、それからその間と打っていくと、きれいに均等に打てます。
縫い方のコツ
ミシンでの縫い方のコツ
ミシン縫いの場合は、最初と最後を返し縫しましょう。まっすぐ綺麗にかけるにはミシンの場合は押さえ金の端を見ること、ミシンにメモリがある場合はそこを目印に縫いましょう。針をじっと見ていると縫いあがりがうねうねします。
どうしてもうねうねする人は仕上げにスチームアイロンをかけましょう。縫い目が落ち着きます。綺麗に仕上げるコツは何といっても、アイロンをまめにかけることです。
手縫いでの縫い方のコツ
手縫いの縫い方のコツはリズミカルに同じ調子で縫うことです。縫い方は目を細かくした並縫いでOKです。重いものを入れる場合や心配な場合は半返し縫いをしてもいいです。半返し縫いが難しければ並縫いで往復してもいいですよ。
アイロンのかけ方
斜めに生地を裁断する場合、布は伸びやすくなります。アイロンを生地を引っ張りながら伸ばしてかけてしまうと、よけいに生地が伸びてしまい、ベロンとした仕上がりになってしまいます。アイロンは中温程度で、上から抑えるように、ちょんちょんとかけていきましょう。
縫わなくてもよい方法も
100均や手芸店に行くとテープの裾上げや、縫う代わりになるテープやノリが売っています。縫い方に自信のない方はそういう便利グッズを使ってしまうのもありです。接着芯の薄いものを細く切って使うのもありですよ。両面接着になる「蜘蛛の巣」という接着芯もあります。こちらはアイロンでくっつけるものです。
あずま袋の型紙の作り方①
基本のあずま袋の型紙の作り方
型紙がないと布を切るのが心配な方はこんな型紙を用意しましょう。ここではA3のコピー用紙2枚をつないで型紙を作る方法をご紹介します。縫い代込みなので縫い代分を布にひかなくてよくて楽ちんです。(28㎝×78㎝、縫い代1㎝込み)
①横40㎝のところに印をつけます。②もう一枚のコピー用紙を印に合わせて貼ります。③印から38㎝のところで切ります。④型紙を布に合わせて待ち針などで留め、紙の形に添って切ります。
あずま袋の作り方①
簡単!基本のあずま袋の作り方
ここでは基本のあずま袋の作り方をご紹介します。1枚の長方形の布から仕立てていく方法です。100均にもこのサイズの布は結構あるので気に入ったものを探してくださいね。
縦:横=1:3になるように布を用意します。(裁断の仕方は上の型紙の作り方や、作り方のコツをご覧くださいね)まずは布の縦の端を三つ折りにします。
アイロンをかけると綺麗です。布を伸ばさないようにアイロンを上に置くようにかけていきます。三つ折りにしたところをミシンをかけます。(手縫いしてもOK)
三等分になるように布の左端を持ち上げ真ん中の部分に重ねます。(このとき布は表向きの置きます。重ねた部分は裏側になります。)
下の部分を待ち針でとめます。待ち針でとめた下の部分を縫います。レースやリックラックを挟みたい人はここで挟んでおきましょう。
縫い留めたところの上側を開いてよけておきます。(ここをよけないと後で広げられなくなります。)それから、右側の布を持ち上げて真ん中に重ねてとめます。
上側を同じように縫います。(よけておいた生地を縫わないよう注意!)
広げて、端の処理をしていないところを持ち手側から底に向けて処理します。このとき中表のまま、袋の中側を縫うようにすると縫いやすいです。(底の部分はぎりぎりまで縫わなくても大丈夫です。ちょっと縫いにくいので1~2㎝手前でやめてOKです。)
ここでは2枚合わせてロックミシンをかけました。ジグザグでももちろんOKです。ミシンのない方は1枚の縫い代を半分の幅になるように切って、切ってない方の縫い代でくるむようにしてから並縫いでとめていきます。大変ですがまつり縫いでもOKです。
縫い代を内側に倒してアイロンをかけます。倒したところを裏布を内側にして中から直線ミシンをかけます。(押さえミシンといって、縫い代を浮かないようにするのと、補強の意味があります。)手縫いの場合は並縫いをします。
表に返すとこんな感じ。裏地をつけたい人は最初の三つ折りの工程を省いて表裏2つ作り、最後に縫い代を中に倒した状態で、持ち手のところを合わせて縫うと裏地付きになります。(ここでは上下を縫う際にレースを挟んでいます。)
あずま袋の型紙の作り方②
肩掛けにも!持ち手の長いあずま袋の型紙の作り方
正三角形を6つ並べて平行四辺形を作る方法でも型紙を作ることができます。持ち手が長い縦長のあずま袋の型紙の作り方です。正三角形の1辺の長さは、入れたいものの長さにするといいようです。
大きいサイズの場合、生地幅110㎝のものを買っても平行四辺形をとることは難しいので、三角形2つで小さい平行四辺形(ひし形)を3つ作って、裁断した方がよさそうです。
縫い合わせる分の縫い代を1cmずつ取るのをお忘れなく!作りたいバックの底の横幅+4㎝くらいで型紙を作成すると失敗しません。こちらは肩掛けのバックにもなりますね。
あずま袋の作り方②
肩掛けにも!持ち手の長いあずま袋の作り方
大きいサイズを作りたい場合はひし形(正三角形2つを合わせたもの)を3枚裁断し、縫い合わせて平行四辺形を作ります。
(型紙や布の裁断方法は下の「型紙の作り方②」をご参照ください。)下の型紙の作り方の画像の〇と〇を縫い合わせます。
次に△と△を縫い合わせます。ちょっと広げてから合わせて、待ち針でとめておきましょう。
縫い合わせて広げるとこんな感じです。縫い代の始末をしたら完成です。裏地をつけたものを作りたい場合は「あずま袋の作り方③」をご覧ください。リバーシブル(裏地側も表として使える)での作り方をご紹介しています。
あずま袋の作り方③
裏地付き☆リバーシブルあずま袋の作り方
「あずま袋の作り方②」から(最後の縫い代の始末をせずに)同じものを2つ作って、中表にして二枚を合わせて待ち針でとめます。待ち針は真ん中のV字部分、持ち手の端、その間と打っていくと綺麗にとめられます。
返し口を15cm位残して、ぐるっと縫います。最初と最後は返し縫しておきましょう。(返す時に力がかかってほどけやすいため)
返し口から表に返して形を整えます。アイロンを持ち手にかけると綺麗です。返し口を処理して出来上がり。
持ち手を縛るとこんな感じです。画像のものは1辺が34cmの正三角形で作成しています。A4のファイルが入るサイズです。ちょっとしたお出かけにちょうどよい大きさです。
裏返すとこんな感じです。こちら側はニット生地を使用しています。テンション(ニット素材の伸びのこと)は低めです。気になる方は接着芯をあらかじめ貼っておきましょう。
ここでは裏地にニットを使ったため持ち手の部分の生地が厚めになり、結び目がやや大きくなります。薄い生地を裏地に使うほうが結び目が小さくできます。
(その分持ち手が長くなる)画像のものはぎりぎり肩がけできるくらいの長さに仕上がりました。持ち手をもう少し長くしたければ、持ち手と持ち手の間にカバン用のベルト布を挟むといいでしょう。
あずま袋の作り方④
手ぬぐいを使ったあずま袋の作り方
今回ご紹介するあずま袋の作り方で一番簡単な縫い方がこちらです。手ぬぐいを使うと端の処理が省けてさらに簡単です。上の画像は100均で購入した手ぬぐいです。本来手ぬぐいは縦の身近手の部分は端の処理をしていませんが、こちらは4辺すべて端の処理がしてありました。
中表にした手ぬぐいを横幅3等分になるように、左側の布を持ち上げて真ん中に重ねます。
待ち針で下をとめて、下側を縫います。
縫ったところを広げて左下端によけておきます。
右側の布を持ち上げて真ん中に重ねます。
次に広げた布をとめないように下の布と上の布をとめて、上側を縫います。※こちらは手縫いで仕上げました。わかりやすいように赤い糸を使用しています。
広げるとこんな感じです。(裏返しのままです。)手ぬぐいのタグが気になる人は切ってしまいましょう。こちらの手ぬぐいは4辺が処理してあるため、縫い代の始末をする必要がありません。この縫い方だと2カ所を直線縫いするだけですから、手縫いのほうがもしかしたらミシンの用意をしなくてよい分、楽かもしれません。
表に返して上を結べば出来上がりです。中身を入れるとこんな感じ。手縫いでも5~10分くらいでチャチャっと作れます。あっけないほど簡単です。お弁当袋にちょうどいいサイズです。
あずま袋の作り方⑤
風呂敷を使ったあずま袋の作り方
100均でも手に入る風呂敷を使ったあずま袋の作り方です。ここでは100均のものを使っていますが、おうちにある風呂敷を使ってもいいですし、ハンカチでも作ることができますよ。
縫い方の手順
100均などで手に入れた風呂敷を広げます。100均の風呂敷はタグが邪魔になるので切っておきましょう。もちろん家にあるものでも大丈夫です。画像の風呂敷は100均で「つつみ布」として売られていました。風呂敷のサイズは50㎝×50㎝です。
風呂敷を対角線で切って、三角形を4つの状態にします。チャコペンで印をつけて切ってもいいですが、アイロンで対角線に折ると綺麗にあとが付きますし、簡単です。アイロンをかけるときは布を引っ張って伸ばさないように注意しましょう。
上の写真のように三角形を2枚重ねて、待ち針でとめます。2枚重なっている三角形部分を縫ってとめていきます。下の部分だけを縫っても大丈夫ですが、重なっている部分を縫ったほうが、ぺらぺらせず安定します。
わざと片側だけを少し開けておくと、箸などを入れるポケットになります。重ねる順番は右が上でも左が上でも構いません。ここではミシンを使っていますが手縫いでも大丈夫ですよ。
2枚を中表に合わせて外側3辺を縫います。(裏地をつけたい場合は、この時に挟んでしまうと楽です。最後に持ち手の内側を縫い合わせてくださいね。)上は縫い代の始末をした状態です。表に返して出来上がりです。
マチの作り方
底を広げて、端から3~4cmのところにチャコペンで縦に線を引きます。線を引いたところを縫います。
左がマチあり、右がマチなしです。マチありの方は底の長さが4~6㎝小さくなります。一般的なお弁当箱なら(横長のもの)十分入るサイズです。
中身が入るとこんな感じです。見た目ではわかりませんが持ち上げたときにマチ有のほうが安定します。こちらもお弁当入れにちょうどよさそうなサイズでした。文庫本を入れてお散歩に出かけてもよさそうですね。
あずま袋の使用例①
プレゼントを包むラッピングとして
お土産に買ったお菓子をお友達などにあげるときにさっと包むとランクアップして見えますね。もちろん手作りのお菓子をプレゼントするときのラッピングにしても素敵です。お菓子のほかにも文庫本やCDなども可愛く包むことができますよ。
しかも、なんだかとっても手をかけてくれた感じが出せてしまいます。もらった方が喜んでくれそうですね。
あずま袋の使用例②
かごバッグの目隠しとして
ピクニックや夏に持ちたくなるかごバッグ。かわいいし、おしゃれなんだけれど中身が丸見えになるのが気になりますね。そんな時、あずま袋をセットすると、持ち手を縛れば中身は見えませんし、口の大きいバッグから中身がコロンと落ちてしまうこともありません。
かごの繊維に細いもの(ペンとか鍵とか)が刺さって飛び出るという残念な現象も防ぐことができてしかもかわいさアップで一石二鳥です。かごの底と同じサイズに作るといいですよ。100均でそろえた材料でここまでおしゃれになるなんて!という出来栄えです。
あずま袋の使用例③
ポーチ代わりに
ペンケースやポーチ代わりに使うのもかわいいです。カバンの中で迷子にならないし、使うときも開口が大きくて取り出しやすくしまいやすくて便利です。上の画像は化粧品を入れています。サイズがバラバラなものをボンボンいれても大丈夫です。
文房具の長さが合わなくてペンケースに入らなかったり、たくさん持ち歩きたい方にぴったりな使い方です。やはり開口が大きいのはとても便利です。中が汚れるのが気になる方は裏地に「裏地用」として売られている薄いテロテロした布(スカートの裏地によく使われている布です)を使うといいですよ。
あずま袋の作り方のまとめ
ここまであずま袋の作り方をご紹介しました。いかがでしたでしょうか。100均で手に入る手ぬぐいや風呂敷、もしくははぎれで簡単にかわいいあずま袋ができてしまいます。用途に合わせてたくさん作ってみてください。
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